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【CF】ヤドリギの下で幸福なキスを

マスター:韮瀬隈則

シナリオ形態
ショート
難易度
やや難しい
参加費
1,000
参加人数
現在6人 / 4~6人
サポート
現在0人 / 0~6人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2016/12/08 07:30
リプレイ完成予定
2016/12/17 07:30

オープニング


 リゼリオ港湾部外れ。
 聖輝節準備に沸く中心部とは違う静けさでありながら、伝説のモノトーン教会を岩陰向こうに臨む好立地。穴場であるここが閑散としているのは、海水浴場という固定イメージのせいだろう。

 そこの某コテージに、大きな箱を幾つも抱えて運ぶ3人の若い男達がいた。
「難色を示されたけど借りられたよ! この素敵コテージ! 頼るものは伝手のあるオジサンだねぇ!」
 ふふふん! と得意気な若者が鼻の穴を大きく膨らませる。
「二人っきりのコテージでプロポーズはいいけど、ここ見事に盛夏仕様じゃねぇかよ」
「今、リゼリオは不審者出没で飾り付けに難儀してるって一部の噂、知ってるだろ? 下手にデコっても荒らされそうだし、かといって間際に調達できるアテもないだろうがよ」
 素晴らしいほどに夏って感じのコテージを前に、どうすんのよ? と残る2人は若者を見やる。
「ふはは……抜かりはないよ! 目指すのは『ナチュラル』──必要最小限のオーナメント以外は自然の恵みを使うことで懸念は払拭される寸法さ。ほら、運んでる箱の中身もだよ!」
 ますます得意気な若者がコテージの扉をズババンッ! と開ける。
 なるほど──
 コテージまるまる1部屋となっている室内は、中央にそびえる白銀のツリーをはじめとして、壁のリースは蔓草と松ぼっくり、足元にポインセチアにヒイラギの鉢が茂り、花瓶に白樺と金銀に塗られたサラシミツマタとコットンツリーが華やかさを増して、成る程なかなかロマンチックだ。家具は申し訳程度のキッチンとダイニング以外、キングサイズベッド1台しかないのは苦笑すべきだろうか。


 ──その中で。
 中央のツリーに吊るされた、異様に目立つ巨大なヤドリギの球状の団塊があった。


「ヤドリギの下で争いはならず、ただ、愛に満ちた幸せな口づけを交わすのみ」
 目を瞑った若者が厳かに呟いて、我と我が身を抱きしめムチューっとやって笑う。……キモい。
 ってわけで頑張って採取飾り付けし、毎晩抱きしめてキスの千本ノック。これで落ちる。と、皮算用を開陳する。……超キモい。
「いやそれにしてもデカくね?」
「直径3mのヤドリギなんて見たことないぞ、おい」
 ……
 …………
「は? 3m?」
 慌てて上を見る若者が、ぅわらヴァっ! と形容しがたい悲鳴を上げる。
 知らん、俺は知らないぞこんなにでかいの飾ってない……と必死に頭を振っているので本当に心当たりはないらしい……


 直径3mのヤドリギ──
 ツリーを侵食するほどのソレの中心に、古く錆びた剣のようなシルエット。


「なんだあれ?」
「いや……十字架の形に固まったヤドリギが素敵だから飾っただけなんだけど、なんでこんなにでかく成長してんだ?」
 よせばいいのに近づき良く観察しようとする若者達。もう不吉な予感しかしない。
 ──そして。



「うわぁぁ! 早く! 早くあいつらを助け出してくださいぃっ!」
 若者達の1人──仮に若者Cとしよう──が、手近なオフィス派出所に駆け込んだのが数分前。ダベっていたハンター達が、偶然異常を察知したパルムから送信された、コテージの窓という窓から植物性の触手を蠢かせている映像に釘付けになった直後、である。

 即座に現地に向かいながら、事情徴収にあたったのはよい判断だった。
 荷馬車の上で涙目の若者Cから、コテージから蠢く触手の材質は植物の雑魔であること。要救助者の人数とおおまかなコテージの配置も判明した。
 問題なのは──状況と敵の行動原理、である。

「アレは俺達を捕まえると、ツリーの下……ベッドの辺りまで引き寄せて……俺達同士でのキスを迫ったんだ!!」
 ……?
 かくり、と首を傾げたのが伝わったのか、こうです、と若者Cが拘束された身振りをしながら手近なハンターに抵抗しながらキス寸前まで顔を近づけた。
「俺は解放されたんだけれど、AとBが激しく抵抗してそのまま触手に締め付けられて……あのままじゃ絞め殺されるか窒息するかだ」
 助けに行こうにも密集した触手相手では、また元の木阿弥になるのは必定だろう。
「ちくしょう! なにが『ヤドリギの下で争いはならず、ただ、愛に満ちた幸せな口づけを交わすのみ』だよ! そんな千本ノックやるからだ!」

 えー。あー。つまり?
 近づくと触手に引きずり込まれて、幸せなキスをしないと、離してもらえない……らしいと。こういうこと?
 若者Cの乱れた服に付着する粘液からして、向こうに自主的に離して貰わないと面倒そうだと算段し、しかしキスかぁ……と、ハンター達は思案する。

 やがてぽつんと建つコテージからうぞうぞと、ヤドリギの粘液まみれの触手がはみ出している現地に着く。
 ……キモい。
 そのあまりのキモさに、若者Cが開放された因果関係は深く追求されることはなかった。

解説

●依頼内容
 リゼリオ港湾部外れのコテージに発生した植物性雑魔より、民間人2名を救出せよ

●敵情報
・雑魔化ヤドリギ
 クリスマスの飾りとして搬入後、キス練千本ノックを経て雑魔化した西洋ヤドリギ
 当初は少し大きめの十字型団塊だったものが、現在、コテージ一杯に密集繁茂し、触手をコテージ開口部からタコのように蠢かせている

 雑魔化により強度増幅されており、密集度も乗じて、切断しながらの進攻は現実的ではない
 種子由来の粘液にまみれており、触手自身による開放以外は引き剥がすことは困難

 任意の2名を絡めとりコテージ中央に引きこんだ後、『幸せなキス』を強要し達成まで開放することはない

・雑魔化ミスティルテイン
 雑魔化ヤドリギ中心部にコアのように位置する錆びた剣
 有名なミスティルテインではなく、ガラクタが時を経て魔力を持ったものと考えられる
 コテージ中央のツリーに吊るされている

●現地情報
 コテージ周辺に民家、樹木類はない
 コテージは、10m×10m×8m
 平屋建てワンルーム、切妻屋根の天井は梁が直接見える吹き抜け仕様
 開口部は、4m×2mの出入り口兼用の掃きだし窓が3方向
 天窓の類はない

 若者Aにより、中央に高さ5mのツリーが運び込まれている
 ツリーの下にはキングサイズのベッドが据えつけられている

 A叔父の所有物件であり極端な破損には弁済が生じる

●NPC情報
・A:アルバート、叔父からコテージを借りキス練千本ノックで騒動を引き起こした
・B:ブラフォード、Aの友人、Cを庇い逃がした
・C:チャールズ、Aの友人、Bに助けられオフィスに駆け込んだ

※『幸せなキス』には個人差がありますが、愛がないと無効のようです
※愛の種別は問いませんが、2名揃って幸せである必要があります

マスターより

 聖輝節シナリオです、韮瀬です。
 NPCのABC表記は文字数軽減のためなので深く考えなくていい。

 さて数日前のこと──
 SD「クリスマス連動のお誘いです」
 韮瀬「あっはい」(つまりヨゴレを捻じ込むチャンスと?)
 SD「別名、案件連動です!」
 韮瀬「……あっはい」(なぜ考えてることがバレたんだ?)
 こんな心温まるやり取りがあったとかなかったとかな連動ですよ。

 それと、触手はお察しのとおりアレをナニすると雑魔化が解けるのですが、アレには簡単に辿り着けないので頑張ってください。色々な愛の形と幸せなキスを。……ヨゴレだけどな。
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2016/12/15 06:15

参加者一覧

  • 大悪党
    神楽(ka2032
    人間(蒼)|15才|男性|霊闘士
  • ルル大学魔術師学部教授
    エルバッハ・リオン(ka2434
    エルフ|12才|女性|魔術師
  • 東方帝の正室
    アシェ-ル(ka2983
    人間(紅)|16才|女性|魔術師
  • 白兎と重ねる時間
    玉兎・恵(ka3940
    人間(蒼)|16才|女性|猟撃士
  • 飢力
    不動 シオン(ka5395
    人間(蒼)|27才|女性|闘狩人
  • 兎は今日も首を狩る
    玉兎 小夜(ka6009
    人間(蒼)|17才|女性|舞刀士
依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2016/12/07 13:25:41
アイコン ヨゴレ?相談卓
玉兎 小夜(ka6009
人間(リアルブルー)|17才|女性|舞刀士(ソードダンサー)
最終発言
2016/12/07 05:13:49