ゲスト
(ka0000)
地の泪、死の光
マスター:DoLLer

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在8人 / 4~8人
- サポート
- 現在4人 / 0~5人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2016/09/06 07:30
- リプレイ完成予定
- 2016/09/15 07:30
オープニング
※このシナリオは難易度が高く設定されています。所持金の大幅な減少や装備アイテムの損失、場合によっては、再起不能、死亡判定が下される可能性があります。
再起不能、死亡判定の下されたキャラクターはログイン、及びコンテンツへのアクセスが制限されます。
私を殺して。
私を殺して。
命が欲しければ全てを上げる。
だから殺して。
だから殺して。
命をないがしろにした全てを壊して。
「わ、歪虚だ……!」
外でその一声があがると、大した人数もいない村なのに、まるで蜂をつついたような阿鼻叫喚が広がる。
それを聞いて座敷牢に横たわる女は重たそうにその上体を起こした。
身体はやせほそり、骨が浮かんでいた。あちこちに刻まれた傷跡。バサバサになった髪はいったいいつ以来梳いていないのか。そんな身体では身動きするのもつらいだろうが、彼女は悲鳴を聞くと、まるで審判の時がきた死者のように今までの静けさとは打って変わって、勢いよく格子を掴み、その隙間から少しでもその様子を知るべく頭をつけ、そしてガタガタと揺らした。
「ここよ、ここよ」
かすれた声。
水分を失って張り付いた喉はまともに声も出ない。だがそれも気にせず女は繰り返した。
やがて視界がグラリと歪み、格子を手にしてもじっともしていられないような強烈な目眩が襲う。腐臭が漂い始め、女はからっぽの胃がぎゅうと握りしめられたようになって嗚咽した。
そんな中、衣擦れの音が響いた。鈴の鳴るような涼やかな音が大きくなると、女には殊更大きく、救世主の来臨を感じさせた。
あれが、この目眩と悪臭の元凶なのか。足元まで届くような長い金髪、抜けるような生の感じられない白い肌。辺境のいずこかを思わせる様式の簡素ながら神秘的な衣装。
「呼んだのは、其方か」
「そうよ。歪虚よ。死の住人よ。生けとし生けるものの仇敵よ。私のこのかすれた生を差し上げます」
そうして女は格子の隙間から腕を伸ばした。その腕もアザやらなにやらでひどい色をしていた。
「北の地に追いやられた大切な想い人はただ私の元に帰るためにゾンビになって戻って来た。想いの果ての彼は討ち取られ、私は畏怖され人として扱われなくなった。私が何をした? 彼が何をしたの?」
それでも生きよう。
そう願っていた彼女の意志は無残にも砕かれた。寝起きする場所は家畜部屋にすげかわり、理不尽な罵倒と暴力にさらされた。飯など腐っていないものを与えられる方が珍しいくらいだった。
命が削られ、死を隣にする感覚が明朗になると、彼女に残された希望は最早、元の生活を送ることではなく、死の果てにある復讐でしかなかった。
「命が欲しければ全てを上げる。命をないがしろにした全てを壊して。そして虚無の陣営に私を……」
血で濁った眼から澄んだ涙が溢れ出て、それは頬を流れ肩へ。そしてボロボロの腕を伝った。
「怯弱な他力本願で、何が成就しようものか」
歪虚は無碍にいったものの、その言葉とは裏腹に突き出した女の手をそっと取ってくれた。
「だが、想いとやらは大地に還り、大海に溶けても、消えぬもの。深淵まだ響いたその憎悪、しかと受け止めよう」
涙が伝う腕から蒸気が立ち上ったかと思うと、赤や青、紫のだんだらに染まった腕は全て土気色に変わり、更に細くなっていく。
「ありが と、う……」
呟いた唇は萎れて顎の骨にはりついた。頬も枯れ果て、奥歯が浮き出て見え、鼻も同様に。そして最後まで潤っていた瞳もついに黒くしぼんで、そのまま眼下の奥にことりと落ちた。
そしてもうしばらくすると骨も砂のように細切れになり、全てが、全てが、すうと呼吸をする歪虚の鼻から口に消えて行った。
遺ったのは外界からの光を僅かに返す一粒の泪のみ。
●
「社会という名の病は劫罰に等しき。慙愧に堪えぬ」
牢から出て来た歪虚の姿を見た人間達はまるで我先にと逃げ始めた。
細い畑道を押し合い、転んだ人間の背中を踏みつけ、泣き叫ぶ子供を泥田の中に押しのけて。腹の大きな女など置いてきぼりにされて、その女も怒りで澄ました仮面を脱ぎ去って口汚く先に行った男を罵っていた。
「逃げろ、逃げろ。おい邪魔だっ。どけどけっ」
「ハンターはまだかよ、ハンター!」
醜い。
歪虚は担いでいた大弓を引き絞り、青空の広がる天に向かって光の矢を撃ち放った。
「天譴の雨に打ちひしがれよ」
そして広がる陽光をも引き裂く死の光が降り注いだ。
再起不能、死亡判定の下されたキャラクターはログイン、及びコンテンツへのアクセスが制限されます。
私を殺して。
私を殺して。
命が欲しければ全てを上げる。
だから殺して。
だから殺して。
命をないがしろにした全てを壊して。
「わ、歪虚だ……!」
外でその一声があがると、大した人数もいない村なのに、まるで蜂をつついたような阿鼻叫喚が広がる。
それを聞いて座敷牢に横たわる女は重たそうにその上体を起こした。
身体はやせほそり、骨が浮かんでいた。あちこちに刻まれた傷跡。バサバサになった髪はいったいいつ以来梳いていないのか。そんな身体では身動きするのもつらいだろうが、彼女は悲鳴を聞くと、まるで審判の時がきた死者のように今までの静けさとは打って変わって、勢いよく格子を掴み、その隙間から少しでもその様子を知るべく頭をつけ、そしてガタガタと揺らした。
「ここよ、ここよ」
かすれた声。
水分を失って張り付いた喉はまともに声も出ない。だがそれも気にせず女は繰り返した。
やがて視界がグラリと歪み、格子を手にしてもじっともしていられないような強烈な目眩が襲う。腐臭が漂い始め、女はからっぽの胃がぎゅうと握りしめられたようになって嗚咽した。
そんな中、衣擦れの音が響いた。鈴の鳴るような涼やかな音が大きくなると、女には殊更大きく、救世主の来臨を感じさせた。
あれが、この目眩と悪臭の元凶なのか。足元まで届くような長い金髪、抜けるような生の感じられない白い肌。辺境のいずこかを思わせる様式の簡素ながら神秘的な衣装。
「呼んだのは、其方か」
「そうよ。歪虚よ。死の住人よ。生けとし生けるものの仇敵よ。私のこのかすれた生を差し上げます」
そうして女は格子の隙間から腕を伸ばした。その腕もアザやらなにやらでひどい色をしていた。
「北の地に追いやられた大切な想い人はただ私の元に帰るためにゾンビになって戻って来た。想いの果ての彼は討ち取られ、私は畏怖され人として扱われなくなった。私が何をした? 彼が何をしたの?」
それでも生きよう。
そう願っていた彼女の意志は無残にも砕かれた。寝起きする場所は家畜部屋にすげかわり、理不尽な罵倒と暴力にさらされた。飯など腐っていないものを与えられる方が珍しいくらいだった。
命が削られ、死を隣にする感覚が明朗になると、彼女に残された希望は最早、元の生活を送ることではなく、死の果てにある復讐でしかなかった。
「命が欲しければ全てを上げる。命をないがしろにした全てを壊して。そして虚無の陣営に私を……」
血で濁った眼から澄んだ涙が溢れ出て、それは頬を流れ肩へ。そしてボロボロの腕を伝った。
「怯弱な他力本願で、何が成就しようものか」
歪虚は無碍にいったものの、その言葉とは裏腹に突き出した女の手をそっと取ってくれた。
「だが、想いとやらは大地に還り、大海に溶けても、消えぬもの。深淵まだ響いたその憎悪、しかと受け止めよう」
涙が伝う腕から蒸気が立ち上ったかと思うと、赤や青、紫のだんだらに染まった腕は全て土気色に変わり、更に細くなっていく。
「ありが と、う……」
呟いた唇は萎れて顎の骨にはりついた。頬も枯れ果て、奥歯が浮き出て見え、鼻も同様に。そして最後まで潤っていた瞳もついに黒くしぼんで、そのまま眼下の奥にことりと落ちた。
そしてもうしばらくすると骨も砂のように細切れになり、全てが、全てが、すうと呼吸をする歪虚の鼻から口に消えて行った。
遺ったのは外界からの光を僅かに返す一粒の泪のみ。
●
「社会という名の病は劫罰に等しき。慙愧に堪えぬ」
牢から出て来た歪虚の姿を見た人間達はまるで我先にと逃げ始めた。
細い畑道を押し合い、転んだ人間の背中を踏みつけ、泣き叫ぶ子供を泥田の中に押しのけて。腹の大きな女など置いてきぼりにされて、その女も怒りで澄ました仮面を脱ぎ去って口汚く先に行った男を罵っていた。
「逃げろ、逃げろ。おい邪魔だっ。どけどけっ」
「ハンターはまだかよ、ハンター!」
醜い。
歪虚は担いでいた大弓を引き絞り、青空の広がる天に向かって光の矢を撃ち放った。
「天譴の雨に打ちひしがれよ」
そして広がる陽光をも引き裂く死の光が降り注いだ。
解説
帝国のとある村に歪虚が現れ、破壊活動を行っています。
これを撃退してください。
●敵情報
『豊穣の巫女』スイアリ
足ほどまである金髪が特徴的な暴食型歪虚。弓と槍を装備しています。
『生命還流』自周囲のマテリアルを吸収し、行動阻害を起こす。
『天譴の雨』光の雨を降らせて広範囲にダメージを及ぼす。
『静謐の風』指定範囲にいる者のアクティブスキル・パッシブスキルを一時的に不活性化(使用不能)する。
●勝敗条件
勝利
スィアリに一定以上のダメージを与える。
破壊しないように説得する。
敗北
村人が一定以上死傷する。(OPで発動した天譴の雨によって討たれた犠牲者以外に100人いるとします)
ハンターが半数以上重体、もしくは生命力が1以下になる。
これを撃退してください。
●敵情報
『豊穣の巫女』スイアリ
足ほどまである金髪が特徴的な暴食型歪虚。弓と槍を装備しています。
『生命還流』自周囲のマテリアルを吸収し、行動阻害を起こす。
『天譴の雨』光の雨を降らせて広範囲にダメージを及ぼす。
『静謐の風』指定範囲にいる者のアクティブスキル・パッシブスキルを一時的に不活性化(使用不能)する。
●勝敗条件
勝利
スィアリに一定以上のダメージを与える。
破壊しないように説得する。
敗北
村人が一定以上死傷する。(OPで発動した天譴の雨によって討たれた犠牲者以外に100人いるとします)
ハンターが半数以上重体、もしくは生命力が1以下になる。
マスターより
スィアリに食われた女の人はネルさんと言いました。
拙作「屍の恋人、偕老同穴の誓い」に経緯が記されています。背景情報として知りたい方はどうぞ。
スィアリについては「【闇光】大地を荒らす者よ、還流せよ。 」他数回登場しています。
拙作「屍の恋人、偕老同穴の誓い」に経緯が記されています。背景情報として知りたい方はどうぞ。
スィアリについては「【闇光】大地を荒らす者よ、還流せよ。 」他数回登場しています。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2016/09/11 19:49
参加者一覧
マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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質疑応答 エアルドフリス(ka1856) 人間(クリムゾンウェスト)|30才|男性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2016/09/02 00:54:23 |
|
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対・豊穣の巫女【相談卓】 エアルドフリス(ka1856) 人間(クリムゾンウェスト)|30才|男性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2016/09/06 07:24:43 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/09/06 00:52:25 |