ゲスト
(ka0000)
黄色い馬車の行方
マスター:韮瀬隈則

このシナリオは2日間納期が延長されています。
- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 4~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2016/10/20 09:00
- リプレイ完成予定
- 2016/10/31 09:00
オープニング
●
辺境東部の小さな港町。
河口から延びる細い川伝いの流通と、GG──商業管理事務所ゴルドゲイルの港湾倉庫群管理、ささやかな漁業がこの町の生業、である。
その町から数本交差して辺境各地へ繋がる細道に、GGの流通馬車に便乗する形で運行される乗合馬車があった。馬を自由に駆り荒野を行く辺境民向け、ではない。商用などで訪れる他国民や転移者のほか馬に乗りつけぬ老人子供向けの、この町と周辺の村々独自の、路線ごとに色分けされた小規模な不定期便である。
不定期便というのには理由がある。
あくまでもGGの厚意で同道させてもらう馬車である。流通馬車、護衛、客車。この3つが揃わなければ運行されないのと、終着駅まで客車が同道するケースが非常に稀なためだ。途中駅までの折り返しと乗り継ぎで足りる、主に需要の問題だ。が、しかし、当然ながら不穏な理由もあるのが辺境の地。──歪虚、盗賊のリスクである。
護衛は基本的にGGの荷馬車専任であるから、よほどの重要な顧客か用件でもないかぎり、アクシデント時に増員してまで町ローカルの客車という『お荷物』を増やしはしない。もっとも、増員分の金を積めば別……だ。
●
「は? 折り返し運行? ちょっとまってよ、予定じゃちゃんと終点まで行くって書いてあるし、予約もちゃんと入れたし、なによりウチはGGの用事で乗るんだけど?」
流通馬車の操車場わき。乗合馬車の発着場を兼ねたそこで、ほたえる転移者らしき旅行者二人と一人。
「ほらここにね。辺境東部方面支社のえらいひとのハンコ、あるでしょ? 僕らが終点まで行く理由って重要だと思うわけ」
──彼らは商事『レイサイン』。この町に事務所を置く3人だけの弱小アパレル会社、その実、GGの調達下請けとして拾われた転移者たちだ。騒いでいるのは、デザイナー女史とプランナー氏。困惑顔の相手は客車の御者と護衛で、ふりかざしたチケットにある署名は倉庫群を預かるGG中間管理職のおっさんのものだ。
そうは言いましても……
と、御者は続ける。予定が変わったのだ。主に、不穏なほうの理由で。
──二十日ほど前のことである。
『レイサイン』が目指す村の手前。流通馬車と黄色い客車が脇を通る、ガフナの丘と地元民が呼ぶ地に、盗賊団が出没した。
人とゴブリンの混成。そんな奇妙な盗賊団に護衛のGG私兵と傭兵達は思いのほか苦戦した、らしい。むろん、荷は無事。だが、盗賊団を振るきるのがやっと。客車に乗客がいたとしたら、護りきれなかっただろう。とは護衛率いる私兵リーダーの弁である。
「護衛を増員しないかぎりは、客車をその区間に同行させるのは無理だ。乗り継ぎ? ああ、普段ならできるさ。だがアレが討伐されるまではやはり護衛をつけて強行軍になるのは変わりない」
討伐はいつかって? そんなのオフィスに聞いてくれ。
肩をすくめて御者は言う。ほんの数キロだがね、ナヴァシの宿とホンゴの集落の間は、この黄色い馬車は運行しない。出来ねぇんだ。
「奇妙な盗賊団、というのは?」
いままで騒ぐ二人がエスカレートする毎に宥めていたもう一人の転移者、『レイサイン』の事務職女史が、苦戦はその奇妙さゆえだろうかと問いかける。
よくぞ聞いてくれたと、うんざりした顔の御者がこれで諦めろとばかりに件の賊について話し始めた。
九月下旬の彼岸頃から、周辺住民から不穏な噂が出回っていた。
盗賊団は元から『居た』のだ。それも2つ。
ひとつは人間の少数精鋭である盗賊兄弟。荷馬車狙いの盗賊ギルド末端も末端。ドゥマリ一味と自称するチンピラ二人だ。
もうひとつはゴブリン盗賊団であり、よくあるコソ泥集団として追われては舞い戻るチンケな亜人どもである。
混成団ならばそれらが手を組んだのか? と思われたが、話はどうも良くないほうに違うらしい。
──死んでいる筈なのだ。盗賊兄弟は。
別の賊と抗争があり彼らが壊滅したのが数ヶ月前のこと。治安部隊が出張って抗争の後始末ついでにゴブリン盗賊団も追い散らし、報告書をあげているから間違いない。
それが──
死んだはずの盗賊兄弟が追われたゴブリンを率いて荷馬車を襲う。
人の頭脳と執念を持つ一団。騎乗するゴブリンに武器は効くがその体捌きは普通の亜人離れしたものであり、率いる盗賊兄弟には武器そのものが効かなかった。いずれも、人骨を繋いだらしい馬具を騎乗する馬に飾りたてて、まるで万霊節前夜の悪霊騒ぎの列だったとは、彼らに出会った者の供述だ。
報告者達が生き延びたのは、その奇妙な盗賊団が活動するのは件のガフナの丘周辺のみで、全速力をもって離脱する馬車を追うものはなかったから、である。
「承知しました。では追加の護衛を当方で雇用します。黄色い馬車の運行を、重ねてお願いします」
「っちょ……待って」
その足でオフィス出張所に向かう『レイサイン』の事務職女史に、デザイナー女史とプランナー氏が食って掛かるのを一蹴する。
「調達下請けとはいえ、査収する先方は辺境の名工房。まして今回の査収は、幻獣防衛の成功祝いと収穫祝い、冬支度をも兼ねた大切なもの。必ずお二人には現地へ行っていただかねばなりません」
そして……と繋げる。
「この成功がなければ独自ブランドをこの地で立ち上げる望みは断たれるでしょう。バイヤー出身の腕を見せるのは今です。護衛の雇用費用? 成功報酬で十分補えます。討伐まで行けばボーナスまででるかもしれませんね?」
●
ガフナの丘に立つ、盗賊団の群れ。
異様に目を光らせて、その騎馬を飾るのは不気味な骨と骨と骨。
死んだはずの盗賊兄弟。その名を、ニシフ・ドゥマリ。ヅダン・ドゥマリ。という。
辺境東部の小さな港町。
河口から延びる細い川伝いの流通と、GG──商業管理事務所ゴルドゲイルの港湾倉庫群管理、ささやかな漁業がこの町の生業、である。
その町から数本交差して辺境各地へ繋がる細道に、GGの流通馬車に便乗する形で運行される乗合馬車があった。馬を自由に駆り荒野を行く辺境民向け、ではない。商用などで訪れる他国民や転移者のほか馬に乗りつけぬ老人子供向けの、この町と周辺の村々独自の、路線ごとに色分けされた小規模な不定期便である。
不定期便というのには理由がある。
あくまでもGGの厚意で同道させてもらう馬車である。流通馬車、護衛、客車。この3つが揃わなければ運行されないのと、終着駅まで客車が同道するケースが非常に稀なためだ。途中駅までの折り返しと乗り継ぎで足りる、主に需要の問題だ。が、しかし、当然ながら不穏な理由もあるのが辺境の地。──歪虚、盗賊のリスクである。
護衛は基本的にGGの荷馬車専任であるから、よほどの重要な顧客か用件でもないかぎり、アクシデント時に増員してまで町ローカルの客車という『お荷物』を増やしはしない。もっとも、増員分の金を積めば別……だ。
●
「は? 折り返し運行? ちょっとまってよ、予定じゃちゃんと終点まで行くって書いてあるし、予約もちゃんと入れたし、なによりウチはGGの用事で乗るんだけど?」
流通馬車の操車場わき。乗合馬車の発着場を兼ねたそこで、ほたえる転移者らしき旅行者二人と一人。
「ほらここにね。辺境東部方面支社のえらいひとのハンコ、あるでしょ? 僕らが終点まで行く理由って重要だと思うわけ」
──彼らは商事『レイサイン』。この町に事務所を置く3人だけの弱小アパレル会社、その実、GGの調達下請けとして拾われた転移者たちだ。騒いでいるのは、デザイナー女史とプランナー氏。困惑顔の相手は客車の御者と護衛で、ふりかざしたチケットにある署名は倉庫群を預かるGG中間管理職のおっさんのものだ。
そうは言いましても……
と、御者は続ける。予定が変わったのだ。主に、不穏なほうの理由で。
──二十日ほど前のことである。
『レイサイン』が目指す村の手前。流通馬車と黄色い客車が脇を通る、ガフナの丘と地元民が呼ぶ地に、盗賊団が出没した。
人とゴブリンの混成。そんな奇妙な盗賊団に護衛のGG私兵と傭兵達は思いのほか苦戦した、らしい。むろん、荷は無事。だが、盗賊団を振るきるのがやっと。客車に乗客がいたとしたら、護りきれなかっただろう。とは護衛率いる私兵リーダーの弁である。
「護衛を増員しないかぎりは、客車をその区間に同行させるのは無理だ。乗り継ぎ? ああ、普段ならできるさ。だがアレが討伐されるまではやはり護衛をつけて強行軍になるのは変わりない」
討伐はいつかって? そんなのオフィスに聞いてくれ。
肩をすくめて御者は言う。ほんの数キロだがね、ナヴァシの宿とホンゴの集落の間は、この黄色い馬車は運行しない。出来ねぇんだ。
「奇妙な盗賊団、というのは?」
いままで騒ぐ二人がエスカレートする毎に宥めていたもう一人の転移者、『レイサイン』の事務職女史が、苦戦はその奇妙さゆえだろうかと問いかける。
よくぞ聞いてくれたと、うんざりした顔の御者がこれで諦めろとばかりに件の賊について話し始めた。
九月下旬の彼岸頃から、周辺住民から不穏な噂が出回っていた。
盗賊団は元から『居た』のだ。それも2つ。
ひとつは人間の少数精鋭である盗賊兄弟。荷馬車狙いの盗賊ギルド末端も末端。ドゥマリ一味と自称するチンピラ二人だ。
もうひとつはゴブリン盗賊団であり、よくあるコソ泥集団として追われては舞い戻るチンケな亜人どもである。
混成団ならばそれらが手を組んだのか? と思われたが、話はどうも良くないほうに違うらしい。
──死んでいる筈なのだ。盗賊兄弟は。
別の賊と抗争があり彼らが壊滅したのが数ヶ月前のこと。治安部隊が出張って抗争の後始末ついでにゴブリン盗賊団も追い散らし、報告書をあげているから間違いない。
それが──
死んだはずの盗賊兄弟が追われたゴブリンを率いて荷馬車を襲う。
人の頭脳と執念を持つ一団。騎乗するゴブリンに武器は効くがその体捌きは普通の亜人離れしたものであり、率いる盗賊兄弟には武器そのものが効かなかった。いずれも、人骨を繋いだらしい馬具を騎乗する馬に飾りたてて、まるで万霊節前夜の悪霊騒ぎの列だったとは、彼らに出会った者の供述だ。
報告者達が生き延びたのは、その奇妙な盗賊団が活動するのは件のガフナの丘周辺のみで、全速力をもって離脱する馬車を追うものはなかったから、である。
「承知しました。では追加の護衛を当方で雇用します。黄色い馬車の運行を、重ねてお願いします」
「っちょ……待って」
その足でオフィス出張所に向かう『レイサイン』の事務職女史に、デザイナー女史とプランナー氏が食って掛かるのを一蹴する。
「調達下請けとはいえ、査収する先方は辺境の名工房。まして今回の査収は、幻獣防衛の成功祝いと収穫祝い、冬支度をも兼ねた大切なもの。必ずお二人には現地へ行っていただかねばなりません」
そして……と繋げる。
「この成功がなければ独自ブランドをこの地で立ち上げる望みは断たれるでしょう。バイヤー出身の腕を見せるのは今です。護衛の雇用費用? 成功報酬で十分補えます。討伐まで行けばボーナスまででるかもしれませんね?」
●
ガフナの丘に立つ、盗賊団の群れ。
異様に目を光らせて、その騎馬を飾るのは不気味な骨と骨と骨。
死んだはずの盗賊兄弟。その名を、ニシフ・ドゥマリ。ヅダン・ドゥマリ。という。
解説
●依頼内容
GG流通馬車に同道する黄色い客車を、盗賊団ドゥマリ一味から護衛せよ
●護衛対象
客車1台:2頭立て4人乗り(乗客2名)
御者は操縦専念であり戦闘に参加しない
GG私兵は流通馬車優先だが、負担にならない範囲で客車本体を護衛可能(賊との積極戦闘は行わない)
●敵情報
・ゴブリン盗賊団
歪虚化ゴブリン:6体(近接職3体、弓職3体)
いずれも騎乗し、馬術と体捌きは一般的な歪虚化ゴブリンを凌駕する。
騎馬には全て、人骨で作られたと思われる装飾的な馬具が装着されている。
・ドゥマリ兄弟
ニシフ・ドゥマリ:魔法職
ヅダン・ドゥマリ:近接職
二名とも騎乗し、馬術と体裁きは普通の人間以上。なお、通常の攻撃は人体部分を通過する。
騎馬には骸骨を装飾した馬具が装着されている。
根城とするガフナの丘周辺を活動域とし、エリアから離脱しても追っては来ない。
●現地情報
辺境東部より奥へと進む、細い街道。
途中停車する小さな宿や集落のほかは、荒地を進むことが多い。
一味が遊弋するガフナの丘周辺は、所々に設けられたすれちがい用の車線以外、幅3mほどの轍が3kmほど続く。傾斜はゆるい。
見晴らしは悪くないが、一部、低木と岩が散見される。
●NPC情報
『レイサイン』:辺境東部の港町に事務所をおく、転移者の弱小アパレル商事
デザイナー女史:馬車に同行、一般人
プランナー氏:馬車に同行、一般人
辺境商GGの調達下請けであるが、独自ブランドの開発流通の夢をもつ。
旅行の目的は、終点地域にある工房での荷受と査収、次期発注物の打ち合わせ。
※騎乗必須となります。用意できない場合、乗用馬が貸し出されます。
※調達バイトであるNPCと、アイテムの話をすることができます。但し、権限は無いに等しいので、こんな武器が好きとか得意とか憧れるとかの話を聞いて独自ブランドの夢を奮起するだけですが。
GG流通馬車に同道する黄色い客車を、盗賊団ドゥマリ一味から護衛せよ
●護衛対象
客車1台:2頭立て4人乗り(乗客2名)
御者は操縦専念であり戦闘に参加しない
GG私兵は流通馬車優先だが、負担にならない範囲で客車本体を護衛可能(賊との積極戦闘は行わない)
●敵情報
・ゴブリン盗賊団
歪虚化ゴブリン:6体(近接職3体、弓職3体)
いずれも騎乗し、馬術と体捌きは一般的な歪虚化ゴブリンを凌駕する。
騎馬には全て、人骨で作られたと思われる装飾的な馬具が装着されている。
・ドゥマリ兄弟
ニシフ・ドゥマリ:魔法職
ヅダン・ドゥマリ:近接職
二名とも騎乗し、馬術と体裁きは普通の人間以上。なお、通常の攻撃は人体部分を通過する。
騎馬には骸骨を装飾した馬具が装着されている。
根城とするガフナの丘周辺を活動域とし、エリアから離脱しても追っては来ない。
●現地情報
辺境東部より奥へと進む、細い街道。
途中停車する小さな宿や集落のほかは、荒地を進むことが多い。
一味が遊弋するガフナの丘周辺は、所々に設けられたすれちがい用の車線以外、幅3mほどの轍が3kmほど続く。傾斜はゆるい。
見晴らしは悪くないが、一部、低木と岩が散見される。
●NPC情報
『レイサイン』:辺境東部の港町に事務所をおく、転移者の弱小アパレル商事
デザイナー女史:馬車に同行、一般人
プランナー氏:馬車に同行、一般人
辺境商GGの調達下請けであるが、独自ブランドの開発流通の夢をもつ。
旅行の目的は、終点地域にある工房での荷受と査収、次期発注物の打ち合わせ。
※騎乗必須となります。用意できない場合、乗用馬が貸し出されます。
※調達バイトであるNPCと、アイテムの話をすることができます。但し、権限は無いに等しいので、こんな武器が好きとか得意とか憧れるとかの話を聞いて独自ブランドの夢を奮起するだけですが。
マスターより
黄色い某沿線在住のときは、よく引っかかりましたよ。ドゥマリ一味。韮瀬です。
相変わらす無駄に長いOPですが、要はちょっと変わった物資調達の護衛依頼です。
比較的平和とされる辺境東部ですが、比較先が歪虚闊歩が当然の辺境なので、流通も調達も大変なわけですよ。そんな調達バイトの零細企業を助けて頂けると幸いです。
そして今回もネタバレOPイラストです。上手くやれば低レベル4人でラクショーですが、看破するまでは結構厄介な敵なので、まずは一般判定に勝つことをオススメします。
相変わらす無駄に長いOPですが、要はちょっと変わった物資調達の護衛依頼です。
比較的平和とされる辺境東部ですが、比較先が歪虚闊歩が当然の辺境なので、流通も調達も大変なわけですよ。そんな調達バイトの零細企業を助けて頂けると幸いです。
そして今回もネタバレOPイラストです。上手くやれば低レベル4人でラクショーですが、看破するまでは結構厄介な敵なので、まずは一般判定に勝つことをオススメします。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2016/11/01 16:38
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
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相談卓 カイン・A・A・カーナボン(ka5336) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|男性|闘狩人(エンフォーサー) |
最終発言 2016/10/19 19:47:14 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/10/18 03:45:35 |