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エルフとドワーフの逃避行

マスター:旅硝子

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
参加費
1,000
参加人数
現在6人 / 4~6人
マテリアルリンク
報酬
不明
相談期間
5日
プレイング締切
2014/09/20 07:30
リプレイ完成予定
2014/09/29 07:30

オープニング

「ああ、美しく聡明なリオネスト、あなたはなぜエルフなの?」
「ああ、可愛らしく凛々しいパティカ、君はなぜドワーフなんだい?」
 すらりとした肢体と整った顔立ちを持つ青年と、小さいが力強い身体にふっくらとした頬が可愛らしい少女は、揃ってため息をついた。
 青年は、エルフハイムの中でも最奥の地、オプストハイムに住むエルフであった。
 少女は、エルフハイムからやや離れた、銅を産出する鉱山を住処とする一族に生まれたドワーフであった。
 恭順派、と呼ばれるエルフの古い暮らしを守るエルフの1人だったリオネストは、侵入者を追い出すため出かけた先で、雑魔に襲われたところをパティカに助けられた。
 パティカはドワーフの一族の長女であり、族長を継ぐ身であった。武者修行と称して出掛けることを許されたのもそのためだ。
 リオネストは槌を振り助けてくれたパティカの凛々しさに、パティカは傷を負った己を癒してくれたリオネストの温かさに、恋をした。
 エルフとドワーフは、互いを見下しあっている。けれど、2人は互いを見下すべき対象とは、どうしても思えなかったのだ。
 それでも反対されることは明らかだろうと、2人の恋は密やかに育まれ――無残に破られようとしていた。

「感心せんなぁパティカよ。最近、どうやら枯れ木男なんぞとほっつき歩いているようではないか」
 久しぶりに呼ばれた父にそう切り出され、パティカの心臓がどきりと跳ねる。
「何のことでしょう、父さん?」
 けれど平静を装って言った娘に、父はにっこりと笑った。
「ははは、ただの噂ならいいんだよ。ところで、お前ももうそろそろ婿を取って身を固めねばな」
 何枚も渡された見合い用の絵姿には、ドワーフの美的センスでは見目麗しい青年達が並んでいる。
 けれど、愛せるとは思えなかった。
 パティカ自身もドワーフだから、彼らを格好いいとは思う。けれどパティカの心を捉えて離さないのは、あの華奢で折れてしまいそうな、けれど聡明で優しいエルフの青年。
「結婚式は来年の春でどうだろうなぁ。ああ、そうだ。結婚の準備に備えて明日から、お前つきのお手伝いさんを増やそうと思うんだ」
 好意的な申し出に見えるそれは、逃げようとしても見つかるぞ、という牽制。
 ここにいる限り結ばれぬというならば――そして、明日から出奔することが難しくなるというならば――今宵。
 心を決めた少女は、それを淑やかな笑顔で隠して嬉しそうに頷いてみせた。

「リオネスト、私はあなたを、古き伝統を継ぐ立派なエルフだと思って、期待していたのですよ」
 エルフの長老の1人に呼び出されたリオネストは、そうため息をつく長老の前で唇を噛み締めた。
 ドワーフの少女に恋をしたリオネストにとって、エルフは古き風習のままに、異種族などと付き合わず森で暮らすべき、という考えは、既に賛同できぬものとなっていた。
 いつかは森を去ることになるだろう――そう予感していたことが、現実になろうとしているのを感じる。
「長老様、僕は」
「どうしてもドワーフの娘などと一緒になりたいなら、少なくともオプストハイムでは、そしてエルフハイムでも、暮らすことは出来ません」
「わかっております」
 決意を込めて頷いたリオネストの、説得は無駄だと語るような瞳に、長老は再び深いため息を漏らした。
「止めはしません。去る者は追わず、それもエルフの生き方の1つです」
「ありがとうございます。――今まで、お世話になりました」
 深く、深く礼をして、リオネストは長老の元を辞す。
 長老は、寂しげにそれを見送ったのみ。けれど、それよりも過激な手段に出ようとする者は存在したのだ。
 ――見下すべきドワーフ。そして帝国に味方する憎きドワーフ。そのような者と、仮にもエルフが婚姻するというならば。
 その事実を消すしかない。
 恭順派の他派閥とすら敵対しかねない、最も過激な者達は――森を後にしようとするリオネストを、静かに追った。

 いつも会っていた場所に、ほとんど身一つで駆けてきた愛らしいドワーフの恋人を、エルフの青年は抱き締めた。
 ありがとう。それ以外に、言葉はいらなかった。
 行く先は、決まっていた。冒険都市リゼリオ――優秀な戦士であるパティカと、力ある癒し手であるリオネストならば、ハンターとして生きて行けるだろう。種族の境に縛られぬリゼリオでなら、一緒になることもできるだろう。
 ――娘の出奔に気付いた父が、翌朝にはハンターに娘を連れ戻すよう依頼するなどとは。過激な恭順派のエルフが、エルフの恥を抹殺すべくそっと後を追っているとは。知らずに。
 2人は手を取りあって、夜の闇に挑むように走り出す。

解説

●注意
 この依頼は、参加したハンター達それぞれが別の目的によって動く可能性があります。

●2人との接触
 2人は合流地点から歩いて2日ほどのハンターズソサエティ支部でハンターとしての登録を受け、転移門でリゼリオに移動する予定です。
 パティカはメイス使いの闘狩人、リオネストは自然を信仰する聖導士です。
 ハンター達は、それぞれが好きなタイミングと好きな理由で(パティカの父からの依頼を請けた場合は1日目昼以降)パティカおよびリオネストと接触することができます。

・1日目の朝のうちに、2人は最初に着いた町で簡単な変装をします。それぞれが人間のふりをし、パティカは人間の少年のように男装しています。
 ただし、リオネストが耳を隠しているため、勘の良い人にはエルフだとわかるでしょう。
・ハンターズソサエティのある町への街道は一本道です。途中に4か所ある町や村は、成人男女もしくは覚醒者の歩く速度で半日程度の距離です。
 2人は、あえて人の多い時間などを選び、なるべく人に紛れようとしていますが、それでも人通りの途切れる場所はあります。
 なお、2人は必ず辿り着いた町や村に偽名で宿を取ります。
・エルフの襲撃者は、短剣の疾影士が2人と弓の猟撃士が2人の4人組です。
 彼らは人通りがなくなった場所で、2人に対して襲撃を行います。
 ハンターが同行していても襲撃は行われますが、人数が多ければ躊躇します。
 その場合は2人を弓で狙撃しようとします。

●パティカ父からに依頼について
 依頼内容は、パティカを『無事に』連れ戻すこと。
 リオネストへの恋を諦めていればなおいいです。

●依頼後のこと
 パティカ父の依頼を成功させた場合、通常の依頼と同程度の報酬が手に入ります。
 リオネストとパティカに協力して無事にハンター登録できた場合、心なしかの現金謝礼と共に、2人が持ち出していたシードルとブランデーを1人1つずつ(両方とも)もらえます。

マスターより

 こんにちは。旅硝子です。
 帝国にはエルフもいればドワーフもいます。お互いに軽蔑しあっているそうですが、だからって恋に落ちちゃいけないってことはないよね!
 というわけで、2人の仲を助けるなり、やっぱり元の住処に戻るのが幸せだよって言ったり、思うように行動していただければ幸いです。
 参加した皆さんの中で方針分かれて、対立することになっても恨みっこなしでお願いしますね!
 正々堂々行きましょう!!

 それでは、よろしくお願いいたします!
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2014/09/28 01:32

参加者一覧

  • ユレイテルの愛妻
    イーリス・エルフハイム(ka0481
    エルフ|24才|女性|機導師
  • 行商エルフは緊張屋
    ユーノ・ユティラ(ka0997
    エルフ|28才|男性|魔術師
  • タホ郷に新たな血を
    メイム(ka2290
    エルフ|15才|女性|霊闘士
  • スカートを履いたイケメン
    リアム・グッドフェロー(ka2480
    エルフ|15才|男性|魔術師
  • 礼節のふんわりエルフ
    フレデリク・リンドバーグ(ka2490
    エルフ|16才|男性|機導師
  • 光あれ
    柏木 千春(ka3061
    人間(蒼)|17才|女性|聖導士

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2014/09/14 21:38:15
アイコン 相談卓
柏木 千春(ka3061
人間(リアルブルー)|17才|女性|聖導士(クルセイダー)
最終発言
2014/09/28 08:16:11