ゲスト
(ka0000)
狂骨の泉
マスター:湖欄黒江

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 4~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2014/09/23 22:00
- リプレイ完成予定
- 2014/10/02 22:00
オープニング
●
あの土地に触れてはならない。
ディミトリ翁は再三、息子のアルマンにそう告げていたのだが、
現村長であるアルマンは、歳若く旧弊な言い伝えなど聞く耳持たない男たちを駆り集めて、
とうとう村の北側の野原に新しい井戸を掘り始めてしまった。
そのことを咎めるように、夕食の間じゅうじっと息子を睨む翁に対して、
「親父は不満なんだろうけどさ。雇った職人もあそこなら間違いないって、お墨つきなんだぜ。
村をこのまま失いたくないだろ? だったらもうギリギリってとこだ」
フォークとナイフを手にしたまま、アルマンは身振りをする。
村で今まで使われていた井戸が、どうやら涸れ始めたらしい。
そのことが分かるとアルマンはすぐさま街から井戸掘り職人を呼び、村の周辺を手当たり次第に調べさせた。
川から遠いこの村が今まで独り立ちしてやっていけていたのも、村の真ん中に水量の豊富な井戸があってのこと。
もし、このまま井戸の水が涸れてしまえば、あっという間に村の暮らしは成り立たなくなり、川に近い隣村――と言っても10キロ以上は離れている――の世話になるしかない。
全員が受け入れてもらえるとは限らないし、仮に移住が上手く進んだとしても、暮らし向きを今ほどに立て直すには大変な時間がかかる。若い者はまだ良いが……。
「この村に根つきのご老人たちはどうするんだ? 村がなくなっちまったら……。
俺は村長だし、村のことを考えて動いてくれてる若い奴らも居るんだ。
このまま手をこまねいてる訳には行かないんだよ。何かやらなくちゃ」
父親を説得、というよりは威圧するように、アルマンは身を乗り出して喋り出す。
周囲の家族は、ふたりのやり取りを息を潜めてうかがっている。
食事の手は、もう完全に止まってしまった。ディミトリ翁は鋭い目を息子に据えたまま、
「……例えそうだとしても、あの場所はいかん。
お前も知っておろうが。あの場所はかつて巨人たちの墓地……」
「ああ知ってるよ耳にタコが出来るくらい聞かされてたさガキの頃から。
あそこは昔ジャイアントどもの墓地で、祟りがあるから何も建てるな、ってか。
もしその言い伝えが本当だとしても、だ。
何百年も前に死んだ連中に、生きてる俺たちが気遣いしてられる状況じゃないぜ」
父の繰り言を掻き消そうと、なおもまくし立てるアルマン。
彼には父親を論破することで、どうにか掻き消したい不安があった。
井戸をある深さまで掘ったとき、白っぽい土の中から現れた大きな骨。
村の墓守りに尋ねたところ、人間の大腿骨に似ているがこんな大きいものは初めてだ、との答えが返ってきた。
恐らくはジャイアントの遺骨。言い伝えは本当だったようだが、だからと言って今更作業は止められない。
新しい井戸が無事使えるようになれば、後で慰霊碑のひとつも建てたって良いが、今はとにかく井戸が最優先だ。
「井戸は掘り始めちまった。しかも十中八九当たりだ。
今から井戸を潰したら、もう村には見込みなしって思われて、金のある連中から先に夜逃げが始まる。
最後に残されるのは行き場のない貧乏人だけだ。そいつらはどうすりゃ良い? 人の命がかかってるんだ……」
その時だった。どん、と大きな音がしたかと思うと、
村長宅の裏、例の野原の方角から、微かな水音が聴こえ出す。
●
野原にはアルマンの他にも、近くに住む井戸掘りの作業員たちが集まっていた。
彼らが見上げる先には、掘りかけだった井戸から勢い良く吹き上がる白い水柱。
降り注ぐ飛沫を浴びながら井戸の前まで行き、アルマンは振り返ると会心の笑みで、
「何だこりゃ……すごい、水が出たぞ! 当たりだ! 皆、これで村は――」
アルマンの背後の井戸から、水ではない何か白い影がぬっ、と飛び出した。
白い手、いや、白い骨。
5本の指が揃った人間の手の骨と見えたが、人間のものにしてはそれは些か大き過ぎて――
骨はさっと動くと、手の甲の側でアルマンを叩いた。アルマンの身体が弾き飛ばされる。
慌てて駆け寄る男たちの眼前で、井戸から骨の全身がずるずると抜け出てくる。
身長3、4メートルはあろうかという、巨人の全身骨格。
ぽっかりと空いた髑髏の眼窩には、鬼火のような青白い炎が揺らめいている。
「巨人――」
巨人のスケルトンは顎を開いて声なき咆哮を上げると、居並ぶ村人たちへ襲いかかる。
●
「半島西部のピュイドブラン村にて、『巨人のスケルトン』が現れたという報告がありました。
村人たちは全員が隣村に避難していますが、スケルトンに襲われた負傷者も数名出ています。
ピュイドブラン村は、スケルトンの打倒による村の安全確保を依頼しました。
証言によると、村の北側で掘り進めていた井戸から水の噴出と共に、
計3体の大型のスケルトンが出現。村人や村の家屋に攻撃を加えました。
地元の言い伝えでは、井戸の掘られた土地はかつてジャイアントの墓地であり、
祟りを恐れた代々の村人たちはその土地を空地のまま放っておいたそうです。
スケルトンが実際に言い伝えのジャイアントたちの亡骸なのかは分かりませんが、
ジャイアントの遺骨が長い時間を経る内に、何らかの理由で雑魔化した可能性はあります。
今のところ彼らは3体とも、北の野原を含む村の敷地内に留まっています。
負傷者たちの言では、逃亡の際、3体が連携して相手を追い詰めるような動きも見られた、とのことで、
スケルトンたちは互いにコミュニケーション、あるいは知覚の共有を行っているとも考えられます。
この依頼を受けられるハンターの方は、所定の書類にサインの後、
各々準備が整い次第、現場であるピュイドブラン村へ向かって下さい」
あの土地に触れてはならない。
ディミトリ翁は再三、息子のアルマンにそう告げていたのだが、
現村長であるアルマンは、歳若く旧弊な言い伝えなど聞く耳持たない男たちを駆り集めて、
とうとう村の北側の野原に新しい井戸を掘り始めてしまった。
そのことを咎めるように、夕食の間じゅうじっと息子を睨む翁に対して、
「親父は不満なんだろうけどさ。雇った職人もあそこなら間違いないって、お墨つきなんだぜ。
村をこのまま失いたくないだろ? だったらもうギリギリってとこだ」
フォークとナイフを手にしたまま、アルマンは身振りをする。
村で今まで使われていた井戸が、どうやら涸れ始めたらしい。
そのことが分かるとアルマンはすぐさま街から井戸掘り職人を呼び、村の周辺を手当たり次第に調べさせた。
川から遠いこの村が今まで独り立ちしてやっていけていたのも、村の真ん中に水量の豊富な井戸があってのこと。
もし、このまま井戸の水が涸れてしまえば、あっという間に村の暮らしは成り立たなくなり、川に近い隣村――と言っても10キロ以上は離れている――の世話になるしかない。
全員が受け入れてもらえるとは限らないし、仮に移住が上手く進んだとしても、暮らし向きを今ほどに立て直すには大変な時間がかかる。若い者はまだ良いが……。
「この村に根つきのご老人たちはどうするんだ? 村がなくなっちまったら……。
俺は村長だし、村のことを考えて動いてくれてる若い奴らも居るんだ。
このまま手をこまねいてる訳には行かないんだよ。何かやらなくちゃ」
父親を説得、というよりは威圧するように、アルマンは身を乗り出して喋り出す。
周囲の家族は、ふたりのやり取りを息を潜めてうかがっている。
食事の手は、もう完全に止まってしまった。ディミトリ翁は鋭い目を息子に据えたまま、
「……例えそうだとしても、あの場所はいかん。
お前も知っておろうが。あの場所はかつて巨人たちの墓地……」
「ああ知ってるよ耳にタコが出来るくらい聞かされてたさガキの頃から。
あそこは昔ジャイアントどもの墓地で、祟りがあるから何も建てるな、ってか。
もしその言い伝えが本当だとしても、だ。
何百年も前に死んだ連中に、生きてる俺たちが気遣いしてられる状況じゃないぜ」
父の繰り言を掻き消そうと、なおもまくし立てるアルマン。
彼には父親を論破することで、どうにか掻き消したい不安があった。
井戸をある深さまで掘ったとき、白っぽい土の中から現れた大きな骨。
村の墓守りに尋ねたところ、人間の大腿骨に似ているがこんな大きいものは初めてだ、との答えが返ってきた。
恐らくはジャイアントの遺骨。言い伝えは本当だったようだが、だからと言って今更作業は止められない。
新しい井戸が無事使えるようになれば、後で慰霊碑のひとつも建てたって良いが、今はとにかく井戸が最優先だ。
「井戸は掘り始めちまった。しかも十中八九当たりだ。
今から井戸を潰したら、もう村には見込みなしって思われて、金のある連中から先に夜逃げが始まる。
最後に残されるのは行き場のない貧乏人だけだ。そいつらはどうすりゃ良い? 人の命がかかってるんだ……」
その時だった。どん、と大きな音がしたかと思うと、
村長宅の裏、例の野原の方角から、微かな水音が聴こえ出す。
●
野原にはアルマンの他にも、近くに住む井戸掘りの作業員たちが集まっていた。
彼らが見上げる先には、掘りかけだった井戸から勢い良く吹き上がる白い水柱。
降り注ぐ飛沫を浴びながら井戸の前まで行き、アルマンは振り返ると会心の笑みで、
「何だこりゃ……すごい、水が出たぞ! 当たりだ! 皆、これで村は――」
アルマンの背後の井戸から、水ではない何か白い影がぬっ、と飛び出した。
白い手、いや、白い骨。
5本の指が揃った人間の手の骨と見えたが、人間のものにしてはそれは些か大き過ぎて――
骨はさっと動くと、手の甲の側でアルマンを叩いた。アルマンの身体が弾き飛ばされる。
慌てて駆け寄る男たちの眼前で、井戸から骨の全身がずるずると抜け出てくる。
身長3、4メートルはあろうかという、巨人の全身骨格。
ぽっかりと空いた髑髏の眼窩には、鬼火のような青白い炎が揺らめいている。
「巨人――」
巨人のスケルトンは顎を開いて声なき咆哮を上げると、居並ぶ村人たちへ襲いかかる。
●
「半島西部のピュイドブラン村にて、『巨人のスケルトン』が現れたという報告がありました。
村人たちは全員が隣村に避難していますが、スケルトンに襲われた負傷者も数名出ています。
ピュイドブラン村は、スケルトンの打倒による村の安全確保を依頼しました。
証言によると、村の北側で掘り進めていた井戸から水の噴出と共に、
計3体の大型のスケルトンが出現。村人や村の家屋に攻撃を加えました。
地元の言い伝えでは、井戸の掘られた土地はかつてジャイアントの墓地であり、
祟りを恐れた代々の村人たちはその土地を空地のまま放っておいたそうです。
スケルトンが実際に言い伝えのジャイアントたちの亡骸なのかは分かりませんが、
ジャイアントの遺骨が長い時間を経る内に、何らかの理由で雑魔化した可能性はあります。
今のところ彼らは3体とも、北の野原を含む村の敷地内に留まっています。
負傷者たちの言では、逃亡の際、3体が連携して相手を追い詰めるような動きも見られた、とのことで、
スケルトンたちは互いにコミュニケーション、あるいは知覚の共有を行っているとも考えられます。
この依頼を受けられるハンターの方は、所定の書類にサインの後、
各々準備が整い次第、現場であるピュイドブラン村へ向かって下さい」
解説
今回の依頼の目標は『村に出現した大型スケルトンの駆逐』です。
大型スケルトンは全部で3体、
北の野原を含むピュイドブラン村の敷地内を徘徊しながら、人間を発見し次第攻撃を行います。
大型スケルトンは通常のジャイアントと同程度の攻撃力に加え、
最大射程15メートル強の魔法攻撃、更にダメージ全般への再生能力を持っています。
スケルトンを根絶するには、彼らの再生速度を上回るスピードでダメージを与える必要があります。
また、スケルトン3体はそれぞれの視覚を共有しており、
1体が発見した敵の位置について、別所の2体も同時に把握し移動してくる場合があります。
大型スケルトンは全部で3体、
北の野原を含むピュイドブラン村の敷地内を徘徊しながら、人間を発見し次第攻撃を行います。
大型スケルトンは通常のジャイアントと同程度の攻撃力に加え、
最大射程15メートル強の魔法攻撃、更にダメージ全般への再生能力を持っています。
スケルトンを根絶するには、彼らの再生速度を上回るスピードでダメージを与える必要があります。
また、スケルトン3体はそれぞれの視覚を共有しており、
1体が発見した敵の位置について、別所の2体も同時に把握し移動してくる場合があります。
マスターより
迫り来る巨人スケルトンの恐怖!という感じのシナリオです。
がしゃどくろ、という妖怪もいましたね。あれよりは小さいかもですが……。
今回登場するスケルトンは大型で腕力に秀で、遠距離攻撃も持ち合わせています。
最大の問題点は、彼らの再生能力。手足の骨が取れたくらいでは、すぐに元通りに繋がってしまいます。
トドメを刺すには、その全身を粉々に砕く他手段はありません。
1体ずつ、火力を集中させて確実に倒したいところですが、あまり全員が1箇所に固まっていると、
その間に他のスケルトンから包囲攻撃や不意打ちを受ける恐れがあります。注意して下さい。
がしゃどくろ、という妖怪もいましたね。あれよりは小さいかもですが……。
今回登場するスケルトンは大型で腕力に秀で、遠距離攻撃も持ち合わせています。
最大の問題点は、彼らの再生能力。手足の骨が取れたくらいでは、すぐに元通りに繋がってしまいます。
トドメを刺すには、その全身を粉々に砕く他手段はありません。
1体ずつ、火力を集中させて確実に倒したいところですが、あまり全員が1箇所に固まっていると、
その間に他のスケルトンから包囲攻撃や不意打ちを受ける恐れがあります。注意して下さい。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2014/09/27 11:39
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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相談卓 鳴神 真吾(ka2626) 人間(リアルブルー)|22才|男性|機導師(アルケミスト) |
最終発言 2014/09/22 22:45:04 |
|
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2014/09/18 22:38:48 |