ゲスト
(ka0000)
聖導士学校――迫る羊。転がる猫
マスター:馬車猪

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在8人 / 4~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2017/03/08 19:00
- リプレイ完成予定
- 2017/03/17 19:00
オープニング
にゃーん!
猫の爪が小鳥の首に振り下ろされた。
鳥が体をひねってぎりぎりで回避。
数度横回転した後、地面に激突する直前で態勢を立て直した。
にゃーん!
来るなら来て見ろと、高級キャットフード換算3食分の薬草を背に威嚇する。
今日のところはここまでにしておいてやる、と一瞥くれて北西の人里へ向かう白い鳥。
ここ数ヶ月、飽きること無く繰り返されてきた光景であった。
●今日の授業
「この事例は極端な例ではない」
教室の中に、怯えにも似た気配が教室内に生じた。
黒板に貼られているのは、恐慌状態に陥り多数の死傷者を出した部隊の記録だ。
ただ事実のみを記したそれの存在感は凄まじく、覚醒者とはいえ9~12歳でしかない子供達には刺激が強すぎた。
「強靱な精神があれば防げる、と考えているなら考えを改めろ。この事例で最も問題なのはメンタルケアの失敗であり」
にゃー。
申し訳なさと哀れっぽさが絶妙にブレンドされた鳴き声が、窓の外から聞こえた。
あ、と猫餌やり当番の生徒が慌てた顔になり。
教師が懐中時計を取り出し、予想より半時間過ぎた時間に気づいてマズイと一言つぶやいた。
「講義の続きは昼食後に行う。級長」
「起立。礼」
「ありがとございました!」
「……行った?」
「行ったね」
生徒達が顔を見合わせてほっと息を吐く。
緊張が解けたせいか、きゅーきゅー、ころころと腹が鳴り出す。
窓の外の鳴き声も、種類と音量が増えている。
「食事当番の子は急いで。違う、猫のもだけど私達の食事も」
「またこんな時間っ。午後の講義までに食事つくって食べ終えるなんて無茶だよぉ」
「泣き言言わない! ほら、片付けは当番以外の子がするっ」
男女問わず、貴族の出だろうが貧民の出だろうが関係無く。
全寮制クルセイダー養成校の生徒達は、授業と日常に全員一丸となって取り込んでいた。
そうしなければ、留年確実なのだから。
●校長室
生徒が22名。
教師が5名。
戦闘指導教官兼守備兵が8名。
校長には司教位を持つ実力者。
魔導トラック2両を初めとする武器弾薬、および本格的な植物園が実習のために用意されている。
贅沢にも程がある、と非難されることもある学校だ。
しかし内実を知った者は黙って首を振るか恐怖に怯えることになる。
「まだ余裕があるな」
数ヶ月前まで文盲だった少女に、王立学校(リアルブルー基準の大学以上に相当)で学ぶ内容も教え込むよう指示書を作成。
「この子は前線向きか」
実家では飼い殺しにされていた、少なくともその頃は気弱でひ弱だった少年に、熟練兵でも逃げ出しかねない訓練メニューを作成。
これほど過酷なら脱落者も多そうに見えるが、この司教が校長になってからは死者も再起不能者も出ていない。
潰れる限界を見切って鍛えるのは大得意なのだ。
「司教様」
執務室にノックの音が響く。
生徒より数歳年上の、妙に強い気配があった。
「イコニア司祭か」
校長の声は丁寧だった。
年齢でも実績でも覚醒者としての格でも司教の方が上だ。
ただし派閥の中では彼女も幹部。
しかも中央から派遣されたお目付役な訳で、雑に扱うことは不可能だった。
「5分後にこちらから出向く」
「失礼します」
最後まで言わせず少女司祭が入ってくる。
どこから見ても不作法な行動であり、校長は年長者として一言窘めようとして……イコニアの青筋に気づいて言葉に詰まる。
「司教様」
にっこり。
何故か、子供の頃母親に怒られたことを思い出してしまう。
「お隣の領主に直接挨拶してくださいって、私、去年に散々言いましたよね?」
「う……む。なかなか時間がとれなくてな。例年通り挨拶状を送ったので問題ないかなと」
イコニアの笑みが深くなる。
懐からコピー用紙を……非常に下手な字で書かれた、校長の直筆挨拶状を複数取りだし、怒りで震える手で執務机の上に広げた。
「貴族が面子を潰されたら敵対したくなくても敵対するしかないんです! 直接会って主張が平行線でいいのに、なんで挑発しちゃうんですか!」
「いやしかし」
「しかしじゃありません! 貴族の出の先生もいるのですから分からないなら相談してください。それともなんですか? 分からないことも分からなかったと言うおつもりですか」
司教の額に薄らと汗が浮かぶ。
数十年前に死に別れた母のことをまた思い出してしまい、つい、素直にうんとうなずいてしまった。
「しきょうさまぁ」
緑の瞳が潤んで涙がぽろぽろ零れた。
お目付役ということになってはいるが、実際の仕事は校長のサポートと万一の際の尻拭いだ。
近隣諸侯との関係修復の手間を考えると気が遠くなる。
他の土地での仕事もあるので、正直処理能力が限界に近い。
「わたし、今年に入ってから休みがないんですよぅ」
休みと書いて歪虚相手の遠征と読む。
この派閥ではよくあることだった。
「う、うむ。ハンターを呼んで仕事をしてもらうというのはどうかの? ほれ、教師としても教官としても評判が良かったし、うむ」
イコニアが泣き止むまで、かなり時間がかかった。
●隣領僻地
「隊長! 住民の避難が完了しました」
「そんな、まだ荷物を持ち出せていなっ」
すり切れた服を着た農夫が、貴族が雇った兵士に担ぎ上げられ運ばれていく。
「矢を射かけながら後退する。追ってこないならそのまま放置だ。急げ!」
覚醒者の指示に従い兵士達が動き出す。
そこそこ狙いが正確な矢が大きな弧を描き、両手を振り回す二足歩行羊にいくつも突き刺さる。
『メェ~~~!』
血走った目がこちらに向く。
歪虚の筋肉がさらに膨れあがり、頑丈なはずの柵が砕けて飛び散った。
「クソ、何匹いるんだ」
今月に入ってこれで2匹目だ。
昨年末から数えればそろそろ2桁になる。
負傷し傷が治りきっていない部下も多く、万全なら勝てる相手も見逃すしかない現状だ。
「領主様が聖堂教会と揉めていなければ良かったんだがな……」
馬を駆って、村人を乗せた馬車を追う。
もともと古びていた村が、羊型歪虚の暴虐により崩れていっていた。
●依頼票
求む。クルセイダー養成校の臨時教師
付近の歪虚討伐、開拓、猫の相手など、それ以外の担当者も募集中です
猫の爪が小鳥の首に振り下ろされた。
鳥が体をひねってぎりぎりで回避。
数度横回転した後、地面に激突する直前で態勢を立て直した。
にゃーん!
来るなら来て見ろと、高級キャットフード換算3食分の薬草を背に威嚇する。
今日のところはここまでにしておいてやる、と一瞥くれて北西の人里へ向かう白い鳥。
ここ数ヶ月、飽きること無く繰り返されてきた光景であった。
●今日の授業
「この事例は極端な例ではない」
教室の中に、怯えにも似た気配が教室内に生じた。
黒板に貼られているのは、恐慌状態に陥り多数の死傷者を出した部隊の記録だ。
ただ事実のみを記したそれの存在感は凄まじく、覚醒者とはいえ9~12歳でしかない子供達には刺激が強すぎた。
「強靱な精神があれば防げる、と考えているなら考えを改めろ。この事例で最も問題なのはメンタルケアの失敗であり」
にゃー。
申し訳なさと哀れっぽさが絶妙にブレンドされた鳴き声が、窓の外から聞こえた。
あ、と猫餌やり当番の生徒が慌てた顔になり。
教師が懐中時計を取り出し、予想より半時間過ぎた時間に気づいてマズイと一言つぶやいた。
「講義の続きは昼食後に行う。級長」
「起立。礼」
「ありがとございました!」
「……行った?」
「行ったね」
生徒達が顔を見合わせてほっと息を吐く。
緊張が解けたせいか、きゅーきゅー、ころころと腹が鳴り出す。
窓の外の鳴き声も、種類と音量が増えている。
「食事当番の子は急いで。違う、猫のもだけど私達の食事も」
「またこんな時間っ。午後の講義までに食事つくって食べ終えるなんて無茶だよぉ」
「泣き言言わない! ほら、片付けは当番以外の子がするっ」
男女問わず、貴族の出だろうが貧民の出だろうが関係無く。
全寮制クルセイダー養成校の生徒達は、授業と日常に全員一丸となって取り込んでいた。
そうしなければ、留年確実なのだから。
●校長室
生徒が22名。
教師が5名。
戦闘指導教官兼守備兵が8名。
校長には司教位を持つ実力者。
魔導トラック2両を初めとする武器弾薬、および本格的な植物園が実習のために用意されている。
贅沢にも程がある、と非難されることもある学校だ。
しかし内実を知った者は黙って首を振るか恐怖に怯えることになる。
「まだ余裕があるな」
数ヶ月前まで文盲だった少女に、王立学校(リアルブルー基準の大学以上に相当)で学ぶ内容も教え込むよう指示書を作成。
「この子は前線向きか」
実家では飼い殺しにされていた、少なくともその頃は気弱でひ弱だった少年に、熟練兵でも逃げ出しかねない訓練メニューを作成。
これほど過酷なら脱落者も多そうに見えるが、この司教が校長になってからは死者も再起不能者も出ていない。
潰れる限界を見切って鍛えるのは大得意なのだ。
「司教様」
執務室にノックの音が響く。
生徒より数歳年上の、妙に強い気配があった。
「イコニア司祭か」
校長の声は丁寧だった。
年齢でも実績でも覚醒者としての格でも司教の方が上だ。
ただし派閥の中では彼女も幹部。
しかも中央から派遣されたお目付役な訳で、雑に扱うことは不可能だった。
「5分後にこちらから出向く」
「失礼します」
最後まで言わせず少女司祭が入ってくる。
どこから見ても不作法な行動であり、校長は年長者として一言窘めようとして……イコニアの青筋に気づいて言葉に詰まる。
「司教様」
にっこり。
何故か、子供の頃母親に怒られたことを思い出してしまう。
「お隣の領主に直接挨拶してくださいって、私、去年に散々言いましたよね?」
「う……む。なかなか時間がとれなくてな。例年通り挨拶状を送ったので問題ないかなと」
イコニアの笑みが深くなる。
懐からコピー用紙を……非常に下手な字で書かれた、校長の直筆挨拶状を複数取りだし、怒りで震える手で執務机の上に広げた。
「貴族が面子を潰されたら敵対したくなくても敵対するしかないんです! 直接会って主張が平行線でいいのに、なんで挑発しちゃうんですか!」
「いやしかし」
「しかしじゃありません! 貴族の出の先生もいるのですから分からないなら相談してください。それともなんですか? 分からないことも分からなかったと言うおつもりですか」
司教の額に薄らと汗が浮かぶ。
数十年前に死に別れた母のことをまた思い出してしまい、つい、素直にうんとうなずいてしまった。
「しきょうさまぁ」
緑の瞳が潤んで涙がぽろぽろ零れた。
お目付役ということになってはいるが、実際の仕事は校長のサポートと万一の際の尻拭いだ。
近隣諸侯との関係修復の手間を考えると気が遠くなる。
他の土地での仕事もあるので、正直処理能力が限界に近い。
「わたし、今年に入ってから休みがないんですよぅ」
休みと書いて歪虚相手の遠征と読む。
この派閥ではよくあることだった。
「う、うむ。ハンターを呼んで仕事をしてもらうというのはどうかの? ほれ、教師としても教官としても評判が良かったし、うむ」
イコニアが泣き止むまで、かなり時間がかかった。
●隣領僻地
「隊長! 住民の避難が完了しました」
「そんな、まだ荷物を持ち出せていなっ」
すり切れた服を着た農夫が、貴族が雇った兵士に担ぎ上げられ運ばれていく。
「矢を射かけながら後退する。追ってこないならそのまま放置だ。急げ!」
覚醒者の指示に従い兵士達が動き出す。
そこそこ狙いが正確な矢が大きな弧を描き、両手を振り回す二足歩行羊にいくつも突き刺さる。
『メェ~~~!』
血走った目がこちらに向く。
歪虚の筋肉がさらに膨れあがり、頑丈なはずの柵が砕けて飛び散った。
「クソ、何匹いるんだ」
今月に入ってこれで2匹目だ。
昨年末から数えればそろそろ2桁になる。
負傷し傷が治りきっていない部下も多く、万全なら勝てる相手も見逃すしかない現状だ。
「領主様が聖堂教会と揉めていなければ良かったんだがな……」
馬を駆って、村人を乗せた馬車を追う。
もともと古びていた村が、羊型歪虚の暴虐により崩れていっていた。
●依頼票
求む。クルセイダー養成校の臨時教師
付近の歪虚討伐、開拓、猫の相手など、それ以外の担当者も募集中です
解説
自由に動いてください
お隣に突っ込んで歪虚と戦ってもOKです
教職員
校長(司教)1人
守備兵兼戦闘指導教官(覚醒者)8人。中堅ハンター相当(ハンターがいる間、4人ずつ休暇予定)
教師5名(初等教育、中等教育、医師、薬師、看護)
植物園管理人2名
司書1名。専門書の管理は問題なし。漫画の管理に悩んでいるようです
開拓部門
農業技術者3名
元戦士団と元騎士団の入植者15名(開墾でばてばて)
在校生
2年生。10~12歳覚醒者計12名。専門書読解が出来る者も。戦闘力は初心者ハンター未満
1年生。8~10歳覚醒者計10名。新入生。基本的な読み書き可能。戦闘力は非覚醒者新米兵士級
滞在者
司祭1。お付きの助祭1
施設
校舎。武器庫。宿舎。見張り台。猫小屋
武装
アサルトライフル30丁。機銃装備魔導トラック2両
●付属地図(1文字縦横1キロメートル)
abcdefgh
あ平平平道平平川□ □=未探索地域。危険。縦横各1km
い□平平道平平川□ 平=平地。低い木や放棄された畑や小屋があります。やや安全。演習場扱い
う□平平学平平川川 学=学校が中心に建っています。緑豊か。安全
え□平畑麦麦麦平□ 川=川があります
お□平畑畑畑畑□□ 麦=冬小麦が育っています
か□□□平平□□□ 畑=開墾済み。何を植えるか未定
き□□□□□□□□ 道=荒野。砂利道が北に向かっています。安全
・薬草園
eい。専門家2人が拡張作業中。傷薬の原料の在庫有
・隣領開拓村
北西数キロ
●次回以降発生予定イベント
隣接領からの干渉
●学校に対する態度
王国政府 興味なし
騎士団 少し興味あり
大公派閥 少し友好的
近隣領主 苛立っている
(聖堂教会内)
良識派 強引なやり方を敵視している
一般層 興味なし
過激派 一応身内
戦士団 少し興味あり
●歪虚
スケルトン以上(学校から離れるほど強大
羊(隣領。物理に強い雑魔。回避は苦手
お隣に突っ込んで歪虚と戦ってもOKです
教職員
校長(司教)1人
守備兵兼戦闘指導教官(覚醒者)8人。中堅ハンター相当(ハンターがいる間、4人ずつ休暇予定)
教師5名(初等教育、中等教育、医師、薬師、看護)
植物園管理人2名
司書1名。専門書の管理は問題なし。漫画の管理に悩んでいるようです
開拓部門
農業技術者3名
元戦士団と元騎士団の入植者15名(開墾でばてばて)
在校生
2年生。10~12歳覚醒者計12名。専門書読解が出来る者も。戦闘力は初心者ハンター未満
1年生。8~10歳覚醒者計10名。新入生。基本的な読み書き可能。戦闘力は非覚醒者新米兵士級
滞在者
司祭1。お付きの助祭1
施設
校舎。武器庫。宿舎。見張り台。猫小屋
武装
アサルトライフル30丁。機銃装備魔導トラック2両
●付属地図(1文字縦横1キロメートル)
abcdefgh
あ平平平道平平川□ □=未探索地域。危険。縦横各1km
い□平平道平平川□ 平=平地。低い木や放棄された畑や小屋があります。やや安全。演習場扱い
う□平平学平平川川 学=学校が中心に建っています。緑豊か。安全
え□平畑麦麦麦平□ 川=川があります
お□平畑畑畑畑□□ 麦=冬小麦が育っています
か□□□平平□□□ 畑=開墾済み。何を植えるか未定
き□□□□□□□□ 道=荒野。砂利道が北に向かっています。安全
・薬草園
eい。専門家2人が拡張作業中。傷薬の原料の在庫有
・隣領開拓村
北西数キロ
●次回以降発生予定イベント
隣接領からの干渉
●学校に対する態度
王国政府 興味なし
騎士団 少し興味あり
大公派閥 少し友好的
近隣領主 苛立っている
(聖堂教会内)
良識派 強引なやり方を敵視している
一般層 興味なし
過激派 一応身内
戦士団 少し興味あり
●歪虚
スケルトン以上(学校から離れるほど強大
羊(隣領。物理に強い雑魔。回避は苦手
マスターより
設定蓄積型依頼です
以前の依頼に基づかずにプレイングを行っても、不利にも有利にもなりません
疑問点があればイコニアへどうぞ
ハンターが現地到着前に分かること限定で回答予定です
以前の依頼に基づかずにプレイングを行っても、不利にも有利にもなりません
疑問点があればイコニアへどうぞ
ハンターが現地到着前に分かること限定で回答予定です
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2017/03/11 20:29
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2017/03/03 16:46:25 |
|
![]() |
学校と羊猫の相談 ディーナ・フェルミ(ka5843) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|聖導士(クルセイダー) |
最終発言 2017/03/08 02:22:40 |