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【神森】オーバー・ザ・レインボウ

マスター:神宮寺飛鳥

シナリオ形態
ショート

関連ユニオン
APV

難易度
やや難しい
オプション
  • relation
参加費
1,500
参加人数
現在8人 / 4~8人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2017/01/14 22:00
リプレイ完成予定
2017/01/23 22:00

オープニング

※このシナリオは難易度が高く設定されています。所持金の大幅な減少や装備アイテムの損失、場合によっては、再起不能、死亡判定が下される可能性があります。
再起不能、死亡判定の下されたキャラクターはログイン、及びコンテンツへのアクセスが制限されます。

 ――監獄都市アネリブーベ。
 それはゾンネンシュトラール帝国唯一無二の大監獄である。
 様々な犯罪歴を持つ者が裁判を経て収容されるこの都市は、帝都以上に鉄壁の守護体勢下にある。
 帝国の犯罪者には覚醒者や元軍人も多い。彼らを正しく制御する為には、二重三重の拘束形態が必要だ。
 囚人は皆、自らの刑期を記した首輪を着用している。
 詳細は明らかにはされていないが、囚人の逃亡を防止、管理保護するためのもので、この首輪がある限り囚人は仮にアネリブーベから脱獄したとしても、絶対に逃げ切る事はできないと言われている。
 監獄都市としてアネリブーベが誕生してからというもの、歴史上脱獄達成者はゼロ。
 ただ、脱獄を試みない事には正当な理由もあった。

 アネリブーベは第十師団マスケンヴァルの拠点である。
 第十師団はその構成員の殆どが囚人という異質な師団で、他の九つの師団からも一線を画されている。
 第十師団の師団長はゼナイドと呼ばれるエルフの女。
 屈強な囚人を尻に敷いて余りある戦士としての顔と、皇帝の密命を処理する密偵としての顔を持つ。
 監獄都市の囚人は望めば自ら師団の一員になることを許される。
 その身分は当然正規兵より下だが、師団での活躍に応じて刑期を減らし、いずれは自由の身を掴み取る事も可能だ。
 危険な任務、名誉とは程遠い汚れ仕事である程刑期削減は大きく、そして元より彼らに似合う。
 元々帝国は犯罪者は貴重な“資源”と考える。労働と貢献で許されない罪はない。
 戦闘能力を持たない囚人も、師団兵としてではなく刑期削減ボランティア活動で、自分の刑期を軽減できる。
 故に、囚人でありながら美術や文学の分野で成功し、檻の中にいながら一財産を築くものさえいるのだ。

 先のエルフハイムとの戦争でも多くのエルフ兵が逮捕され、この監獄へ送り込まれた。
 その中には事件の主犯格とされる浄化の器の姿もあった。
 彼女のバックボーンは非常に複雑であり、それを理解すれば単純に彼女を罪人として裁く事は難しい。
 だが、国民の殆どはそれを理解できない。罪人の言い訳に耳を傾けるには、浄化法の恐怖は強烈すぎた。
 皇帝ヴィルヘルミナ・ウランゲルは彼女をアネリブーベで保護するようゼナイドに指示。
 表向きは服役として、しかしその実彼女を犠牲者の報復や批難から遠ざける為、投獄を行ったのだが……。

「ホリィじゃない?」
「投獄される所までは大人しかったんスけど、急に反抗的になって……押さえ込むのが大変だったッスよ~」
 監獄都市に様子を見に来たタングラムを迎えたのはジュリというエルフだ。
 彼女は以前、タングラムを騙って義賊として活動し、それが原因で投獄され現在は第十師団で働いている。
 実際のところ彼女は元々タングラムの弟子なのだが、そのへんは割愛する。
「あのちっこい身体にどんだけパワー秘めてるんスかね。あっしも含めて4人がかりで今は磔にしてるッス。取り調べも進まないし、姉御からも何とかいってやってくださいよ」
 がっくりと肩を落とすジュリの顔には青痣がたくさんあった。見ての通り、取り押さえは骨を折ったようだ。
「ホリィじゃない……そう言ったのですね? なら、理由には心当たりがあるです。ジュリ、とりあえず部屋まで案内するです」
 そうして案内されたのは地下深くにある牢獄。そこで器は十字架に磔にされていた。
 その体の拘束っぷりはかなりのもので、複数の鎖、革の帯でがんじがらめにされている。
 呆れながら鍵を開き、鉄格子の向こう側に踏み込む。
 その音に気づいたのか、ゆっくりと器は瞼を開いた。
「――誰かと思えば、あの女の妹じゃない。あなたまで私を笑いにきたの?」
「やはりそういうことですか。ホリィではなく……もう一人の人格。確か、正しい名前はアイリスでしたか」
「え? この子姉御と同じ名前なんすか? ……あいたっ!?」
 背後のジュリを蹴飛ばし、タングラムは咳払いを一つ。
「ホリィはどうしたのです?」
「あの子なら消えたわ。そもそも最初からそういう話だったでしょう」
 予想通りの言葉にため息をこぼす。
 浄化の器には二つの人格が宿っていた。一つは、これまで肉体を支配していた“ホリィ”と呼ばれた人格。
 そしてもう一つが、ずっと肉体に宿りながら表に出られなかった“アイリス”の人格。目の前の彼女は、今はアイリスなのだ。
 ホリィという人格はとある事件の際、偶然生まれてしまった後付の人格だった。
 故に、自分の人生を奪われたと考えたアイリスは、ホリィに――ホリィを取り巻く世界の全てに強い憎しみを抱いていた。
 先の浄化法を使い、戦争の首謀者であるヨハネ・エルフハイムに協力したのもこちらの人格だ。
「……ホリィは自分が消えることを自覚していた。だからアネリブーベに……そういうことですか」
「ねえ、あなたからも話してよ。私をここから開放しろって」
「自由の身になってどうするつもりです?」
「そんなの決まっているわ。この“世界”をぶっ壊すの。ヨハネの方法は失敗したけど、だったら別の方法を探せばいい」
 にんまりと笑う器にタングラムは肩をすくめる。
「そんな事言われて自由にするわけねーだろ」
「理解に苦しむわ。どうしてあなたはヒトと一緒にいられるのかしら? 低俗で矮小で――醜いイキモノ。生物種として間違いだらけ、見ているだけで吐き気がする」
「お前が世界を憎むのはよくわかる。道具として苦痛と絶望ばかり見せられてきたのだから。本来ホリィもそうなっていて然るべきです」
「ええ、そうよ。これは正当な復讐……この憎しみだけが私の命。私は“世を呪わずにはいられない”生き物。生かしておく限り、何度でも牙を剥くわ」
 強く歯を噛み合わせ、俯いた器は瞳を潤ませる。
「あいつは、ホリィは、こんなボロボロの……残り僅かしか生きられないポンコツの身体だけ押し付けていなくなりやがった。許せない、許せない……! 私の人生を返してよ。返してくれないっていうのなら、奪うだけ! 何もかもぶっ壊して、私とおんなじまっ平らにしてあげるんだから!」
「お前の言い分はよくわかった。ただ一つ言っておくですが、この牢獄は罪を償わない限り出られない。残り僅かな人生そこで吼えて終わるのか、光を勝ち取って生きるのか、それはお前の自由です」
 そう言って踵を返すタングラム。二人は階段を上がり、地上に出る。それからタングラムは深々と息をつき。
「はあ……。あの子の更生には苦労しそうです。こんな状態では困りましたね……ハンターの面会希望者を連れてきたというのに」
 まず先に会ってくると言って待たせているハンターたちを思い返し、タングラムは頭を抱える。
 自分ではどうしても感情的になってしまう。むしろここは器の扱いを心得ているハンターのほうが適任だろう。
 そう思い直し、タングラムはハンターらを待たせている広場へと歩き出した。

解説

●目的
浄化の器との面会。


●概要
……というわけで器に会って来たのですが、どうやら器の人格はホリィではなくアイリスになっているようです。
ホリィがどうなったのかとか、そういう部分も聞き取りたいのですが、素直には答えてくれないでしょうね。
あの子はアネリブーベできちんと服役すれば自由になれるのです。
第十師団に所属しても、直ぐに刑期を返済できるだけの実力がありますしね。
問題は彼女の気持ちです。アイリスが自分の罪を償い、社会復帰するつもりがないのでは意味がありません。
今の彼女を自由にはできません。でも、彼女は姉さんが遺したもの。私は彼女をなんとか社会復帰させたい。
……私も正直、あの事件について気持ちの整理はできていません。それはあなた達も同じでしょう。
でも、今の彼女に声を届けられるのは、あなた達だけのように思えるのです。
少しでいい、彼女から想いを引き出せないでしょうか?
ちなみに拘束を解くのは危険ですが、まあ自己責任の範囲でなら許可するですよ。


●???

『浄化の器』
二つの人格のうち、“アイリス”と呼ばれる人格。
この肉体に元々芽生えた自我だが、森都の高度な教育で一度心を壊す。
後に【虚動】スノウメヰデンにてハンターの感情の影響を受け、再度人格が芽生える。
しかしその際、アイリスは表に立つことを拒絶。自己防衛用人格としてのホリィが構成される。
やがてホリィが人格として強固になると、主人格がホリィに移動。アイリスは表に出られなくなる。
主人格のホリィが幸福を知るにあたり少しずつ「その幸せは自分が得るはずだった」とホリィを妬むようになる。
その憎しみをベースにアイリスは人格を明確に獲得し、この段階ではっきりと二つの人格が別離。
ホリィという人格を押さえ込み、主人格に上がったことで森都の事件に続く。


『タングラム』
今回は見てるだけ。何か問題が起きたら面倒を見る役割。
器とはどのように接したらいいかなやんでいる。

マスターより

お世話になっております。神宮寺でございます。

というわけで、グラシナのアフターシナリオです。
器がどうなったのか、そしてこれからどうなるのかというお話をするシナリオです。
器の拘束を解いてもいいですが、何をされるかわからないので自衛をしっかりしてください。
尚、質問にはタングラムと器が応じられます。

それではよろしくお願い致します。

関連NPC

  • 人型術具
    浄化の器(kz0120
    エルフ|14才|女性|霊闘士(ベルセルク)
  • 帝国ユニオンリーダー
    タングラム(kz0016
    エルフ|15才|女性|疾影士(ストライダー)
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2017/01/22 21:19

参加者一覧

  • 真水の蝙蝠
    ヒース・R・ウォーカー(ka0145
    人間(蒼)|23才|男性|疾影士
  • 癒しへの導き手
    シュネー・シュヴァルツ(ka0352
    人間(蒼)|18才|女性|疾影士
  • 約束を重ねて
    シェリル・マイヤーズ(ka0509
    人間(蒼)|14才|女性|疾影士
  • 自爆王
    紫月・海斗(ka0788
    人間(蒼)|30才|男性|機導師
  • →Alchemist
    イェルバート(ka1772
    人間(紅)|15才|男性|機導師
  • 幸福な日々を願う
    フローラ・ソーウェル(ka3590
    人間(紅)|20才|女性|聖導士
  • 紅花瞬刃
    花厳 刹那(ka3984
    人間(蒼)|16才|女性|疾影士
  • 不破の剣聖
    紅薔薇(ka4766
    人間(紅)|14才|女性|舞刀士

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2017/01/10 20:01:18
アイコン 相談所
ヒース・R・ウォーカー(ka0145
人間(リアルブルー)|23才|男性|疾影士(ストライダー)
最終発言
2017/01/12 23:39:30
アイコン 質問卓
紅薔薇(ka4766
人間(クリムゾンウェスト)|14才|女性|舞刀士(ソードダンサー)
最終発言
2017/01/12 22:16:17