ゲスト
(ka0000)
【王国始動】暁の街道
マスター:冬野泉水

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在8人 / 4~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2014/06/17 22:00
- リプレイ完成予定
- 2014/06/26 22:00
オープニング
「皆さま、我がグラズヘイム王国へようこそ」
グラズヘイム王国、王都イルダーナはその王城。
謁見の間に集められたハンターたちは、正面、二つ並べられた椅子のうち右の椅子の前に立った少女に目を向けた。
落ち着いた、けれど幼さの残る声。椅子に腰を下ろした少女、もとい王女は胸に手を当て、
「はじめまして、私はシスティーナ・グラハムと申します。よろしくお願いしますね。さて、今回皆さまをお呼び立てしたのは他でもありません……」
やや目を伏せた王女が、次の瞬間、意を決したように言い放った。
「皆さまに、王国を楽しんでいただきたかったからですっ」
…………。王女なりに精一杯らしい大音声が、虚しく絨毯に吸い込まれた。
「あれ? 言葉が通じなかったのかな……えっと、オリエンテーションですっ」
唖然としてハンターたちが見上げるその先で、王女はふにゃっと破顔して続ける。
「皆さまの中にはリアルブルーから転移してこられた方もいるでしょう。クリムゾンウェストの人でもハンターになったばかりの方が多いと思います。そんな皆さまに王国をもっと知ってほしい。そう思ったのです」
だんだん熱を帯びてくる王女の言葉。
マイペースというか視野狭窄というか、この周りがついてきてない空気で平然とできるのはある意味まさしく貴族だった。
「見知らぬ地へやって来て不安な方もいると思います。歪虚と戦う、いえ目にするのも初めての方もいると思います。そんな皆さまの支えに私はなりたい! もしかしたら王国には皆さま――特にリアルブルーの方々に疑いの目を向ける人がいるかもしれない、けれどっ」
王女が息つく間すら惜しむように、言った。
「私は、あなたを歓迎します」
大国だからこその保守気質。それはそれで何かと面倒があるのだろう、とハンターはぼんやり考えた。
「改めて」
グラズヘイム王国へようこそ。
王女のか細く透き通った声が、ハンターたちの耳朶を打った。
○
王女……、と頬に手を当ててため息をついたのは聖堂戦士団長であるヴィオラ・フルブライトであった。
「あの、わたくし、何か変な事を言いましたでしょうか……」
「いえ、変なことは仰っていませんでした。ただ、」
「はひっ、す、すみません……!」
「いえ、王女。どうか謝らないで下さい。私の方が困ってしまいます」
「ご、ごめんなさ……あぅ……」
しゅんとしている少女を見ると、どうにも説教の勢いが削がれる。ちらりと重鎮セドリック・マクファーソンを見ると、彼もまた刻まれ始めた深い皺を撫でるように王女を見つめていた。
――ただ、なんというか、王女の威厳というものが皆無である。
もっとも、それでこそシスティーナ王女という存在として機能しているのだろう、とヴィオラは無理やり自分を納得させて謁見室を辞去した。
清楚である。草原に咲く小花のような可憐さもある。決して愚王の素質があるわけではない。
故に、システィーナ王女は今のグラズヘイム王国を持て余してしまうのだろう――それが、大司教である側近のセドリックと、彼女を見守り続けるヴィオラの共通認識でもあった。
王都イルダーナ第一街区。王城を出たヴィオラが向かう先は第二街区にある聖ヴェレニウス大聖堂の関係者に与えられた宿舎である。
ハンター達を出迎え、王女と謁見させるという大仕事を終え、宿舎で一度休憩しようとしたヴィオラを呼び止めたのは、白金の甲冑をまとった聖堂戦士団の団員であった。
「団長、大変です! 暁の街道で雑魔が……!」
「あそこは、西砦――ハルトフォートへの補給部隊が向かっているのではありませんか?」
「報告によると、第一陣は無事通過したそうですが、第二陣が現在交戦中とのことです。それに……」
「それに? ……構いません、続けて下さい」
第一声が大きすぎたのか、通行人がチラチラとこちらを見ているのを団員は気にしているようだ。それでなくとも、著名の聖女騎士であるヴィオラは目立つ。
もごもごとしている団員はヴィオラに急かされて、ほとんど泣きそうな声で言った。
「雑魔にまぎれて、ユグディラが……荷物を強奪している、とのことです」
「気をしっかりとお持ちなさい。あなたは王城へ。大司教様にこの事を伝え、臨時の応援部隊を呼んできて下さい」
「団長は……」
「私は即席の部隊を組み、先に暁の街道へ向かいます」
「団長が自らですか……!」
「時間がありません。急ぎなさい」
凛とした声で団員に喝を入れ、くるりと身を翻したヴィオラは大きな歩幅で歩き出した。ここで駆け出しては、第一街区の住民の不安を煽りかねない。
「どうやら楽しめそうな状況ではなさそうですね……」
王女の願いとは正反対の展開だが、致し方ない。
聖堂戦士団の戦士達は、王国の守りを除けばそれほど数は多くない。ましてや王国軍の補給部隊を援護するために合流しているのは、まだ入団して日も浅い者ばかりだ。
おそらく、彼らにとってこれが初陣になることだろう。
「貴方達、これから少し、私に時間をくださいますか?」
ちょうど王城から第一街区へ観光の目を移そうとしていたハンター達は、先ほど謁見室で見かけた女性が近づいてくるのをぽかんとして見つめていた。
「各々、武器は持っていますね? いきなりで申し訳ありませんが、早速、力を貸して下さい」
とにかくこの人は『偉い人』だ――と認識している彼らにとって、ヴィオラの申し出を断る理由は、何一つ持ち合わせていなかった。
○
暁の街道とは、王都から西砦へ向かう道の一つであり、比較的穏やかな道のりであることから補給ルートとして設定されることもある。
名前を冠せられたのは、王都から数キロ部分の、荒れた畑が続く部分である。
夕暮れになると、開けた視界に真っ赤な太陽が沈む姿を望めることから、この名が付けられたと伝えられている。
ちょうど時間は昼下がりを過ぎた頃だ。
夜を越さずに西砦へ向かうには、あまり時間もない。
その使命感と、初めての実戦であることが、聖堂戦士団の若者達を大きく焦らせる原因となった。
決して雑魔やユグディラは苦戦する相手ではない。
だが、ヴィオラが到着する半時の間に、彼らは陣形を大きく崩し、補給部隊を背に絶体絶命の状況を迎えていた。
ただ、敬愛する団長と、ハンター達の助けを待ちながら――。
グラズヘイム王国、王都イルダーナはその王城。
謁見の間に集められたハンターたちは、正面、二つ並べられた椅子のうち右の椅子の前に立った少女に目を向けた。
落ち着いた、けれど幼さの残る声。椅子に腰を下ろした少女、もとい王女は胸に手を当て、
「はじめまして、私はシスティーナ・グラハムと申します。よろしくお願いしますね。さて、今回皆さまをお呼び立てしたのは他でもありません……」
やや目を伏せた王女が、次の瞬間、意を決したように言い放った。
「皆さまに、王国を楽しんでいただきたかったからですっ」
…………。王女なりに精一杯らしい大音声が、虚しく絨毯に吸い込まれた。
「あれ? 言葉が通じなかったのかな……えっと、オリエンテーションですっ」
唖然としてハンターたちが見上げるその先で、王女はふにゃっと破顔して続ける。
「皆さまの中にはリアルブルーから転移してこられた方もいるでしょう。クリムゾンウェストの人でもハンターになったばかりの方が多いと思います。そんな皆さまに王国をもっと知ってほしい。そう思ったのです」
だんだん熱を帯びてくる王女の言葉。
マイペースというか視野狭窄というか、この周りがついてきてない空気で平然とできるのはある意味まさしく貴族だった。
「見知らぬ地へやって来て不安な方もいると思います。歪虚と戦う、いえ目にするのも初めての方もいると思います。そんな皆さまの支えに私はなりたい! もしかしたら王国には皆さま――特にリアルブルーの方々に疑いの目を向ける人がいるかもしれない、けれどっ」
王女が息つく間すら惜しむように、言った。
「私は、あなたを歓迎します」
大国だからこその保守気質。それはそれで何かと面倒があるのだろう、とハンターはぼんやり考えた。
「改めて」
グラズヘイム王国へようこそ。
王女のか細く透き通った声が、ハンターたちの耳朶を打った。
○
王女……、と頬に手を当ててため息をついたのは聖堂戦士団長であるヴィオラ・フルブライトであった。
「あの、わたくし、何か変な事を言いましたでしょうか……」
「いえ、変なことは仰っていませんでした。ただ、」
「はひっ、す、すみません……!」
「いえ、王女。どうか謝らないで下さい。私の方が困ってしまいます」
「ご、ごめんなさ……あぅ……」
しゅんとしている少女を見ると、どうにも説教の勢いが削がれる。ちらりと重鎮セドリック・マクファーソンを見ると、彼もまた刻まれ始めた深い皺を撫でるように王女を見つめていた。
――ただ、なんというか、王女の威厳というものが皆無である。
もっとも、それでこそシスティーナ王女という存在として機能しているのだろう、とヴィオラは無理やり自分を納得させて謁見室を辞去した。
清楚である。草原に咲く小花のような可憐さもある。決して愚王の素質があるわけではない。
故に、システィーナ王女は今のグラズヘイム王国を持て余してしまうのだろう――それが、大司教である側近のセドリックと、彼女を見守り続けるヴィオラの共通認識でもあった。
王都イルダーナ第一街区。王城を出たヴィオラが向かう先は第二街区にある聖ヴェレニウス大聖堂の関係者に与えられた宿舎である。
ハンター達を出迎え、王女と謁見させるという大仕事を終え、宿舎で一度休憩しようとしたヴィオラを呼び止めたのは、白金の甲冑をまとった聖堂戦士団の団員であった。
「団長、大変です! 暁の街道で雑魔が……!」
「あそこは、西砦――ハルトフォートへの補給部隊が向かっているのではありませんか?」
「報告によると、第一陣は無事通過したそうですが、第二陣が現在交戦中とのことです。それに……」
「それに? ……構いません、続けて下さい」
第一声が大きすぎたのか、通行人がチラチラとこちらを見ているのを団員は気にしているようだ。それでなくとも、著名の聖女騎士であるヴィオラは目立つ。
もごもごとしている団員はヴィオラに急かされて、ほとんど泣きそうな声で言った。
「雑魔にまぎれて、ユグディラが……荷物を強奪している、とのことです」
「気をしっかりとお持ちなさい。あなたは王城へ。大司教様にこの事を伝え、臨時の応援部隊を呼んできて下さい」
「団長は……」
「私は即席の部隊を組み、先に暁の街道へ向かいます」
「団長が自らですか……!」
「時間がありません。急ぎなさい」
凛とした声で団員に喝を入れ、くるりと身を翻したヴィオラは大きな歩幅で歩き出した。ここで駆け出しては、第一街区の住民の不安を煽りかねない。
「どうやら楽しめそうな状況ではなさそうですね……」
王女の願いとは正反対の展開だが、致し方ない。
聖堂戦士団の戦士達は、王国の守りを除けばそれほど数は多くない。ましてや王国軍の補給部隊を援護するために合流しているのは、まだ入団して日も浅い者ばかりだ。
おそらく、彼らにとってこれが初陣になることだろう。
「貴方達、これから少し、私に時間をくださいますか?」
ちょうど王城から第一街区へ観光の目を移そうとしていたハンター達は、先ほど謁見室で見かけた女性が近づいてくるのをぽかんとして見つめていた。
「各々、武器は持っていますね? いきなりで申し訳ありませんが、早速、力を貸して下さい」
とにかくこの人は『偉い人』だ――と認識している彼らにとって、ヴィオラの申し出を断る理由は、何一つ持ち合わせていなかった。
○
暁の街道とは、王都から西砦へ向かう道の一つであり、比較的穏やかな道のりであることから補給ルートとして設定されることもある。
名前を冠せられたのは、王都から数キロ部分の、荒れた畑が続く部分である。
夕暮れになると、開けた視界に真っ赤な太陽が沈む姿を望めることから、この名が付けられたと伝えられている。
ちょうど時間は昼下がりを過ぎた頃だ。
夜を越さずに西砦へ向かうには、あまり時間もない。
その使命感と、初めての実戦であることが、聖堂戦士団の若者達を大きく焦らせる原因となった。
決して雑魔やユグディラは苦戦する相手ではない。
だが、ヴィオラが到着する半時の間に、彼らは陣形を大きく崩し、補給部隊を背に絶体絶命の状況を迎えていた。
ただ、敬愛する団長と、ハンター達の助けを待ちながら――。
解説
王都から西へ伸びる暁の街道で、王国軍と聖堂戦士団からなる補給部隊が雑魔に襲われています。
リアルブルーからの使者は、至急、聖堂戦士団長ヴィオラ・フルブライトとともに現地に赴き、速やかに雑魔を排除してください。
なお、雑魔に紛れ、補給物資を強奪するユグディラが確認されています。
【地形】
暁の街道と呼ばれる道。
王都第七街区の西門を背に、直線で約数キロ。戦闘箇所は約二キロ地点です。
周りは荒れた畑や草むらで、視界を遮るものはありません。
道そのものは平坦で、坂や足場の悪い箇所はありません。
【雑魔】
主に獣の形です。
確認されている雑魔は全て歩行型で、飛行型はありません。
戦闘能力は未知数ですが、覚醒したハンター達が苦戦することは少ないでしょう。
【同行者】
今回の戦闘には、聖堂戦士団長であるヴィオラ・フルブライトが同行します。
彼女は基本的に指揮を取るため、戦闘にあまり積極的に参加しません。
ただし、ハンター達が危機に陥った時や、救援を求めた際は、その力を遺憾なく発揮するでしょう。
【ポイント】
※この項目は、WT初心者のために記載します※
本依頼は、迅速かつ確実に雑魔達を追い払うことが成功度に関わってきます。
補給部隊の状況、参加者の武器やヴィオラの立ち位置、攻撃方法等、綿密に相談することが重要です。
優れた連携や作戦を組み立てた場合、MVPを取ることもありますので、是非積極的に相談・連携を試してみて下さい。
リアルブルーからの使者は、至急、聖堂戦士団長ヴィオラ・フルブライトとともに現地に赴き、速やかに雑魔を排除してください。
なお、雑魔に紛れ、補給物資を強奪するユグディラが確認されています。
【地形】
暁の街道と呼ばれる道。
王都第七街区の西門を背に、直線で約数キロ。戦闘箇所は約二キロ地点です。
周りは荒れた畑や草むらで、視界を遮るものはありません。
道そのものは平坦で、坂や足場の悪い箇所はありません。
【雑魔】
主に獣の形です。
確認されている雑魔は全て歩行型で、飛行型はありません。
戦闘能力は未知数ですが、覚醒したハンター達が苦戦することは少ないでしょう。
【同行者】
今回の戦闘には、聖堂戦士団長であるヴィオラ・フルブライトが同行します。
彼女は基本的に指揮を取るため、戦闘にあまり積極的に参加しません。
ただし、ハンター達が危機に陥った時や、救援を求めた際は、その力を遺憾なく発揮するでしょう。
【ポイント】
※この項目は、WT初心者のために記載します※
本依頼は、迅速かつ確実に雑魔達を追い払うことが成功度に関わってきます。
補給部隊の状況、参加者の武器やヴィオラの立ち位置、攻撃方法等、綿密に相談することが重要です。
優れた連携や作戦を組み立てた場合、MVPを取ることもありますので、是非積極的に相談・連携を試してみて下さい。
マスターより
初めまして、またはお久しぶりです。冬野です。
ようこそ、グラズヘイム王国へ!
皆様が王国に求めるものは何でしょうか。
王国は熟練のマスター陣が、王女率いる柔らかな世界観、迸る血潮、仄かな陰謀、そして魅力的な描写でもって皆様をお出迎えいたします!
どうぞ、グラズヘイム王国、そしてFNBの世界を十分に楽しんで下さい。
皆様にエクラ教の加護がありますように。
ご参加、お待ちしております。
ようこそ、グラズヘイム王国へ!
皆様が王国に求めるものは何でしょうか。
王国は熟練のマスター陣が、王女率いる柔らかな世界観、迸る血潮、仄かな陰謀、そして魅力的な描写でもって皆様をお出迎えいたします!
どうぞ、グラズヘイム王国、そしてFNBの世界を十分に楽しんで下さい。
皆様にエクラ教の加護がありますように。
ご参加、お待ちしております。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2014/06/24 23:23
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2014/06/12 17:41:26 |
|
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相談卓 アクセル・ランパード(ka0448) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|男性|聖導士(クルセイダー) |
最終発言 2014/06/17 01:44:10 |