ゲスト
(ka0000)
雪の宿場町防衛戦
マスター:赤羽 青羽

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在7人 / 4~7人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2017/02/10 12:00
- リプレイ完成予定
- 2017/02/19 12:00
オープニング
風の音は明け方になってようやく止んだ。
若い男は犬を連れ、宿場町の門の外へ出た。
雪原の上を朝霧が流れていく。昇ったはずの太陽は、白い雲の向こうに呑まれてうすぼんやりと周囲を照らしていた。
男はブーツのふくらはぎまで雪に埋めながら歩いていく。相棒の大型犬は、雪の表面を腹で撫でながら跳ねるようにしてついてきた。体の芯まで凍りつきそうな風にフードの紐をきつく締める。
「思ったほどには積もってないな」
立ち枯れた草むらが点々と揺れる広大な平原を眺めて呟く。
昨日は昼過ぎからひどい吹雪だった。途中で雪は止んだが、一晩中、建物全体を揺さぶるような風が吹き荒れた。
犬ぞりで行商を行っているこの男も、昨晩は犬たちと一緒にこの宿場町に身を寄せていたのだった。
思ったよりも早く仕事が再開できそうなのを確認し、町に引き返そうとして男は相棒の様子に気づいた。
「どうした、シロマル」
そり犬のリーダーをつとめる賢い犬は、しきりに雪に鼻を押し付けている。そして、数メートル歩いてから立ち止まると、顔をあげて風上をじっと見つめた。
その視線を追って、男は目を見張った。
雪原に染みのように浮かんだ黒い影。
豆粒程度の大きさだが、いつも雪原を眺めている自分と鼻の良い相棒になら分かる。
(あれは……雑魔だ)
若い男はおののくように後ずさりすると、相棒を呼び寄せ、急を知らせに宿場町へ走った。
●
「そうですか、そちらも」
駆け込んできた行商人の男の話に老婆は深く頷いた。
宿屋のロビーには、既に町の住民が集まっていた。外のやぐらでは警戒の鐘の音が鳴り響いている。皆一様に落ち着かない雰囲気で、椅子に座った老婆を囲んでいた。
「へ。町長、そちらもってことは……」
「大変だー!」
言いかけた男の言葉を遮って、宿屋のドアがけたたましく開いた。
転げるように現れたドワーフの男は、髭どころか全身に雪をまとわせて『町長』と呼ばれた老婆の前に膝をつく。
「山に雑魔が出やがったんだ。崖の上から見ただけだが、白い狼っぽい奴がいっぺぇと、黒熊っぽいのが一緒くたに集まって町を見下ろしてる」
「山もだと……!? 囲まれてるじゃないか!」
集まった人々の間から、悲鳴に似た声が上がる。不穏なざわめきに、母親の腕に抱えられた乳飲み子が泣き出した。ローブを纏った助祭がロザリオを手に祈りを呟く。
町には子供や非戦闘員も多く住んでいる。
積雪の中、雑魔の攻撃に耐えつつこの人数を連れて脱出するのは不可能に近い。
防御柵を頼りに町に立て籠もるにしても、今回は敵の数が多すぎる。自警団の殲滅力ではきっと間に合わないだろう。
行商人の男は唇を噛んだ。
動揺する人々を静まらせたのは、町長が床についた杖の音だった。
集まる視線を小さな体で受け止めた老婆は、ひじ掛けと杖に頼るようにしてゆっくりと立ちあがる。
「我が町の自警団でも、この数は対処しきれないでしょう。ですが……」
その眼はじっと宿屋の一角を見つめていた。
そこには、騒ぎやただならぬ様子に気づいてやってきた、あなたたちがいる。
杖をつきながらも、老婆はしっかりした歩みで目の前までやってきた。
「目を見ればわかります。ハンターの方々でしょう? できる限りのお礼はいたします。お客様にこのような事を頼むのは恐縮ですが」
老婆は深い海色の瞳でひとりひとりの顔に視線を巡らせてから、まっすぐに首(こうべ)を垂れた。
「お願いします。どうかこの町を、町の皆をお救い下さい」
つられるようにして行商人の男が、さらには周りの町民たちが次々とあなたがたに頭を下げた。
若い男は犬を連れ、宿場町の門の外へ出た。
雪原の上を朝霧が流れていく。昇ったはずの太陽は、白い雲の向こうに呑まれてうすぼんやりと周囲を照らしていた。
男はブーツのふくらはぎまで雪に埋めながら歩いていく。相棒の大型犬は、雪の表面を腹で撫でながら跳ねるようにしてついてきた。体の芯まで凍りつきそうな風にフードの紐をきつく締める。
「思ったほどには積もってないな」
立ち枯れた草むらが点々と揺れる広大な平原を眺めて呟く。
昨日は昼過ぎからひどい吹雪だった。途中で雪は止んだが、一晩中、建物全体を揺さぶるような風が吹き荒れた。
犬ぞりで行商を行っているこの男も、昨晩は犬たちと一緒にこの宿場町に身を寄せていたのだった。
思ったよりも早く仕事が再開できそうなのを確認し、町に引き返そうとして男は相棒の様子に気づいた。
「どうした、シロマル」
そり犬のリーダーをつとめる賢い犬は、しきりに雪に鼻を押し付けている。そして、数メートル歩いてから立ち止まると、顔をあげて風上をじっと見つめた。
その視線を追って、男は目を見張った。
雪原に染みのように浮かんだ黒い影。
豆粒程度の大きさだが、いつも雪原を眺めている自分と鼻の良い相棒になら分かる。
(あれは……雑魔だ)
若い男はおののくように後ずさりすると、相棒を呼び寄せ、急を知らせに宿場町へ走った。
●
「そうですか、そちらも」
駆け込んできた行商人の男の話に老婆は深く頷いた。
宿屋のロビーには、既に町の住民が集まっていた。外のやぐらでは警戒の鐘の音が鳴り響いている。皆一様に落ち着かない雰囲気で、椅子に座った老婆を囲んでいた。
「へ。町長、そちらもってことは……」
「大変だー!」
言いかけた男の言葉を遮って、宿屋のドアがけたたましく開いた。
転げるように現れたドワーフの男は、髭どころか全身に雪をまとわせて『町長』と呼ばれた老婆の前に膝をつく。
「山に雑魔が出やがったんだ。崖の上から見ただけだが、白い狼っぽい奴がいっぺぇと、黒熊っぽいのが一緒くたに集まって町を見下ろしてる」
「山もだと……!? 囲まれてるじゃないか!」
集まった人々の間から、悲鳴に似た声が上がる。不穏なざわめきに、母親の腕に抱えられた乳飲み子が泣き出した。ローブを纏った助祭がロザリオを手に祈りを呟く。
町には子供や非戦闘員も多く住んでいる。
積雪の中、雑魔の攻撃に耐えつつこの人数を連れて脱出するのは不可能に近い。
防御柵を頼りに町に立て籠もるにしても、今回は敵の数が多すぎる。自警団の殲滅力ではきっと間に合わないだろう。
行商人の男は唇を噛んだ。
動揺する人々を静まらせたのは、町長が床についた杖の音だった。
集まる視線を小さな体で受け止めた老婆は、ひじ掛けと杖に頼るようにしてゆっくりと立ちあがる。
「我が町の自警団でも、この数は対処しきれないでしょう。ですが……」
その眼はじっと宿屋の一角を見つめていた。
そこには、騒ぎやただならぬ様子に気づいてやってきた、あなたたちがいる。
杖をつきながらも、老婆はしっかりした歩みで目の前までやってきた。
「目を見ればわかります。ハンターの方々でしょう? できる限りのお礼はいたします。お客様にこのような事を頼むのは恐縮ですが」
老婆は深い海色の瞳でひとりひとりの顔に視線を巡らせてから、まっすぐに首(こうべ)を垂れた。
「お願いします。どうかこの町を、町の皆をお救い下さい」
つられるようにして行商人の男が、さらには周りの町民たちが次々とあなたがたに頭を下げた。
解説
舞台は積雪の宿場町です。
プレイヤーの皆さんは、町に宿泊していたり、たまたま通りかかったものとして行動して下さい。
いずれも宿屋からスタートします。
天気は薄曇り。
気温はマイナス10℃。
雑魔はあと20分ほどで宿場町に到達します。
その時間までなら準備や移動が邪魔されずに行えるでしょう。
確認された雑魔は狼型と熊型です。
各方面の襲撃タイミングまでは分かりません。
【狼型】
灰白色の狼型の雑魔です。
各方面に30~40体いるようです。鋭い牙を持ち、素早くジャンプ力があります。
十分な時間を与えれば柵をも飛び越えるでしょう。
【熊型】
ヒグマと同等の体格を持つ、黒い熊型の雑魔です。
各方面に1~2体いるようです。二足歩行し、強靭な腕や牙で攻撃します。
狼型に比べ動きは遅く、体力や攻撃力が高いです。
以下、戦場情報です。
◆宿場町
積雪:ほぼ無し
丸太を尖らせた防御柵で囲まれた宿場町。
宿屋と商店のほか、民家が10軒ほどあります。
町の中央を十字路が貫き、町の出入口には重い木の門が設置されています。特に要請が無ければ作戦中は自警団の手で閉門します。
また、鐘の設置された『やぐら』があり柵の外まで見渡せます。
◆平原方面
積雪:足首まで
平坦な雪原。
時折、強い風が吹きぬけます。
所々に人間の腰ほどの高さの枯草が草むらを作り、小さな相手を視認しづらくしています。
◆森林方面
積雪:(町~森の間)足首まで (森の中)くるぶし程度
町から15mほど離れた所にある森。
森と町の間は見通しの良い平地になっています。
雪を乗せた針葉樹が立ち並び、森の中はやや薄暗いです。
◆山岳方面
積雪:ふくらはぎまで
斜面と川のある地形。
町から15mほど離れた所に川が流れています。川幅は約5m。門近くには馬車用の石橋があります。
水面は凍っています。上を歩くことはできますが、衝撃を与えればたやすく割れます。
川の向こうには緩やかな傾斜の雪原が広がっています。
プレイヤーの皆さんは、町に宿泊していたり、たまたま通りかかったものとして行動して下さい。
いずれも宿屋からスタートします。
天気は薄曇り。
気温はマイナス10℃。
雑魔はあと20分ほどで宿場町に到達します。
その時間までなら準備や移動が邪魔されずに行えるでしょう。
確認された雑魔は狼型と熊型です。
各方面の襲撃タイミングまでは分かりません。
【狼型】
灰白色の狼型の雑魔です。
各方面に30~40体いるようです。鋭い牙を持ち、素早くジャンプ力があります。
十分な時間を与えれば柵をも飛び越えるでしょう。
【熊型】
ヒグマと同等の体格を持つ、黒い熊型の雑魔です。
各方面に1~2体いるようです。二足歩行し、強靭な腕や牙で攻撃します。
狼型に比べ動きは遅く、体力や攻撃力が高いです。
以下、戦場情報です。
◆宿場町
積雪:ほぼ無し
丸太を尖らせた防御柵で囲まれた宿場町。
宿屋と商店のほか、民家が10軒ほどあります。
町の中央を十字路が貫き、町の出入口には重い木の門が設置されています。特に要請が無ければ作戦中は自警団の手で閉門します。
また、鐘の設置された『やぐら』があり柵の外まで見渡せます。
◆平原方面
積雪:足首まで
平坦な雪原。
時折、強い風が吹きぬけます。
所々に人間の腰ほどの高さの枯草が草むらを作り、小さな相手を視認しづらくしています。
◆森林方面
積雪:(町~森の間)足首まで (森の中)くるぶし程度
町から15mほど離れた所にある森。
森と町の間は見通しの良い平地になっています。
雪を乗せた針葉樹が立ち並び、森の中はやや薄暗いです。
◆山岳方面
積雪:ふくらはぎまで
斜面と川のある地形。
町から15mほど離れた所に川が流れています。川幅は約5m。門近くには馬車用の石橋があります。
水面は凍っています。上を歩くことはできますが、衝撃を与えればたやすく割れます。
川の向こうには緩やかな傾斜の雪原が広がっています。
マスターより
お初にお目にかかります。
新人マスターの、赤羽 青羽(あかはね あおば)と申します。
極寒の戦闘シナリオをお届けします。
敵一体ずつはさほど強くありませんが、群れで向かってきます。
こちらも様々な条件を生かして対処しましょう。
誰も防衛していない方面があると、町の防衛は難しくなります。
寒さを吹き飛ばす、熱いアクションをお待ちしています。
新人マスターの、赤羽 青羽(あかはね あおば)と申します。
極寒の戦闘シナリオをお届けします。
敵一体ずつはさほど強くありませんが、群れで向かってきます。
こちらも様々な条件を生かして対処しましょう。
誰も防衛していない方面があると、町の防衛は難しくなります。
寒さを吹き飛ばす、熱いアクションをお待ちしています。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2017/02/18 05:52
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2017/02/05 21:10:33 |
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雪の宿場町防衛戦 無雲(ka6677) 鬼|18才|女性|格闘士(マスターアームズ) |
最終発言 2017/02/10 08:21:03 |