ゲスト
(ka0000)
猫とマゴイと迷宮と
マスター:KINUTA

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在8人 / 4~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 6日
- プレイング締切
- 2016/12/13 19:00
- リプレイ完成予定
- 2016/12/22 19:00
オープニング
カチャはベッドから飛び起きた。いきなり顔に小さなものがくっついてきたので。
何事かと朝日に目をこらしてみれば、先日手に入れたパルムだった。
「むい、むいー」
「もう、びっくりさせないでくださいよ……」
ぶつくさ言って再び布団を被ろうとするカチャ。
パルムはその端を引っ張り、時計を指さした。
現在6時45分。
「……まずい寝過ごしたー!」
慌てて布団を跳ね飛ばし、着替えにかかる。部屋主であり同居人であり後見人であるアレックスの声が聞こえてきた。
「おーい、いつまで寝てんだ。トースト冷めるぞ」
「はいはーい」
着替えてから洗面台に向かい、顔を洗う。
「わー、水冷たっ」
タオルを取って顔を拭きかけた彼女は、吹いた。鏡の中に別人の顔が映っていたので。
長い黒髪をだらりと垂らした、白い細面の女……。
「ええっ! え、マゴイ? なんで?」
狼狽する彼女にマゴイは、声をかけてきた。
『ああ……丁度いい……ちょっと……手伝って……』
「嫌です」
『……まだ何を手伝ってもらうか……説明もしてないわよ……』
「説明されなくても大体察しがつきますよ。どうせあれでしょう、また指輪にまつわる話とか指輪に関する話とか指輪にからんだ話とか話なんでしょう?」
『……違うわよ……随分考えたんだけど……私は……彼に……やはり本当のことを……言っておくべきだと思うのよね……だから……まあ……細かい話は後にして……とにかく借りるわ……その体……』
●
起きたらしき気配がしたのに、リビングに出てこない。
一体どうしたのだろうと訝しがるアレックスの耳に、玄関のドアが開く音が聞こえた。続けて階段を下りて行く音。
窓を開け見下ろせば、カチャが通りをすたすた歩いて行くところ。
「おい、カチャ? 飯食わないのかー?」
パルムを肩に乗せたカチャが、ちらりとアレックスを見上げる。
『……いらない……』
そう言い残し、通りの向こうに消えた。
アレックスは窓から身を引き、一人ごちる。
「あいつ……なんか額に描いてなかったか?」
声も少し変だったような気がするが、風邪でも引いたのだろうか。
●
「腹立つわ。腹立つわー。どいつもこいつも俺をなんやと思うてんねん、猫やないぞ、人やぞ!」
スペットは腹を立てていた。指輪が勝手に使用制限をかけられたのもさることながら、それでも自分に返そうとしない魔術師協会の対応に、納得いかなくて。
そんな彼のなだめ役は、魔術協会職員のタモン。
「ええ、そこは十分分かっています。間違いなく刑期が明けてから返却しますので、ご辛抱いただけますと」
「やかましわ! 刑期明けるのに後何年かかると思うとんねん!」
「とりあえず差し入れを持参いたしましたので……どうぞひとつお納めを」
「そないなもんで誤魔化されへんぞ! 指輪返せ指輪!」
「まあまあそう言わずに。ウナギパイです」
「……くれるというならもろとこか」
菓子折りで機嫌を取り結びつつ、奉仕活動の依頼。
「妙な事件が起きましてね。ハンターオフィスのほうから魔術師協会に、助力依頼が来ました。ご協力いただけますか?」
「どんな事件やねん。また歪虚か」
「いいえ。そうではなくて……」
●
突如町中に現れた異変。
現場に訪れたハンターたちは、目をこする。
彼らの目に映るのは一つの建物。
横長の四階建て。一階が商店、二階から上が借間。最上階の上には屋根裏部屋。屋根の上には煙突が何本も立ち並ぶという、ごくありふれた作りの建物。
しかし今それは、三次元空間に対し反逆を起こしていた。
一階部分が屋根と青空。
商店部分が最上階。。
煙突は壁から横向きに突き出、横向きに煙を吐き出す。
窓も扉も上下左右勝手な方向を向いて、てんでばらばらに張り付いている。
「なんかこれ、見てると酔ってくるな……」
「中の人はどうなってるのかが心配ですねー」
「魔術師協会から、専門家が来るはずだったな?」
噂をすれば、スペットがやって来た。
「うおっ、なんやこれ!」
そこで横向きになった窓の一つが開き、住人が顔を出した――横向きに。
「おい、助けてくれ! 一体全体どうなっているんだ!」
どうやら見かけばかりでなく内部も、天地の法則が無視されているらしい。
●
ハンターたちは開いた窓にハシゴをかけ、住民を救出した。それから、中に入ってみた。
外から見た以上に空間がこんがらがっている。下り階段かと思ったら上っていたり、上り階段かと思ったら下っていたり、ドアを開ければ室内のはずなのに青空だったり。まるで、だまし絵の世界に迷い込んだみたい。
今自分たちは上下左右どの方向に向け立っているのか……という疑問は早々に投げ捨てた。キリがなくなるので。
スペットを先導役にして、進む。
建物内部で身動きが取れずにいた住人が、ハンターたちの姿を見て、助けを求めてきた。
「すいません、私も一緒に連れてってください!」
「どこから出ればいいんだね!」
そんな人たちを見つけるたび、通ってきたルートを引き返し、外に出させる。
「おい、スペット。結界ならお手の物だろ。どうにかならんのか」
「待てや。目茶苦茶複雑な結界やねんぞこれ。誰やこんな因業なもん作りよったんは……」
と言いかけてスペットは、はっと首を巡らせた。つられて皆も首を巡らせる。
カチャが壁にもたれて立っていた。額に目玉のような模様が浮き出ている――彼女がいつからそこにいたのか、誰にもまるで分からなかった。
スペットが、ぶわっと顔の毛を膨らませる。
「マゴイ、マゴイやなお前!」
『……その通り……』
「その通りやあらへんわ! 俺を人間の顔に戻せや!」
『……それは……出来ない相談……前の顔のデータは……もう……どこにも存在しない……完全消去された……』
「ななななん何やとぉ! お前人のこと勝手にこないな顔にしたくせにふざけんなや!」
いきりたつスペットにカチャは、いやマゴイは言った。
『……なるほど……自分がそうされた理由も……忘れてるわけね……これは……話が長くなりそう……』
とりあえずね、と彼女は続ける。
『……まず大前提として……あなた……この世界の人間じゃ……ないのよね……私と同じで……エバーグリーンの……住人よ……』
その目は、鏡のようにまっ平らだった。
『……あなたは共同体生活に……適合出来ない人間だった……そういう人には……動物の顔を……与えて……共同体から切り離すのが……私たちの国の……決まり……』
何事かと朝日に目をこらしてみれば、先日手に入れたパルムだった。
「むい、むいー」
「もう、びっくりさせないでくださいよ……」
ぶつくさ言って再び布団を被ろうとするカチャ。
パルムはその端を引っ張り、時計を指さした。
現在6時45分。
「……まずい寝過ごしたー!」
慌てて布団を跳ね飛ばし、着替えにかかる。部屋主であり同居人であり後見人であるアレックスの声が聞こえてきた。
「おーい、いつまで寝てんだ。トースト冷めるぞ」
「はいはーい」
着替えてから洗面台に向かい、顔を洗う。
「わー、水冷たっ」
タオルを取って顔を拭きかけた彼女は、吹いた。鏡の中に別人の顔が映っていたので。
長い黒髪をだらりと垂らした、白い細面の女……。
「ええっ! え、マゴイ? なんで?」
狼狽する彼女にマゴイは、声をかけてきた。
『ああ……丁度いい……ちょっと……手伝って……』
「嫌です」
『……まだ何を手伝ってもらうか……説明もしてないわよ……』
「説明されなくても大体察しがつきますよ。どうせあれでしょう、また指輪にまつわる話とか指輪に関する話とか指輪にからんだ話とか話なんでしょう?」
『……違うわよ……随分考えたんだけど……私は……彼に……やはり本当のことを……言っておくべきだと思うのよね……だから……まあ……細かい話は後にして……とにかく借りるわ……その体……』
●
起きたらしき気配がしたのに、リビングに出てこない。
一体どうしたのだろうと訝しがるアレックスの耳に、玄関のドアが開く音が聞こえた。続けて階段を下りて行く音。
窓を開け見下ろせば、カチャが通りをすたすた歩いて行くところ。
「おい、カチャ? 飯食わないのかー?」
パルムを肩に乗せたカチャが、ちらりとアレックスを見上げる。
『……いらない……』
そう言い残し、通りの向こうに消えた。
アレックスは窓から身を引き、一人ごちる。
「あいつ……なんか額に描いてなかったか?」
声も少し変だったような気がするが、風邪でも引いたのだろうか。
●
「腹立つわ。腹立つわー。どいつもこいつも俺をなんやと思うてんねん、猫やないぞ、人やぞ!」
スペットは腹を立てていた。指輪が勝手に使用制限をかけられたのもさることながら、それでも自分に返そうとしない魔術師協会の対応に、納得いかなくて。
そんな彼のなだめ役は、魔術協会職員のタモン。
「ええ、そこは十分分かっています。間違いなく刑期が明けてから返却しますので、ご辛抱いただけますと」
「やかましわ! 刑期明けるのに後何年かかると思うとんねん!」
「とりあえず差し入れを持参いたしましたので……どうぞひとつお納めを」
「そないなもんで誤魔化されへんぞ! 指輪返せ指輪!」
「まあまあそう言わずに。ウナギパイです」
「……くれるというならもろとこか」
菓子折りで機嫌を取り結びつつ、奉仕活動の依頼。
「妙な事件が起きましてね。ハンターオフィスのほうから魔術師協会に、助力依頼が来ました。ご協力いただけますか?」
「どんな事件やねん。また歪虚か」
「いいえ。そうではなくて……」
●
突如町中に現れた異変。
現場に訪れたハンターたちは、目をこする。
彼らの目に映るのは一つの建物。
横長の四階建て。一階が商店、二階から上が借間。最上階の上には屋根裏部屋。屋根の上には煙突が何本も立ち並ぶという、ごくありふれた作りの建物。
しかし今それは、三次元空間に対し反逆を起こしていた。
一階部分が屋根と青空。
商店部分が最上階。。
煙突は壁から横向きに突き出、横向きに煙を吐き出す。
窓も扉も上下左右勝手な方向を向いて、てんでばらばらに張り付いている。
「なんかこれ、見てると酔ってくるな……」
「中の人はどうなってるのかが心配ですねー」
「魔術師協会から、専門家が来るはずだったな?」
噂をすれば、スペットがやって来た。
「うおっ、なんやこれ!」
そこで横向きになった窓の一つが開き、住人が顔を出した――横向きに。
「おい、助けてくれ! 一体全体どうなっているんだ!」
どうやら見かけばかりでなく内部も、天地の法則が無視されているらしい。
●
ハンターたちは開いた窓にハシゴをかけ、住民を救出した。それから、中に入ってみた。
外から見た以上に空間がこんがらがっている。下り階段かと思ったら上っていたり、上り階段かと思ったら下っていたり、ドアを開ければ室内のはずなのに青空だったり。まるで、だまし絵の世界に迷い込んだみたい。
今自分たちは上下左右どの方向に向け立っているのか……という疑問は早々に投げ捨てた。キリがなくなるので。
スペットを先導役にして、進む。
建物内部で身動きが取れずにいた住人が、ハンターたちの姿を見て、助けを求めてきた。
「すいません、私も一緒に連れてってください!」
「どこから出ればいいんだね!」
そんな人たちを見つけるたび、通ってきたルートを引き返し、外に出させる。
「おい、スペット。結界ならお手の物だろ。どうにかならんのか」
「待てや。目茶苦茶複雑な結界やねんぞこれ。誰やこんな因業なもん作りよったんは……」
と言いかけてスペットは、はっと首を巡らせた。つられて皆も首を巡らせる。
カチャが壁にもたれて立っていた。額に目玉のような模様が浮き出ている――彼女がいつからそこにいたのか、誰にもまるで分からなかった。
スペットが、ぶわっと顔の毛を膨らませる。
「マゴイ、マゴイやなお前!」
『……その通り……』
「その通りやあらへんわ! 俺を人間の顔に戻せや!」
『……それは……出来ない相談……前の顔のデータは……もう……どこにも存在しない……完全消去された……』
「ななななん何やとぉ! お前人のこと勝手にこないな顔にしたくせにふざけんなや!」
いきりたつスペットにカチャは、いやマゴイは言った。
『……なるほど……自分がそうされた理由も……忘れてるわけね……これは……話が長くなりそう……』
とりあえずね、と彼女は続ける。
『……まず大前提として……あなた……この世界の人間じゃ……ないのよね……私と同じで……エバーグリーンの……住人よ……』
その目は、鏡のようにまっ平らだった。
『……あなたは共同体生活に……適合出来ない人間だった……そういう人には……動物の顔を……与えて……共同体から切り離すのが……私たちの国の……決まり……』
解説
補足説明
これはわけの分からない状態に陥った建物から住民を探し出し、避難させることを目的とするシナリオです。
わけの分からない状態を作っているのはカチャの体を借りているマゴイです。
スペットを呼び出させるために、一騒ぎを起こした、という感じです。
スペットとの対話が終わったらこの状態を解除してくれますが、話がうんと長くなりそうですので、居住者確保、避難のほうを優先して行ってください。
マゴイに聞きたいことがあったら、聞いてもかまいません。答えてくれるかどうかは分かりませんが。
猫顔の真相はスペットにとって、容赦ないものであるようです。
※マゴイと指輪の経緯を詳しく知りたい方は、リプレイ「あの指輪はどこかしら」をご参照くださいませ。
登場NPC
スペット:猫顔の魔術師。現在服役中。魔術師協会から時折仕事のオファーが。実は二十代。エバーグリーン出身。
マゴイ:謎の白ワンピース女。時折世界の隙間から「こんにちは」してくる。エバーグリーン出身。
これはわけの分からない状態に陥った建物から住民を探し出し、避難させることを目的とするシナリオです。
わけの分からない状態を作っているのはカチャの体を借りているマゴイです。
スペットを呼び出させるために、一騒ぎを起こした、という感じです。
スペットとの対話が終わったらこの状態を解除してくれますが、話がうんと長くなりそうですので、居住者確保、避難のほうを優先して行ってください。
マゴイに聞きたいことがあったら、聞いてもかまいません。答えてくれるかどうかは分かりませんが。
猫顔の真相はスペットにとって、容赦ないものであるようです。
※マゴイと指輪の経緯を詳しく知りたい方は、リプレイ「あの指輪はどこかしら」をご参照くださいませ。
登場NPC
スペット:猫顔の魔術師。現在服役中。魔術師協会から時折仕事のオファーが。実は二十代。エバーグリーン出身。
マゴイ:謎の白ワンピース女。時折世界の隙間から「こんにちは」してくる。エバーグリーン出身。
マスターより
KINUTAです。
グリーングリーンエバーグリーンはふしぎのせかーいー♪
グリーングリーンねこのなぞーがララいまあかされーるー♪
グリーングリーンエバーグリーンはふしぎのせかーいー♪
グリーングリーンねこのなぞーがララいまあかされーるー♪
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2016/12/19 22:46
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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相談卓 マルカ・アニチキン(ka2542) 人間(クリムゾンウェスト)|20才|女性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2016/12/13 17:26:19 |
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![]() |
【質問卓】 メイム(ka2290) エルフ|15才|女性|霊闘士(ベルセルク) |
最終発言 2016/12/11 16:30:42 |
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![]() |
▼プレイング メイム(ka2290) エルフ|15才|女性|霊闘士(ベルセルク) |
最終発言 2016/12/12 20:51:41 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/12/11 00:12:29 |