• 戦闘

狂瀾怒涛

マスター:真柄葉

シナリオ形態
ショート
難易度
やや難しい
参加費
1,000
参加人数
現在6人 / 4~6人
サポート
現在0人 / 0~10人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2016/10/05 12:00
リプレイ完成予定
2016/10/14 12:00

オープニング

●山の中腹
「状況は?」
 岩の上に胡坐をかき、眼下の砦を見下ろす。
「あの砦で最後ね。戦力の詳細は……自分で読んで」
「えー……」
 放り投げられた紙を渋々拾い上げ、男は紙に目を落とした。
「あ、俺、ジガヨメナインダッター」
 しばらく眺めたのち、降参とばかりに両手を上げる。
「突撃して死ねって書いてあるわ。よかったわね、頑張って散ってきて」
「……テューラちゃん、もしかして俺の事嫌い?」
「え……? 好かれてると思っていた事に驚愕だわ……」
「やばい、凹んだ。もう仕事しない」
「そう、じゃビックマーに報告しておくわ。あ、オーロラの方がいいかしら?」
「よーし、テューラちゃん、早速軍勢の編成の取り掛かるぞ!」
 その名が出た途端、男は勢い良く立ち上がり後ろに控える兵を見やった。
「……ねぇ、テューラちゃん」
「なに?」
「とても聞くのが怖いんだけど……」
「なによ。はっきり言いなさい。仮にも一軍の将でしょう。それともただの馬鹿なの? 死ぬの?」
「あぁ、うちの副官のお言葉が暖かすぎて、眼から汗が噴き出してきた」
「質問が無いなら私は自分の仕事に戻るわ」
「あー、待って待って。この山越えで減った兵って?」
 踵を返すテューラを引き止め、怠惰の将シックステンは問いかける。
「8割よ」
「8割も? そうか結構残ったなぁ。やっぱり俺の人望のおかげかなぁ?」
「寝言は寝て言えって、ビックマーに教わらなかった? それとも鳥並みの脳味噌には理解できなかったの? 脱落したのが『8割』よ」
「……はっはっはっ、さすが俺の軍。皆、怠惰に真面目だねぇ」
 溢れてくる涙を拭いながらシックステンは、欲望に忠実な仲間達の事を想う。
「2割という事は20か……さぁて、いよいよ面倒臭いことになってきたなぁ」
 無精に伸ばした髪を掻き毟り、シックステンは再び眼下の砦を見やった。
「どうせいつもの手で行くんでしょ?」
「うーん……やっぱそれしかないよねぇ」
 副官の声を背に聞きながら、シックステンは岩の上に再び胡坐をかく。
「あれマテリアル減るからあんまりやりたくないんだよねぇ。お腹すくし」
「だから貴方が特攻すればいいじゃない。兵も減らない、お腹も減らない。私も楽ができる。ほら、万事解決」
「テューラちゃん、俺は君と離れたくないんだ」
「やめて、鳥肌で死ぬわ」
「シクシクシク……」
 再びあふれ出る涙を拭いながら、シックステンは顔を上げた。
「まぁ、しょうがないよね。どうせビックマーは援軍なんかくれないし」
「当然でしょうね。きっと名前すらも知られて一介の指揮官にわざわざトップが援軍送る理由がないもの」
「酷い! この間だって人間の一軍全滅させたじゃない!」
「砦に立てこもった敵には負けたけど?」
「負けてないしー、援軍来るのわかってたから、被害を押さえる為に撤退しただけだしー」
 不器用に口を尖らせ抵抗するシックステンに、テューラは続ける。
「被害報告を聞きたいの? 貴方の采配のせいでどれだけの同胞が散ったか、今更知りたい……の?」
「え……あ、あれ? テューラちゃん……?」
 嗚咽を隠す様に背を向けたテューラに、シックステンは思わず手を伸ばした――途端。
「ふんっ!」
「おわっ!? いてぇっ!」
 腕を決められ、ゴンっごきっと、あまり好ましくない音を立て、天地がひっくり返る。
「さっさと働きなさい。私は早く帰りたいのよ」
「……へーい、仰せのままに」
 天地を逆さまにしたまま、シックステンはやる気のない返事を返した。

●砦前
 山間に設けられた石組みの関は、無骨なれど堅牢を誇っていた。
「あー……やっぱり帰らない?」
「敵前逃亡、っと。ビッグマーも喜ぶでしょうね」
「テューラ君。現状を報告したまえ」
「……はぁ。兵力増員は88匹。途中の集落で捕えた分ね」
 キリリと表情を引き締めたシックステンに、テューラは溜息まじりに報告する。
「ふむ、まずまずという所だねぇ。で、覚醒者は?」
「0よ」
「……えー」
 その報告に、シックステンは落胆に肩を落とした。
「一応、全部歪虚化は済んでるわ。まぁ、屍兵にしかならなかったけどね」
「はぁ、まーた正面作戦かぁ」
「いつも通りでよかったじゃない」
 辛辣な部下の返事に、瞳に汗を貯めながらシックステンは作戦を告げていく。
「とりあえず、屍兵を正面に。あ、女子供は最優先で前に出してね。それから、二列に武装した屍兵。これは男衆ね。んで、最後に人狼を配置。正面、側面どちらへも動けるように」
「妥当な策ね」
「お褒めに預かり光栄です、テューラ女史」
「キモいからやめて、鳥肌で死ぬって言ってるでしょ」
「酷いっ!?」

●砦
「敵兵、出現! 隊列を組んで砦へ進行してきます!」
 関の上から物見の兵が声を張り上げる。
「ち、違う! まて、あれは俺達の部族の人間だ! 服をよく見ろ!」
「そんなわけあるか! 二つの集落は敵襲を受けたんだぞ!」
「だから逃げてきてるんだよ! 早く入れてやってくれ!!」
 この砦には多くの避難民が逃れてきていた。
「馬鹿を言うな! あの目を見てみろ! 既に歪虚化されている!」
「そんなはず在るか! 嘘をついて住民を救わない気か!!」
「違う! あれは敵の罠だ! なんでわからない!」
 関の上では守備兵と避難民が掴み合い、門前では兵と住民が門の開閉を巡って、一触即発のにらみ合いを続けていた。
「そこをどけ!」
「近寄るな! 近寄った者は斬るぞ!」
「斬るだと!? 住民を斬るっていうのか!」
「何もしなければ、こちらも何もしない! とにかくここは開けるわけにはいかない!」
 門前に陣取る守備隊も、人の波の恐怖に打ち勝とうと声を荒げる。
 しかし、その声に住民達の不信感が限界を超えた。
「もういい! お前達のいう事は聞かない! 俺達の仲間は俺達で救い出す!」
 血気盛んな若者の一声が避難民達の心に火をつける。
 集団で門へと押し寄せる住民達に、兵は恐怖に身を引いた。
 自分の仲間達を救うという狂気の正義感に突き動かされた避難民達により、ついに門の閂が外される。

●北門
「おお、お前達、無事だ――ぐあぁつ!!」
「ま、まて! 俺だ! 判らないの――ぎゃああぁ!!」
 一斉に雪崩れ込んできた屍兵が、見境なく牙を剥く。
 目の前で牙を剥くのは、近くの部族の住民――だった者達だった。
 砦を護る兵達でさえ、混乱の極みの中、防衛を放棄。避難民達を差し置いて退路である南門へと押し寄せた。
「た、隊長、指示を!!」
「むむ……」
 この事態を南門の上から見つめていた守備隊長に、兵士が指示を求める。
 しかし、守備隊長自身、この事態をどうすればいいのか判断できずにいた。
「隊長! 撤退しましょう!! もうこの砦は持ちません!!」
「お、お前がそういうなら仕方ない! て、撤退だ!! 撤退しろぉぉ!!」
 決断の半分を部下に押し付け、守備隊長はようやく遅すぎる決断を下したのだった。

解説

●目的
砦の兵と避難民の撤退を手助けしてください。

●場所
マギア砦の付近にそびえるジグウ連山に構えられた砦。

砦は山間の谷に作られた、所謂『関』で道を塞ぐように建てられています。
関は南北二つあり、関の間に軍事施設や居住スペースなどが置かれています。
関と関の間の空間の広さはサッカーコート2面分くらいです。
砦の左右の山は険しく、人狼であっても登る事は困難でしょう。

現在北側の関が破られています。

砦には周辺の集落から逃げ込んできた住民200も身を寄せており、逃げ惑っています(半恐慌状態)。

撤退ルートは二つ。
一つは南側の正門を開け、一気に逃がす方法。
二つ目は、一度南側の関の上まで登り、簡易の非常階段を下ろして逃げる方法。
どちらを選択しても結構ですし、別の切り口で脱出する事も可能かもしれません。

●敵
人狼:鋭い牙と爪が武器。獣の如きスピードをもって襲ってきます。脳筋。数は20。
屍兵:元人間。いわゆるゾンビ。動きは遅いがすごいタフ。顔には傷一つついてませんので、生前誰であったか判別がついてしまいます。数は70。

●NPC
シックステン:
怠惰の軍勢を率いる将。面倒臭がりの怠け者。どうやったら楽ができるか常々考えてるグータラ。
怠惰の王が示してくれるであろう無の世界を楽しみにしており、一応頑張って働いている(本人談)
位的には下位に当たるので扱える歪虚兵の数は少ない。その為、兵は現地で調達する事も。

テューラ:
シックステンと同じく怠惰の歪虚。グータラな上官を諫める立場を与えられたのはいいものの、本人も面倒臭がり。
能力的にはとても優秀で相当強い。上官の能力を信頼してはいるが、見ての通りとげっとげ。ツンデレってからかうと静かに殺しに来ます。

●補足
・皆さんはたまたまこの砦に逗留していたハンターになります。
・現時点で、指揮官の二人は戦場に姿を見せていません。
・避難民は老若男女混在してます。

マスターより

お世話になっております。真柄 葉(まがら よう)と申します。
今回のシナリオは撤退戦! 混乱の極みに在る兵と避難民達を出来るだけ多く逃がしてください。

なお、このシックステン、以前リリースしました『手負いの絆』と言うシナリオに出てきた敵軍を指揮していた指揮官でもあります。
前回は姿を見せませんでしたが、今回は一応登場しています。

お気に召していただけましたら、ご参加お願いいたします。
また、不明な点がありましたら、質問卓をお立てください。
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2016/10/11 06:19

参加者一覧

  • 戦場の美学
    ウルヴァン・ダイーヴァ(ka0992
    人間(蒼)|28才|男性|機導師
  • 其の霧に、籠め給ひしは
    ヴィルマ・レーヴェシュタイン(ka2549
    人間(紅)|23才|女性|魔術師
  • 情報屋兼便利屋
    カイ(ka3770
    人間(紅)|20才|男性|疾影士
  • ヒトとして生きるもの
    蜜鈴=カメーリア・ルージュ(ka4009
    エルフ|22才|女性|魔術師
  • 忍軍創設者
    ルンルン・リリカル・秋桜(ka5784
    人間(蒼)|17才|女性|符術師
  • 戦導師
    ローエン・アイザック(ka5946
    人間(蒼)|30才|男性|聖導士

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/10/03 12:36:31
アイコン 質問卓
ローエン・アイザック(ka5946
人間(リアルブルー)|30才|男性|聖導士(クルセイダー)
最終発言
2016/10/04 09:12:34
アイコン 撤退支援相談
ローエン・アイザック(ka5946
人間(リアルブルー)|30才|男性|聖導士(クルセイダー)
最終発言
2016/10/05 05:05:45