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大人になる方法

マスター:KINUTA

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
参加費
1,000
参加人数
現在8人 / 4~8人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
6日
プレイング締切
2017/02/16 19:00
リプレイ完成予定
2017/02/25 19:00

オープニング




 大晦日にえらい目に遭ってから一月足らず――カチャは母ケチャから『ちょっと話があるから戻ってきなさい』という旨の手紙を受け取った。
 もちろん手紙なのだから無視することは出来る。
 だが、そうすると確実に母本人がリゼリオまで上京してくる。
 それだけは避けたいという一念のもと、カチャは、帰省することとなった。


●部族の郷


「ただいまー」

 頑丈な木組みの家屋。
 扉を開けたカチャを出迎えたのは、弟キクル。
 年末は寝込んでいたが、今はすっかり元気な様子だ。

「お帰りお姉ちゃん」

「ただいま。お母さんはどこにいます?」

「お蔵にいるよ。何か探しているみたい」

「機嫌が悪そうとか、そういうことはない?」

「ううん、特にはなかったけど……お姉ちゃん、またどこかで借金したの?」

「してないっ」

「じゃあなんでそんなにお母さんの機嫌、気にしてるの?」

「あのねキクル、大きくなると色々あるの」

「色々って?」

「そりゃ……何かとたくさんあるってことかなあ」

 茶を濁していたところ、父が出てきた。台所仕事をしていたらしく、割烹着姿である。

「おや、お帰りカチャ」

「ただいま、お父さん」

 これ幸いと弟との会話を打ち切りし、足早に蔵へ。
 いったん呼吸を整えてから、戸を開ける。

「ただいまー……」

 奥の方で何かを探していた母、ケチャが振り向いた。

「ああ、帰ってきたのねカチャ。ちょっとこっちにいらっしゃい」

 カチャはぎこちない足取りで母のもとに歩み寄り、毛皮の上に座る。

「あのー、お母さん。話って一体何?」

「あなた、この間うちに来た子と結婚するつもりなの?」

 前置きなしの直球に、カチャ、動きを止める。

「……い……いや……どうなのかな……まだ話はそこまで……いってないけど……」

「『まだ』っていうことは、する気はあるわけかしら?」

「……えっと……お母さんあの子は女の子ですけど……その点こう問題とかは……」

「別にないわよ」

「……そ、そう……」

「そんなことより、うちの部族は外部のものと婚姻する際、嫁取り婿取り以外の形はとらないってこと、ちゃんと話した?」

「う、うん。部族に入らなくちゃいけなくなるっていうことは、話して……」

「返事は?」

「……そうしてもいいってことでした」

「あらそう。それなら確定ってことね」

「い、いやちょっと待って、あのーう」

「何」

「よその人にうちの部族に入ってもらう時って、入れ墨しなくちゃいけないでしょ?」

「そうよ」

「前から思ってたんだけど……あれ、別になくてもよくないかな……」

「何を言ってるのあなたは。なくていいわけがないでしょう。入れ墨は、守護精霊との契約を示すものよ。まあそれはさておき結婚云々言い出すんだったら、その前にあなた、成人式済ませておかないとね」

 と言いながらケチャは、毛皮の包みを取り出した。
 それをカチャに渡す。開いてみるとそこには、斧が入っていた。

「これで首を取ってきなさい。一人でね――――人間以外の首」

 一体何が起源なのか知らないが、成人の証しとして首を取って来いというこの奇習、どうにかならないのか。とカチャは思うのであった。


●ジェオルジ山中


 最近この地では、冬眠しそこなったオスの大熊が出没して、人間を襲うようになった。
 家畜の被害が既に何件も出ている。通常より二回りは大きい熊であり、頭がよい。
 猟師に駆除を頼んでみたがことごとく罠を避けられ、うまくいかない。
 どうしたものか頭を悩ませていた所、折よく、カチャと名乗るハンターが話を聞き付け、是非駆除したいと申し出てきた。特に報酬もいらないからと。
 住民は、ひとまず任せてみることにした。
 それから丸二日たった。
 熊は出てこなくなった。
 しかし意気揚々山に入って行ったハンターもまた、帰ってこない。
 住民たちはひそひそ囁きあった。

「……おい、まずいんでねえだか? あの娘っこ、山ん中で死んどるんでねえか?」

「確かめに行くべか?」

「待て待て、万一まだ熊がおったらおおごとじゃで。まずはハンターオフィスに問い合わせてみるべ」


●勝者、カチャ


 意識の空白から覚めた瞬間、カチャを激痛が襲った。

「……つ……」

 浅い息を吐きながら、自分自身に回復魔法をかける。
 なんとか体が動くようになってから、やっと周囲を見回す余裕が出来た。
 目の前にあるのは逆さになった熊の顔。歯茎と黄色い犬歯が剥き出しだ。頭蓋が割れ脳漿が飛び出している。
 剛毛に包まれた体は、ガチガチに固まっていた。死んでからそれなりの時間がたっているようだ。
 見上げてみれば、岸壁。
 眩しげに目を細めるカチャは、徐々に、どうして自分がここにいるのか思い出してきた。

(……あー、そうだ……熊を狩りに来て……最後格闘みたいになって……崖から落ちたんだった……)

 改めて周囲をよく見れば、ごつごつの岩棚。まともに当たっていたら自分も危なかったと、今更冷や汗をかき、改めて身の回りを点検する。
 離れたところに斧が飛んでいた。他の所有品も。
 それらを全てかき集めてから、改めて斧を手に取り、熊を見下ろす。ごわごわの毛を撫でて、呟く。

「……すいませんね……」

 切り離した熊の頭は、かなり重かった。


解説


 補足説明

 これは行方不明になったNPCカチャ・タホを探しに行くシナリオです。
 彼女は現在山の中。熊の頭を引きずりつつ沢に沿って、休み休み移動しているところです。
 傷は治したもののかなり出血していたので、へろへろになっています。
 彼女を見つけた際にはその無事を、依頼してきた周辺住民に教えてあげてください。
  
 
 参加PCは住民から地理その他の情報を得ることが出来ます。カチャが崖から落ちたということを推測するのは、そう難しいことではありません。
 
 
 このOPは、リプレイ「歳末人間模様」に続く話です。

マスターより


KINUTAです。

カチャの部族には首置いてけの風習があるようです。


関連NPC

  • 荷を運ぶ者
    カチャ・タホ(kz0150
    人間(クリムゾンウェスト)|13才|女性|聖導士(クルセイダー)
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2017/02/23 01:01

参加者一覧

  • 伝説の砲撃機乗り
    ミグ・ロマイヤー(ka0665
    ドワーフ|13才|女性|機導師
  • ルル大学魔術師学部教授
    エルバッハ・リオン(ka2434
    エルフ|12才|女性|魔術師
  • 特務偵察兵
    水城もなか(ka3532
    人間(蒼)|22才|女性|疾影士
  • また、あなたと
    リナリス・リーカノア(ka5126
    人間(紅)|14才|女性|魔術師
  • Rot Jaeger
    ステラ・レッドキャップ(ka5434
    人間(紅)|14才|男性|猟撃士
  • 鉄壁の機兵操者
    ディヤー・A・バトロス(ka5743
    人間(紅)|11才|男性|魔術師
  • 忍軍創設者
    ルンルン・リリカル・秋桜(ka5784
    人間(蒼)|17才|女性|符術師
  • 灯光に託す鎮魂歌
    ディーナ・フェルミ(ka5843
    人間(紅)|18才|女性|聖導士
依頼相談掲示板
アイコン 相談卓
リナリス・リーカノア(ka5126
人間(クリムゾンウェスト)|14才|女性|魔術師(マギステル)
最終発言
2017/02/16 18:45:26
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2017/02/13 11:52:57