ゲスト
(ka0000)
「I」にすべてを
マスター:神宮寺飛鳥

- シナリオ形態
- ショート
関連ユニオン
APV- 難易度
- 易しい
- オプション
-
- 参加費
1,500
- 参加人数
- 現在8人 / 4~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 少なめ
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2016/10/01 19:00
- リプレイ完成予定
- 2016/10/10 19:00
オープニング
※このシナリオは原則として戦闘が発生しない日常的なシナリオとして設定されています。
――自分に残された時間が残り少ないことは、とうに承知している。
この身体は、数え切れないほどの祈りの入れ物。もとよりそれは決まっていた未来。
部屋のコルクボードに貼り付ける魔導カメラの写真に、どんどん“知らない景色”が増えていく。
いつ、どうやって撮影したのか、記憶にない。何故それを撮ろうと感じたのか、その温度すら思い出せない。
少しずつ自分が消えていく。何もかもが零れ落ちていく。
浄化の器は、最初から壊れていた。
“心”などありはしない。彼女が本来有するべき人格は、生まれる前に殺された。
自分が仮初の存在であることなどわかっていた。“この身体に本来宿るべきものではない”ことも。
ベッドに倒れ、天井を見つめる。この五感さえ、自分には似合わない。
「私は……偽物だ」
本当にこの体に宿るべきだった生命を、上書きして産まれた存在だから……。
「――多重人格、に近いのかしらね」
APVから少し離れた酒場で、タングラムと肩を並べ、ハイデマリーはグラス片手に切り出した。
「あの子としばらく暮らしてわかった。最初から安定していなかったけど、そもそも、心が一つじゃない気がする」
「でしょうね。浄化の器は本来、森の精霊、そして願いの容れ物です」
だから、器がまるで人格を持っているかのように動いている事が不思議だった。
タングラムはずっと警戒していた。本来、心を持たず自動的に動くだけだった道具が、ひとりでに歩くことを。
「サルヴァトーレ・ロッソがひとりでに飛び出したら、誰だって怖いでしょう? それと同じですよ」
「冷たい言い方ね」
「私は君達より正確にアレを理解しているだけです。道具に心を持たせてはならない。その結果産まれたのがオルクスという大罪なのだから。でも……既に産まれてしまった心なら、守ってあげたい」
タングラムは仮面を外し、グラスに映る自分を見つめる。
「たとえあの子がそれを望まなかったとしても……そう考えるのは、大人のエゴですかね」
新居は海にほど近く、港に行けば何時でも漣に包まれる事ができた。
器はそうしてじっと、海を見つめる。自分のような小さな器では、この世界は収まらない。
目を瞑れば、沢山の想いが胸にある。でも、それ以上に苦しい記憶が溢れていた。
それは、本来は“彼女の記憶ではない”。でも、目を閉じても耳を塞いでも、呪いは絶えず心を蝕んだ。
『早く……』『殺せ! あいつを!』『助けて……』『死ね死ね死ね死ね!』『苦しいよ……』
薄く開いた瞳に海を宿す。少しだけ、声が遠ざかる気がした。
『もう間もなく、選択の時だね』
少しだけ優しい声が聞こえて、隣に誰かが座る。
『本当に消えてしまうつもりなの?』
「そういう約束だから。私の心は、時間制限付き。だから、この体は返してあげなきゃ」
『自分が自分でなくなってしまう苦しみ、私はわかるよ』
「わかるわけない」
『わかるよ……だって、私達は同じだから。あなたが受け入れてくれたから、私はあなたの心に映る。忘れないで。あなたが受け取ったものは、憎しみだけではないでしょ?』
青い髪の少女が肩を叩き、姿を消す。
振り返り、立ち上がった器は頭を振って歩き出す。しかし次に踏み出した足が思うとおりに動かない。
目を丸くしながら崩れ落ちた身体から、まるでスイッチが切れるように意識が落とされた。
「目が覚めた?」
気づくと部屋のベッドの上。傍らにはハイデマリーが座り、手を握ってくれていた。
「私は……?」
「あなた、APVで倒れたのよ。覚えてないの?」
唇を結び、首を横に振る。
「タングラムと何か話してる最中にね。だから運んできたの」
「仕事で忙しいのに、迷惑かけた」
「バカね。子供がそんな事気にするもんじゃないわ。何か食べる? 出来合いだから美味しいわよ」
テーブルに料理を並べるハイデマリーの背中を見つめていると、何故か安らぐ気がした。
“答え”は今もわからない。そしておそらく、見つける前に終わるのだろう。
意味や理由なんてない。生命は始まりも終わりも理不尽だから。
「ありがとう」
海が見える家に住んで良かった。
自由に動かない視線の先、窓の向こうには今も、美しい世界が広がっていた。
――自分に残された時間が残り少ないことは、とうに承知している。
この身体は、数え切れないほどの祈りの入れ物。もとよりそれは決まっていた未来。
部屋のコルクボードに貼り付ける魔導カメラの写真に、どんどん“知らない景色”が増えていく。
いつ、どうやって撮影したのか、記憶にない。何故それを撮ろうと感じたのか、その温度すら思い出せない。
少しずつ自分が消えていく。何もかもが零れ落ちていく。
浄化の器は、最初から壊れていた。
“心”などありはしない。彼女が本来有するべき人格は、生まれる前に殺された。
自分が仮初の存在であることなどわかっていた。“この身体に本来宿るべきものではない”ことも。
ベッドに倒れ、天井を見つめる。この五感さえ、自分には似合わない。
「私は……偽物だ」
本当にこの体に宿るべきだった生命を、上書きして産まれた存在だから……。
「――多重人格、に近いのかしらね」
APVから少し離れた酒場で、タングラムと肩を並べ、ハイデマリーはグラス片手に切り出した。
「あの子としばらく暮らしてわかった。最初から安定していなかったけど、そもそも、心が一つじゃない気がする」
「でしょうね。浄化の器は本来、森の精霊、そして願いの容れ物です」
だから、器がまるで人格を持っているかのように動いている事が不思議だった。
タングラムはずっと警戒していた。本来、心を持たず自動的に動くだけだった道具が、ひとりでに歩くことを。
「サルヴァトーレ・ロッソがひとりでに飛び出したら、誰だって怖いでしょう? それと同じですよ」
「冷たい言い方ね」
「私は君達より正確にアレを理解しているだけです。道具に心を持たせてはならない。その結果産まれたのがオルクスという大罪なのだから。でも……既に産まれてしまった心なら、守ってあげたい」
タングラムは仮面を外し、グラスに映る自分を見つめる。
「たとえあの子がそれを望まなかったとしても……そう考えるのは、大人のエゴですかね」
新居は海にほど近く、港に行けば何時でも漣に包まれる事ができた。
器はそうしてじっと、海を見つめる。自分のような小さな器では、この世界は収まらない。
目を瞑れば、沢山の想いが胸にある。でも、それ以上に苦しい記憶が溢れていた。
それは、本来は“彼女の記憶ではない”。でも、目を閉じても耳を塞いでも、呪いは絶えず心を蝕んだ。
『早く……』『殺せ! あいつを!』『助けて……』『死ね死ね死ね死ね!』『苦しいよ……』
薄く開いた瞳に海を宿す。少しだけ、声が遠ざかる気がした。
『もう間もなく、選択の時だね』
少しだけ優しい声が聞こえて、隣に誰かが座る。
『本当に消えてしまうつもりなの?』
「そういう約束だから。私の心は、時間制限付き。だから、この体は返してあげなきゃ」
『自分が自分でなくなってしまう苦しみ、私はわかるよ』
「わかるわけない」
『わかるよ……だって、私達は同じだから。あなたが受け入れてくれたから、私はあなたの心に映る。忘れないで。あなたが受け取ったものは、憎しみだけではないでしょ?』
青い髪の少女が肩を叩き、姿を消す。
振り返り、立ち上がった器は頭を振って歩き出す。しかし次に踏み出した足が思うとおりに動かない。
目を丸くしながら崩れ落ちた身体から、まるでスイッチが切れるように意識が落とされた。
「目が覚めた?」
気づくと部屋のベッドの上。傍らにはハイデマリーが座り、手を握ってくれていた。
「私は……?」
「あなた、APVで倒れたのよ。覚えてないの?」
唇を結び、首を横に振る。
「タングラムと何か話してる最中にね。だから運んできたの」
「仕事で忙しいのに、迷惑かけた」
「バカね。子供がそんな事気にするもんじゃないわ。何か食べる? 出来合いだから美味しいわよ」
テーブルに料理を並べるハイデマリーの背中を見つめていると、何故か安らぐ気がした。
“答え”は今もわからない。そしておそらく、見つける前に終わるのだろう。
意味や理由なんてない。生命は始まりも終わりも理不尽だから。
「ありがとう」
海が見える家に住んで良かった。
自由に動かない視線の先、窓の向こうには今も、美しい世界が広がっていた。
解説
●目的
???
●概要
どうもどうも、タングラムです。
まあ特に依頼というわけでもないのですが、最近器ちゃんが調子悪そうなので、御見舞などどうでしょうかという誘いです。
実は、あの子が最近突然倒れる事がポツポツありまして。
医者にもみせたのですが、特に身体に異常はなし。病気ではなく、貧血とかじゃないかとの話です。
ただ、どうも元々夢遊病というか、無自覚に動き回る症状がたま~にあったらしいですね。
別に絶対安静というわけではありませんが、心なしか元気なさそうなので、御見舞がてら構ってやって下さい。
内容については特に指定はありません。外出もリゼリオ内ならOKですよ。
●同行者
『浄化の器』
いつもポケーっとしているが、最近は更に呆けている。
日がな一日写真を撮ったり釣りをしたり部屋で木彫りの小物を作って過ごしている。
一応保護観察状態なので、リゼリオから離れる事はできない。
最近倒れたらしいが、見た目はすこぶるいつも通り。
『タングラム』
今回は最初から同行する。
といってもハンターについていきつつ、周辺を警戒したりしている。
話しかけたり何かに誘う事は可能。
『ハイデマリー』
途中で投げ出してきた仕事の為にバルトアンデルスに戻った。
ので、今回はいません。
???
●概要
どうもどうも、タングラムです。
まあ特に依頼というわけでもないのですが、最近器ちゃんが調子悪そうなので、御見舞などどうでしょうかという誘いです。
実は、あの子が最近突然倒れる事がポツポツありまして。
医者にもみせたのですが、特に身体に異常はなし。病気ではなく、貧血とかじゃないかとの話です。
ただ、どうも元々夢遊病というか、無自覚に動き回る症状がたま~にあったらしいですね。
別に絶対安静というわけではありませんが、心なしか元気なさそうなので、御見舞がてら構ってやって下さい。
内容については特に指定はありません。外出もリゼリオ内ならOKですよ。
●同行者
『浄化の器』
いつもポケーっとしているが、最近は更に呆けている。
日がな一日写真を撮ったり釣りをしたり部屋で木彫りの小物を作って過ごしている。
一応保護観察状態なので、リゼリオから離れる事はできない。
最近倒れたらしいが、見た目はすこぶるいつも通り。
『タングラム』
今回は最初から同行する。
といってもハンターについていきつつ、周辺を警戒したりしている。
話しかけたり何かに誘う事は可能。
『ハイデマリー』
途中で投げ出してきた仕事の為にバルトアンデルスに戻った。
ので、今回はいません。
マスターより
お世話になっております。神宮寺です。
日常シナリオにも関わらずEX、しかも内容はおまかせです。
なんか、そのあたりから色々察してください。
おそらくゆっくり話が出来るのは今回が最後です。
目的は、何らかの「答え」に近づくこと。
ここでのやり取りは、おそらく最後まで影響すると思います。
それも皆さん次第ですが。
尚、質問には器ちゃんかタングラムがお答え致します。
それではよろしくお願い致します。
日常シナリオにも関わらずEX、しかも内容はおまかせです。
なんか、そのあたりから色々察してください。
おそらくゆっくり話が出来るのは今回が最後です。
目的は、何らかの「答え」に近づくこと。
ここでのやり取りは、おそらく最後まで影響すると思います。
それも皆さん次第ですが。
尚、質問には器ちゃんかタングラムがお答え致します。
それではよろしくお願い致します。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2016/10/09 02:40
参加者一覧
マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/09/26 22:29:20 |
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質問卓 シガレット=ウナギパイ(ka2884) 人間(クリムゾンウェスト)|32才|男性|聖導士(クルセイダー) |
最終発言 2016/09/27 13:28:57 |
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相談卓 シガレット=ウナギパイ(ka2884) 人間(クリムゾンウェスト)|32才|男性|聖導士(クルセイダー) |
最終発言 2016/10/01 17:16:40 |