ゲスト
(ka0000)
『デュニクスから、あなた達へ』1
マスター:ムジカ・トラス

このシナリオは3日間納期が延長されています。
- シナリオ形態
- ショート
関連ユニオン
アム・シェリタ―揺籃館―- 難易度
- やや難しい
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在8人 / 4~8人
- ユニット参加人数
- 現在2 / 0~8
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2016/11/30 22:00
- リプレイ完成予定
- 2016/12/12 22:00
オープニング
●
王国西部、リベルタース地方。その中でもさらに北西に位置するデュニクスの郊外にある詰め所に、デュニクス騎士団の面々が揃っていた。
ところで。デュニクス騎士団は、騎士団の名を冠してはいるが、実際には出向組織という趣が濃い。
面々を見回してみよう。まず、主要な人物が三名。
レヴィン。頭髪前線後退中の、当騎士団団長。なお、青の隊所属のれっきとした騎士であり、覚醒者である。クラスは疾影士。
次いで、ポチョム。その体型はあまりに丸く、生活習慣病の気配は色濃いが、こちらも青の隊所属の騎士である。詳細は詳らかにはされていないが、どこぞの密偵であったという。彼も疾影士であり、その武技は壮烈の一言に尽きる。
最後に、ヴィサン。痩身痩躯。黒尽くめの衣装を好む彼もまた青の隊所属の騎士であり、元密偵。さらには疾影士であるという。暗器を駆使した暗殺術や奇襲を得手とする。
疾影士が三人。何がどうしてこうなったのかは定かではないが、時勢がそうさせたのだろう。青の隊の隊長と言えば、現在騎士団を束ねるゲオルギウスであるが――まぁ、厄介払いであることは、想像に難くない。
「……こ、困りました」
「困りましたな……」
押し黙っていた中で、レヴィンが唐突に口を開いた。ポチョムも、厚い脂肪に覆われた顔を悲しげに曇らせている。
「……クク。とは言え、此処で顔を突き合わせていても仕方がない」
ヴィサンがくつくつと嗤いながら呟けば、周りの面々も大きく肩を落とした。
この場には、彼ら三人の他に、性別不詳のオネエ系交渉役キャシーに、元グラズヘイム・シュバリエの職人という経歴を持つ鍛冶担当――現在では刻令ゴーレムのヨリシロ作製を担う――ヴェルド、騎士団のハウスキーピングを一手に担う東方系のメイド、アプリに、御年六四を数える教練担当、加齢性難聴まっしぐらのボルクス、が居る。
彼らに加えて、百余人を超える戦闘員を抱えたのが、今のデュニクス騎士団の面容である。
彼らは一様に、懊悩していた。
二年前には斜陽のただ中にあったデュニクスであるが、疎開に伴う人的流入や、その後の農地再建も加わり、復興の一途を辿っている。
それでも、懊悩していたのだ。なぜか。
彼らの前には、二つの手紙があった。
一つは、蠟で封印されたと思しき手紙。もう一つが、質素な紙に、丁寧な筆跡でしたためられた、メモ紙。
後者には。
『旅に出ます、探さないでください』
とだけ、書かれていたのだった。
●
その頃、手紙の主である女性――騎士団ではマリーベルで通している――は、なだらかな丘陵を歩いていた。細く艶やかな金髪を揺らし、碧眼には芯の強さが感じられる彼女は、一人、ではなかった。
その後方に、ハンター達が続いている。更には。
「……なんだか、寂れたとこだねぇ」
紅髪の鬼、アカシラ(kz0145)率いる、鬼たちの姿。
「周辺地域の情報を集めているうちに、見つけたんです」
軍容というには少ないが、精鋭揃いである集団を背に、弾む息を整えながら言う少女の視線の先――丘陵の先には、岩肌が覗いていた。荒い岩山へと、徐々に勾配が強くなっていく。
「歴史を紐解いていくと、この地方には、デュニクス以外にも要所がありました。そのうちの一つが、此処です」
遠目にも、それが見えた。その岩山には、明らかにひとの手が入っている。この丘陵にしてもそうだ。馬車の轍が確かに刻まれており、かつての往来を感じさせる。
山肌の麓へ向かうように、直に、なだらかに降りていくようになった。丘陵を抉るように刻まれたそれは、次第に擂鉢のように広がりを見せていく。
「廃坑になって久しいんですが……」
高所から見下ろすマリーベルは、周辺を見渡した。警戒の色が濃いのは――この場所が、それに足る危険地帯だからだ。
「今は、亜人達の住処になっています。最近では、歪虚達の進撃の余波で逃げ込んだ、という情報もあるようです」
もし、その時の彼女の横顔を見るものがいれば、気づいたかもしれない。
その表情には決意の色があった。しかし、同時に――後悔の色も、また。
「皆さんには、此処で私がすることに、協力していただきたいのです」
●
結局、妙案は出てこなかった。そもそもが、家出同然に消えてしまったのは、力も智慧もない少女とは違う。確固たる実力をもった女性が、本気で消えた。ならば、それを探すことなど、土台無理――否、無意味な話だ。
そこには、目的が在る筈なのだから。探し求めたとして、はいそうですか、と帰ってくるとは思えない。
だから、今は彼女がこなしていた膨大な仕事を捌きながら、待つしかないのだ。
「……信じていますよ、“クラリィ”様」
レヴィンは手元の手紙を眺めながら、そう呟くしか、なかった。
●
「改めての説明ですが、私達は坑道を進みます。内部の状況は不明です。亜人達の数も、実力も、明らかではない。ですが、私達はこの鉱山内にある、彼らの生活拠点の中枢までたどり着く必要があります」
内容の重さに、ハンター達はその望外な報酬を理解したかもしれない。つまりは、確実な口止め料と、達成難度、其の双方が相まっての事だ、と。そこで、アカシラが口を開いた。
「アタシらも、かい?」
「いえ……アカシラさん達には、私達の退路の確保と、この場での拠点化をお願いします」
「それで、コイツらか」
後方を仰ぎ見れば、Gnomeが二機。アカシラ達の手勢としては奇異な顔ぶれだったが、今回貸与された機体である。
「あなた方は各地で転戦していると伺ったので、こう言った仕事はお得意かな、と……」
「それは間違いじゃないさね。アタシらにとっちゃ、荒事も力仕事もそんなに変わりない、が……さて」
周辺を検分するアカシラの目が、細められ、手勢のいくらかを呼び集めた。あまり時間を掛けられる仕事ではない、という判断か、瞬く間に幾人かが散っていく。
その様をみて、マリーベルはハンター達に向き直った。
「これだけで安心できる情報ではありませんが、過日のベリアルの襲撃で、此処の亜人達も被害を受けているものと思われます。事実、彼らがベリアル配下の歪虚達を前に敗走した、という情報も。
だから――この場にいるのは、戦力として目を見張る程の存在はいないか、ごく少数である、と予想されています。かつて『茨小鬼』が猛威を振るいましたが、その規模の存在では、まずありません」
ただし、とマリーベルは言い添えた。
「戦闘は避けがたいですが、皆さんにお願いしたいのは、亜人達の、『無力化』です」
心苦しそうではあるが、やはり、強い意志をもって、彼女はこう結んだ。
「治療が不可能な程度の攻撃は絶対に行ってはいけません。それが出来なければ、この依頼はキャンセルしてください」
王国西部、リベルタース地方。その中でもさらに北西に位置するデュニクスの郊外にある詰め所に、デュニクス騎士団の面々が揃っていた。
ところで。デュニクス騎士団は、騎士団の名を冠してはいるが、実際には出向組織という趣が濃い。
面々を見回してみよう。まず、主要な人物が三名。
レヴィン。頭髪前線後退中の、当騎士団団長。なお、青の隊所属のれっきとした騎士であり、覚醒者である。クラスは疾影士。
次いで、ポチョム。その体型はあまりに丸く、生活習慣病の気配は色濃いが、こちらも青の隊所属の騎士である。詳細は詳らかにはされていないが、どこぞの密偵であったという。彼も疾影士であり、その武技は壮烈の一言に尽きる。
最後に、ヴィサン。痩身痩躯。黒尽くめの衣装を好む彼もまた青の隊所属の騎士であり、元密偵。さらには疾影士であるという。暗器を駆使した暗殺術や奇襲を得手とする。
疾影士が三人。何がどうしてこうなったのかは定かではないが、時勢がそうさせたのだろう。青の隊の隊長と言えば、現在騎士団を束ねるゲオルギウスであるが――まぁ、厄介払いであることは、想像に難くない。
「……こ、困りました」
「困りましたな……」
押し黙っていた中で、レヴィンが唐突に口を開いた。ポチョムも、厚い脂肪に覆われた顔を悲しげに曇らせている。
「……クク。とは言え、此処で顔を突き合わせていても仕方がない」
ヴィサンがくつくつと嗤いながら呟けば、周りの面々も大きく肩を落とした。
この場には、彼ら三人の他に、性別不詳のオネエ系交渉役キャシーに、元グラズヘイム・シュバリエの職人という経歴を持つ鍛冶担当――現在では刻令ゴーレムのヨリシロ作製を担う――ヴェルド、騎士団のハウスキーピングを一手に担う東方系のメイド、アプリに、御年六四を数える教練担当、加齢性難聴まっしぐらのボルクス、が居る。
彼らに加えて、百余人を超える戦闘員を抱えたのが、今のデュニクス騎士団の面容である。
彼らは一様に、懊悩していた。
二年前には斜陽のただ中にあったデュニクスであるが、疎開に伴う人的流入や、その後の農地再建も加わり、復興の一途を辿っている。
それでも、懊悩していたのだ。なぜか。
彼らの前には、二つの手紙があった。
一つは、蠟で封印されたと思しき手紙。もう一つが、質素な紙に、丁寧な筆跡でしたためられた、メモ紙。
後者には。
『旅に出ます、探さないでください』
とだけ、書かれていたのだった。
●
その頃、手紙の主である女性――騎士団ではマリーベルで通している――は、なだらかな丘陵を歩いていた。細く艶やかな金髪を揺らし、碧眼には芯の強さが感じられる彼女は、一人、ではなかった。
その後方に、ハンター達が続いている。更には。
「……なんだか、寂れたとこだねぇ」
紅髪の鬼、アカシラ(kz0145)率いる、鬼たちの姿。
「周辺地域の情報を集めているうちに、見つけたんです」
軍容というには少ないが、精鋭揃いである集団を背に、弾む息を整えながら言う少女の視線の先――丘陵の先には、岩肌が覗いていた。荒い岩山へと、徐々に勾配が強くなっていく。
「歴史を紐解いていくと、この地方には、デュニクス以外にも要所がありました。そのうちの一つが、此処です」
遠目にも、それが見えた。その岩山には、明らかにひとの手が入っている。この丘陵にしてもそうだ。馬車の轍が確かに刻まれており、かつての往来を感じさせる。
山肌の麓へ向かうように、直に、なだらかに降りていくようになった。丘陵を抉るように刻まれたそれは、次第に擂鉢のように広がりを見せていく。
「廃坑になって久しいんですが……」
高所から見下ろすマリーベルは、周辺を見渡した。警戒の色が濃いのは――この場所が、それに足る危険地帯だからだ。
「今は、亜人達の住処になっています。最近では、歪虚達の進撃の余波で逃げ込んだ、という情報もあるようです」
もし、その時の彼女の横顔を見るものがいれば、気づいたかもしれない。
その表情には決意の色があった。しかし、同時に――後悔の色も、また。
「皆さんには、此処で私がすることに、協力していただきたいのです」
●
結局、妙案は出てこなかった。そもそもが、家出同然に消えてしまったのは、力も智慧もない少女とは違う。確固たる実力をもった女性が、本気で消えた。ならば、それを探すことなど、土台無理――否、無意味な話だ。
そこには、目的が在る筈なのだから。探し求めたとして、はいそうですか、と帰ってくるとは思えない。
だから、今は彼女がこなしていた膨大な仕事を捌きながら、待つしかないのだ。
「……信じていますよ、“クラリィ”様」
レヴィンは手元の手紙を眺めながら、そう呟くしか、なかった。
●
「改めての説明ですが、私達は坑道を進みます。内部の状況は不明です。亜人達の数も、実力も、明らかではない。ですが、私達はこの鉱山内にある、彼らの生活拠点の中枢までたどり着く必要があります」
内容の重さに、ハンター達はその望外な報酬を理解したかもしれない。つまりは、確実な口止め料と、達成難度、其の双方が相まっての事だ、と。そこで、アカシラが口を開いた。
「アタシらも、かい?」
「いえ……アカシラさん達には、私達の退路の確保と、この場での拠点化をお願いします」
「それで、コイツらか」
後方を仰ぎ見れば、Gnomeが二機。アカシラ達の手勢としては奇異な顔ぶれだったが、今回貸与された機体である。
「あなた方は各地で転戦していると伺ったので、こう言った仕事はお得意かな、と……」
「それは間違いじゃないさね。アタシらにとっちゃ、荒事も力仕事もそんなに変わりない、が……さて」
周辺を検分するアカシラの目が、細められ、手勢のいくらかを呼び集めた。あまり時間を掛けられる仕事ではない、という判断か、瞬く間に幾人かが散っていく。
その様をみて、マリーベルはハンター達に向き直った。
「これだけで安心できる情報ではありませんが、過日のベリアルの襲撃で、此処の亜人達も被害を受けているものと思われます。事実、彼らがベリアル配下の歪虚達を前に敗走した、という情報も。
だから――この場にいるのは、戦力として目を見張る程の存在はいないか、ごく少数である、と予想されています。かつて『茨小鬼』が猛威を振るいましたが、その規模の存在では、まずありません」
ただし、とマリーベルは言い添えた。
「戦闘は避けがたいですが、皆さんにお願いしたいのは、亜人達の、『無力化』です」
心苦しそうではあるが、やはり、強い意志をもって、彼女はこう結んだ。
「治療が不可能な程度の攻撃は絶対に行ってはいけません。それが出来なければ、この依頼はキャンセルしてください」
解説
●目的
マリーベルを廃坑奥まで護送せよ
成功条件:マリーベルを廃坑の生活拠点まで護送する
失敗条件:亜人勢力の殺害
マリーベルの死亡・負傷
踏破失敗
●解説
亜人達の住処である廃坑奥の生活拠点まで攻略していただきます。
マリーベルは何らかの意図を持ってこの場に臨んでいると思われますが、その詳細は現時点では明らかにされていません。
参加に際しては、以下の用項を必ず遵守してください。
・敵対戦力は無力化すること。
・後に禍根が残るような重傷は負わせないこと。
廃坑内の情報は以下の通りです。探索の過程で明らかになる情報も含みます。
・照明は自然のマテリアル鉱石が仄かに光り、探索に支障がでることはありません。
・分岐や枝別れはあるが、細い道だけでなく所々に20Sq四方程度の広場があります。
・内部は生活拠点としては『整然』としています。
・坑道はサイズ2のユニットが通行可能な程度には広いです。
▼味方情報
マリーベル:非覚醒者。デュニクス騎士団で秘書を務める才媛女性。出身はデュニクス。その出生には何かわけがあるらしいが……?
アカシラ:凄腕の舞刀士。魔刀使い。今回は後詰。
アカシラ配下の鬼たち:オラオラ系の戦士団。クラスは脳筋系に偏っているが、何れも精鋭ぞろいである。
▼敵戦力
ゴブリン:小型〜大型の個体まで多岐に渡る。短剣から長剣まで幅広く使用。弓矢などは使用せず。
コボルド:ゴブリンと共生しているコボルド。爪牙も使用。
ジャイアント:サイズ2。ステゴロ系。
その他:不明。
▼その他
踏破失敗や緊急での撤退などは後詰のアカシラ達が対応します。
マスターより
お世話になっております、ムジカ・トラスです。
今回はデュニクスからの枝葉というか、分樹というか、そういう形のシナリオです。
この依頼から追いかけていただくだけでストーリー自体はついていける仕組みの連作にしようとおもっています。
よろしければ、お楽しみください。
さて。現時点では謎が残るシナリオですが、今後、その辺りは明かされていく予定です。
ただ、今回は諸々と時期が来たが故の、このシナリオです。よろしければ、共にお楽しみ頂けたら、と思います。
今回はデュニクスからの枝葉というか、分樹というか、そういう形のシナリオです。
この依頼から追いかけていただくだけでストーリー自体はついていける仕組みの連作にしようとおもっています。
よろしければ、お楽しみください。
さて。現時点では謎が残るシナリオですが、今後、その辺りは明かされていく予定です。
ただ、今回は諸々と時期が来たが故の、このシナリオです。よろしければ、共にお楽しみ頂けたら、と思います。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2016/12/14 06:13
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/11/27 23:31:26 |
|
![]() |
相談卓 柏木 千春(ka3061) 人間(リアルブルー)|17才|女性|聖導士(クルセイダー) |
最終発言 2016/11/30 01:38:43 |