ゲスト
(ka0000)
猫、岩塩坑の闖入者に会う
マスター:KINUTA

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在8人 / 4~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 6日
- プレイング締切
- 2017/01/27 22:00
- リプレイ完成予定
- 2017/02/05 22:00
オープニング
服役中の魔術師スペットは、年末から腐っている。
これまで魔術師協会の求めに応じ『奉仕活動』いう名目の協力を行ってきたのだが、それを渋るようになってきた。
曰く。
「もうええわ。俺ここでずっと岩塩掘って生きていくねん。邪魔んせんといてや」
要するにふて腐れているのだ。
『人間の顔に戻る』という目標が実現不可能だと知らされてしまったのである。気持ちとしては無理からぬだろう。とはいえこのまま塞がせておくわけにいかない。彼にはこの先も引き続き協会にとって有用な人間であってもらわねば困る。
というわけで魔術師協会員タモンは、スペットの気持ちを引き立てるよう努めた。
背を曲げ、面会室の机にべったり顎をくっつけているスペットに言う。
「そう悲観なさらずに。まだ希望が見えないわけじゃありませんよ」
「どこがやねん。俺の顔一生このままやねんぞ。直せへんねんぞ。希望どころか絶望しか見えてきいへんわ」
「そのことなんですがね……本当にそうなんでしょうか? 前回の依頼報告によりますと、マゴイはあなたの顔が『そのための設備がこの世界にはないから戻せない』と言ったそうですね。ということはつまり、設備さえあればあなたの顔は元に戻せるということでしょう? エバーグリーンへの転移が可能なことは、つい最近証明されましたよね――だとすれば、その設備、いずれ発見される可能性が、おおいにあると思いませんか?」
なるほど、確かにマゴイは今タモンが言ったように、『そのための設備がないから戻せない』という言い方をしていた。
エバーグリーンに人を転送し、資料を持ち帰るという試みが成功裏に終わったことも記憶に新しいところ。
「いずれリアルブルーのように、こちらとの出入りが容易となるかも知れない。ならば設備とやらを持ち帰ることだって、可能かも知れない」
希望的観測にスペットは少し気を取り直しかけた。
が、マゴイが言ったもう一つの言葉『仮に設備があったとして……共同体を脅かすものの処遇を……決めるのは……マゴイではなく……ステーツマン……しかしてそのステーツマンは……もうどこにもいない』を思い出し、再び腐った。
「あかん。もしあったとしても、マゴイが動かへん。あいつ自分からオレを直す気ゼロやぞ。間違いなく。ステーツマンたら言う奴の命令しか聞かへんて言いおったわ」
「あー、確かにそのことも報告にありましたね。あなたがたの国は、完全な階級分業社会を築いていたようで……ところでスペットさん」
「なんや」
「あなた、変わらずエバーグリーンでのことは思い出せていませんか?」
「出せへんな」
「そうですか……惜しいですね。エバーグリーンのことが詳しく分かれば、マゴイがどういう思考回路で動いているのか掴みやすくなるんですけどねえ……そしたら、向こうの協力も引き出しやすくなると思うんですけど……」
タモンの話は長々続いた。
最終的にスペットは、これからも魔術師協会に協力することを、渋々承知した。
●
岩塩坑。
魔導灯がついたヘルメットを被りツルハシを奮うのは、服役囚たち。スペットもその一員。
「おい猫大将。来週また外回りかい」
「おお、せや」
「いいよなあ、お前はそうやって外に出してもらえてよ。俺なんかこの5年入ったきりだぜ。世間がどうなってんのか、さっぱり分かりゃしねえ」
「わしなんか20年だぞ。もはや女がどんな生き物だったかも忘れそうな勢いだ。後1年で刑期が終わるんだが、こうなると塀の外に出て行くのが億劫になってなあ……」
周囲の会話を適当に流しながらスペットは、昨日タモンから言われたことを、くどくど思い返していた。
(エバーグリーンでのことか……)
全然覚えていないというのではない。切れ切れに記憶はある。だがどれも、マゴイのもとで働いていた時期のものばかり。
しかもそれさえ、ひどく曖昧なのだ。詳細を突き止めようとした途端、捕らえ所がなくなる。朝起きて夢の粗筋を思い返す時のように。
何といっても納得いかないのは、女関係で追放されたと言うことなのに、相手の顔も名前も消えているという点。
マゴイに細かいところを聞けたらいいのだが、あの女自分の気が向いた時にしか姿を見せない。
とてつもなく理不尽だ。
(……そもそも俺は、何の階級やったんやろ。マゴイの下で働いてたちゅうことは、ワーカーちゅう奴なんやろか……ほしたらその女もワーカーやろか……)
これまで全く頭に浮かんだことのない事柄に、思いをめぐらせるスペット。
その時目の前の岩盤に、小さな穴が空いた。
「?」
一体何事か。思ってみているとさらに穴が大きくなり、ひねた犬のような顔が出てきた――コボルドだ。
コボルドはスペットを大きな猫と誤認した。吠え、追い払おうとする。
「ウ~……ワワワワワワ! ワワワワワ!」
しかしよく見たら顔は猫だが体が人間なことに気づいた。
「ワ……」
これまで見たことがない生き物を前にしたコボルドは、怖くなった。手持ちのこん棒をスペットに投げ付け、逃げる。
いい場所に当たったと見えてスペット、昏倒。
「おい、大丈夫か猫大将! おーい!」
コボルドの出てきた穴から首を突っ込んでみれば、奥が見えないほど深い。どうやらかなりの距離を掘り進んできたようだ。
コボルドは集団行動が基本。存在するのがあの1匹だけとは思えない。最悪近くに纏め役のゴブリンがいないとも限らない。
これはもう、ハンターの出番である。
囚人たちは即刻作業を中断し、地上に戻って行くこととした。気絶したままのスペットを引きずって。
●
仲間とともに現場へやってきたカチャは、坑道の外に固まり作業再開を待っている囚人たちのうちに、スペットの姿を見つけた。
なんだか知らないが横に寝かされ、額に布を当てられている。
大丈夫かな、と思い様子見に近づくカチャ。
「あのー、この人、どうしたんです?」
「いや、コボルドから一撃くらってな。目ぇ回しちまったのさ」
そこでスペットが、がばっと起きてきた。出し抜けにこう呟いた。
「せや、Θ・F92438・ソルジャーやったわ。あいつの名前」
「あいつって、誰のことです?」
カチャの問いかけに彼は、苛立たしげに頭を掻く。
「俺ん彼女や。くそっ、顔が出てきいへん……」
解説
補足説明。
これは坑道に潜り込んできたコボルドを排除するシナリオです。
コボルドは全部で10匹。彼らの上には1匹のゴブリン親分がいます。
親分は革鎧と山刀(大小2つ)で武装。コボルドの武器はこん棒のみ。
穴を掘っていた目的は、隠れ家を作るため。
穴の大きさはコボルドの体格に合わせたものです。地面から天井まで145センチ。幅は100センチ。全長1キロメートル。穴の出口は鉱山の裏側にあります。
コボルド穴には、横穴が3つ作ってあります。
1つは食料庫。
1つは盗品(金品)を置く場所(ゴブリンの潜伏スペースにもなっています)。
1つはコボルドの巣穴(枯れ草が敷いてあるだけ)
現在スペットに驚かされたコボルドが、親分のところへ報告に上がっているところです。
ゴブリンが倒されたら、コボルドは即四散します。もともと臆病な生き物ですので。
スペットが腐っていた詳細について知りたい方は、リプレイ『猫とマゴイと迷宮と』をご覧ください。
これは坑道に潜り込んできたコボルドを排除するシナリオです。
コボルドは全部で10匹。彼らの上には1匹のゴブリン親分がいます。
親分は革鎧と山刀(大小2つ)で武装。コボルドの武器はこん棒のみ。
穴を掘っていた目的は、隠れ家を作るため。
穴の大きさはコボルドの体格に合わせたものです。地面から天井まで145センチ。幅は100センチ。全長1キロメートル。穴の出口は鉱山の裏側にあります。
コボルド穴には、横穴が3つ作ってあります。
1つは食料庫。
1つは盗品(金品)を置く場所(ゴブリンの潜伏スペースにもなっています)。
1つはコボルドの巣穴(枯れ草が敷いてあるだけ)
現在スペットに驚かされたコボルドが、親分のところへ報告に上がっているところです。
ゴブリンが倒されたら、コボルドは即四散します。もともと臆病な生き物ですので。
スペットが腐っていた詳細について知りたい方は、リプレイ『猫とマゴイと迷宮と』をご覧ください。
マスターより
KINUTAです。
今回のお題は駆除作業。鉱山関係者は穴にコボルドが住み着かないように心掛けましょう。
そしてスペットが何事か思い出したようです。
Θは「シータ」とお読みください。
今回のお題は駆除作業。鉱山関係者は穴にコボルドが住み着かないように心掛けましょう。
そしてスペットが何事か思い出したようです。
Θは「シータ」とお読みください。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2017/02/03 00:17
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2017/01/23 20:07:17 |
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ゴブリン親分と10匹のコボルド ディーナ・フェルミ(ka5843) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|聖導士(クルセイダー) |
最終発言 2017/01/27 21:27:23 |
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質問卓 天竜寺 詩(ka0396) 人間(リアルブルー)|18才|女性|聖導士(クルセイダー) |
最終発言 2017/01/24 13:31:39 |