ゲスト
(ka0000)
【初心】病児を乗せた馬車を護衛せよ
マスター:鮎川 渓

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや易しい
- 参加費
1,000
- 参加制限
- LV1~LV20
- 参加人数
- 現在8人 / 4~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2017/01/18 12:00
- リプレイ完成予定
- 2017/01/27 12:00
オープニング
●とある女ハンターの休日
「ここいらはのどかでいいねぇ」
見るからに硬そうな朱色の髪を風になぶらせ、馬に揺られる女がひとり。
椀を伏せたような丘が連なる丘陵地帯、その間を縫うように走る田舎道をゆっくりと進んでいく。
この道の先にある村はひとつきりとあって、細い道はお世辞にも整備されているとは言いがたいが、見渡せば緑の丘の連なりがなんとも美しい。
「年末年始は依頼続きでバタバタしてたからなぁ。しばらく羽伸ばしたって罰当んないさね」
そう言って豪快に笑う彼女に同意するよう、愛馬が小さく嘶く。
彼女――ハンター歴四年の猟撃士であるリタ・モルガナは、遅めの正月休みをこの先の村で過ごすと決めていた。
小さいけれど豊かな自然に囲まれたのどかな村で、年若い村長とは旧知の仲。自然の中でゆっくり癒される上、彼の家に転がり込めば宿代もタダで済むというのがリタの算段である。
「ひひっ。突然行ったらびっくりすんだろうねぇ、アイツ」
目を丸くする旧友の顔を想像し、リタはにんまりと口角を上げた。
――が、次の瞬間。
こちらへ殺到するいくつもの足音を聞きとがめ、素早く四方を見回した。
しかし大小の丘に阻まれその姿は捉えられない。
「……何だろね。足音からすると四足の獣みたいだけど」
油断なく気配を探りながら、愛用の魔導拳銃を構えた時だ。
左右の丘を越え、狼達の群れが姿を現した。ただの狼ではない。獰猛なその瞳は赤々と異様な光を放っている。
「雑魔か!」
その数ざっと二十。
挟撃を受ける形になったリタだが、怯むことなく好戦的な笑みを閃かせた。狙いを定め、それぞれの群れの先頭めがけたて続けに発砲する。
先導していた数頭があっけなく灰燼に帰すのを見、後続の者どもは明らかに狼狽えていた。そこへリタが腹の底から一喝。
「休暇中のアタシに銃を抜かせたね? 上等だよぉオマエら、覚悟はできてんだろうねぇ!?」
怒気に満ち満ちた馬上のリタに恐れをなしたか、狼の姿をした雑魔どもは我先にと逃げ去った。
「ったく忌々しい! ここいらはわりかし安全なはずなのに。ハンターズソサエティに連絡してすぐに討伐を……って、アタシの正月休みはーーっ!?」
●田舎道封鎖、しかし――
「一番最初に遭遇したのが君で本当に良かったよ」
「やいジェイト、そりゃどういう意味だい?」
馬を急かしてやって来た目当ての村。
村長宅の小さな執務室で、リタは旧友で村長のジェイトと向かい合っていた。
遭遇した雑魔の群れについて報告した後のことである。
詰め寄るリタをさらりと躱し、ジェイトは眼鏡の奥の目を細める。
「変な意味じゃないさ。遭遇したのが一般人だったら、確実に被害を被っていただろう? あの丘陵に雑魔が出るなんて初めてのことで、誰も予測だにしていなかったんだからね」
「むっ」
「村中にあの道を使わないよう周知しておいたから、被害を出さずに済むだろう。君がいち早く知らせてくれたお陰だよ、リタ」
何だか納得しきれないながらも、面と向かって感謝されれば悪い気はしないリタである。眉間の皺を緩め、出されたハーブティーを啜った。
「とは言えあの道は村と外界を繋ぐ唯一の道だ、いつまでも封鎖しておくわけにはいかない。すぐにハンターズソサエティに討伐を依頼しないと」
「オッケィ、取り次ぎは任せな」
最寄りの支部へ連絡しようとリタが魔導短伝話を取り出した時だ。
戸が激しく叩かれた。ジェイトが応えを返す間もなく、少女を抱いた父親が真っ青になって転がり込んでくる。
「村長、町までの道を封鎖するってのは本当か!?」
「どうしたんです、そんなに慌てて」
「アリィナが……娘が酷い熱なんだ、水分も摂れない程弱っちまって!」
その言葉にジェイトの顔も蒼白になる。リタは首を捻った。
「この村にも診療所がひとつあるじゃないか」
ジェイトは重々しく首を振る。
「あるけどね……君と同じさ。先生は今、遅い正月休みをとって帰省中なんだ」
「げっ。……てこたぁ」
「そう、あの道を抜けて隣町まで行かなきゃならない」
苦い顔で告げるジェイト。傍らのソファに娘を寝かせ、父親はジェイトに詰め寄る。
「行かせてくれ村長、このままじゃじきに脱水症状を起こしちまう!」
「お気持ちは分かりますが危険です、きちんと討伐してもらってからでないと」
「そんな時間は……!」
言い合うふたりをよそに、リタは毛布にくるまれ横たわるアリィナを覗き込んだ。
十歳くらいだろうか。
固く目を瞑り、あどけない顔を真っ赤に染め、荒い呼吸を繰り返している。額に触れれば焼けるように熱い。それなのに手のひらは冷たく、まだ熱が上がるだろうことを予期させた。
「お母さん……」
アリィナはうわ言のように呼びながら、首に下げた銀のロケットを握りしめる。
苦しむ娘に付き添ってやらない母親がいるだろうか。恐らくそうできない事情があるのだろう。
「ジェイト、馬車を借りるぞ」
リタは毅然と立ち上がる。リタの意図を察したジェイトは慌てて袖を引いた。
「いくら君でもひとりじゃ無理だ、この子を守りながら雑魔の群れを突っ切るなんて!」
「む。言っても雑魔だ、いくら数がいようとアタシにかかりゃ……」
「無茶をして危険にさらされるのは君だけじゃない、アリィナもだ。村の長としてとても許可できないよ」
冷静なジェイトの言葉に、リタは唇を噛みしめた。
時間が惜しい。ハンターズソサエティに依頼をするにしても、とても討伐完了まで待っていられない。
リタは握ったままでいた短伝話を素早く繰ると、馴染みの受付嬢の声がするなり告げた。
「リタだ。大至急こっちに何人か回して欲しい。アタシがフォローすっからとにかく人を! 案件は――病児を乗せた馬車の護衛だ」
「ここいらはのどかでいいねぇ」
見るからに硬そうな朱色の髪を風になぶらせ、馬に揺られる女がひとり。
椀を伏せたような丘が連なる丘陵地帯、その間を縫うように走る田舎道をゆっくりと進んでいく。
この道の先にある村はひとつきりとあって、細い道はお世辞にも整備されているとは言いがたいが、見渡せば緑の丘の連なりがなんとも美しい。
「年末年始は依頼続きでバタバタしてたからなぁ。しばらく羽伸ばしたって罰当んないさね」
そう言って豪快に笑う彼女に同意するよう、愛馬が小さく嘶く。
彼女――ハンター歴四年の猟撃士であるリタ・モルガナは、遅めの正月休みをこの先の村で過ごすと決めていた。
小さいけれど豊かな自然に囲まれたのどかな村で、年若い村長とは旧知の仲。自然の中でゆっくり癒される上、彼の家に転がり込めば宿代もタダで済むというのがリタの算段である。
「ひひっ。突然行ったらびっくりすんだろうねぇ、アイツ」
目を丸くする旧友の顔を想像し、リタはにんまりと口角を上げた。
――が、次の瞬間。
こちらへ殺到するいくつもの足音を聞きとがめ、素早く四方を見回した。
しかし大小の丘に阻まれその姿は捉えられない。
「……何だろね。足音からすると四足の獣みたいだけど」
油断なく気配を探りながら、愛用の魔導拳銃を構えた時だ。
左右の丘を越え、狼達の群れが姿を現した。ただの狼ではない。獰猛なその瞳は赤々と異様な光を放っている。
「雑魔か!」
その数ざっと二十。
挟撃を受ける形になったリタだが、怯むことなく好戦的な笑みを閃かせた。狙いを定め、それぞれの群れの先頭めがけたて続けに発砲する。
先導していた数頭があっけなく灰燼に帰すのを見、後続の者どもは明らかに狼狽えていた。そこへリタが腹の底から一喝。
「休暇中のアタシに銃を抜かせたね? 上等だよぉオマエら、覚悟はできてんだろうねぇ!?」
怒気に満ち満ちた馬上のリタに恐れをなしたか、狼の姿をした雑魔どもは我先にと逃げ去った。
「ったく忌々しい! ここいらはわりかし安全なはずなのに。ハンターズソサエティに連絡してすぐに討伐を……って、アタシの正月休みはーーっ!?」
●田舎道封鎖、しかし――
「一番最初に遭遇したのが君で本当に良かったよ」
「やいジェイト、そりゃどういう意味だい?」
馬を急かしてやって来た目当ての村。
村長宅の小さな執務室で、リタは旧友で村長のジェイトと向かい合っていた。
遭遇した雑魔の群れについて報告した後のことである。
詰め寄るリタをさらりと躱し、ジェイトは眼鏡の奥の目を細める。
「変な意味じゃないさ。遭遇したのが一般人だったら、確実に被害を被っていただろう? あの丘陵に雑魔が出るなんて初めてのことで、誰も予測だにしていなかったんだからね」
「むっ」
「村中にあの道を使わないよう周知しておいたから、被害を出さずに済むだろう。君がいち早く知らせてくれたお陰だよ、リタ」
何だか納得しきれないながらも、面と向かって感謝されれば悪い気はしないリタである。眉間の皺を緩め、出されたハーブティーを啜った。
「とは言えあの道は村と外界を繋ぐ唯一の道だ、いつまでも封鎖しておくわけにはいかない。すぐにハンターズソサエティに討伐を依頼しないと」
「オッケィ、取り次ぎは任せな」
最寄りの支部へ連絡しようとリタが魔導短伝話を取り出した時だ。
戸が激しく叩かれた。ジェイトが応えを返す間もなく、少女を抱いた父親が真っ青になって転がり込んでくる。
「村長、町までの道を封鎖するってのは本当か!?」
「どうしたんです、そんなに慌てて」
「アリィナが……娘が酷い熱なんだ、水分も摂れない程弱っちまって!」
その言葉にジェイトの顔も蒼白になる。リタは首を捻った。
「この村にも診療所がひとつあるじゃないか」
ジェイトは重々しく首を振る。
「あるけどね……君と同じさ。先生は今、遅い正月休みをとって帰省中なんだ」
「げっ。……てこたぁ」
「そう、あの道を抜けて隣町まで行かなきゃならない」
苦い顔で告げるジェイト。傍らのソファに娘を寝かせ、父親はジェイトに詰め寄る。
「行かせてくれ村長、このままじゃじきに脱水症状を起こしちまう!」
「お気持ちは分かりますが危険です、きちんと討伐してもらってからでないと」
「そんな時間は……!」
言い合うふたりをよそに、リタは毛布にくるまれ横たわるアリィナを覗き込んだ。
十歳くらいだろうか。
固く目を瞑り、あどけない顔を真っ赤に染め、荒い呼吸を繰り返している。額に触れれば焼けるように熱い。それなのに手のひらは冷たく、まだ熱が上がるだろうことを予期させた。
「お母さん……」
アリィナはうわ言のように呼びながら、首に下げた銀のロケットを握りしめる。
苦しむ娘に付き添ってやらない母親がいるだろうか。恐らくそうできない事情があるのだろう。
「ジェイト、馬車を借りるぞ」
リタは毅然と立ち上がる。リタの意図を察したジェイトは慌てて袖を引いた。
「いくら君でもひとりじゃ無理だ、この子を守りながら雑魔の群れを突っ切るなんて!」
「む。言っても雑魔だ、いくら数がいようとアタシにかかりゃ……」
「無茶をして危険にさらされるのは君だけじゃない、アリィナもだ。村の長としてとても許可できないよ」
冷静なジェイトの言葉に、リタは唇を噛みしめた。
時間が惜しい。ハンターズソサエティに依頼をするにしても、とても討伐完了まで待っていられない。
リタは握ったままでいた短伝話を素早く繰ると、馴染みの受付嬢の声がするなり告げた。
「リタだ。大至急こっちに何人か回して欲しい。アタシがフォローすっからとにかく人を! 案件は――病児を乗せた馬車の護衛だ」
解説
○目的
道中現れる雑魔を退け、馬車を隣町まで送り届けること。
ベテランハンターのリタが同行することから初心依頼となっています。
病児を乗せていますから、馬車のスピードをあげて振り切ることはできません。
とは言え馬車を長々止めて戦闘というのも状況的にうまくないので、馬車を走らせつつ撃退していくのが望ましいかと。
護衛中の移動はお手持ちの馬などでも構いませんし、馬車へ同乗することもできます。
○馬車(幌つき)の乗車可能人数
・御者台:2人(内ひとりはリタ。彼女が手綱をとります)
・幌内:6人(内ひとりはアリィナ。父親はハンター達の邪魔にならぬようお留守番です)
よってハンター達が乗り込めるのは御者台1人、幌内5人となります。
幌の側面には覆い付きの窓があり、後方は大きく開閉できますので、馬車からの攻撃は十分に可能です。
狼型の雑魔の数は15頭(いくらかリタがOPで討伐済み)。
装備やスキルの積み忘れがなければ、ルーキーの方でも撃退・討伐は可能でしょう。
目的はあくまで馬車の護衛となりますが、馬車の中には熱にうなされるアリィナがいます。わりと平和な土地で育った田舎っ子ですから、雑魔との戦闘に怯えることもあるでしょう。心細い彼女に、どうか温かい言葉をかけてあげてください。
道中現れる雑魔を退け、馬車を隣町まで送り届けること。
ベテランハンターのリタが同行することから初心依頼となっています。
病児を乗せていますから、馬車のスピードをあげて振り切ることはできません。
とは言え馬車を長々止めて戦闘というのも状況的にうまくないので、馬車を走らせつつ撃退していくのが望ましいかと。
護衛中の移動はお手持ちの馬などでも構いませんし、馬車へ同乗することもできます。
○馬車(幌つき)の乗車可能人数
・御者台:2人(内ひとりはリタ。彼女が手綱をとります)
・幌内:6人(内ひとりはアリィナ。父親はハンター達の邪魔にならぬようお留守番です)
よってハンター達が乗り込めるのは御者台1人、幌内5人となります。
幌の側面には覆い付きの窓があり、後方は大きく開閉できますので、馬車からの攻撃は十分に可能です。
狼型の雑魔の数は15頭(いくらかリタがOPで討伐済み)。
装備やスキルの積み忘れがなければ、ルーキーの方でも撃退・討伐は可能でしょう。
目的はあくまで馬車の護衛となりますが、馬車の中には熱にうなされるアリィナがいます。わりと平和な土地で育った田舎っ子ですから、雑魔との戦闘に怯えることもあるでしょう。心細い彼女に、どうか温かい言葉をかけてあげてください。
マスターより
初めまして、新人マスターの鮎川 渓と申します。
こちらの依頼がマスターデビュー第1弾ということもあり、緊張しております。が。
精一杯務めさせていただきますので、どうぞよろしくお願いします。
本件は討伐メインではなく無事に馬車を送り届ける依頼ですから、「戦闘依頼が初めて」という方も「イベ続きで戦闘ご無沙汰だわー」という方も、どうぞお気軽にご参加くださいませ。
皆様のご参加・プレイング、心よりお待ちしております。
こちらの依頼がマスターデビュー第1弾ということもあり、緊張しております。が。
精一杯務めさせていただきますので、どうぞよろしくお願いします。
本件は討伐メインではなく無事に馬車を送り届ける依頼ですから、「戦闘依頼が初めて」という方も「イベ続きで戦闘ご無沙汰だわー」という方も、どうぞお気軽にご参加くださいませ。
皆様のご参加・プレイング、心よりお待ちしております。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2017/01/26 03:15
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
![]() |
相談場所 シルヴィア・オーウェン(ka6372) 人間(クリムゾンウェスト)|20才|女性|闘狩人(エンフォーサー) |
最終発言 2017/01/18 09:45:28 |
|
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2017/01/14 20:05:00 |