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「渓流に見慣れない生物が現れた、との報告がありました」
　眼鏡の麗しい受付嬢・イルムトラウトは、地図を広げて一点を指し示した。
　王国と同盟との国境線上には大湖があり、同盟へはジェオルジへ向けて一本川が伸びている。位置的には、その支流に当たる場所だ。
「現状では特に被害がなく、曖昧な目撃情報だけが上がっているのですが……ヴォイドである可能性を考慮し、調査を行います」
　渓流はさほど流れも激しくなく、所々に段差はあるも落差は小さく、上流から小舟に乗りっぱなしでもまず転覆しないという。少し人里離れた位置にあるため頻繁に使われるわけではないが、レジャーとして川下りが可能な程度の場所だ。
　深いところで腰ほど、浅いところでは膝やや上ほどの水深で、溺れる心配もまずない。川幅は結構広く、勢いはかなり緩やかだ。小舟に乗って下るのであれば、大人の歩行程度の速度しか出ない。

　地元の釣り師も、よくここを訪れるという。目撃者は釣りの帰りがけに見かけたのだとか。見たこともない白い魚だったらしい。
　支流の上流から中腹ほどにかけて、点々と証言が出てきたため、今回の調査が企画された。
「個人的にはヴォイドの可能性は低いと見ていますが……何かあってからでは遅いですから」
　それなりの目撃情報の数に対して、被害が全くないというのはヴォイドにしては奇妙である、というのが彼女の意見だった。
　イルムはいつもの厳しい無表情のまま、淡々と説明を続けていく。

　調査は、主に小舟に乗って川を下っていくか、川べりを歩きながら調査するか、となる。
　調査範囲は支流一つだ。それなりに広い川幅の渓流をニ十数キロ程しらみ潰しというわけだから、恐らく何日か――イルム曰く一日ほど――は野営をする事になるだろう。テントなどの設備はソサエティから貸し出されるため、準備する必要はない。無理のない範囲での要求にも応じられる。
　地味だが、困難な依頼ではない。調査が終わった後にゆっくり遊ぶというのも手だ。
「今回は、私イルムトラウトも同行致します。お恥ずかしながら、私は戦闘力に乏しいので、有事の際には皆様を頼らなければなりません」
　イルムは小さく頭を下げた。
「ちょっとしたレジャーのつもりで気楽にして頂けると幸いです。では、よろしくお願い致します」

●目標
　渓流の未確認物体の確認

●情報
・目撃情報
　白い魚のようだった、という情報は共通しています。大きさはその時々でまばらですが、大きめの魚程度に収まっていることが多いです。
　尾が頭にもあった、平べったい頭部をしていた、とその他の情報は錯綜しています。

・環境
　流れの緩やかで段差も小さく、深すぎない程度の渓流です。緩く蛇行しています。
　清浄で、深い位置では魚も豊富です。人里からは少々遠いですが、釣りに来る人も多いです。
　周囲は森に囲まれています。

・日程
　到着が一日目昼となります。全員で集まって調査を進めればニ日の夕方には終わるでしょう。三日目の夕方には帰ります。
　持ち運べるサイズの小舟（ニ、三人乗り）で川の中央付近を、徒歩で川岸を探索します。
　調査が終わってからは自由時間です。

・人員
　イルムトラウトが同行します。イルムと略して構いません。
　必要なものや困ったことは彼女に任せると可能な限りで解決してくれます。

●アドバイス
　遊ぶ余裕は十分にあります。遊びにプレイングを割いても問題ありません。楽しんでください。
　イルムも誘われれば同行しますし、結構乗り気です。
　ですが戦闘の心構えくらいはしましょう。可能性はゼロではありません。

　えーてるです。今回は調査の名目で、アウトドアに遊びましょう。
　OPイラストは秋真っ盛りですが、まだ紅葉の時期ではないのでご注意ください。

　皆様の知力と活力の限りを尽くしたプレイングをお待ちしています。