ゲスト
(ka0000)
彼等と迷子
マスター:佐倉眸

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在4人 / 4~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 寸志
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2016/09/23 12:00
- リプレイ完成予定
- 2016/10/02 12:00
オープニング
●
蒸気工場都市フマーレの工業区の外れに、古ぼけた民家を改装した建物がある。
アパートを隣接したそこは、出来てからまだそれ程経っていない自警組織の詰め所として使われていた。
街の警邏を主に、迷子の子供や泥酔者の保護、依頼があれば失せ物を探したり、ときどきコボルトの駆除程度なら駆り出される。
初夏の頃には、強力な歪虚の出現に伴い見回りを強化し、ハンター達が戦っている間は近隣住民の避難を手伝って奔走していた。
先月は近所に住む少女を手伝って、出会ったハンターの協力を得ながら猫探し。
猫は遠くへ旅立ってしまっていたけれど、少女は時折彼等の詰め所に思い出を話しに来る。
その話し相手になっているのは盲目の女性。
詰め所の受付を手伝いながら、時折、茶菓子にクッキーを焼いている。
件の歪虚の事件の被害者で、気丈に振る舞ってはいるが、日に日に痩せて、夏の盛りの頃よりも大分窶れてしまっている。
歪虚との契約を強要されたと聞いていた。
その為にもう長くは生きられず、今、こうしてここにいることさえ奇跡のようだと、時折様子を見に来るハンターオフィスの職員は言う。
その歪虚に因縁が有り、猫探しにも奔走した組織の一員であるシオは、仲間の墓に花を供えて詰め所に戻ると彼女に声を掛けた。
「今日は、調子はどうだ? 悪くないなら籠もっているよりも出歩いて陽差しを浴びたり、人の笑う声を聞いていた方が良いと聞いた。ここも大概賑やかだが……少し外に出てみないか?」
手を取るとその女性は頷いて、片手をシオに、もう片方で杖を突いて、痩せた足をゆっくりと動かした。
良かった、まだ歩ける。彼女の浮かべた微笑みが、シオにはそう聞こえた。
●
見回りで歩いたばかりの道をのんびりと、女性の歩けるペースで進む。
足下の小石1つにも気を配りながら、近くの公園を目指した。
昼下がりと言うこともあって通りは賑やかだ。彼女やシオを知っている人が擦れ違う度に、散歩か、珍しいなと声を掛けていく。
中には近くで店を出している者もいて、今日は何が安いだとか、良いのが入ったとか勧誘しながら楽しげに、忙しなく。
「……人の声とは言ったが、少し煩かったかも知れないな」
シオの呟きに、彼女はゆっくりと首を横に揺らした。
目を閉じた白い顔が空を仰ぐ。秋口の陽差しはまだ彼女の瞼を透かす程眩しい。
その眩しさが心地良いと言う様に微笑んだ彼女の顔が急に強張った。
シオの手を掴んで引く力は弱いが、彼女の精一杯の強さだと知っている。
その手の導くままにシオは続いた。
彼女の歩みは公園に着くと止まって、あるベンチの方を向いた。
そこには小さな子供が座っていた。
幾つくらいだろう、とシオは首を捻る。
少しずつ近付くと子供は2人の姿を認めて、火の付いたように泣き出した。
「う、ぅあ、あああ、まぁ、ま。まぁ、まぁああ、うあぁぁ」
「……ま、ま? 母親を探しているのか」
そうみたいと彼女も頷いた。
「仕方ない。探してくるか。……ここで待っていてくれ。見付かったら戻る。遅くなりそうなら、迎えを寄越すから。いいかな? すまないな、連れ出しておきながら」
シオは子供を抱き上げてあやしながら、彼女をベンチに座らせた。
彼女は子供の方を見上げると静かに微笑んだ。
「――さーて、君の名前は何と言うのかな、ママとはどこではぐれたのかなー」
「……ぅー、あー、まぁ、まぁ――!」
「……大丈夫だぞー、怖くないからな-……」
シオが子供をあやし続けていると、吃逆を上げながら泣き止んだ子供は、小さな手で公園の外を指しながら、あっち、と言う。
「そうか、あっちか、あっちから来たのか? ママはあっちにいるんだな、よし、お兄さんと一緒に行くぞ」
「まぁまぁ、あっちいったー、ばいばい、ゆったぁ……ぅー、まぁ、まぁ……」
●
あっちに行った、バイバイ言った。
子供の言葉を考えながらシオは溜息を吐く。置き去りでなければ良いんだが。
どちらにしても厄介なことになりそうだ。
ベンチに座る彼女に、もし母親が戻って来たら、詰め所で保護していると伝えてくれと、振り返り様に頼みながら公園を出る。
彼女はベンチに座っている。
風が吹いて髪を揺らし揺らし、彼女が頷いたように見せた。
蒸気工場都市フマーレの工業区の外れに、古ぼけた民家を改装した建物がある。
アパートを隣接したそこは、出来てからまだそれ程経っていない自警組織の詰め所として使われていた。
街の警邏を主に、迷子の子供や泥酔者の保護、依頼があれば失せ物を探したり、ときどきコボルトの駆除程度なら駆り出される。
初夏の頃には、強力な歪虚の出現に伴い見回りを強化し、ハンター達が戦っている間は近隣住民の避難を手伝って奔走していた。
先月は近所に住む少女を手伝って、出会ったハンターの協力を得ながら猫探し。
猫は遠くへ旅立ってしまっていたけれど、少女は時折彼等の詰め所に思い出を話しに来る。
その話し相手になっているのは盲目の女性。
詰め所の受付を手伝いながら、時折、茶菓子にクッキーを焼いている。
件の歪虚の事件の被害者で、気丈に振る舞ってはいるが、日に日に痩せて、夏の盛りの頃よりも大分窶れてしまっている。
歪虚との契約を強要されたと聞いていた。
その為にもう長くは生きられず、今、こうしてここにいることさえ奇跡のようだと、時折様子を見に来るハンターオフィスの職員は言う。
その歪虚に因縁が有り、猫探しにも奔走した組織の一員であるシオは、仲間の墓に花を供えて詰め所に戻ると彼女に声を掛けた。
「今日は、調子はどうだ? 悪くないなら籠もっているよりも出歩いて陽差しを浴びたり、人の笑う声を聞いていた方が良いと聞いた。ここも大概賑やかだが……少し外に出てみないか?」
手を取るとその女性は頷いて、片手をシオに、もう片方で杖を突いて、痩せた足をゆっくりと動かした。
良かった、まだ歩ける。彼女の浮かべた微笑みが、シオにはそう聞こえた。
●
見回りで歩いたばかりの道をのんびりと、女性の歩けるペースで進む。
足下の小石1つにも気を配りながら、近くの公園を目指した。
昼下がりと言うこともあって通りは賑やかだ。彼女やシオを知っている人が擦れ違う度に、散歩か、珍しいなと声を掛けていく。
中には近くで店を出している者もいて、今日は何が安いだとか、良いのが入ったとか勧誘しながら楽しげに、忙しなく。
「……人の声とは言ったが、少し煩かったかも知れないな」
シオの呟きに、彼女はゆっくりと首を横に揺らした。
目を閉じた白い顔が空を仰ぐ。秋口の陽差しはまだ彼女の瞼を透かす程眩しい。
その眩しさが心地良いと言う様に微笑んだ彼女の顔が急に強張った。
シオの手を掴んで引く力は弱いが、彼女の精一杯の強さだと知っている。
その手の導くままにシオは続いた。
彼女の歩みは公園に着くと止まって、あるベンチの方を向いた。
そこには小さな子供が座っていた。
幾つくらいだろう、とシオは首を捻る。
少しずつ近付くと子供は2人の姿を認めて、火の付いたように泣き出した。
「う、ぅあ、あああ、まぁ、ま。まぁ、まぁああ、うあぁぁ」
「……ま、ま? 母親を探しているのか」
そうみたいと彼女も頷いた。
「仕方ない。探してくるか。……ここで待っていてくれ。見付かったら戻る。遅くなりそうなら、迎えを寄越すから。いいかな? すまないな、連れ出しておきながら」
シオは子供を抱き上げてあやしながら、彼女をベンチに座らせた。
彼女は子供の方を見上げると静かに微笑んだ。
「――さーて、君の名前は何と言うのかな、ママとはどこではぐれたのかなー」
「……ぅー、あー、まぁ、まぁ――!」
「……大丈夫だぞー、怖くないからな-……」
シオが子供をあやし続けていると、吃逆を上げながら泣き止んだ子供は、小さな手で公園の外を指しながら、あっち、と言う。
「そうか、あっちか、あっちから来たのか? ママはあっちにいるんだな、よし、お兄さんと一緒に行くぞ」
「まぁまぁ、あっちいったー、ばいばい、ゆったぁ……ぅー、まぁ、まぁ……」
●
あっちに行った、バイバイ言った。
子供の言葉を考えながらシオは溜息を吐く。置き去りでなければ良いんだが。
どちらにしても厄介なことになりそうだ。
ベンチに座る彼女に、もし母親が戻って来たら、詰め所で保護していると伝えてくれと、振り返り様に頼みながら公園を出る。
彼女はベンチに座っている。
風が吹いて髪を揺らし揺らし、彼女が頷いたように見せた。
解説
目的 母親探しを手伝う
●子供
見た目3歳くらい
泣く、寝る、泣く、を繰り返している
手縫いらしい黄色いスモックを着ているが、幼稚園或いはそれに類する所属の名札は無い
●女性
20代半ば、ベンチで昏睡状態に陥っている
●街
工業区の一角とその辺りで働く住人の住む住宅街
工業区は様々な工場が並んでおり、基本的に関係者以外立ち入り禁止だが、覗く程度は可能
住宅街は一戸建てやアパートが幾つも並んでおり、治安の良さそうな印象を受ける
時間帯により年代や職業の層は区々だが、出歩いている人も少なくない
住宅街には民家の他にちょっとした商店や公園などもあり、その公園の1つで子供を発見した
●NPC
シオ
民間の自警組織の隊員、主に街の警邏を行っている
現在、子供の曖昧な記憶と、いまいち伝わりづらい証言をもとに街を走っている
置き去りだろうとは思っているが、もしかしたら、ただの迷子かも知れない
母親の移動に間に合うかも知れない、子供の家が見付かるかも知れないという希望も持っている
ある程度時間が経つと、女性を詰め所に戻そうと行動、或いは依頼する
指示があれば大抵は従う
●PL情報として
●シオとの合流について
街を散策してみて下さい
工業区の工場見学や、街中での散歩、或いは別の依頼の聞き込み……等々
どこかでシオと遭遇できます
(※合流したい場所をプレイングにお願いします)
●女性について
眠っているので抱えたり背負ったりして運べます
必要なら詰め所に担架があります
詰め所と女性のいる公園はあまり遠くありません
(放置しても結果に影響はありません)
●子供について
3歳の女の子です
状況を分かっていません
母親が迷子になったと思っています
家は遠くはありませんが、公園までの道程を覚えていません
泣いていなければ簡単な会話や、質問に答えることも可能です
●PL情報として2
●母親
見付かりません
翌日以降に発見されます
●女性
起こしても起きません
●子供
見た目3歳くらい
泣く、寝る、泣く、を繰り返している
手縫いらしい黄色いスモックを着ているが、幼稚園或いはそれに類する所属の名札は無い
●女性
20代半ば、ベンチで昏睡状態に陥っている
●街
工業区の一角とその辺りで働く住人の住む住宅街
工業区は様々な工場が並んでおり、基本的に関係者以外立ち入り禁止だが、覗く程度は可能
住宅街は一戸建てやアパートが幾つも並んでおり、治安の良さそうな印象を受ける
時間帯により年代や職業の層は区々だが、出歩いている人も少なくない
住宅街には民家の他にちょっとした商店や公園などもあり、その公園の1つで子供を発見した
●NPC
シオ
民間の自警組織の隊員、主に街の警邏を行っている
現在、子供の曖昧な記憶と、いまいち伝わりづらい証言をもとに街を走っている
置き去りだろうとは思っているが、もしかしたら、ただの迷子かも知れない
母親の移動に間に合うかも知れない、子供の家が見付かるかも知れないという希望も持っている
ある程度時間が経つと、女性を詰め所に戻そうと行動、或いは依頼する
指示があれば大抵は従う
●PL情報として
●シオとの合流について
街を散策してみて下さい
工業区の工場見学や、街中での散歩、或いは別の依頼の聞き込み……等々
どこかでシオと遭遇できます
(※合流したい場所をプレイングにお願いします)
●女性について
眠っているので抱えたり背負ったりして運べます
必要なら詰め所に担架があります
詰め所と女性のいる公園はあまり遠くありません
(放置しても結果に影響はありません)
●子供について
3歳の女の子です
状況を分かっていません
母親が迷子になったと思っています
家は遠くはありませんが、公園までの道程を覚えていません
泣いていなければ簡単な会話や、質問に答えることも可能です
●PL情報として2
●母親
見付かりません
翌日以降に発見されます
●女性
起こしても起きません
マスターより
よろしくお願いします。
PL情報1は気に掛けて頂けると、導入や展開がスムーズかも知れません。
2の方は、見なくても問題ありません。
子供を抱えて、迷子のお母さんを探して下さい。
PL情報1は気に掛けて頂けると、導入や展開がスムーズかも知れません。
2の方は、見なくても問題ありません。
子供を抱えて、迷子のお母さんを探して下さい。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2016/10/01 03:23
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/09/23 11:31:15 |
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相談卓 エリオ・アスコリ(ka5928) 人間(クリムゾンウェスト)|17才|男性|格闘士(マスターアームズ) |
最終発言 2016/09/19 09:00:22 |