ゲスト
(ka0000)
想い出を守り抜け!
マスター:玖田蘭

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 4~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2014/10/19 07:30
- リプレイ完成予定
- 2014/10/28 07:30
オープニング
●
幼い頃は広く感じた家も、こうして大人になって見回してみると随分狭く感じた。両親が二人で慎ましく暮らしているのならこの広さでもいいだろうが、そこに成人の自分が加わっているところを想像するとひどく窮屈なように思える。
暖炉とちょっとした寝具を除いて空っぽになった家を見回して、青年はそっと溜息をついた。父が死んで十年間この家を守ってくれた母も、つい半年前に他界してしまった。この村から随分と離れた別の街に住んでいる青年は突然の知らせに取るものも取らずこの田舎町に帰ってきて、それからずっと葬儀屋やら遺品整理やらで忙しく動き回っていたのだ。
「残ったのはこれだけか……」
家財道具も古いものは捨てて、買い手がついたものは売った。子供の頃の思い出は鮮やかで大切なものだったが、一人暮らしの青年に大きな茶箪笥や柱時計は必要なかった。
残ったのは、母が生前大事にしていた金色のブローチと、子供のころ読み聞かせてもらった絵本だけ。三日後の出立までは少し時間があるから、少し酒場で飲んでいこう。
幼馴染みの経営する小さな酒場を思い浮かべて、青年はうっすらと微笑みを浮かべた。
●
「え、この界隈に、雑魔が出るってのかい?」
狭いながらも人々の笑い声であふれかえる酒場に、素っ頓狂な声が響いた。情報通で知られるこの店のマスターは、日に焼けた顔を少し陰らせて声を落とした。
「おうよ、なんでもこう、白いトカゲみてぇな形をした雑魔でな、ちっこいのは人間の子供くらいの大きさで、こう、四足でベタベタ這ってくるらしい。その癖な、とんでもなく跳ぶって聞いたぜ。お前の背丈なんかひとっ跳びとかなんとか」
「小さいのってことは、大きいのもいるんだね……?」
マスターにつられて声を落とした青年の顔に、汗が一筋流れた。ゴクリと唾を飲み込むと、マスターが大仰に首を振る。
「俺は話を聞いただけだけどよ、何でも親分格は大人一人分の大きさがあるらしい。ヤツは身体がデカくて跳べねぇみたいだが、この前も街から来た旅人が怪我をさせられたんだ。ありゃあ酷かったぜ、顔に大火傷と引っ掻き傷、体には殴られた痕もあったんだ。ヤツら武器は持ってなかったみたいだが、尻尾で殴られたり、爪でもって引っ掻いてくるらしい」
青年はもう、周りの喧騒など気にならなくなっていた。
――大人一人分の大トカゲなんて冗談じゃない。
ぶるりと体を震わせた青年だったが、ふとあることに気が付いたらしい。
「僕は街から乗合馬車でここまで来たんだ。けど雑魔なんて出なかったし……」
「それがよ、なんでも出るのは決まって夜らしい。お前、おふくろさんが死んで飛んできたのは朝方だったじゃねぇか。命拾いしたなぁ。きっとおふくろさんが守ってくれたんだぜ」
あの時は夕方に報せを聞いて、とにかく無我夢中で村に向かう馬車に乗り込んだのだ。村から自宅まで、よほど早朝に家を出ない限りはどうやっても雑魔の出没する時間帯と重なってしまう。
「ど、どうしたらいいんだぁ……」
青年は小刻みにぶるぶると震えだした。酒の味は、もう分かりそうもない。
●
「以上が、今回の依頼内容の概略です。この小さな村から彼の住む街までの道は、山あいの古びた道が一本。街に着くまで、周囲は殆ど森に囲まれています」
ぱら、と依頼書を捲る音がする。
「トカゲ型の雑魔は大型のものが一体で、小型のものが十体程度だと報告が上がっています。武器の所持等は確認されていません。なお、大型のトカゲは口から炎を吐き出す模様。小型のものは炎こそ吐き出しませんが鋭い爪と高い跳躍力を持ち、双方とも主に太い尻尾で攻撃をしてくるようです」
淡々と依頼書を読み上げる受付嬢は、さして表情を変えることなくその情報を付け足した。先日襲われたという、哀れな旅人からの証言である。
「これに留意し、依頼人本人とお母様の遺品を無事ご自宅まで送り届けてください」
幼い頃は広く感じた家も、こうして大人になって見回してみると随分狭く感じた。両親が二人で慎ましく暮らしているのならこの広さでもいいだろうが、そこに成人の自分が加わっているところを想像するとひどく窮屈なように思える。
暖炉とちょっとした寝具を除いて空っぽになった家を見回して、青年はそっと溜息をついた。父が死んで十年間この家を守ってくれた母も、つい半年前に他界してしまった。この村から随分と離れた別の街に住んでいる青年は突然の知らせに取るものも取らずこの田舎町に帰ってきて、それからずっと葬儀屋やら遺品整理やらで忙しく動き回っていたのだ。
「残ったのはこれだけか……」
家財道具も古いものは捨てて、買い手がついたものは売った。子供の頃の思い出は鮮やかで大切なものだったが、一人暮らしの青年に大きな茶箪笥や柱時計は必要なかった。
残ったのは、母が生前大事にしていた金色のブローチと、子供のころ読み聞かせてもらった絵本だけ。三日後の出立までは少し時間があるから、少し酒場で飲んでいこう。
幼馴染みの経営する小さな酒場を思い浮かべて、青年はうっすらと微笑みを浮かべた。
●
「え、この界隈に、雑魔が出るってのかい?」
狭いながらも人々の笑い声であふれかえる酒場に、素っ頓狂な声が響いた。情報通で知られるこの店のマスターは、日に焼けた顔を少し陰らせて声を落とした。
「おうよ、なんでもこう、白いトカゲみてぇな形をした雑魔でな、ちっこいのは人間の子供くらいの大きさで、こう、四足でベタベタ這ってくるらしい。その癖な、とんでもなく跳ぶって聞いたぜ。お前の背丈なんかひとっ跳びとかなんとか」
「小さいのってことは、大きいのもいるんだね……?」
マスターにつられて声を落とした青年の顔に、汗が一筋流れた。ゴクリと唾を飲み込むと、マスターが大仰に首を振る。
「俺は話を聞いただけだけどよ、何でも親分格は大人一人分の大きさがあるらしい。ヤツは身体がデカくて跳べねぇみたいだが、この前も街から来た旅人が怪我をさせられたんだ。ありゃあ酷かったぜ、顔に大火傷と引っ掻き傷、体には殴られた痕もあったんだ。ヤツら武器は持ってなかったみたいだが、尻尾で殴られたり、爪でもって引っ掻いてくるらしい」
青年はもう、周りの喧騒など気にならなくなっていた。
――大人一人分の大トカゲなんて冗談じゃない。
ぶるりと体を震わせた青年だったが、ふとあることに気が付いたらしい。
「僕は街から乗合馬車でここまで来たんだ。けど雑魔なんて出なかったし……」
「それがよ、なんでも出るのは決まって夜らしい。お前、おふくろさんが死んで飛んできたのは朝方だったじゃねぇか。命拾いしたなぁ。きっとおふくろさんが守ってくれたんだぜ」
あの時は夕方に報せを聞いて、とにかく無我夢中で村に向かう馬車に乗り込んだのだ。村から自宅まで、よほど早朝に家を出ない限りはどうやっても雑魔の出没する時間帯と重なってしまう。
「ど、どうしたらいいんだぁ……」
青年は小刻みにぶるぶると震えだした。酒の味は、もう分かりそうもない。
●
「以上が、今回の依頼内容の概略です。この小さな村から彼の住む街までの道は、山あいの古びた道が一本。街に着くまで、周囲は殆ど森に囲まれています」
ぱら、と依頼書を捲る音がする。
「トカゲ型の雑魔は大型のものが一体で、小型のものが十体程度だと報告が上がっています。武器の所持等は確認されていません。なお、大型のトカゲは口から炎を吐き出す模様。小型のものは炎こそ吐き出しませんが鋭い爪と高い跳躍力を持ち、双方とも主に太い尻尾で攻撃をしてくるようです」
淡々と依頼書を読み上げる受付嬢は、さして表情を変えることなくその情報を付け足した。先日襲われたという、哀れな旅人からの証言である。
「これに留意し、依頼人本人とお母様の遺品を無事ご自宅まで送り届けてください」
解説
・依頼人の青年と母親の遺品を無事に自宅まで送り届けることが今回の以来の目的です。
・地形は山あいの道で、周囲は森に囲まれています。馬車が通れるほどの道幅なので、それなりの広さを御想像下さい。
・トカゲたちは色が白く、夜でもよく目につきます。また、トカゲたちは小さなものが十体、大きなものが一体出現し、四足歩行で移動します。
・親分格の大きなものだけが炎を吐くようですが、小さな子分たちは動きがすばやく、高い跳躍力を持っています。また、基本的に跳んだり引っ掻いたりの攻撃をしてくるのは子分たちだけです。親分は堂々として動きはあまり早くないと思われます。尻尾での攻撃に関しては親分・子分共に得意としているようです。
・依頼人の青年は基本的に怖がってぶるぶる震えているだけです。勇敢に戦ったりすることは出来ないと思われます。また、青年はブローチを身に着け、本は風呂敷のようなものに包んで持っています。食料や水などを除き、それ以外の目立った荷物はありません。
・地形は山あいの道で、周囲は森に囲まれています。馬車が通れるほどの道幅なので、それなりの広さを御想像下さい。
・トカゲたちは色が白く、夜でもよく目につきます。また、トカゲたちは小さなものが十体、大きなものが一体出現し、四足歩行で移動します。
・親分格の大きなものだけが炎を吐くようですが、小さな子分たちは動きがすばやく、高い跳躍力を持っています。また、基本的に跳んだり引っ掻いたりの攻撃をしてくるのは子分たちだけです。親分は堂々として動きはあまり早くないと思われます。尻尾での攻撃に関しては親分・子分共に得意としているようです。
・依頼人の青年は基本的に怖がってぶるぶる震えているだけです。勇敢に戦ったりすることは出来ないと思われます。また、青年はブローチを身に着け、本は風呂敷のようなものに包んで持っています。食料や水などを除き、それ以外の目立った荷物はありません。
マスターより
はじめまして、新人マスターの玖田と申します。
地形は山あい、そこに火を吐いたり尻尾で殴ったりするトカゲが現れるのだから物騒でなりませんね。
雑魔はそれほど強くありませんが、数が少し多いです。その点に留意し戦ってください。
それでは、よろしくお願い致します。
地形は山あい、そこに火を吐いたり尻尾で殴ったりするトカゲが現れるのだから物騒でなりませんね。
雑魔はそれほど強くありませんが、数が少し多いです。その点に留意し戦ってください。
それでは、よろしくお願い致します。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2014/10/27 07:06
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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護衛任務ですっ!(相談卓) ミネット・ベアール(ka3282) 人間(クリムゾンウェスト)|15才|女性|猟撃士(イェーガー) |
最終発言 2014/10/19 03:15:23 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2014/10/15 19:46:22 |