ゲスト
(ka0000)
リーゼのために
マスター:西尾厚哉

このシナリオは5日間納期が延長されています。
- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや易しい
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 4~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2016/12/13 19:00
- リプレイ完成予定
- 2016/12/27 19:00
オープニング
妻のリーゼロッテは、よく笑う女性でした。
彼女は屋敷の裏手にある林を抜けて湖に行くのが好きで、夏場はよく2人でそこにお弁当を持って出かけました。
彼女はドレスの裾を持ち上げて白い足を水に浸し、まるで子供のようにはしゃぎました。
娘のクレスツェンツを授かったのは結婚して2年目のことです。
クレスツェンツは妻によく似た黒髪で、彼女もまたよく笑いました。
妻と娘の笑い声を毎日聞くことが私の幸せであり、家族の幸せでもありました。
でも、その時間はあっという間に砕け散りました。
その日のことは今でも忘れられません。
娘は湖で、まるで眠っているような表情で漂っていました。
妻は笑顔を見せなくなりました。
湖に足を運ぶこともなく窓の鎧戸を開けることさえしません。
私はいろいろ考えた挙句、ある決心をしました。
材料を集め、少しずつ部品を作り、一年かけて小さな女の子の人形を作りました。
もともと何かを創ることは好きだったのです。
錬金術師のようなわけにはいきませんでしたが、その人形は少々ぎごちなくも足を折り曲げて小さな淑女のようにお辞儀をしました。
妻は最初驚いた顔をしましたが、喜んでくれました。
人形にクレスツェンツと名付け、娘と同じように可愛がりました。
あの日まで。
妻はクレスツェンツを窓辺に座らせたようです。
外の景色を見せたかったのかもしれません。
ほんの束の間、妻が窓辺を離れた時クレスツェンツは落ちました。
3階という高さはクレスツェンツを粉々にするのは充分で、妻は狂気の悲鳴をあげました。
自分も後を追おうとする彼女を必死に押し留め、私は妻に言いました。
『大丈夫。クレスツェンツは必ず帰って来るから』
部品をかき集めて修理するつもりだったのです。
でも、うまくいきませんでした。
妻は疲弊し、半年後亡くなりました。
私はクレスツェンツを作ってやれなかった自分を責めました。
でも、ある日ふと思ったのです。
もう一度作ってみよう、と。
そして出来上がったのは、妻の姿をした人形でした。
私は毎日人形の妻に語りかけました。
返事はなくとも、妻が傍にいてくれるような気がしました。
でも、次第にいらだちを覚えるようになったのです。
これは人形で妻ではない。
そしてようやく気づきました。
人形のクレスツェンツを私に与えられた妻の気持ちに。
遂に気持ちが限界にきて、妻の姿をした人形を窓から突き落としました。
ばらばらになった彼女の姿を見て悟りました。
クレスツェンツは誤って落ちたのではない。
妻が落としたのだと。
「それで……その壊してしまった人形を修理して欲しいと?」
ギルド職員は目の前の男の顔を見る。
彼は依頼主自身ではなく、屋敷の使用人であるらしい。
「はい。旦那様は人形師でも錬金術師でもありませんので、やはり技術のある方にと」
「でも、それならハンターでなくても……」
「それが旦那様の望みですので……。それに、人形の部品はまだ庭に散らばったままなのです」
「拾っていない?」
「ええ。もう一年以上になります。足らない部品も出て来ると思いますので、それは新たに作っていただきたいと」
「素朴な疑問なのですが、なぜ今になって修理しようとお思いに?」
「旦那様は自分が二度奥様を殺したとお思いなのです」
男はうなだれた。
「一度目はお嬢様の人形を作った時。二度目はご自身が奥様の人形を窓から突き落とした時です」
「ふむ……」
そんなに思い悩むこともないのでは、と職員は思うが、それはよそ様の事情なのでもちろん口には出さない。
「旦那様は結局あれから具合が悪くなり、療養所と屋敷を往復する日々です」
ずずっと鼻をすすりあげる。
「屋敷の鍵は預かっておりますし、旦那様も一度戻ると仰っていますので、どこかでご挨拶させていただけるのではと思います。よろしくお願いします」
「わかりました。ではお手伝いできるハンターが集まるまでお待ちくださいね」
はい、と使用人は頷いて席を立った。
その後ろ姿を見送りながら職員は思う。
『なんだろうなあ……歪虚の気配は……ないみたいだけど、んー……』
何か奇妙な違和感を職員は感じていたのだった。
彼女は屋敷の裏手にある林を抜けて湖に行くのが好きで、夏場はよく2人でそこにお弁当を持って出かけました。
彼女はドレスの裾を持ち上げて白い足を水に浸し、まるで子供のようにはしゃぎました。
娘のクレスツェンツを授かったのは結婚して2年目のことです。
クレスツェンツは妻によく似た黒髪で、彼女もまたよく笑いました。
妻と娘の笑い声を毎日聞くことが私の幸せであり、家族の幸せでもありました。
でも、その時間はあっという間に砕け散りました。
その日のことは今でも忘れられません。
娘は湖で、まるで眠っているような表情で漂っていました。
妻は笑顔を見せなくなりました。
湖に足を運ぶこともなく窓の鎧戸を開けることさえしません。
私はいろいろ考えた挙句、ある決心をしました。
材料を集め、少しずつ部品を作り、一年かけて小さな女の子の人形を作りました。
もともと何かを創ることは好きだったのです。
錬金術師のようなわけにはいきませんでしたが、その人形は少々ぎごちなくも足を折り曲げて小さな淑女のようにお辞儀をしました。
妻は最初驚いた顔をしましたが、喜んでくれました。
人形にクレスツェンツと名付け、娘と同じように可愛がりました。
あの日まで。
妻はクレスツェンツを窓辺に座らせたようです。
外の景色を見せたかったのかもしれません。
ほんの束の間、妻が窓辺を離れた時クレスツェンツは落ちました。
3階という高さはクレスツェンツを粉々にするのは充分で、妻は狂気の悲鳴をあげました。
自分も後を追おうとする彼女を必死に押し留め、私は妻に言いました。
『大丈夫。クレスツェンツは必ず帰って来るから』
部品をかき集めて修理するつもりだったのです。
でも、うまくいきませんでした。
妻は疲弊し、半年後亡くなりました。
私はクレスツェンツを作ってやれなかった自分を責めました。
でも、ある日ふと思ったのです。
もう一度作ってみよう、と。
そして出来上がったのは、妻の姿をした人形でした。
私は毎日人形の妻に語りかけました。
返事はなくとも、妻が傍にいてくれるような気がしました。
でも、次第にいらだちを覚えるようになったのです。
これは人形で妻ではない。
そしてようやく気づきました。
人形のクレスツェンツを私に与えられた妻の気持ちに。
遂に気持ちが限界にきて、妻の姿をした人形を窓から突き落としました。
ばらばらになった彼女の姿を見て悟りました。
クレスツェンツは誤って落ちたのではない。
妻が落としたのだと。
「それで……その壊してしまった人形を修理して欲しいと?」
ギルド職員は目の前の男の顔を見る。
彼は依頼主自身ではなく、屋敷の使用人であるらしい。
「はい。旦那様は人形師でも錬金術師でもありませんので、やはり技術のある方にと」
「でも、それならハンターでなくても……」
「それが旦那様の望みですので……。それに、人形の部品はまだ庭に散らばったままなのです」
「拾っていない?」
「ええ。もう一年以上になります。足らない部品も出て来ると思いますので、それは新たに作っていただきたいと」
「素朴な疑問なのですが、なぜ今になって修理しようとお思いに?」
「旦那様は自分が二度奥様を殺したとお思いなのです」
男はうなだれた。
「一度目はお嬢様の人形を作った時。二度目はご自身が奥様の人形を窓から突き落とした時です」
「ふむ……」
そんなに思い悩むこともないのでは、と職員は思うが、それはよそ様の事情なのでもちろん口には出さない。
「旦那様は結局あれから具合が悪くなり、療養所と屋敷を往復する日々です」
ずずっと鼻をすすりあげる。
「屋敷の鍵は預かっておりますし、旦那様も一度戻ると仰っていますので、どこかでご挨拶させていただけるのではと思います。よろしくお願いします」
「わかりました。ではお手伝いできるハンターが集まるまでお待ちくださいね」
はい、と使用人は頷いて席を立った。
その後ろ姿を見送りながら職員は思う。
『なんだろうなあ……歪虚の気配は……ないみたいだけど、んー……』
何か奇妙な違和感を職員は感じていたのだった。
解説
●3階の窓から突き落とされ、庭に散らばってしまった人形の部品を探し、元の姿に修理する依頼です。
何日か通っていただくような表現となります。
●庭はほとんど手入れされていない状態で荒れています。
花壇や池などが配置されていたようです。
屋敷は広く、たくさんの部屋があります。
作業用に大きな部屋をひとつ使わせてもらえます。
その部屋は自由に使って構いません。
●素人が感覚で作ったものなので、人形の設計図などはありません。
からくり人形とまではいかなくても、それらしきものを作ろうとしていたようです。
なので、腕や胴体のパーツもそれぞれ機械っぽく構成されています。
実際の人間よりは一回り小さいようですが、集めた部品を見ながら足らないものがあれば新しく付け足し完成させる作業となります。
専門的なスキルはなくても、想像力や洞察力があり、物を作ることに興味があればできる作業でもあります。
もちろんスキルがあればそれだけ作業は効率化されます。
●依頼主である主人は病気療養中のため屋敷には戻ったりいなかったりですが、使用人が鍵を預かり、ある程度の質問にはお答えできます。
また、要望があれば必要なものは手配します。
●歪虚は関わっていません。
●人形が完成した時点で普通判定です。
●メインの依頼自体は、時間はかかってもさほど難しいものではありませんが、皆さんは少々変わった体験をすることになると思います。
特に、屋敷の主に関わる部分はその怪しさが深まります。
どのくらい関わっても構いませんが、ちょっと不思議体験をしたい方はどうぞ。
●多少MSお任せなシナリオですが、戦闘はありませんので初心者の方も気軽に入っていただけます。
ご自身の特質やプッシュしたい性格の部分などを明記していただけると有難いです。
何日か通っていただくような表現となります。
●庭はほとんど手入れされていない状態で荒れています。
花壇や池などが配置されていたようです。
屋敷は広く、たくさんの部屋があります。
作業用に大きな部屋をひとつ使わせてもらえます。
その部屋は自由に使って構いません。
●素人が感覚で作ったものなので、人形の設計図などはありません。
からくり人形とまではいかなくても、それらしきものを作ろうとしていたようです。
なので、腕や胴体のパーツもそれぞれ機械っぽく構成されています。
実際の人間よりは一回り小さいようですが、集めた部品を見ながら足らないものがあれば新しく付け足し完成させる作業となります。
専門的なスキルはなくても、想像力や洞察力があり、物を作ることに興味があればできる作業でもあります。
もちろんスキルがあればそれだけ作業は効率化されます。
●依頼主である主人は病気療養中のため屋敷には戻ったりいなかったりですが、使用人が鍵を預かり、ある程度の質問にはお答えできます。
また、要望があれば必要なものは手配します。
●歪虚は関わっていません。
●人形が完成した時点で普通判定です。
●メインの依頼自体は、時間はかかってもさほど難しいものではありませんが、皆さんは少々変わった体験をすることになると思います。
特に、屋敷の主に関わる部分はその怪しさが深まります。
どのくらい関わっても構いませんが、ちょっと不思議体験をしたい方はどうぞ。
●多少MSお任せなシナリオですが、戦闘はありませんので初心者の方も気軽に入っていただけます。
ご自身の特質やプッシュしたい性格の部分などを明記していただけると有難いです。
マスターより
歯車シナリオ錬魔院編はまだプロット煮詰め中……
……というので、あんまり長くご無沙汰してもと皆様にお会いしたく一本。
くらーい雰囲気に思えますが、雪がちらちらなこの季節にホラーは合わないよね。
合わないよね。(2回言った)
……というので、あんまり長くご無沙汰してもと皆様にお会いしたく一本。
くらーい雰囲気に思えますが、雪がちらちらなこの季節にホラーは合わないよね。
合わないよね。(2回言った)
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2016/12/24 15:33
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2016/12/10 23:27:01 |
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相談スレッド 星野 ハナ(ka5852) 人間(リアルブルー)|24才|女性|符術師(カードマスター) |
最終発言 2016/12/13 01:36:45 |