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「この山は……大丈夫ですね」
「ふう、やっと終わりか。流石に多かったな」
　ここは極彩色の街、ヴァリオス。そのある店の軒先で、男女が会話をしていた。
　二人の周囲にはうず高く積まれた本、本、本。どうもこの本の検品をしていたようだ。
「旦那様、あとは馬車に積み込むだけですね」
「そうだな、モア。もうひと仕事だ！」
　淡々とした口調で語っている女性の方がモア・プリマクラッセ(kz0080)。この店の番頭であり、ハンターオフィスの受付嬢も務めている。
　そしてヒゲを生やした男のほうがバロテッリ。この店、バロテッリ商会の会頭だった。

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　二人を中心に商会の者達は本をどんどん積み込んでいく。そんな時、慌てて駆け込んでくる男が居た。
　モアはその男を呼び止め、二、三言会話を交わす。
　そして会話を終えた彼女はバロテッリにこう話しかけた。
「旦那様、魔術師協会の方が見られました。取引は中止です」
「はぁーーー？！　何だと？！」
　バロテッリの大声がこの街中に響き渡っていた。

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「一体全体どういうことなんだ、モア！」
「どうも魔術師協会の図書館で大規模な崩落があり、とても新しい書物を受け入れられる状態ではないとのことです」
　崩落と言っても、山が崩れて岩が降って来たわけではない。魔術師協会の図書館といえばこのクリムゾンウェストの中でもトップクラスの蔵書数を誇っている。蔵書がそれだけあるのはいいのだが、当然それを何処かに収めなければいけない。結果信じがたいほど高い本棚が幾つも用意され、そしてその高い本棚が一つ崩れればドミノ倒しの要領で蔵書がぶちまけられる、とこういったことだった。
「おいおい、勘弁してくれよ……ともかく、この本を一刻も早く受け入れてもらわねぇとな。とてもじゃないが商会で全部預かっておける量じゃねぇぞ」
　物をただ置いておくだけでその場所でできたはずの商売ができなくなり、損失が生じる。商人というのは金銭にシビアなのだ。
「……旦那様、それではこうしましょう。蔵書を元に戻すサービスも付けましょう。もちろんサービス料も頂きますが」
「まあ確かにそうすりゃ解決だが、それを誰がやるんだ？　あそこの書物は魔術師協会の連中によって下手に扱ったら酷い目に合う仕掛けが施されてるんだろ？」
「幸い、ハンターオフィスには新規登録されたハンターの方も沢山います。そういった方々にこの仕事はちょうどいいのではないでしょうか」

　こうしてハンターオフィスに魔術師協会図書館の蔵書の棚卸しという仕事が貼り出されたのだった。
　しかしこの仕事がとんでもないことになるとは、このときは誰も予想できなかったのであった。

●目的
　魔術師協会図書館の蔵書を棚卸しして整頓してください。
　すでに崩落しているので蔵書へのダメージは発生していますが、それ以上のダメージが出来るだけ少なく整頓することが求められます。

●内容
　というわけでグチャグチャになった蔵書を適切な形で整頓し、本棚に納めれば仕事は完了です。
　本棚は既にありますが、それらが倒れてしまっている状況なのでこれらを起こす必要もあります。
　そしてもちろん、仕事はこれだけでは終わりません。

●他に起こること
　ここからの情報はPL情報です。

▼書物に仕掛けられたトラップの発動
　OPでバロテッリが話していた仕掛けです。重大な情報が含まれた書物などは、万が一盗まれたりしても大丈夫なように適切な方式に則って開かないとトラップが発動するようになっています。
　しかし、書物の中を少し見て内容を確認しないと整頓はできません。
　皆さんには仕事に向かう前にこういったトラップの可能性がモアから伝えられますので、内容を予想してそれに対する対処法などをプレイングに盛り込んでください。

▼スライム
　魔術師によって仕掛けられたトラップが本の内部で暴走した結果、ある本を開いた瞬間スライムが飛び出してきます。
　これでは図書館が使えませんし、スライムによって本が溶かされる危険もありますのでこれらを討伐してください。
　数は10匹登場します。なお、このスライムは火属性が弱点ですが、ここは図書館ですので火の取扱にはくれぐれも注意してください。

●補足
　質問への回答担当としてモア・プリマクラッセが関連付けられています。
　何かありましたら、質問卓を立ててご質問ください。

　皆さんこんにちは、初めましての方は初めまして。ｃｒです。
　というわけで今回は【初心】シナリオとしてこのような内容をご用意いたしました。
　本を大切に扱いつつスライム退治、一緒にやらなければいけないのがハンターの辛い所ですが、きっと実りある仕事になるでしょう。頑張ってください。
　それでは皆さんのご参加をお待ちしております。