ゲスト
(ka0000)
【アルカナ】 王たる者
マスター:桐咲鈴華

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 難しい
- オプション
-
- 参加費
1,500
- 参加人数
- 現在10人 / 4~10人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2017/02/23 19:00
- リプレイ完成予定
- 2017/03/04 19:00
オープニング
●
余は王である。
世を統べ、民を導く存在。我が征く道は王道に他ならず、我が踏み記した道こそが王道となる。
幼童の頃より王であれと教育され、余もまたそれを疑う事なく教授した。
多くの価値観を擁する"人"を導く指導者は、人の世には不可欠である。
人の思想は千差万別であるが故に、それらを束ねて律する存在なくては、思想は欲望となり、人は獣となる。
人の意思を一つに集約する"代表者"が、人間には必要なのだ。
故に余は思考に研鑽を重ねた。人を統べるには人の欲を知り、人の恐怖を知り、人の理を知る。
それが人の世を安定させ、余も民も幸福であらんとする為の道と信じていたからだ。
しかし覇道を歩むには、人の世はあまりにも平和過ぎた。
平和な世は人の心に余裕を作り、溢れ出た余裕は欲望へと変わる。
怠惰に耽り、欺瞞の渦巻く人の世において、王に人を導く役割など求められる筈もない。求められるのは、民の欲の為の偶像、お飾りの代表者でしかなかった。
世が王を欲していないというのならば、余は何の為に多くを学んで来た?
結局の所、余は世界に弾かれた、王のなり損ないに過ぎなかったというのか。
それとも
その欲望の具現こそが、今の人の世には必要だと言うのだろうか。
●
「聞かせて貰おうかタロッキ、貴様の理由を」
「…………」
エフィーリア・タロッキ(kz0077)は戦慄していた。自分はいつも通り自室で、アルカナに関する書類の整理と、その足取りを掴む為の報告書に目を通していた所だった。
しかし、突如としてかけられた声に視線をやれば、見慣れた自室に不釣合いな人物が立ち、自分を睥睨している。
巨大な角と硬質の肌を持つそれは、人の形はしているが人ではない。歪虚……『アルカナ』の一柱、『The Emperor』だった。
どうやってこのタロッキの里にまで入り込んで来たのか、どういう意図があって自分に話しかけて来ているのか、突然の事態に頭が回らないエフィーリアを尻目に、Emperorは続ける。
「あまりの威光の前に声も出ぬものとし、王の問いかけに黙する不敬は一度は不問としよう。質問に答える権利をやったと言うのだ、王に意見を述べる機会に恵まれた事を光栄に思うべきだとは考えぬのか?」
「……理由、とは……どういう事です……?」
Emperorの発する圧力は、一般人に毛が生えた程度戦闘力しか持たないエフィーリアを竦ませるには十分だ。
しかしエフィーリアは、その威圧感に屈する事なく疑問を投げかける。彼がここに現れた意図も、何故質問をされてるかの意図も掴めないエフィーリアは、先ずは状況を確認する為にEmperorに疑念をぶつける。
その態度にEmperorはやや不満を顕にするが、腕を組んでその問に答える。
「わからぬと言うのならば分かり易く問おう。貴様が余ら『アルカナ』と対峙する理由を述べよ、と問うておるのだ」
「……理由など。決まっています。相容れられる訳がないからです。人の未来を憂うのは勝手ですが……それを一方的に奪おうとする貴方がたを受け入れる事は出来ないからです」
エフィーリアは気丈に答える。『アルカナ』はかつて人の世界を救おうとして、その志半ばに斃れた英雄たち、"ファンタズマ"の成れの果てだ。彼らは人の未来には絶望しかないと説き、未来で大きな悲しみが訪れる前に全滅してしまう事こそが人の幸福だと主張する。
当然、そんな思想に同意できる筈もない。エフィーリアは己の変わらぬ信念を、目の前のアルカナに突きつける。だが、Emperorはその言葉に怒りはせず、淡々と言葉を返す。
「ならば貴様は、人の未来には幸福があると考えるのだな。ならば聞こう。その幸福は”一体誰のもの”だ?」
「誰の……ですって?」
「我々は道半ばに果てた人間であり、かつては未来を見る事の叶わぬ亡者だった。我々だけでなく、人の世には多くの犠牲が溢れ続けている。そういった者共が辿り着けぬ、犠牲の先にある幸福は、果たして”幸福”と呼べるのか?」
Emperorは続ける。
「”人間”とは犠牲なくしては幸福を掴めぬ獣の名だ。動物は他の肉を喰らって生きるが、人間は他の”思い”を喰らって生きる。万人に等しい幸福など夢物語、掲げ目指す幸福など、多くの犠牲を美化したものに過ぎぬ、矛盾を重ねた危うい張子でしかなかろう」
「……それ、は……」
エフィーリアには言葉を返せなかった。目の前の彼もまた、人の世を憂いでいるのだろう。
人の世には多くの犠牲がある、それは事実だ。その上で目指す先に、そうまでして目指す先に、求めるものがあるのか? 彼はそう説いている。
「猶予をやろう。7日間だ。貴様が問いを見つけるでもよい、答えを持つ者を見つけるでもよい。精々、余の納得のゆく回答をもて。東の居城にて待とうではないか。無論、王への謁見なれば、手土産も忘れるでないぞ」
Emperorはそう言うと、この部屋に突如として現れたように、同じく突如として姿を消す。
「…………」
エフィーリアは、散らばった報告書に手もつけずに立ち尽くしていた。
余は王である。
世を統べ、民を導く存在。我が征く道は王道に他ならず、我が踏み記した道こそが王道となる。
幼童の頃より王であれと教育され、余もまたそれを疑う事なく教授した。
多くの価値観を擁する"人"を導く指導者は、人の世には不可欠である。
人の思想は千差万別であるが故に、それらを束ねて律する存在なくては、思想は欲望となり、人は獣となる。
人の意思を一つに集約する"代表者"が、人間には必要なのだ。
故に余は思考に研鑽を重ねた。人を統べるには人の欲を知り、人の恐怖を知り、人の理を知る。
それが人の世を安定させ、余も民も幸福であらんとする為の道と信じていたからだ。
しかし覇道を歩むには、人の世はあまりにも平和過ぎた。
平和な世は人の心に余裕を作り、溢れ出た余裕は欲望へと変わる。
怠惰に耽り、欺瞞の渦巻く人の世において、王に人を導く役割など求められる筈もない。求められるのは、民の欲の為の偶像、お飾りの代表者でしかなかった。
世が王を欲していないというのならば、余は何の為に多くを学んで来た?
結局の所、余は世界に弾かれた、王のなり損ないに過ぎなかったというのか。
それとも
その欲望の具現こそが、今の人の世には必要だと言うのだろうか。
●
「聞かせて貰おうかタロッキ、貴様の理由を」
「…………」
エフィーリア・タロッキ(kz0077)は戦慄していた。自分はいつも通り自室で、アルカナに関する書類の整理と、その足取りを掴む為の報告書に目を通していた所だった。
しかし、突如としてかけられた声に視線をやれば、見慣れた自室に不釣合いな人物が立ち、自分を睥睨している。
巨大な角と硬質の肌を持つそれは、人の形はしているが人ではない。歪虚……『アルカナ』の一柱、『The Emperor』だった。
どうやってこのタロッキの里にまで入り込んで来たのか、どういう意図があって自分に話しかけて来ているのか、突然の事態に頭が回らないエフィーリアを尻目に、Emperorは続ける。
「あまりの威光の前に声も出ぬものとし、王の問いかけに黙する不敬は一度は不問としよう。質問に答える権利をやったと言うのだ、王に意見を述べる機会に恵まれた事を光栄に思うべきだとは考えぬのか?」
「……理由、とは……どういう事です……?」
Emperorの発する圧力は、一般人に毛が生えた程度戦闘力しか持たないエフィーリアを竦ませるには十分だ。
しかしエフィーリアは、その威圧感に屈する事なく疑問を投げかける。彼がここに現れた意図も、何故質問をされてるかの意図も掴めないエフィーリアは、先ずは状況を確認する為にEmperorに疑念をぶつける。
その態度にEmperorはやや不満を顕にするが、腕を組んでその問に答える。
「わからぬと言うのならば分かり易く問おう。貴様が余ら『アルカナ』と対峙する理由を述べよ、と問うておるのだ」
「……理由など。決まっています。相容れられる訳がないからです。人の未来を憂うのは勝手ですが……それを一方的に奪おうとする貴方がたを受け入れる事は出来ないからです」
エフィーリアは気丈に答える。『アルカナ』はかつて人の世界を救おうとして、その志半ばに斃れた英雄たち、"ファンタズマ"の成れの果てだ。彼らは人の未来には絶望しかないと説き、未来で大きな悲しみが訪れる前に全滅してしまう事こそが人の幸福だと主張する。
当然、そんな思想に同意できる筈もない。エフィーリアは己の変わらぬ信念を、目の前のアルカナに突きつける。だが、Emperorはその言葉に怒りはせず、淡々と言葉を返す。
「ならば貴様は、人の未来には幸福があると考えるのだな。ならば聞こう。その幸福は”一体誰のもの”だ?」
「誰の……ですって?」
「我々は道半ばに果てた人間であり、かつては未来を見る事の叶わぬ亡者だった。我々だけでなく、人の世には多くの犠牲が溢れ続けている。そういった者共が辿り着けぬ、犠牲の先にある幸福は、果たして”幸福”と呼べるのか?」
Emperorは続ける。
「”人間”とは犠牲なくしては幸福を掴めぬ獣の名だ。動物は他の肉を喰らって生きるが、人間は他の”思い”を喰らって生きる。万人に等しい幸福など夢物語、掲げ目指す幸福など、多くの犠牲を美化したものに過ぎぬ、矛盾を重ねた危うい張子でしかなかろう」
「……それ、は……」
エフィーリアには言葉を返せなかった。目の前の彼もまた、人の世を憂いでいるのだろう。
人の世には多くの犠牲がある、それは事実だ。その上で目指す先に、そうまでして目指す先に、求めるものがあるのか? 彼はそう説いている。
「猶予をやろう。7日間だ。貴様が問いを見つけるでもよい、答えを持つ者を見つけるでもよい。精々、余の納得のゆく回答をもて。東の居城にて待とうではないか。無論、王への謁見なれば、手土産も忘れるでないぞ」
Emperorはそう言うと、この部屋に突如として現れたように、同じく突如として姿を消す。
「…………」
エフィーリアは、散らばった報告書に手もつけずに立ち尽くしていた。
解説
◆本シナリオの目的
歪虚『アルカナ-The Emperor』の討滅
◆敵の特徴
敵は過去のシナリオ『【アルカナ】 不遜なる帝、かの場所に座す』に登場した歪虚『The Emperor』です。強力な『言葉』の力を操り、様々な効果を現してきますが、彼に認められた者に対して、この言葉は作用しにくくなるという特徴があります。
◆皇帝の目的
OPで描写があったように、彼はエフィーリアに『何故アルカナに対峙するか』の理由を尋ねました。
それはアルカナに対してのみでなく、ハンターの皆様が歪虚に立ち向かう理由、目的を知りたいようにも思われます。
今回のシナリオでは、それぞれがEmperorに、何故人は戦うのかを主張する必要があります。彼の満足のいく答えを出せたならば、彼に認められたという事になるでしょう。彼の求める答えは、皆さんの中にあるかもしれません。
(あくまで判定はEmperorの主観に基づくものであり、ここの判定が皆様の戦う理由の否定に繋がる訳ではない事をご了承下さい)
◆討滅について
皆様の答えを聞いた後に、Emperorとの戦闘となります。半数以上の方が認められていた場合、彼は最初からエフィーリアの接触、つまり秘術の行使を許し、始めから『核』が引きずり出された状態での戦闘となります。
核が引きずり出された状態の彼は、今までのアルカナとは逆に、僅かに出力が弱体化するようです。故に今回は対話に重きを置いたシナリオとなります。
認められていた人数が半数以下の場合は、体力が半分以下とならなければ核を引きずり出す事は出来ず、被害が大きくなる可能性があります。
◆称号について
本シナリオを見事成功させた場合、『アルカナ』にちなんだ称号を贈らせて頂きますと共に、これまでのシナリオと統合して、『Emperor』の討伐に最も貢献したプレイヤー様に『皇帝』のタロットカードにちなんだ称号を贈らせて頂きます。
歪虚『アルカナ-The Emperor』の討滅
◆敵の特徴
敵は過去のシナリオ『【アルカナ】 不遜なる帝、かの場所に座す』に登場した歪虚『The Emperor』です。強力な『言葉』の力を操り、様々な効果を現してきますが、彼に認められた者に対して、この言葉は作用しにくくなるという特徴があります。
◆皇帝の目的
OPで描写があったように、彼はエフィーリアに『何故アルカナに対峙するか』の理由を尋ねました。
それはアルカナに対してのみでなく、ハンターの皆様が歪虚に立ち向かう理由、目的を知りたいようにも思われます。
今回のシナリオでは、それぞれがEmperorに、何故人は戦うのかを主張する必要があります。彼の満足のいく答えを出せたならば、彼に認められたという事になるでしょう。彼の求める答えは、皆さんの中にあるかもしれません。
(あくまで判定はEmperorの主観に基づくものであり、ここの判定が皆様の戦う理由の否定に繋がる訳ではない事をご了承下さい)
◆討滅について
皆様の答えを聞いた後に、Emperorとの戦闘となります。半数以上の方が認められていた場合、彼は最初からエフィーリアの接触、つまり秘術の行使を許し、始めから『核』が引きずり出された状態での戦闘となります。
核が引きずり出された状態の彼は、今までのアルカナとは逆に、僅かに出力が弱体化するようです。故に今回は対話に重きを置いたシナリオとなります。
認められていた人数が半数以下の場合は、体力が半分以下とならなければ核を引きずり出す事は出来ず、被害が大きくなる可能性があります。
◆称号について
本シナリオを見事成功させた場合、『アルカナ』にちなんだ称号を贈らせて頂きますと共に、これまでのシナリオと統合して、『Emperor』の討伐に最も貢献したプレイヤー様に『皇帝』のタロットカードにちなんだ称号を贈らせて頂きます。
マスターより
お世話になっております、桐咲です。
以前まで贅の限りを尽くしていた『皇帝』でしたが、皆様の戦いを通じ、彼なりに思う所があったようです。今回の彼は暴君としての彼でなく、為政者として、民を背負う王として、皆様の言葉に耳を傾けたいと思っているようです。
解説でも述べた通り、あくまで『彼』の価値観に基づく判定となりますので、ご了承下さい。
かなり抽象的、かつ価値観に左右されるシナリオとなりますが、対話に赴く方に特別な条件はありませんので、これまでのシリーズシナリオに参加されてない方でも、気になる方はどうぞご参加下さいませ。
それでは、皆様のご参加を心よりお待ちしております。
以前まで贅の限りを尽くしていた『皇帝』でしたが、皆様の戦いを通じ、彼なりに思う所があったようです。今回の彼は暴君としての彼でなく、為政者として、民を背負う王として、皆様の言葉に耳を傾けたいと思っているようです。
解説でも述べた通り、あくまで『彼』の価値観に基づく判定となりますので、ご了承下さい。
かなり抽象的、かつ価値観に左右されるシナリオとなりますが、対話に赴く方に特別な条件はありませんので、これまでのシリーズシナリオに参加されてない方でも、気になる方はどうぞご参加下さいませ。
それでは、皆様のご参加を心よりお待ちしております。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2017/03/03 06:47
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
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エフィーリア・タロッキへの質問 フィルメリア・クリスティア(ka3380) 人間(リアルブルー)|25才|女性|機導師(アルケミスト) |
最終発言 2017/02/19 03:47:06 |
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それぞれの理由を掲げて(相談 フィルメリア・クリスティア(ka3380) 人間(リアルブルー)|25才|女性|機導師(アルケミスト) |
最終発言 2017/02/19 23:34:33 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2017/02/18 22:53:29 |