ゲスト
(ka0000)
【剣機】禁断の果実VSおばけ南瓜
マスター:稲田和夫

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 4~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2014/09/27 07:30
- リプレイ完成予定
- 2014/10/06 07:30
オープニング
深夜、ゾンネンシュトラール帝国南部。ズューデンアイセル州とズェーデン・ユーベルヴァルン州の州境付近を走る街道を一台の機導トラックが疾走していた。
機導トラックはクリムゾンウェストにおいては最新技術であり、それをこのように走らせているのは帝国軍に他ならない。
運転席に座るのも、背後の荷台で揺られているのも完全武装の帝国兵たちだ。
皆、疲労が蓄積しているのか一様に疲れ切った様子。
と、ゴーグル越しに周囲を経過していた運転手は街道沿いに人影を発見して訝しんだ。
「エルフ……?」
いわゆるスチームパンクと言えば解り易いのか。
リアルブルーでいうヴィクトリア朝風の装飾のスカートに、やや軽装な上半身。そして目の上に上げたゴーグル。
しかし、その長く優美な耳は間違いなくエルフのものだった。
「珍しいな。確かに、エルフハイムのあるオーバーエルヴィンバルトは近いが……」
「いや、あの格好はハンターだろ? そうでなけりゃあの連中がこんな時間に一人で出歩くかよ」
やがて、エルフもトラックの方を見た。機械、そして帝国兵といういかにも彼女らが嫌っていそうなものに遭遇していながら、エルフは屈託の無い笑顔を浮かべて礼儀正しく挨拶して来た。
運転手はそれを眺めながら、トラックを街道の道標の前で停車させた。単に、次の後退までにもう一度休憩をとるためだったがエルフの方も足を止めた。
「……」
改めて、車を降りた兵士は少々戸惑った。こういう場合はお互いに無関心で通り過ぎるのが普通だからだ。
「大丈夫ですか……? 随分お疲れですね」
先に口を開いたのはエルフだった。社交辞令ではなく、本当に兵士の顔色を心配しているらしい。
「ああ、まあ選挙に剣機リンドヴルムとこう立て続けに起きてはな」
兵士たちは、つい先日まである都市での投票の警備に当たっていた。それがようやく終わったと思ったら、今度は剣機の襲来だ。
エルフの少女も表情を曇らせた。
「実は、私もなんです」
つい最近ハンターになったばかりの彼女は自由都市同盟で起きた狂気(ワァーシン)との戦いに新米ハンターとして参加した。
その後は世界を回るつもりであったが、祖国で今回の選挙が実施されると聞いて、初仕事の報告を兼ねて一旦我が家に戻る道中であった。
そこに、今回の剣機の襲来が重なり胸騒ぎを覚えていたのだ。
そんなこんなで、両者がお互いの身の上を語り終える頃には、トラックは再び走りだし、エルフの少女は助手席に座っていた。
「す、すみません……」
恐縮する少女。
「いや、こちらこそ。これも何かの縁だろうし……何より本当に助かった」
運転手はそう言って、口の中の干しリンゴを咀嚼した。
そう、この部隊は剣機襲来の影響で予定外の行軍を強いられたことにより、一時的に携行していた食糧が底をついてしまったのだ。
無論、実際には一食食べられないだけで直ぐに補給できる見込みではあったのだが、疲れ切った身体には一食だけでも堪える。
そこに、少女が携行していた干し林檎を振る舞ってくれたという訳だ。まだ、帝国兵には馴染みの無い文化だがドライフルーツの行動食としての有用性は高い。まして、この林檎はこの状態でも解るほど絶品だった。
「良かった……ずっと持っていたんですけど、悪くなりそうだから、こうしたんです。これで、お爺ちゃんも喜んでくれるっ!」
「なるほど、君の所は祖父もエルフにしては変わっているんだな。そうだ、名前は?」
「あ、私はエーブルグリューネですっ! 長いので、エリネでも良いですよ。よろしくお願いしますねっ」
運転手も何か言おうとした。だが、奇妙なものが視界に入りそちらに気を取られる。
「あれは……猿?」
それは、何とも奇妙な光景であった。
人間の肩にのるくらいの小型の猿が地面をとことこ走りながら、両手でその身体に比して大きい、目や口のような穴の空いたオレンジ色の南瓜(ジャック・オー・ランタン)を抱えているのだ。
「避けてっ!」
疲労もあり、一瞬考え込んだ運転手にリネが怒鳴った。
「!?」
「あれは、何かおかしいです! 良く無い物です!」
あるいは、マテリアルに敏感なエルフだからこそ何かを感じたのか。
次の瞬間運転手は全身の毛が逆立つ感覚を覚えた。
まるで南瓜を放り投げるかのように高く掲げた猿には、首が無かった。咄嗟の反応でハンドルを切る運転手。
直後、爆発が車を襲った。
●
暗い街道の向こうから、爆発の震動が響いた時、あなた方は街道から少し外れた雑木林の中にいた。
眼前には、巨大な鉄の箱、いわゆる輸送用のコンテナが木をへし折り、地面にめり込んでいる。その扉はすでに開かれ、中は蛻の空だ。
あなたたちが州境付近に巨大な飛行する影が出現し、何か巨大な物を落して飛び去ったので調査するという依頼を受けて、現地に辿り着いて発見したのがこれだ。
同様の事態は帝国各地で報告されており、そこには必ず暴食の歪虚の存在があった。であれば今回も――。
胸騒ぎを感じて、爆発の合った方向に急いだあなたたちが見たのは、爆発の衝撃で横転した帝国軍のトラック。
負傷した仲間を守るように密集する兵士。
そして、闇の中から飛び跳ねるように湧いてくる、南瓜頭を抱えた首の無い猿と、それを指揮するこれまた南瓜頭を手にした首の無いゾンビだ。
その異様な光景に一瞬躊躇するあなたたちの足元に、猿が走り寄ろうとする。
直後、エリネが放った矢が、猿の体を貫く。猿がその場に倒れると、いきなり南瓜頭が爆発した。
「気をつけてください! この歪虚たちは爆発しますっ!」
エリネはあなたたちに叫んで、また矢を構える。
だが、そこに怪我をした運転手の叫びが重なった。
「無闇に撃つな!」
エリネははっとなって周囲を見た。歪虚の一団が立つ向こう側には、もう少しで収穫を迎える小麦畑が広がっていた。
「そんな……」
普通のエルフなら、気にもとめないだろう。だが、彼女にはそれがどれだけ大切なものなのか容易に解った。
そんな彼女をあざ笑うかのように、歪虚たちは徐々に散開して畑や、その奥にある村にも向かうような様子を見せるのだった。
機導トラックはクリムゾンウェストにおいては最新技術であり、それをこのように走らせているのは帝国軍に他ならない。
運転席に座るのも、背後の荷台で揺られているのも完全武装の帝国兵たちだ。
皆、疲労が蓄積しているのか一様に疲れ切った様子。
と、ゴーグル越しに周囲を経過していた運転手は街道沿いに人影を発見して訝しんだ。
「エルフ……?」
いわゆるスチームパンクと言えば解り易いのか。
リアルブルーでいうヴィクトリア朝風の装飾のスカートに、やや軽装な上半身。そして目の上に上げたゴーグル。
しかし、その長く優美な耳は間違いなくエルフのものだった。
「珍しいな。確かに、エルフハイムのあるオーバーエルヴィンバルトは近いが……」
「いや、あの格好はハンターだろ? そうでなけりゃあの連中がこんな時間に一人で出歩くかよ」
やがて、エルフもトラックの方を見た。機械、そして帝国兵といういかにも彼女らが嫌っていそうなものに遭遇していながら、エルフは屈託の無い笑顔を浮かべて礼儀正しく挨拶して来た。
運転手はそれを眺めながら、トラックを街道の道標の前で停車させた。単に、次の後退までにもう一度休憩をとるためだったがエルフの方も足を止めた。
「……」
改めて、車を降りた兵士は少々戸惑った。こういう場合はお互いに無関心で通り過ぎるのが普通だからだ。
「大丈夫ですか……? 随分お疲れですね」
先に口を開いたのはエルフだった。社交辞令ではなく、本当に兵士の顔色を心配しているらしい。
「ああ、まあ選挙に剣機リンドヴルムとこう立て続けに起きてはな」
兵士たちは、つい先日まである都市での投票の警備に当たっていた。それがようやく終わったと思ったら、今度は剣機の襲来だ。
エルフの少女も表情を曇らせた。
「実は、私もなんです」
つい最近ハンターになったばかりの彼女は自由都市同盟で起きた狂気(ワァーシン)との戦いに新米ハンターとして参加した。
その後は世界を回るつもりであったが、祖国で今回の選挙が実施されると聞いて、初仕事の報告を兼ねて一旦我が家に戻る道中であった。
そこに、今回の剣機の襲来が重なり胸騒ぎを覚えていたのだ。
そんなこんなで、両者がお互いの身の上を語り終える頃には、トラックは再び走りだし、エルフの少女は助手席に座っていた。
「す、すみません……」
恐縮する少女。
「いや、こちらこそ。これも何かの縁だろうし……何より本当に助かった」
運転手はそう言って、口の中の干しリンゴを咀嚼した。
そう、この部隊は剣機襲来の影響で予定外の行軍を強いられたことにより、一時的に携行していた食糧が底をついてしまったのだ。
無論、実際には一食食べられないだけで直ぐに補給できる見込みではあったのだが、疲れ切った身体には一食だけでも堪える。
そこに、少女が携行していた干し林檎を振る舞ってくれたという訳だ。まだ、帝国兵には馴染みの無い文化だがドライフルーツの行動食としての有用性は高い。まして、この林檎はこの状態でも解るほど絶品だった。
「良かった……ずっと持っていたんですけど、悪くなりそうだから、こうしたんです。これで、お爺ちゃんも喜んでくれるっ!」
「なるほど、君の所は祖父もエルフにしては変わっているんだな。そうだ、名前は?」
「あ、私はエーブルグリューネですっ! 長いので、エリネでも良いですよ。よろしくお願いしますねっ」
運転手も何か言おうとした。だが、奇妙なものが視界に入りそちらに気を取られる。
「あれは……猿?」
それは、何とも奇妙な光景であった。
人間の肩にのるくらいの小型の猿が地面をとことこ走りながら、両手でその身体に比して大きい、目や口のような穴の空いたオレンジ色の南瓜(ジャック・オー・ランタン)を抱えているのだ。
「避けてっ!」
疲労もあり、一瞬考え込んだ運転手にリネが怒鳴った。
「!?」
「あれは、何かおかしいです! 良く無い物です!」
あるいは、マテリアルに敏感なエルフだからこそ何かを感じたのか。
次の瞬間運転手は全身の毛が逆立つ感覚を覚えた。
まるで南瓜を放り投げるかのように高く掲げた猿には、首が無かった。咄嗟の反応でハンドルを切る運転手。
直後、爆発が車を襲った。
●
暗い街道の向こうから、爆発の震動が響いた時、あなた方は街道から少し外れた雑木林の中にいた。
眼前には、巨大な鉄の箱、いわゆる輸送用のコンテナが木をへし折り、地面にめり込んでいる。その扉はすでに開かれ、中は蛻の空だ。
あなたたちが州境付近に巨大な飛行する影が出現し、何か巨大な物を落して飛び去ったので調査するという依頼を受けて、現地に辿り着いて発見したのがこれだ。
同様の事態は帝国各地で報告されており、そこには必ず暴食の歪虚の存在があった。であれば今回も――。
胸騒ぎを感じて、爆発の合った方向に急いだあなたたちが見たのは、爆発の衝撃で横転した帝国軍のトラック。
負傷した仲間を守るように密集する兵士。
そして、闇の中から飛び跳ねるように湧いてくる、南瓜頭を抱えた首の無い猿と、それを指揮するこれまた南瓜頭を手にした首の無いゾンビだ。
その異様な光景に一瞬躊躇するあなたたちの足元に、猿が走り寄ろうとする。
直後、エリネが放った矢が、猿の体を貫く。猿がその場に倒れると、いきなり南瓜頭が爆発した。
「気をつけてください! この歪虚たちは爆発しますっ!」
エリネはあなたたちに叫んで、また矢を構える。
だが、そこに怪我をした運転手の叫びが重なった。
「無闇に撃つな!」
エリネははっとなって周囲を見た。歪虚の一団が立つ向こう側には、もう少しで収穫を迎える小麦畑が広がっていた。
「そんな……」
普通のエルフなら、気にもとめないだろう。だが、彼女にはそれがどれだけ大切なものなのか容易に解った。
そんな彼女をあざ笑うかのように、歪虚たちは徐々に散開して畑や、その奥にある村にも向かうような様子を見せるのだった。
解説
★敵
暴食(フェレライ)「ジャック・ザ・インフェルノ」×1
頭部がジャック・オー・ランタンになったデュラハン。朽ち果てたボディは鉄板で補強され関節部からは歯車が覗くなど機導によって強化されている事が解る。
首の切り口では機械的に改造されノズルのようになっており、強い可燃性を持った液体を噴出する。
右手で保持している南瓜頭の頭部は口の部分からは強力な火炎を放射し、目からは単発の銃弾を発射する。頭部自体が自爆可能。
なお、デュラハンというのは比喩であり、暴食の眷属の分類は『動く死体型』で間違いない。普通に本体を破壊すれば活動は止まる。
可燃性の液体については、厳密には違うがいわゆるガソリンのようなものを想像すれば間違いない。
ジャック・モンキー×6
小型の猿の首なし死体がゾンビ化したもの。それ自体が爆弾である小さな南瓜頭を両手で抱えて走り回る。
やはり所々強化されているが基本的には雑魚。回避と移動力に特化している爆弾である。
★作戦区域
帝国の南端部、ズューデンアイセル州とズェーデン・ユーベルヴァルン州の境界付近の街道。夜間。所々に針葉樹が生えている平地。
すぐ近くには破壊され横転した機導トラック。そして、街道の南側には収穫前の小麦畑が広がっている。その更に奥には小規模な集落がある。
★NPC
エーブルグリューネ
エルフのイェーガー
主な装備は短剣と弓。
基本的にはOP通り誰にでも優しく接する子。エルフにしては珍しく林檎の「栽培」に凝っている祖父を持ち、出会う人に持っている林檎を振る舞おうとすることが多い。
「狂気の海魔と禁断の果実」に登場。
・帝国兵士
十名前後。いずれも、最初の攻撃で大なり小なり傷を受けている。また、覚醒者は含まれていない。
★判定
敵の全滅は最低ライン。帝国兵や畑の被害も勘案して判定する。
暴食(フェレライ)「ジャック・ザ・インフェルノ」×1
頭部がジャック・オー・ランタンになったデュラハン。朽ち果てたボディは鉄板で補強され関節部からは歯車が覗くなど機導によって強化されている事が解る。
首の切り口では機械的に改造されノズルのようになっており、強い可燃性を持った液体を噴出する。
右手で保持している南瓜頭の頭部は口の部分からは強力な火炎を放射し、目からは単発の銃弾を発射する。頭部自体が自爆可能。
なお、デュラハンというのは比喩であり、暴食の眷属の分類は『動く死体型』で間違いない。普通に本体を破壊すれば活動は止まる。
可燃性の液体については、厳密には違うがいわゆるガソリンのようなものを想像すれば間違いない。
ジャック・モンキー×6
小型の猿の首なし死体がゾンビ化したもの。それ自体が爆弾である小さな南瓜頭を両手で抱えて走り回る。
やはり所々強化されているが基本的には雑魚。回避と移動力に特化している爆弾である。
★作戦区域
帝国の南端部、ズューデンアイセル州とズェーデン・ユーベルヴァルン州の境界付近の街道。夜間。所々に針葉樹が生えている平地。
すぐ近くには破壊され横転した機導トラック。そして、街道の南側には収穫前の小麦畑が広がっている。その更に奥には小規模な集落がある。
★NPC
エーブルグリューネ
エルフのイェーガー
主な装備は短剣と弓。
基本的にはOP通り誰にでも優しく接する子。エルフにしては珍しく林檎の「栽培」に凝っている祖父を持ち、出会う人に持っている林檎を振る舞おうとすることが多い。
「狂気の海魔と禁断の果実」に登場。
・帝国兵士
十名前後。いずれも、最初の攻撃で大なり小なり傷を受けている。また、覚醒者は含まれていない。
★判定
敵の全滅は最低ライン。帝国兵や畑の被害も勘案して判定する。
マスターより
お世話になっております。稲田です。
エーブルグリューネは「青林檎」という意味になります。
持っているナイフは戦闘用では無く、その場で林檎を捌くためらしい。
炎を撒き散らす改造ジャック・オー・ランタンが相手で、怪我人に畑、そしてゲストがエルフととっても火器厳禁な依頼となっております。
そういえば、こういう戦闘依頼は何だか久し振りな気がします。
では、興味を持っていただければ幸いです。
エーブルグリューネは「青林檎」という意味になります。
持っているナイフは戦闘用では無く、その場で林檎を捌くためらしい。
炎を撒き散らす改造ジャック・オー・ランタンが相手で、怪我人に畑、そしてゲストがエルフととっても火器厳禁な依頼となっております。
そういえば、こういう戦闘依頼は何だか久し振りな気がします。
では、興味を持っていただければ幸いです。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2014/10/05 06:57
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2014/09/23 16:20:51 |
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相談卓 シュネー・シュヴァルツ(ka0352) 人間(リアルブルー)|18才|女性|疾影士(ストライダー) |
最終発言 2014/09/27 01:46:58 |