• 猫譚
  • 調査

【猫譚】光の系譜

マスター:藤山なないろ

このシナリオは5日間納期が延長されています。

シナリオ形態
ショート

関連ユニオン
アム・シェリタ―揺籃館―

難易度
普通
オプション
  • relation
参加費
1,000
参加人数
現在6人 / 4~6人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2016/11/06 19:00
リプレイ完成予定
2016/11/20 19:00

オープニング

※このシナリオは難易度が高く設定されています。所持金の大幅な減少や装備アイテムの損失、場合によっては、再起不能、死亡判定が下される可能性があります。
再起不能、死亡判定の下されたキャラクターはログイン、及びコンテンツへのアクセスが制限されます。

●光の逝く先は

 あの初夏の日の夜の事──。
『……時間だよ』
 友が去り、ひとりきりになった自室の扉が音もなく開いた。
『君は本当に馬鹿だ。王国騎士団長の任をシスティーナに解かせ、なおかつ引き継ぎまで終えるなんて……何を考えているんだか』
 ベッドサイドのランプのみが灯る暗がりのなか、許可なく押し入り、後ろ手で部屋の扉を閉める男の表情は、相変わらず伺えない。
『まぁ、君らしいけどね。でも、そんな“準備”をした以上、疑惑を抱かれる事は避け得ないだろう。君は“死ぬことを予感していた”ってね』
 冷たい床の上を歩く男の靴音は聞こえない。靴自体、そういう風に作られているのだろう。気配だけが近づいてきて、無意識に身体を強張らせていた。
『どうする? 僕を殺す? その手で、その剣を僕の胸に突き立ててみるかい』
 ひんやりとした男の手が自分の手に触れ、導くように剣を握らせてくる。間近に迫った男の顔は見慣れた“親友”の顔をしていたはずだが、どこか恐ろしく感じる心を俺は否定できなかった。
『……残念、君は“いまのところ”僕を殺す気がないみたいだ。僕を疑ってないんだね……愚かだよ、本当に』
 突然、男が銃を取り出した。それは見覚えがあるようでいて、その実まるで本質が異なっていると解る。それは確かに人を殺すための銃だったからだ。
『この銃、わかる? “憤慨せしアリオト”じゃあない。あれはここに辿りつくまでのただの試作だ。これはね、紛うことなきホンモノさ。“アリオト”──いや、“エリオット”、君を殺すための銃だよ』
 そう言って、男は愛しみすら感じるような手つきで銃身を撫で、そして……ゆっくりと禍禍しい銃口を俺の胸に突き立てて、笑った。
『ねえ、君はこの銃で撃ち抜かれたなら、僕に怒ってくれるかな?』
 彼に張り付いた笑顔は、俺の知る笑顔ではない。その意味に、その事実に、縋りたい思いを強引に押し隠す。
『エリオット、君のその心が、その在り方が、その魂が、この国にとって光の一つだった。けどね、君は騎士団長である前に、ひとりの人間だ。だからこそ、僕はこうしてここに来た。 ……無論、僕を許して欲しいとは思わない』
 突き付けられた銃身が、更に圧を増し、被服に食い込む。
 試されている──恐らくは、測っているのだ。俺という人間を、この場に来てなお。
『……さぁ、最後にもう一度だけ問おう。君の“答え”を聞かせてくれないか』

●アークエルス領主フリュイ・ド・パラディ

 法術陣の起源を記した碑文“エメラルドタブレット”。
 この春、ある事件を契機に現代人がその秘宝中の秘宝を手に入れてしまった。極めて解読が困難なオーバーテクノロジー。手に入れるまでは“伝説”だとか“夢物語”だとか眉唾扱いされていたそれが、現存していたと解るや否や、国と教会は態度を変えた。とかく十全に管理しろ、直ちに謎を解明しろ、と。
 本来この保管自体、国と教会の責任下においてなされているべきものだったはずだ。
 長い歴史の中でこんな秘宝を存在から忘れ去っていたくせに、まったく現金なものである。
「これがもし歪虚の手に渡ったなら、僕の命はないかもね。ま、歪虚にこの神秘を解読できるとも思えないけど」
 現在のエメラルドタブレットの管理者たる“少年”は、笑ってそう言った。

 少年は、名を“フリュイ・ド・パラディ”と言う。
 この情報は一般に知られることはないが、実のところこの名は偽名であるようだった。当人に後ろめたい事があって本名を隠しているということでもなく、彼はパラディ家が代々姓名を偽ってきたため、それに準じているだけかもしれない。あるいは、何か別の信念や目的があるのかもしれないが、定かではない。
 加えて、彼はどうみても10歳そこらの幼い少年にしか思えないのだが、彼こそがアークエルス領主であり、春に手に入れた太古の碑文“エメラルドタブレット”の謎を解き明かした二人の天才のうちの一人である。彼の知識や知恵は外見年齢の事実から余りに剥離しすぎており、実年齢60代などという噂まで生み出しているのだが、当然、彼の年齢に関する情報も定かではない。
 とにかく、“そんな得体の知れない少年”に──便宜上、ここは彼を少年と表記するが──王国が誇る古都たる学術都市アークエルスが統治されているという時点で、彼の特殊性は十分理解することができるだろう。

 そんな少年の日常は至ってシンプルだ。
 日がな一日、太古より現在までこの世に産み落とされた様々な知識を道楽のように貪っているか、或いは何がしか怪しげな研究に手を染めているかだ。
 そんな自由気まま、好き勝手な日々には不満などないように思われるのだが、フリュイには常日頃より抱える超大な不満があった。
 それは“時間の有限性”。時間こそが知識をむさぼる為の必要条件で、世界における制約条件だからだ。
 この世界には“情報”が溢れすぎている。現存するものも、失われたものも、それら全てを知りたいと願ったとしても時間という障害が必ず目の前に立ちふさがる。
 摂取しても摂取しても、まだ足りない。まだこの世界の底は見えない。つまり、彼の様な人間図書館を以てしても「知らない」ことがある──彼の言葉に置き換えれば「僕が知識を得る余地が世界にはまだまだ残っている」のだ。
 故に少年は、とかく非効率に時間を損ねることを厭う。
 要領を得ない人間、非効率な組織体系、無駄な手間、そう言ったものは彼にとっては憎むべき悪であるのだ。

 さて、この物語は今から1、2カ月ほど時を遡る。

 少年領主がアークエルスのソサエティ出張所に現れた時、受付嬢は我が目を疑った。
「フリュイ様!? こっ、此度は、如何様な……」
「護衛を雇いたい。すぐ動ける人材は周囲にいる? なんなら立ち寄る予定の王都で人材を回収しても構わない」
「はっ、あの、雇用に際し、いくつかお伺いし…… 」
「目的地には転移門でいくから、拘束期間は1日で済む。有事の際は僕の命を最優先で守ることを誓約した人間。これが依頼の必要条件だね。金は相応でいい。市街地での要人警護だと伝えてくれ。普通はそれで解る」
 せっかちなのか、急いている理由があるのか、少年は人の言葉を最後まで聞かずに話し出す。フリュイが“変人”であることはこの地に住むだれもが知っていることだ。受付嬢は気を害することもなく、丁寧に承るが、しかし。
「承知しました。目的地は、どちらへ……」
 眼鏡の奥、フリュイの目が鈍く光った。
「あのさ、要人警護を頼んでいるのに、その行き先を依頼書に書かれでもしたら“どうぞ狙ってください”って言ってるようなもんだろ? 情報の開示先を絞るにこしたことはないんだ。僕が護衛人に直接話をする。ねぇ、急いでるんだよ、本当に」
「た、ただいま……ッ!」

解説

●少年領主の振舞い
なるほど、君たちか。
「有事の際は僕の命を最優先で守る(自分の命を賭けても)」っていう条件を呑んじゃったハンターは。
面白いね、そういう人種と普段接触がないから折角の機会に観察させてもらうよ。

さて、依頼は僕の身辺警護だ。
国の連中は例の猫騒動で騒がしいし、図書館の司書に業務外の仕事を頼む訳にもいかない。
融通のきく護衛を雇いたいってことだ。

目的地は、港町ガンナ・エントラータ。そこの領主の邸に用があってね。
君たちは邸宅に入れないから邸宅前まで送ってもらえればいい。
終わった後は、もちろん僕が邸に帰るまで送り届けてもらうよ。
要件は一、二時間で終わる。
それまで邸の入口で待機していても、街を見て回ってくれてもいい。
邸の中は頭のおかしい領主の設計で安全だろう。その間の護衛は要らないからね。

ん?
そこに何の用かって?
ハンターくん、君ね……
『それが解らなきゃ僕を守れない程度の実力』なら僕の護衛は務まらないんじゃないかな?
まぁいい、行こう。時間は有限だ。

●目的
フリュイ・ド・パラディの警護

●経路
アークエルス転移門→王都転移門→ガンナ・エントラータ転移門
そこから徒歩で領主邸に向かいます。
その街なかを徒歩で移動するルート上の身辺警護を依頼します。
アークエルスは自分のテリトリーですが、それ以外の場所は基本信用していないか、或いは自分の価値を正しく理解したうえでの用心でしょう

●プレイヒント(遊び方)
1)フリュイと道中のお話を“楽しんで”頂けます(ただし彼はOPの通りの性格です)
2)ガンナ・エントラータの街を見回ったり、調査など街でしたい事があればして頂いて構いません
3)あくまで目的は「要人警護」です。警護をお忘れなきよう
他、面白そうな事は挑戦して頂いて構いませんが、採用可否はDivのジャッジによります

●ガンナ・エントラータとは?
ヘクスが領主を務める港街です

●PL情報
ヘクスは今、この街に居ません

マスターより

大変ご無沙汰しております!王国Divの藤山です。

物事の本質を見抜くには、冷静に情報を集めて精査し、見極める目が必要ですが、
もう皆さんがご存じの通り、猫譚は可愛い猫が出てくるだけのコミカル連動ではないです。
それはあくまで「面の皮一枚目」。
【猫譚】は、ベリアル関連なら【黒祀】に、法術関連なら【聖呪】【審判】に連なる系譜。
これが何を意味するかは後日明らかになると思いますが、要は「無駄なものは何一つない」ということです。

さぁ、そこへきてこの依頼。
当然、『世界はこの好機を無為にする事もできる』わけですが
もし皆さんに『この世界で為さんとする事』があるならば、この依頼、どうやら利用価値がありそうです。
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2016/11/19 11:20

参加者一覧

  • 魂の反逆
    ウィンス・デイランダール(ka0039
    人間(紅)|18才|男性|闘狩人
  • 聖癒の奏者
    マリエル(ka0116
    人間(蒼)|16才|女性|聖導士
  • 古塔の守り手
    クリスティア・オルトワール(ka0131
    人間(紅)|22才|女性|魔術師
  • all-rounder
    ラスティ(ka1400
    人間(蒼)|20才|男性|機導師
  • 黒の懐刀
    誠堂 匠(ka2876
    人間(蒼)|25才|男性|疾影士
  • 友と、龍と、翔る
    グリムバルド・グリーンウッド(ka4409
    人間(蒼)|24才|男性|機導師

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/11/05 02:23:58
アイコン 相談卓
誠堂 匠(ka2876
人間(リアルブルー)|25才|男性|疾影士(ストライダー)
最終発言
2016/11/06 14:33:53