ゲスト
(ka0000)
初恋とドレス
マスター:佐倉眸

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 4~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2016/09/25 19:00
- リプレイ完成予定
- 2016/10/04 19:00
オープニング
●
こっそりこっそり、伝話を繋いでママと連絡を取った。
みんなに内緒でマウロとバースデイの船から逃げちゃったことはとても叱られたけど、ママは笑って許してくれるみたい。
帰ってからのお説教は怖いけど。
それよりも、「お針子をしてるのよ」って言ったら、聞こえちゃったらしい今はメイド長をしているナニーが卒倒したって言っていたけど。
大丈夫かしら?
●
コボルトに工場が襲われた翌々日に、ティナが実家の母親に連絡をしたと言った。
メイド長に心配を掛けてしまったと少し悄気ていたけれど、恐らく彼女の卒倒の原因は、そうじゃ無いと思う。
あの日から弁当屋が休みの日だけは僕が自転車で配達をするようになり、工場の所長とも顔見知りになって、一緒に弁当を食べながら世間話をするようになった。
それから、落ち葉用のフォークでコボルトを撃退する技も仕込まれた。
この辺りはハンターが見てくれたとは言っても、またいつ湧いてくるか分からないから。
所長はよくティナのことを話してくれる。
好奇心旺盛で意欲に溢れている。ティナが目を輝かせてドレスを縫う姿に、他の女性達も感化されているようだ。
それは良いことだけれど、と所長が呟く。
「あの子は、良いところのお嬢さんだろう?――何と言ったらいいのか、うちにはね一ヶ月も仕事を休めば生活が立ち行かなくなるような娘が多いんだ。だからね、例えこんな町工場で終わるのが惜しいような娘でも、学校に行けとか、修行に行けとか言えないわけだ。……だが、あの子には、学ぶ余裕があるだろう?」
勿体ないなと所長は溜息を吐いた。
所長の話を咀嚼しながら少し遅れて店に帰った。
自転車を片付けていると、店長がぽつりと言った。
「あんたにゃ、ここは窮屈だろう?」
「え?」
思わず振り返ると、店長はむっと怪訝そうに眉を寄せる。
「例えば、だ。この店をあんたに任せたらどうする? 改装して、品を増やして、そんで、そのうち支店が出るだろう。……それが、好かん。だが、いずれここを任せるなら、あんただと思っている」
「は、はい。……。……ええええ」
店長の言わんとすることが、理解出来なかった。
いつもより随分と口数の多い店長の機嫌はそう悪くなく、そして恐らく僕をとても買ってくれていることは分かる。だが、それはとても急な話だ。
「あんたが、ああ、何だ。でかい店をやるのに、ここを任されてからなんていうのは遅い。だからな、他所でやってこい」
解雇ということだろうかと尋ねると、店長はあっさり肯定した。
「自転車は持っていっていいぞ。乗れん……あ-、あとなぁ、嬢ちゃんを幸せにしてやれよ」
明日から放り出される訳では無く、ティナと話し合う時間は充分に貰えたが、好転はしないだろう。
いつかは家に帰らなければならないことは分かっていた。それが、少しだけ急かされた。それだけだ。
僕のこと、ティナの気持ちや家のこと、工場の所長に聞いたティナの未来のこと。
居候している家の奥さんにキッチンを借りてココアを入れる。
こんなに甘い物が好きなんて、2人ともまだまだ子供ねと奥さんは楽しそうに笑った。
ココアを飲んだティナは長い沈黙の後、僕を真っ直ぐに見詰めて、借りたい物が有ると言った。
●
お金と自転車、それを漕ぐ脚、それから時間。
ティナが僕に求めた物は、翌日に仕事を休んで、自転車で街へ出掛けることだった。
ティナの働く工場も仕入れているという布の卸しの店に行き、ティナは布や糸をあれこれと選ぶ。
それを購入して帰ると、所長に夜に工場のミシンと机を借りる許可を求めた。
「所長さんの言った通りにしてみようと思う。でも、家の奥さんにお礼をしたい。ドレスをプレゼントしようと思うの。ここの凄腕のお針子さんだった、って聞いたから……褒めて貰えたら、私はちゃんと勉強して、自分でブランドを作れるくらい頑張ってみる」
ティナの結論は、僕の想像よりも壮大な物になっていたらしい。
所長の許可した貸し出し期限の最後の日。
僕と所長も、手伝うわけでは無いけれど、コボルトの出た場所でティナを夜に1人には出来ないからと本を読んだり、フォーク捌きの素振りで過ごす。
庭で一汗掻いていたところに、悲鳴が聞こえた。
先に走り出した所長が、振り返ってティナを頼むと叫んだ。
闇の中に一対の目。
――ティナの邪魔は、させない――
ぎらりと光ったそれに向かって、僕は落ち葉の刺さったフォークの切っ先を突き付けた。
こっそりこっそり、伝話を繋いでママと連絡を取った。
みんなに内緒でマウロとバースデイの船から逃げちゃったことはとても叱られたけど、ママは笑って許してくれるみたい。
帰ってからのお説教は怖いけど。
それよりも、「お針子をしてるのよ」って言ったら、聞こえちゃったらしい今はメイド長をしているナニーが卒倒したって言っていたけど。
大丈夫かしら?
●
コボルトに工場が襲われた翌々日に、ティナが実家の母親に連絡をしたと言った。
メイド長に心配を掛けてしまったと少し悄気ていたけれど、恐らく彼女の卒倒の原因は、そうじゃ無いと思う。
あの日から弁当屋が休みの日だけは僕が自転車で配達をするようになり、工場の所長とも顔見知りになって、一緒に弁当を食べながら世間話をするようになった。
それから、落ち葉用のフォークでコボルトを撃退する技も仕込まれた。
この辺りはハンターが見てくれたとは言っても、またいつ湧いてくるか分からないから。
所長はよくティナのことを話してくれる。
好奇心旺盛で意欲に溢れている。ティナが目を輝かせてドレスを縫う姿に、他の女性達も感化されているようだ。
それは良いことだけれど、と所長が呟く。
「あの子は、良いところのお嬢さんだろう?――何と言ったらいいのか、うちにはね一ヶ月も仕事を休めば生活が立ち行かなくなるような娘が多いんだ。だからね、例えこんな町工場で終わるのが惜しいような娘でも、学校に行けとか、修行に行けとか言えないわけだ。……だが、あの子には、学ぶ余裕があるだろう?」
勿体ないなと所長は溜息を吐いた。
所長の話を咀嚼しながら少し遅れて店に帰った。
自転車を片付けていると、店長がぽつりと言った。
「あんたにゃ、ここは窮屈だろう?」
「え?」
思わず振り返ると、店長はむっと怪訝そうに眉を寄せる。
「例えば、だ。この店をあんたに任せたらどうする? 改装して、品を増やして、そんで、そのうち支店が出るだろう。……それが、好かん。だが、いずれここを任せるなら、あんただと思っている」
「は、はい。……。……ええええ」
店長の言わんとすることが、理解出来なかった。
いつもより随分と口数の多い店長の機嫌はそう悪くなく、そして恐らく僕をとても買ってくれていることは分かる。だが、それはとても急な話だ。
「あんたが、ああ、何だ。でかい店をやるのに、ここを任されてからなんていうのは遅い。だからな、他所でやってこい」
解雇ということだろうかと尋ねると、店長はあっさり肯定した。
「自転車は持っていっていいぞ。乗れん……あ-、あとなぁ、嬢ちゃんを幸せにしてやれよ」
明日から放り出される訳では無く、ティナと話し合う時間は充分に貰えたが、好転はしないだろう。
いつかは家に帰らなければならないことは分かっていた。それが、少しだけ急かされた。それだけだ。
僕のこと、ティナの気持ちや家のこと、工場の所長に聞いたティナの未来のこと。
居候している家の奥さんにキッチンを借りてココアを入れる。
こんなに甘い物が好きなんて、2人ともまだまだ子供ねと奥さんは楽しそうに笑った。
ココアを飲んだティナは長い沈黙の後、僕を真っ直ぐに見詰めて、借りたい物が有ると言った。
●
お金と自転車、それを漕ぐ脚、それから時間。
ティナが僕に求めた物は、翌日に仕事を休んで、自転車で街へ出掛けることだった。
ティナの働く工場も仕入れているという布の卸しの店に行き、ティナは布や糸をあれこれと選ぶ。
それを購入して帰ると、所長に夜に工場のミシンと机を借りる許可を求めた。
「所長さんの言った通りにしてみようと思う。でも、家の奥さんにお礼をしたい。ドレスをプレゼントしようと思うの。ここの凄腕のお針子さんだった、って聞いたから……褒めて貰えたら、私はちゃんと勉強して、自分でブランドを作れるくらい頑張ってみる」
ティナの結論は、僕の想像よりも壮大な物になっていたらしい。
所長の許可した貸し出し期限の最後の日。
僕と所長も、手伝うわけでは無いけれど、コボルトの出た場所でティナを夜に1人には出来ないからと本を読んだり、フォーク捌きの素振りで過ごす。
庭で一汗掻いていたところに、悲鳴が聞こえた。
先に走り出した所長が、振り返ってティナを頼むと叫んだ。
闇の中に一対の目。
――ティナの邪魔は、させない――
ぎらりと光ったそれに向かって、僕は落ち葉の刺さったフォークの切っ先を突き付けた。
解説
目的 コボルトを駆除しティナの安寧を守る
●エネミー
コボルト?匹
ごく普通のコボルト、そこそこに夜目が利く
●場所
縫製の工場の庭
柵に囲まれていて、遮蔽は無い
●NPC
マウロ(オープニング中の「僕」)
新興の商家の少年、ティナと逃避行中。
工場の入り口で、側にカンテラを置いて、所長に習った通りにフォークを構えている。
指示があれば従うが、工場の中にいるティナの安全を第一に考えて行動する。
ティナ
貴族の少女、マウロと逃避行中。
悲鳴に気付かずにドレス作りに集中している。
指示があれば作業を中断して従う。
騒がしくなれば様子を見に来る。
所長
工場の所長、コボルト駆除の心得はあるが、体力の衰えを感じる年頃。
通行人の悲鳴を聞いて近くのオフィスへ緊急通報、その後は待機。
指示があれば従う。
●エネミー
コボルト?匹
ごく普通のコボルト、そこそこに夜目が利く
●場所
縫製の工場の庭
柵に囲まれていて、遮蔽は無い
●NPC
マウロ(オープニング中の「僕」)
新興の商家の少年、ティナと逃避行中。
工場の入り口で、側にカンテラを置いて、所長に習った通りにフォークを構えている。
指示があれば従うが、工場の中にいるティナの安全を第一に考えて行動する。
ティナ
貴族の少女、マウロと逃避行中。
悲鳴に気付かずにドレス作りに集中している。
指示があれば作業を中断して従う。
騒がしくなれば様子を見に来る。
所長
工場の所長、コボルト駆除の心得はあるが、体力の衰えを感じる年頃。
通行人の悲鳴を聞いて近くのオフィスへ緊急通報、その後は待機。
指示があれば従う。
マスターより
よろしくお願いします。
今回は夜戦です。
コボルトの数は不明ですが、駆除に朝まで掛かるなんて事はありません。
ポルトワールからのクルージングの最中に、
避難用ボートでの逃避行toリゼリオを敢行したティナとマウロですが、
そろそろ追い出されるみたいです。
今回は夜戦です。
コボルトの数は不明ですが、駆除に朝まで掛かるなんて事はありません。
ポルトワールからのクルージングの最中に、
避難用ボートでの逃避行toリゼリオを敢行したティナとマウロですが、
そろそろ追い出されるみたいです。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2016/10/01 03:30
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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作戦相談卓 夢路 まよい(ka1328) 人間(リアルブルー)|15才|女性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2016/09/25 18:27:59 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/09/25 17:31:20 |