• 戦闘

仕組まれた試練、器の襲撃者

マスター:朝臣あむ

シナリオ形態
ショート

関連ユニオン
APV

難易度
難しい
オプション
  • relation
参加費
1,000
参加人数
現在8人 / 4~8人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2016/10/21 22:00
リプレイ完成予定
2016/10/30 22:00

オープニング

※このシナリオは難易度が高く設定されています。所持金の大幅な減少や装備アイテムの損失、場合によっては、再起不能、死亡判定が下される可能性があります。
再起不能、死亡判定の下されたキャラクターはログイン、及びコンテンツへのアクセスが制限されます。

●アネリの塔
 高い壁に囲まれ、複数の支柱と銅線が張られた監獄都市、それが第十師団の管理する都市アネリブーベの印象だ。
 第十師団の本拠地は、都市の中央に佇む銅線を束ねる剣のような塔にある。これをアネリの塔と呼び、監獄都市の象徴とされていた。
「報告書は読みましたわ。これは後程処分しておいてもらえるかしら」
 塔内部の謁見の間で足を組み、第十師団師団長のゼナイド(kz0052)は億劫そうに報告書を前へ放った。それを受け取った副師団長のマンゴルトが苦笑する。
「放っておく気かの?」
「わたくしの玩具が動くには決め手に欠けますわ。もっとこう――そうですわね、わたくしの陛下へ危害を加える何かがある、と確証が取れれば動きますわ」
「ふむ。ならば引き続き動いてもらうとするか……エゴはいるかの?」
 マンゴルトの声に謁見の間の空気が揺れる。
「……呼んだかな?」
「うむ。引き続き調査を続けて欲しくてな。頼まれてくれるかの?」
「それは良いけれど……流石にこちらも少し人手が足りない感じなのだよ。補充はいつになったらしてくれるのかな?」
「死神の補充なんてそう簡単にできませんわよ」
 エゴと呼ばれた人物の言葉にゼナイドが答える。
 死神とは第十師団の隠密部隊ソウルイーターの略称だ。ソウルイーターは第十師団の汚れ役を引き受ける他、敵地への潜入調査など危険任務を主に行っている。
 故にソウルイーターは副師団長のマンゴルトと同等――否、それ以上の実力がなければなる事はできない。そしてその人材は近年不測の一途を辿っているという。
「ジュリがいるよ」
「……何ですって?」
「ジュリがいると言ったのだよ。ジュリはゼナイド様を裏切らない。きっと良い死神になる」
「認められませんわ」
 ピシャリと切り捨てたゼナイドにエゴの声が止まる。
 ジュリとは第3階層に籍を置く囚人で、偽タングラムとして捕縛された過去を持っている。
 囚人として収容されて以降、何度か疾影士としての強さを見込まれて重要任務に就いた事もあるが、実力はソウルイーターとしてはやや不足だ。
 それに第3階層は更生途中の囚人ばかりが籍を置く。ジュリも例外ではなく彼女の刑期だけ言えばまだかなり残っている状態だ。
「貴方、わたくしの作った階級制度を甘く見てません事? 第2階層と第1階層を飛ばしてソウルイーターには出来ませんわ。それに実力が足りませんのよ」
「マイラーは良いのかい? 彼はある日突然親衛隊に所属した。そんな彼の特例は認められるのにジュリが認められないのは何故だろう。彼女だって特殊な囚人ではないのかな?」
 それに。と言葉を続ける。
「実力が足りないというのであればボクが見てあげるのだよ。それなら文句はないのではないかな?」
「決闘でもするつもりですの?」
「さあ、どうだろう。でも似たようなものかもしれないね」
 エゴは何処か楽し気に笑うと、心配そうに周囲を伺うマンゴルトに「任務の件は了解なのだよ」と声を零して気配を消した。
「マンゴルト。至急ハンターにジュリの監視を頼みなさい。嫌な予感がしますわ」

●仕組まれた試練
 死神のエゴとゼナイドが会話を果たして翌日の事だった。
 ジュリの元に数名のハンターと新たな任務が届いた。その任務の内容は「ソウルイーターを倒せ」。
 別に仲間を排除しようという訳ではなく、エゴのソウルイーターになるための試練がジュリに課せられた結果の任務である。単純に言うと、エゴと闘い勝てば資格ありと判断される、と言うものだ。
「ソウルなんちゃらは本当に存在してたッスね。第十師団に所属してから噂は聞いてたッスが……」
 思案気に森林に足を踏み入れたジュリは、長らく首につけっぱなしの刑期メーターに手を添える。そうして辺りを見回すと、後ろを歩くハンターを振り返った。
「なんだかこっちの事情に巻き込んで申し訳ないッス。あっしはソウルイタコに興味はないんスが、行かないとゼナイド様に刑期増やされるって言われて……でもこうして自由に外を歩けるのはやっぱ良いッスね!」
 森林の空気をめいいっぱい吸うように目を閉じたジュリに監視という名目で同行したハンターたちの表情も和らぐ。
 そもそも彼らが同行を任されたのはジュリの監視――と言うのは建前で、昨日のやりとりを踏まえてジュリを守るのが役目だ。つまりハンターたちには「ジュリに課した試練は危険が伴うため、彼女の身の安全を守れるように動いて欲しい」という依頼が出されていた。
 けれど彼女を守るという任務内容はジュリに伏せられている。
 ジュリはあくまでハンターは彼女の監視に来ていると思っているのだ。
「あ! あの巨大な樹の先ッス――」
 森林の中で突出した樹がある。その下がエゴとの試練の場だった。
 そこを指差して駆けだそうとした彼女の足が止まる。
「――みんな、飛ぶッス!」
 突然の声と同時にジュリが地面を蹴った。
 そこに突き刺さる数本のダガー。それを目視するよりも早く次の攻撃が見舞う。
 間髪入れずに降ってくるダガーは複数方向から。確実に1人の所業ではない攻撃にジュリの頭がフル回転する。
「右に1人、左に1人、もう1人……そこッスね!!」
 即座に判断して踏み込む。
 仕込んだ短剣を抜き取って近場の木を蹴り上げると宙返り。そのままもう1本の木を蹴り上げ飛び上がった。
「元義賊のあっしの動きに勝とうなんて姉御以上に自信過剰ッス!」
 タングラムが聞いていたら頭を抱えそうだがジュリは至って真面目だ。枝の上に潜む影を発見するとそこに一刀を見舞う。
 ハラリ。と襲撃者の外套が剥がれた。
 見えたのは幼い容姿と無の表情。そしてエルフの耳――。
「どういう……ッ、しまった!」
 思いもよらない襲撃者の正体に動揺が走った次の瞬間、彼女の身体が勢いよく地面に叩き付けられた。
 息を奪う衝撃に意識が、声が、息が動きを止める。そして詰まった息を再開した時、彼女はある声を聞いた。
「彼女たちは浄化の器と呼ばれているのだよ。本物ではなく、量産された模造品のようだけどね。きっとボクを襲撃しようとしたんだろうね。でもちょうど良い。ジュリ、君が倒してごらん」
「!」
 量産型浄化の器。聞いた事のない。
「っ、く……あっしは……浄化の器とか、知らないッス……でも……同じエルフがこんな……!」
 まるで体の骨全てを叩き折らんばかりの力で圧し潰してくる少女には殺意も何もない。ただ言われた通りに殺しに来ている存在に寒気がする。
「許せないッス!!」
 全力で押し返して大地を転がる。
 そして背にあたった木に手を引っかけて飛び上がると改めて襲撃者の顔を睨みつけた。
 無垢な顔の無垢な襲撃者。気配だけで3人はいるであろう存在に奥歯を噛み締める。そしてありったけの声を放つ。
「あっしは第十師団第3階層所属、ジュリ! 根性見せるッスよ!!」

解説

●目的
襲撃者「量産型の浄化の器」の撃破

●概要
やあ、こんにちわだよ。巻き込まれたハンターの諸君。
ボクはソウルイーター白の死神、エゴと言うのだよ。
早速だけれど君たちにはジュリを襲撃してきた量産型浄化の器の撃破を行ってもらいたいのだよ。
彼女らは……まあ、エルフの殺し屋、あるいは使い捨ての爆弾みたいなものかな。
本来ならジュリ1人でお願いしたいところだけれど、襲撃者は3人もいるからね。
ボクならまだしも未熟なジュリでは死んでしまう恐れがあるのだよ。
そもそも君たちはジュリを守るようにゼナイド様から言われているのだろう? だったら問題がない。
という訳で、ボクから伝えられるアドバイスは1つ。
「情けはかけないこと」
彼女たちには自我がないのだよ。つまり任務を遂行するためだけに生きている。
まあこれはボクが仕入れた情報だからそれ以外もあるかもしれないけれど、とにかく情は捨てるべきだと思うのだよ。
でなければ君たちが死ぬ。これは確実な情報だ。良いね、くれぐれもジュリをよろしく頼むよ。

●敵情報
『量産型浄化の器』……3体
外套を纏った小柄な少女。
気配から察するに覚醒者で戦闘センスは抜群。
相手を倒す事のみに集中している。

●友軍情報
『ジュリ』
タングラムを姐御と慕う疾影士のエルフ。
戦闘力自体は高く、覚醒者としても優秀。
明るくノリが良い三枚目。短剣使用。

『エゴ』
第十師団隠密部隊ソウルイーター所属、白の死神。
容姿等不明な他、隠密行動や戦闘能力に長けている。
現在はジュリの戦闘能力を見るためか静観の構えを見せており余ほどの事がない限り崩す事はなさそう。

※質問には大変やる気のないゼナイドがお答えします。
尚、出発時間24時間前を過ぎるとお答えできない場合があります。

マスターより

こんにちは、朝臣あむです。
今回はとても久しぶりな第十師団の登場です。
第十師団の主なシナリオはゼナイドの関連シナリオから見ることが可能です。
またジュリに関しては「芋でつかむチャンス」や第十師団のシナリオをご覧いただければだいたいわかるかと思います。

では皆様のご参加とプレイングを心よりお待ちしております!

関連NPC


  • ゼナイド(kz0052
    エルフ|15才|女性|闘狩人(エンフォーサー)
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2016/10/29 19:39

参加者一覧

  • 真水の蝙蝠
    ヒース・R・ウォーカー(ka0145
    人間(蒼)|23才|男性|疾影士
  • ……オマエはダレだ?
    リカルド=フェアバーン(ka0356
    人間(蒼)|32才|男性|闘狩人
  • 約束を重ねて
    シェリル・マイヤーズ(ka0509
    人間(蒼)|14才|女性|疾影士
  • は た ら け
    鵤(ka3319
    人間(蒼)|44才|男性|機導師
  • Ms.“Deadend”
    アメリア・フォーサイス(ka4111
    人間(蒼)|22才|女性|猟撃士
  • むなしい愛の夢を見る
    松瀬 柚子(ka4625
    人間(蒼)|18才|女性|疾影士
  • DTよ永遠に
    水流崎トミヲ(ka4852
    人間(蒼)|27才|男性|魔術師

  • 鞍馬 真(ka5819
    人間(蒼)|22才|男性|闘狩人

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 相談卓
水流崎トミヲ(ka4852
人間(リアルブルー)|27才|男性|魔術師(マギステル)
最終発言
2016/10/21 13:11:04
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/10/18 11:37:59