ゲスト
(ka0000)
ワルサー総帥、街道に立つ
マスター:御影堂

- シナリオ形態
- イベント
- 難易度
- 易しい
- 参加費
500
- 参加人数
- 現在25人 / 1~25人
- 報酬
- 少なめ
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2014/09/25 09:00
- リプレイ完成予定
- 2014/10/04 09:00
オープニング
●
王国北部に位置するルサスール家の領主カフェ・ワ・ルサスールは、悩んでいた。
執務室に座りながら、眺めるのは複数枚の報告書。
そこに書かれている懸案が、カフェの眉間に皺を刻む。
穏やかでありながら、強かな政策によって大きな問題は未然に防ぐ。。
カフェの手腕は、一領主としては余りあるほどであった。
それ故、領民からの信頼も厚い。
「はぁ」
報告書を今一度読み直し、カフェは深いため息をつく。
予想外といえば、嘘になる。こうなる前に、何とか出来たのではないかという思いが頭をめぐる。
カフェは、領主としては一人前であったが父親としては、甘いところがあった。
「……サチコ」
報告書に刻まれた、愛娘の名前をつぶやくカフェの顔は疲労に満ちていた。
サチコ・ワ・ルサスール。
カフェの唯一の娘である。彼女の母親、つまりカフェの妻は、出産後に体調を崩して亡くなっている。
だからこそ、カフェは彼女のことを宝物のように可愛がっていた。
いいところへ嫁に出すべく、嫁修行には惜しみがなかった。
だというのに……家出をした。
●
サチコ・ワ・ルサスールは困っていた。
彼女は、ワルサー団という盗賊団(まがい)を作り、ワルサー総帥を名乗っていた。
構成員は彼女を含めて、三名。他二名は、屋敷の従者だった。
「わた……俺様が、ワルサー総帥です……だぜ」
「どこへ向かって話しているのですか、お嬢様」
「お嬢様ではあり……ないのだぜ。ワルサー総帥だってば!」
「はいはい、ワルサー総帥」
たどたどしい悪ぶった口調をサチコは練習していた。
これから、ワルサー団としての華々しいデビューが待っているのだ。
「お嬢……総帥。荷馬車がきましたよ」
「わかりま……だぜ」
サチコは不敵な笑みを浮かべて、荷馬車の前に従者とともに躍り出た。
慌てて馬を引き止め、農夫が降り立った。
「あんれ、サチコ様でねぇが」
「ち、ちが。わたく……俺様はワルサー総帥なのだぜ」
農夫が反応に困っていると、サチコは大きく息を吸い込んだ。
ハリセンの切っ先……があるのかはともかく、ハリセンを農夫にまっすぐつきつける。
「よく聞いてくだ……聞くのぜ。あな……あんたの一番大事なものをよこせなのだぜ」
キョトンとする農夫とは対照的に、サチコはドヤ顔を見せる。
サチコの後ろでは、従者たちが「合わせてください、お願いします」と合図を送っていた。
おずおずと農夫が荷馬車から、種籾の入った袋を取り出す。
「来年の稼ぎにするための、種籾ですじゃ」
「……種籾……」
価値がわからないのか、サチコは呆然としている。
「これが奪われると、一家離散ですじゃ」
「そ、そんな大事なもの奪え……いや、違いますわ。だからこそ、奪う……でも」
あれこれと悶えるサチコに、従者が一言添える。
「あとでお返ししておきますから、奪ってください」
「そ、そう?」
こほんっと咳払いをし、「ハーッハッハ」と笑い声を上げたサチコは種籾の入った袋を恐る恐る奪い取る。
「こ、これは頂いていきますわ……じゃなくて、頂いていくのぜ!」
そういってすたこらさっさとサチコが逃げ出す。
従者の一人が先行し、もう一人が後で返す旨を簡単に告げて後を追った。
残された農夫は、頭の後ろを掻きながら、
「んまぁ、領主様に告げておくべ」とのんきに空を見上げるのだった。
●
再びカフェの執務室。
目の前の報告書には、サチコが街道で強盗まがいの行為をしている旨が記されていた。
従者・領民の双方からの報告である。すぐに返還されるため、気にしなくていいと領民たちは書いてくれていた。
サチコもまた、領民から愛されるバカ……かわいい息女なのであった。
「領外の者には、申し訳が立つまいしな」
そう、領内の被害にとどまっている間は、サチコの悪戯に付き合っているだけで済む。
しかし、領の外から来たものにはそうはいかない。従者がコントロールしてくれているといっても、事故は起こりうる。
「そもそも、サチコの動機が問題だしな」
今回の一件は、ただ強盗したいというものではなかった。
おおよそ箱入り娘であったサチコにとって、物の価値というのがいまいち掴めないのだ。
「一番大事なもの、か」
何が大事なものなのかを知りたいという欲求が先なのだ。
これも、娘にとってはいい機会かもしれないとカフェは思い直す。
「それには、領民だけでは足りないかもしれぬな」
カフェは、執事長を呼ぶと手紙を受け渡した。
その手紙は、まもなくハンターオフィスへと届けられる。
書き出しは、こうだ。
「求む。被害者」
王国北部に位置するルサスール家の領主カフェ・ワ・ルサスールは、悩んでいた。
執務室に座りながら、眺めるのは複数枚の報告書。
そこに書かれている懸案が、カフェの眉間に皺を刻む。
穏やかでありながら、強かな政策によって大きな問題は未然に防ぐ。。
カフェの手腕は、一領主としては余りあるほどであった。
それ故、領民からの信頼も厚い。
「はぁ」
報告書を今一度読み直し、カフェは深いため息をつく。
予想外といえば、嘘になる。こうなる前に、何とか出来たのではないかという思いが頭をめぐる。
カフェは、領主としては一人前であったが父親としては、甘いところがあった。
「……サチコ」
報告書に刻まれた、愛娘の名前をつぶやくカフェの顔は疲労に満ちていた。
サチコ・ワ・ルサスール。
カフェの唯一の娘である。彼女の母親、つまりカフェの妻は、出産後に体調を崩して亡くなっている。
だからこそ、カフェは彼女のことを宝物のように可愛がっていた。
いいところへ嫁に出すべく、嫁修行には惜しみがなかった。
だというのに……家出をした。
●
サチコ・ワ・ルサスールは困っていた。
彼女は、ワルサー団という盗賊団(まがい)を作り、ワルサー総帥を名乗っていた。
構成員は彼女を含めて、三名。他二名は、屋敷の従者だった。
「わた……俺様が、ワルサー総帥です……だぜ」
「どこへ向かって話しているのですか、お嬢様」
「お嬢様ではあり……ないのだぜ。ワルサー総帥だってば!」
「はいはい、ワルサー総帥」
たどたどしい悪ぶった口調をサチコは練習していた。
これから、ワルサー団としての華々しいデビューが待っているのだ。
「お嬢……総帥。荷馬車がきましたよ」
「わかりま……だぜ」
サチコは不敵な笑みを浮かべて、荷馬車の前に従者とともに躍り出た。
慌てて馬を引き止め、農夫が降り立った。
「あんれ、サチコ様でねぇが」
「ち、ちが。わたく……俺様はワルサー総帥なのだぜ」
農夫が反応に困っていると、サチコは大きく息を吸い込んだ。
ハリセンの切っ先……があるのかはともかく、ハリセンを農夫にまっすぐつきつける。
「よく聞いてくだ……聞くのぜ。あな……あんたの一番大事なものをよこせなのだぜ」
キョトンとする農夫とは対照的に、サチコはドヤ顔を見せる。
サチコの後ろでは、従者たちが「合わせてください、お願いします」と合図を送っていた。
おずおずと農夫が荷馬車から、種籾の入った袋を取り出す。
「来年の稼ぎにするための、種籾ですじゃ」
「……種籾……」
価値がわからないのか、サチコは呆然としている。
「これが奪われると、一家離散ですじゃ」
「そ、そんな大事なもの奪え……いや、違いますわ。だからこそ、奪う……でも」
あれこれと悶えるサチコに、従者が一言添える。
「あとでお返ししておきますから、奪ってください」
「そ、そう?」
こほんっと咳払いをし、「ハーッハッハ」と笑い声を上げたサチコは種籾の入った袋を恐る恐る奪い取る。
「こ、これは頂いていきますわ……じゃなくて、頂いていくのぜ!」
そういってすたこらさっさとサチコが逃げ出す。
従者の一人が先行し、もう一人が後で返す旨を簡単に告げて後を追った。
残された農夫は、頭の後ろを掻きながら、
「んまぁ、領主様に告げておくべ」とのんきに空を見上げるのだった。
●
再びカフェの執務室。
目の前の報告書には、サチコが街道で強盗まがいの行為をしている旨が記されていた。
従者・領民の双方からの報告である。すぐに返還されるため、気にしなくていいと領民たちは書いてくれていた。
サチコもまた、領民から愛されるバカ……かわいい息女なのであった。
「領外の者には、申し訳が立つまいしな」
そう、領内の被害にとどまっている間は、サチコの悪戯に付き合っているだけで済む。
しかし、領の外から来たものにはそうはいかない。従者がコントロールしてくれているといっても、事故は起こりうる。
「そもそも、サチコの動機が問題だしな」
今回の一件は、ただ強盗したいというものではなかった。
おおよそ箱入り娘であったサチコにとって、物の価値というのがいまいち掴めないのだ。
「一番大事なもの、か」
何が大事なものなのかを知りたいという欲求が先なのだ。
これも、娘にとってはいい機会かもしれないとカフェは思い直す。
「それには、領民だけでは足りないかもしれぬな」
カフェは、執事長を呼ぶと手紙を受け渡した。
その手紙は、まもなくハンターオフィスへと届けられる。
書き出しは、こうだ。
「求む。被害者」
解説
●目的
サチコに一番大事なものを奪われて、物の価値を教える。
要はサチコに遭遇し、一番大事なものを教え、奪われてあげてください。
●物の価値
単純に高価な物とは限りません。
思い出深い品や、絶対奪われたくないものが価値が有るものなのです。
サチコは根が優しいので、そういったものを奪うことに良心の呵責を覚えます。
高価なものも恐れ多くて、あまり気乗りがしません。
が、とりあえずどんなものでも一度奪います。悪だから。
●返還について
基本的に後ほど従者から自警団を通して返還されます。
サチコは失くしたら大変だと思っているので、なくしません。
が、とりあえず奪って手元に持っていきます。悪だから。
●場所
馬車が行き来できる程度の街道です。
サチコはその沿道にある茂みに潜んでいます。
基本的に従者が奪って良さそうか確認してから、現れています。
奪うと、拠点にしている小屋に逃げていきます。
追いかけてもいいですが、必ず最後は逃してあげてください。
●領主カフェの願い
下手なものを下手な相手から奪ったり、
相手を本当に困らせたりしないよう、物の価値を覚えてほしいとのことです。
サチコに一番大事なものを奪われて、物の価値を教える。
要はサチコに遭遇し、一番大事なものを教え、奪われてあげてください。
●物の価値
単純に高価な物とは限りません。
思い出深い品や、絶対奪われたくないものが価値が有るものなのです。
サチコは根が優しいので、そういったものを奪うことに良心の呵責を覚えます。
高価なものも恐れ多くて、あまり気乗りがしません。
が、とりあえずどんなものでも一度奪います。悪だから。
●返還について
基本的に後ほど従者から自警団を通して返還されます。
サチコは失くしたら大変だと思っているので、なくしません。
が、とりあえず奪って手元に持っていきます。悪だから。
●場所
馬車が行き来できる程度の街道です。
サチコはその沿道にある茂みに潜んでいます。
基本的に従者が奪って良さそうか確認してから、現れています。
奪うと、拠点にしている小屋に逃げていきます。
追いかけてもいいですが、必ず最後は逃してあげてください。
●領主カフェの願い
下手なものを下手な相手から奪ったり、
相手を本当に困らせたりしないよう、物の価値を覚えてほしいとのことです。
マスターより
わるわるさー、御影堂です。
わるわるさーはワルサー団の挨拶です。嘘です。
ワルサー総帥ことサチコの初陣です。華々しく飾ってあげてください。
基本的には皆様の大事なものプレイングに対して、サチコがリアクションを取ります。
複数人で組んでいただいても構いませんが、全員の大事なものは奪われます(返しますけど)。
サチコは基本、バカですが根は優しくて仲間思いですので暖かく見守りましょう。
わるわるさーはワルサー団の挨拶です。嘘です。
ワルサー総帥ことサチコの初陣です。華々しく飾ってあげてください。
基本的には皆様の大事なものプレイングに対して、サチコがリアクションを取ります。
複数人で組んでいただいても構いませんが、全員の大事なものは奪われます(返しますけど)。
サチコは基本、バカですが根は優しくて仲間思いですので暖かく見守りましょう。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2014/10/04 14:26