ゲスト
(ka0000)
マゴイと黒い箱
マスター:KINUTA

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在8人 / 4~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 6日
- プレイング締切
- 2017/02/26 19:00
- リプレイ完成予定
- 2017/03/07 19:00
オープニング
●事の発端
ハンターオフィス・ジェオルジ支局のマスコット、コボルドコボちゃん。
本日はちょっと遠出。
人里離れた場所に隠れ暮らしているコボルド仲間――以前歪虚から助けた(実際に助けたのはハンターだが)――の様子を見に行くのだ。
つい最近新しいコボルドの群れを引き合わせたばかりなのだが、その後うまくやれているかなあと思って。
人間には分からない道を通り、テリトリーに入り、あいさつ。
「わしわっしー。わしー」
枯れた草むらから仲間が出てきた。
お互い匂いを確かめてから巣穴に移動する。
仲間が増えたせいだろう、キノコ栽培のための部屋が広げられている。
この分なら食料に困ることはなさそう。
安堵するコボちゃんに、群れのうちでも一番年を取っているコボルドが、変なものを持ってきた。
50センチ×50センチ大の、真っ黒な箱。
見た感じ金属っぽいが、触ってみた感触は柔らかい。片手ですんなり持ち上げられてしまうほど軽い。
聞いてみれば穴を広げているとき、掘り出したとのこと。
「……うぉふ……うぉふ?」
何の役にも立ちそうに無いが、よかったらお前いらないか、ということなので、コボちゃんは貰い受けた。
そして、コボちゃんハウスの隅に置いておいた。
●数日後
ハンターオフィス・ジェオルジ支局。マリーが魔導短伝話で長話をしている。
「ええ、温泉に行ってたの」
オフィスには、彼女一人。もう一人の職員ジュアンは、所用で村役場に出かけている。
「――それで、その人が言ったのよ、完成品を待ってるだけじゃ駄目だって。原石を拾って磨き上げろって。ええもう、目からうろこって奴よ。でね――」
伝話に夢中なその背後をコボちゃんが、椅子を担いで横切って行く。戸棚の一番上にある、犬用ビスケットを取るつもりなのだ。
しかし、椅子に上っても手が届かない。
そこでふとコボちゃんは、仲間から貰ってきた箱のことを思い出した。
早速コボちゃんハウスへ取りに戻る。
再び戻ってきて箱を椅子の上に置き、その上に乗ると――手が届いた。
そうしている間に箱から一本の太い管が突き出し、神霊樹に向かってするする伸び、幹に吸い付いたのだが、コボちゃんは気づかない。
ビスケットの袋を手にするや、さっさと外に出て行く。
そこでマリーが、ようやく伝話を切った。
「うん、じゃあねーバイバイ」
さあ仕事をしようと意識を切り替えたところで、ようやく背後の異変を知る。
「あーっ! コボ、またやったわね!」
とっちめてやらねばと思いながら椅子から立ち上がり、数歩歩いたところで、何かにつまづいた。
「とっ、と! 何なのこの管、危ないじゃないの!」
一体どこから伸びているのかと目で追い、椅子の上にある黒い箱を見つける。
箱の内側に、目玉のような物が浮かんでいた。薄緑色の微光を帯びて。
見られている。そう感じ後退りするマリーは一瞬、立ちくらみを覚えた。
どこかで声がした。
【スキャン終了――翻訳機能に新しい言語体系を加えました】
目玉がゆっくり回転し始めた。
【市民、あなたの精神状態は十分に安定しておりません。これはあなたにとって、とてもよくないことです】
「え?」
【市民、是非ユニオンにご相談ください。ユニオンはあなたの問題を解決いたします。あなたの精神的な不具合を治療いたします。あなたの幸福を取り戻します】
「な、何……」
【市民、幸福はあなたの権利です。ユニオンはその権利を保証する義務があります。共同体は誰も一人にはしません。皆はあなたを受け入れます。あなたも皆を受け入れます。だから幸福なのです。市民、それを思い出してください、思い出してください……】
●亜空間より
『赤と青は……緑に……緑は……赤と青に……果たしてどちらが……先か……卵か……鶏か……』
亜空間を漂いながら思索に耽っていたマゴイは、不意にそれを中断し、首を巡らせた。
『……これは……もしや……通報信号……?』
片手を持ち上げ空間に穴を空け、そこに滑り込む。
周辺を漂っていたあやしげなものが、これ幸いと後に続いた。
しかし全身が通過する前に、穴が閉ざされた。
●歪虚発生
村役場から戻る道筋。
自転車に乗ったジュアンは、向こうから走ってくるコボちゃんに出くわした。
「あれ、コボちゃんどうしたの」
「わし! わしわしわし! わーわわーし!」
身振り手振り口ぶりからして、オフィスで何か問題が起きたらしい。
ジュアンは急いで彼を荷台に乗せ、ペダルをこいだ。
しかしすぐさま、急ブレーキ。
「な……何だあれ……」
蜻蛉型の歪虚が、行く手にいた。異様なことにその体、右半分だけしかない。
しきりと羽を打ち鳴らし飛ぼうとしているが飛べるはずもない。動くこともままならない。そのことに苛立っているのか、金切り声を上げている。
ジュアンは、大急ぎで引き返す。ハンターたちを呼ぶために。
●マゴイ到着
耳を塞いでもどうにもならない。畳み掛けるように繰り返される言葉は、頭の中から響いてくるのだ。
【市民、あなたは皆のもの。市民、皆はあなたのもの。あなたは皆の一部であり、皆はあなたの一部。それはとても幸せなことです。市民、ユニオンはあなたの幸福を保証します。あなたはどこまでも幸福になる権利を有します。ユニオンはそれを保証します。ユニオンはあなたの味方です】
見覚えのない景色、見覚えのない人の顔、見覚えのない建物、そういった映像まで、どんどん流れ込んでくる。
自我が溶かされていく感覚にマリーは、悲鳴を上げた。
「やめて!……入ってこないで!……やめて!……やめて!!」
突如箱の攻勢が止まった。
目の前に見知らぬ女がいる。それだけを認識してマリーは、昏倒した。
『……やはり……ウォッチャー……どこに落ちていたかしらね……それにしても……懐かしい……』
ハンターオフィス・ジェオルジ支局のマスコット、コボルドコボちゃん。
本日はちょっと遠出。
人里離れた場所に隠れ暮らしているコボルド仲間――以前歪虚から助けた(実際に助けたのはハンターだが)――の様子を見に行くのだ。
つい最近新しいコボルドの群れを引き合わせたばかりなのだが、その後うまくやれているかなあと思って。
人間には分からない道を通り、テリトリーに入り、あいさつ。
「わしわっしー。わしー」
枯れた草むらから仲間が出てきた。
お互い匂いを確かめてから巣穴に移動する。
仲間が増えたせいだろう、キノコ栽培のための部屋が広げられている。
この分なら食料に困ることはなさそう。
安堵するコボちゃんに、群れのうちでも一番年を取っているコボルドが、変なものを持ってきた。
50センチ×50センチ大の、真っ黒な箱。
見た感じ金属っぽいが、触ってみた感触は柔らかい。片手ですんなり持ち上げられてしまうほど軽い。
聞いてみれば穴を広げているとき、掘り出したとのこと。
「……うぉふ……うぉふ?」
何の役にも立ちそうに無いが、よかったらお前いらないか、ということなので、コボちゃんは貰い受けた。
そして、コボちゃんハウスの隅に置いておいた。
●数日後
ハンターオフィス・ジェオルジ支局。マリーが魔導短伝話で長話をしている。
「ええ、温泉に行ってたの」
オフィスには、彼女一人。もう一人の職員ジュアンは、所用で村役場に出かけている。
「――それで、その人が言ったのよ、完成品を待ってるだけじゃ駄目だって。原石を拾って磨き上げろって。ええもう、目からうろこって奴よ。でね――」
伝話に夢中なその背後をコボちゃんが、椅子を担いで横切って行く。戸棚の一番上にある、犬用ビスケットを取るつもりなのだ。
しかし、椅子に上っても手が届かない。
そこでふとコボちゃんは、仲間から貰ってきた箱のことを思い出した。
早速コボちゃんハウスへ取りに戻る。
再び戻ってきて箱を椅子の上に置き、その上に乗ると――手が届いた。
そうしている間に箱から一本の太い管が突き出し、神霊樹に向かってするする伸び、幹に吸い付いたのだが、コボちゃんは気づかない。
ビスケットの袋を手にするや、さっさと外に出て行く。
そこでマリーが、ようやく伝話を切った。
「うん、じゃあねーバイバイ」
さあ仕事をしようと意識を切り替えたところで、ようやく背後の異変を知る。
「あーっ! コボ、またやったわね!」
とっちめてやらねばと思いながら椅子から立ち上がり、数歩歩いたところで、何かにつまづいた。
「とっ、と! 何なのこの管、危ないじゃないの!」
一体どこから伸びているのかと目で追い、椅子の上にある黒い箱を見つける。
箱の内側に、目玉のような物が浮かんでいた。薄緑色の微光を帯びて。
見られている。そう感じ後退りするマリーは一瞬、立ちくらみを覚えた。
どこかで声がした。
【スキャン終了――翻訳機能に新しい言語体系を加えました】
目玉がゆっくり回転し始めた。
【市民、あなたの精神状態は十分に安定しておりません。これはあなたにとって、とてもよくないことです】
「え?」
【市民、是非ユニオンにご相談ください。ユニオンはあなたの問題を解決いたします。あなたの精神的な不具合を治療いたします。あなたの幸福を取り戻します】
「な、何……」
【市民、幸福はあなたの権利です。ユニオンはその権利を保証する義務があります。共同体は誰も一人にはしません。皆はあなたを受け入れます。あなたも皆を受け入れます。だから幸福なのです。市民、それを思い出してください、思い出してください……】
●亜空間より
『赤と青は……緑に……緑は……赤と青に……果たしてどちらが……先か……卵か……鶏か……』
亜空間を漂いながら思索に耽っていたマゴイは、不意にそれを中断し、首を巡らせた。
『……これは……もしや……通報信号……?』
片手を持ち上げ空間に穴を空け、そこに滑り込む。
周辺を漂っていたあやしげなものが、これ幸いと後に続いた。
しかし全身が通過する前に、穴が閉ざされた。
●歪虚発生
村役場から戻る道筋。
自転車に乗ったジュアンは、向こうから走ってくるコボちゃんに出くわした。
「あれ、コボちゃんどうしたの」
「わし! わしわしわし! わーわわーし!」
身振り手振り口ぶりからして、オフィスで何か問題が起きたらしい。
ジュアンは急いで彼を荷台に乗せ、ペダルをこいだ。
しかしすぐさま、急ブレーキ。
「な……何だあれ……」
蜻蛉型の歪虚が、行く手にいた。異様なことにその体、右半分だけしかない。
しきりと羽を打ち鳴らし飛ぼうとしているが飛べるはずもない。動くこともままならない。そのことに苛立っているのか、金切り声を上げている。
ジュアンは、大急ぎで引き返す。ハンターたちを呼ぶために。
●マゴイ到着
耳を塞いでもどうにもならない。畳み掛けるように繰り返される言葉は、頭の中から響いてくるのだ。
【市民、あなたは皆のもの。市民、皆はあなたのもの。あなたは皆の一部であり、皆はあなたの一部。それはとても幸せなことです。市民、ユニオンはあなたの幸福を保証します。あなたはどこまでも幸福になる権利を有します。ユニオンはそれを保証します。ユニオンはあなたの味方です】
見覚えのない景色、見覚えのない人の顔、見覚えのない建物、そういった映像まで、どんどん流れ込んでくる。
自我が溶かされていく感覚にマリーは、悲鳴を上げた。
「やめて!……入ってこないで!……やめて!……やめて!!」
突如箱の攻勢が止まった。
目の前に見知らぬ女がいる。それだけを認識してマリーは、昏倒した。
『……やはり……ウォッチャー……どこに落ちていたかしらね……それにしても……懐かしい……』
解説
補足説明。
これは、虫型歪虚を退治する依頼です。ウォッチャーについてはマゴイが鎮めます。そちらの対処は後回しにして問題ありません。
流れとしては『歪虚を駆除してからオフィスに向かう』となります。
ウォッチャーの正体はエバーグリーンの一地域で使用されていた、知能搭載防犯カメラ。
異世界で長いこと停止していましたが、オフィスの神霊樹からエネルギーの供給を受け、復活。
ウォッチャーは共同体に適合出来なくなっていそうな人を検知、足止め、通報するという存在です。
ところでウォッチャーが問題なしと認める精神構造を持てるのは、ユニオンという共同体社会で育った人間だけ。つまりこの場においてはマゴイだけ。
それ以外のすべてのPC、NPCは、ウォッチャーに近づくと、要注意人物として引っ掛かります。引っ掛かるとマリーみたいな精神攻撃を受けます(ウォッチャー自身は、攻撃だと思ってはいないわけですが)。
事後マゴイは、ウォッチャーを亜空間に持って帰るつもりです。懐かしいそうです。
歪虚データ
形:蜻蛉(ただし右半分だけ)
大きさ:5メートル
移動速度:時速5キロ
攻撃手段:(半分だけの)噛み付き。
食性:肉食
動き:のたうち回りながらなので、かなりトリッキーな動きになります。
登場NPC
マリー:SAN値を削られダウン。クリムゾンの女エルフ。
ジュアン:お使い。クリムゾンの青年。
コボちゃん:盗み食い。クリムゾンのコボルド。
マゴイ:久しぶりに出てきた。もとエバーグリーンの人間。現在世界の隙間の住人。
これは、虫型歪虚を退治する依頼です。ウォッチャーについてはマゴイが鎮めます。そちらの対処は後回しにして問題ありません。
流れとしては『歪虚を駆除してからオフィスに向かう』となります。
ウォッチャーの正体はエバーグリーンの一地域で使用されていた、知能搭載防犯カメラ。
異世界で長いこと停止していましたが、オフィスの神霊樹からエネルギーの供給を受け、復活。
ウォッチャーは共同体に適合出来なくなっていそうな人を検知、足止め、通報するという存在です。
ところでウォッチャーが問題なしと認める精神構造を持てるのは、ユニオンという共同体社会で育った人間だけ。つまりこの場においてはマゴイだけ。
それ以外のすべてのPC、NPCは、ウォッチャーに近づくと、要注意人物として引っ掛かります。引っ掛かるとマリーみたいな精神攻撃を受けます(ウォッチャー自身は、攻撃だと思ってはいないわけですが)。
事後マゴイは、ウォッチャーを亜空間に持って帰るつもりです。懐かしいそうです。
歪虚データ
形:蜻蛉(ただし右半分だけ)
大きさ:5メートル
移動速度:時速5キロ
攻撃手段:(半分だけの)噛み付き。
食性:肉食
動き:のたうち回りながらなので、かなりトリッキーな動きになります。
登場NPC
マリー:SAN値を削られダウン。クリムゾンの女エルフ。
ジュアン:お使い。クリムゾンの青年。
コボちゃん:盗み食い。クリムゾンのコボルド。
マゴイ:久しぶりに出てきた。もとエバーグリーンの人間。現在世界の隙間の住人。
マスターより
KINUTAです。
ユニオンはとてもいい国だったのよ(マゴイ談)。
ユニオンはとてもいい国だったのよ(マゴイ談)。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2017/03/04 22:28
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2017/02/25 18:20:42 |
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相談卓だよ 天竜寺 舞(ka0377) 人間(リアルブルー)|18才|女性|疾影士(ストライダー) |
最終発言 2017/02/26 17:59:08 |