• 戦闘

橋上突破

マスター:湖欄黒江

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
参加費
1,000
参加人数
現在6人 / 4~6人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2014/09/17 19:00
リプレイ完成予定
2014/09/26 19:00

オープニング


「ああやっと着いた、ここが問題の橋だよ」

 今回の依頼人、顎鬚をたくわえた大男のレーヴィ医師が身振りをするが、未だ橋は見えない。
 視界10メートル以下の凄まじい霧が立ち込め、
 目の前にあるはずの深い谷間をすっかり覆い隠してしまっていた。
 霧の先からは間を置いて何度か、しゃらん、しゃらんと、小さな鈴をいくつも鳴らす音が聴こえる。

「もう何十年も前、リアルブルーから来た男が、
 ここらの村で世話になった礼にこの橋を設計したんだ……彼は技師だったそうだ」

 もう数歩進んでようやく件の吊橋と、それを支える木製のトラスが見えてきた。
 霧のせいで谷の深さがどれくらいか分からないが、吊橋はかなり心細い代物だった。
 板材を並べて作った踏板は幅60センチしかなく、すかすかに間の空いた横桁を含めてもどうにか2メートル。
 渡っている最中に谷向こうから来た人と行き当たったら、すれ違うことはかなり困難だ。

「ちょっとおっかない橋だろう?
 こう見えても結構頑丈なんだが、狭くて揺れるのが困りものだな。
 予算の限られる中、とにかく渡れる橋を作ることが先決だったらしい」

 ふと見上げれば、トラスから谷向こうへ張り渡された2本の主ケーブルそれぞれに、
 小さな鈴が少しの間隔を置いて無数に結わえつけられている。これが鈴の音の正体らしいが、

「毎年この季節になると、今日みたいにひどい霧がかかってしまう。
 谷向こうが見えないから、こっちとあっち、うっかり同時に渡ると厄介なことになる。
 だから人が渡っている間、姿は見えなくても音でそうと分かるように、鈴をつけているのさ」

 と、風もないのに橋が揺れ、鈴が一斉に鳴り響く。
 レーヴィ氏は「おっといかん」と呟いて、数歩後ろへ下がった。
 橋上を覆う灰色の霧の奥に、黒い影が一瞬ちらついたような気がした。
 あれが問題のコボルドだろうか?
 しかしこの霧では、実際どんな敵が潜んでいるやら分からない。


 吊橋は何十年ものあいだ、山中のふたつの村を結ぶ大事な通路であった。

 橋が架けられる以前、互いの行き来には何日もかけて険しい山道を歩くしかなく、
 特に山奥にあった谷向こうの村にとっては、物ひとつ売り買いしに出るだけでも命がけの仕事だった。
 だがある日現れたリアルブルーからの転移者がどうにかして、
 ふたつの村を隔てる深く広い谷間に1本の橋を架ける方法を編み出した。
 橋は全長約200メートル、大部分は木製だが、主ケーブルにだけは大枚を叩いて鋼線を使用。
 道幅こそ狭いものの、橋の完成によって村同士の移動と輸送の問題は飛躍的に改善された。
 以来、設計者が残していった書置きを頼りに毎年丹念な点検・補修が行われつつ、
 多くの村人がこの橋を利用してきたのだが……。


 数週間前、近隣の山で大規模な亜人駆除が行われた。
 コボルドの大量繁殖が確認された為の措置だったのだが、ふたつの村には困ったことになった。
 山狩りから逃れたコボルドの生き残りがこちらへ流れ込み、
 更に悪いことに、どうやってそんな知恵をつけたのか、彼らは吊橋の上に居座ってしまったのだ。

「逃げ場のない一本道、通行人はしばしば食料などを担いで、しかも大荷物。
 橋を通る人間は、コボルドには恰好の獲物だったという訳だ。
 谷のこちらとあちらで村人がひとりずつやられた後、
 どうにか逃げ延びた者が出て、彼の話でコボルドが橋の上に待ち伏せていることが分かった。
 無論、私たちは橋を使わなくなった。しばらく誰も通らないでおけば、連中も諦めて他所へ移るだろうと……。

 ところが、どうしても今すぐこの橋を通らなくてはいけない理由が出来てね。
 昨日、谷向こうの村が数匹のコボルドに襲われて怪我人が何人も出た。
 コボルドはどうにか追い払ったそうだが、あちらには医者が居ない。
 薬も足りず、かなり危険な状態の怪我人も多いようだ。この知らせは伝書鳩で送られて来た……。

 そういう訳で、連中が橋から退いてくれるのを待ってはいられないのさ。
 それに今、橋の上には少なくとも10匹以上のコボルドが固まっているらしい。
 どうしてこの一箇所にそこまで数が集まったのか、少々不思議ではあるが、
 今後のことを考えると、ここでまとめて駆除出来て好都合だとも言える。
 君たちハンターにとっては厄介かも知れないがね……」

 また橋が揺れて、結えられた鈴が鳴り渡る。霧で覆われた狭い橋の上に10匹以上のコボルド。
 レーヴィ医師は荷物を抱えて後ろに下がり、君たちの判断を待っている。

解説

 今回の依頼の目標は、依頼人の医師・レーヴィ氏を伴って
 コボルドに占拠された橋を突破することです。

 橋は全長約200メートル。横幅は狭く、普通に渡るのであれば人ひとり通るのがやっとです。
 強度はそれなりにあり、ハンターたちが全員で乗るといきなり橋が落ちる、ということはありませんが、
 主ケーブル(鋼鉄製)、そして主ケーブルと橋桁を結ぶワイヤー(蔓や蔦を編んだもの)等
 橋を支えている要素が大きく損傷した場合は、その限りではありません。
 また、橋上で大立ち回りをすれば、落ちるとまでは行かずとも橋は大きく揺れることでしょう。
 安定した足場を要するような、何か慎重・複雑な行為を行いたいときは注意して下さい。
 なお、橋の大部分が木や植物を建材としているので、火気は厳禁となります
 (火属性の魔法攻撃は、本物の火ではないのでOKです)。

 敵は現在判明している限りで、コボルドが10匹以上。
 橋を渡ろうとする人間を逃げ場のない橋上で襲撃します。
 コボルドたちはどういう訳か橋の上から退こうとしません。
 基本、自ら橋を傷つけようとすることもありませんが、追い詰められた場合は分かりません。

 現在、橋上はかなり濃い霧に覆われており、
 10メートル以上離れると相手の発見や射撃が困難になります。
 如何にコボルドといえど、狭い橋の上ではその小柄さ故、格闘ではハンターに対して有利。
 橋を渡る列の先頭は、敵の猛攻を受け続けることになるでしょう。
 また、相手は数と身軽さを生かして、ハンターたちの進路を塞ぐだけでなく
 横桁やケーブル伝いに移動しつつ、パーティへの包囲攻撃を試みるかも知れません。

 レーヴィ氏は健康、運動能力に問題はありませんが、戦闘能力は皆無です。
 基本的にはハンターの指示に従いつつ、それ以外ではなるべく自分の身と、薬の入った鞄を守ろうとします。

マスターより

 狭い、揺れる、霧で視界が効かない。
 三拍子が揃った?橋上での戦闘シナリオです。
 回り道をしている余裕はないので、ハンターたちはどうにかこの橋を自力で突破しなければなりません

 力で押し切るか、あるいは軽業で巧みに敵をあしらうか、
 はたまた考え抜かれたコンビネーションで対抗するか。
 度胸があれば、主ケーブルや横桁を伝っての移動も可能でしょう。
 状況に応じた隊列のローテーションが出来れば、ぐっと戦い易くなります。

 ただし、あんまり無茶をすると橋から落ちてしまうかも知れません。
 覚醒者なら生き延びることは出来るでしょうが、大怪我は必至です。
 橋上では敵に追い詰められないよう、くれぐれもご注意下さい。
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2014/09/22 20:32

参加者一覧

  • 心強き癒し手
    夕影 風音(ka0275
    人間(蒼)|20才|女性|聖導士
  • 漆黒の刃
    ジング(ka0342
    人間(紅)|24才|男性|機導師
  • 温かき姉
    落葉松 鶲(ka0588
    人間(蒼)|20才|女性|闘狩人
  • 支援のタクト
    スノゥ(ka1519
    エルフ|14才|女性|機導師
  • 戦いを選ぶ閃緑
    アイビス・グラス(ka2477
    人間(蒼)|17才|女性|疾影士

  • 虎助(ka3190
    ドワーフ|23才|男性|機導師
依頼相談掲示板
アイコン 相談卓
スノゥ(ka1519
エルフ|14才|女性|機導師(アルケミスト)
最終発言
2014/09/17 10:10:52
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2014/09/13 19:44:12