ゲスト
(ka0000)
【陶曲】水の底に沈む影
マスター:真柄葉

このシナリオは5日間納期が延長されています。
- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 4~6人
- サポート
- 現在3人 / 0~3人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2017/03/22 12:00
- リプレイ完成予定
- 2017/04/05 12:00
オープニング
●港湾都市ポルトワール
不快と緊迫を孕んだ熱気が月に照らされる街を支配する。
「――司令官殿、中央へと続く幹線および環状路の封鎖を完了です。中央部への進攻止まりました」
参謀が伝令より受け取った報告書の束を簡潔に纏め上げ報告した。
「よし! 各小隊は引き続き住民の避難を最優先に、バリケードの補強を続けろ! 奴ら数に任せて押してくる。だがそれだけだ! 押し止めるのはたやすいぞ!」
指揮官の的確な指令と状況判断に鼓舞された部下たちは、意気揚々と持ち場へと戻っていく。
「ふぅ、これで何とか持つか」
参謀より渡されたカップを受け取り口を付けた司令官は、バリケードの奥に蠢く歪虚の群れへと視線を向けた。
バリケード越しに覗く黒く塗装された陶器人形型歪虚の大群は、堅固な壁に阻まれ行軍と止めている。
「いえ、相手は歪虚です。このまま何事もなく終わるとはとても思えません。他所と同様ここももっと補強した方がよろしいかと思います」
「なるほど……わかった。おい!」
参謀の言葉を聞き入れた指揮官はすぐさま部下を数名招集した。
「軍本部へ赴き、補強資材の調達と移送の準備を整えろ!」
『ハッ!』と声を合わせ承服した部下たちは急ぎ街の中心部へと馬を走らせる。
バリケードによる進軍の阻止より数刻――。
「……波が引きませんな」
バリケードの奥には無数の歪虚。進行自体は止まっているものの引き上げる様子はまるでない。
「なに、この均衡状態を保てばいずれ時が来る。その時こそ、この街をターゲットに選んだ事を後悔する時だ」
「援軍の到着からの反攻」
「海と陸からの挟撃を目論んだんだろうが、甘いな。地の利はこちらにある事を思い知らせてやる」
「それならばよいのですが……」
「なんだ、何か心配事でもあるのか?」
「心配事しかありませんよ」
「またか。考えすぎるのがお前の悪い癖だぞ?」
「考えることが私の仕事ですので、考えるなと言われると職を失ってしまいますよ」
司令官の皮肉にも皮肉で返し、参謀は再び思考に沈む。
「溢れた水は必ず零れます……それが街の外ならばいいのです。しかし、中ならば――」
そこまで口にすると参謀は簡易の机の上に広げられていた街の地図を凝視した。
「中だと? 通りは全て抑えたんだ、一体どこから入るというんだ」
「……」
「そもそも、あんな人形どもの行進なんかで同盟軍最大の軍港をそう易々と落とせると思われては困る」
既に勝利を確信したとでも言うような余裕を見せる司令官の顔を一瞥し、参謀は再び地図に視線を走らせる。
「街を落とす……? なぜこのポルトワールなんだ。この国で最も堅牢でもっとも強固な軍事施設だぞ」
司令官の耳にも届かぬ声で呟く参謀。
「同盟の機能を停止させたいのならヴァリオスが妥当。しかし、敵はこの街を選んだ。なぜだ、何故この街だ」
「どうした。まだ何か悩んでいるのか?」
「見方を変えろ。奇襲は最大の効果を発揮した。しかし、詰めが甘すぎる。この街を落とす気はないのか? ならば何が目的だ」
質問を無視され眉を顰める司令官の事など最早目に入らない。
「まさか、ただの遊戯だとでもいうのか? あの敵の姿――嫉妬に属する歪虚ならばあり得なくはない。……あり得なくはないが」
奇襲の見事さとは対照的に、その後の進行状況はあまりにずさん。
「ははは、まさか遊びに来てるとでも言いたいのか? それならば、こっちも相応の出迎えをせねばならんな」
思考に沈む参謀にも届くような大きな声で、司令官は顎を掻く。
「武器庫から魔導砲でも引っ張り出してくるか。援軍が来るまで待つ必要もない。こちらで少しでも数を減らし――」
半分は冗談だったのだろう。司令官の言葉が終わるのを待たずして参謀が顔を上げた。
「武器庫……武器庫か!!」
「な、なんだ!?」
突然声を荒げた参謀に、司令官は目を剥く。
「まずい。司令官! 相手の目的は武器庫――ここです!」
そう言って参謀は、地図の一点を指さした。
「馬鹿な。例え奴らの目的が武器庫だとして、こんな街中までどうやって進行してくるんだ」
「それは――ここです」
「ここ……? これは排水路、か?」
参謀が次に指さしたのは、ポルトワールに無数に走る運河の一つ。工場群で使われる冷却水を海から引くための運河であった。
「海と同じです。奴らは排水路――運河の底を来るつもりです!」
「なっ!?」
「海からの敵を囮とし、陸からの軍が本命と見せかけて、更にそれをも囮とした三重作戦がこの本質……!」
「くそっ! 今から兵を回して間に合うか!」
「五分五分……いえ、間に合わないかもしれません」
「くっ……! 後方で待機させているハンター達へも至急の要請だ! 何としてでも食い止めろ!!」
参謀は己の知の至らなさに拳をきつく握った。
不快と緊迫を孕んだ熱気が月に照らされる街を支配する。
「――司令官殿、中央へと続く幹線および環状路の封鎖を完了です。中央部への進攻止まりました」
参謀が伝令より受け取った報告書の束を簡潔に纏め上げ報告した。
「よし! 各小隊は引き続き住民の避難を最優先に、バリケードの補強を続けろ! 奴ら数に任せて押してくる。だがそれだけだ! 押し止めるのはたやすいぞ!」
指揮官の的確な指令と状況判断に鼓舞された部下たちは、意気揚々と持ち場へと戻っていく。
「ふぅ、これで何とか持つか」
参謀より渡されたカップを受け取り口を付けた司令官は、バリケードの奥に蠢く歪虚の群れへと視線を向けた。
バリケード越しに覗く黒く塗装された陶器人形型歪虚の大群は、堅固な壁に阻まれ行軍と止めている。
「いえ、相手は歪虚です。このまま何事もなく終わるとはとても思えません。他所と同様ここももっと補強した方がよろしいかと思います」
「なるほど……わかった。おい!」
参謀の言葉を聞き入れた指揮官はすぐさま部下を数名招集した。
「軍本部へ赴き、補強資材の調達と移送の準備を整えろ!」
『ハッ!』と声を合わせ承服した部下たちは急ぎ街の中心部へと馬を走らせる。
バリケードによる進軍の阻止より数刻――。
「……波が引きませんな」
バリケードの奥には無数の歪虚。進行自体は止まっているものの引き上げる様子はまるでない。
「なに、この均衡状態を保てばいずれ時が来る。その時こそ、この街をターゲットに選んだ事を後悔する時だ」
「援軍の到着からの反攻」
「海と陸からの挟撃を目論んだんだろうが、甘いな。地の利はこちらにある事を思い知らせてやる」
「それならばよいのですが……」
「なんだ、何か心配事でもあるのか?」
「心配事しかありませんよ」
「またか。考えすぎるのがお前の悪い癖だぞ?」
「考えることが私の仕事ですので、考えるなと言われると職を失ってしまいますよ」
司令官の皮肉にも皮肉で返し、参謀は再び思考に沈む。
「溢れた水は必ず零れます……それが街の外ならばいいのです。しかし、中ならば――」
そこまで口にすると参謀は簡易の机の上に広げられていた街の地図を凝視した。
「中だと? 通りは全て抑えたんだ、一体どこから入るというんだ」
「……」
「そもそも、あんな人形どもの行進なんかで同盟軍最大の軍港をそう易々と落とせると思われては困る」
既に勝利を確信したとでも言うような余裕を見せる司令官の顔を一瞥し、参謀は再び地図に視線を走らせる。
「街を落とす……? なぜこのポルトワールなんだ。この国で最も堅牢でもっとも強固な軍事施設だぞ」
司令官の耳にも届かぬ声で呟く参謀。
「同盟の機能を停止させたいのならヴァリオスが妥当。しかし、敵はこの街を選んだ。なぜだ、何故この街だ」
「どうした。まだ何か悩んでいるのか?」
「見方を変えろ。奇襲は最大の効果を発揮した。しかし、詰めが甘すぎる。この街を落とす気はないのか? ならば何が目的だ」
質問を無視され眉を顰める司令官の事など最早目に入らない。
「まさか、ただの遊戯だとでもいうのか? あの敵の姿――嫉妬に属する歪虚ならばあり得なくはない。……あり得なくはないが」
奇襲の見事さとは対照的に、その後の進行状況はあまりにずさん。
「ははは、まさか遊びに来てるとでも言いたいのか? それならば、こっちも相応の出迎えをせねばならんな」
思考に沈む参謀にも届くような大きな声で、司令官は顎を掻く。
「武器庫から魔導砲でも引っ張り出してくるか。援軍が来るまで待つ必要もない。こちらで少しでも数を減らし――」
半分は冗談だったのだろう。司令官の言葉が終わるのを待たずして参謀が顔を上げた。
「武器庫……武器庫か!!」
「な、なんだ!?」
突然声を荒げた参謀に、司令官は目を剥く。
「まずい。司令官! 相手の目的は武器庫――ここです!」
そう言って参謀は、地図の一点を指さした。
「馬鹿な。例え奴らの目的が武器庫だとして、こんな街中までどうやって進行してくるんだ」
「それは――ここです」
「ここ……? これは排水路、か?」
参謀が次に指さしたのは、ポルトワールに無数に走る運河の一つ。工場群で使われる冷却水を海から引くための運河であった。
「海と同じです。奴らは排水路――運河の底を来るつもりです!」
「なっ!?」
「海からの敵を囮とし、陸からの軍が本命と見せかけて、更にそれをも囮とした三重作戦がこの本質……!」
「くそっ! 今から兵を回して間に合うか!」
「五分五分……いえ、間に合わないかもしれません」
「くっ……! 後方で待機させているハンター達へも至急の要請だ! 何としてでも食い止めろ!!」
参謀は己の知の至らなさに拳をきつく握った。
解説
●目的
進行してくる歪虚の軍団を押し止める事です。
●場所
敵の目標は外縁と都市部の間に広がる軍需工場群。
レンガ造りの工房や工場が密集する工業区で、道や運河はまるで血管のように複雑で迷路のようになっています。
既に敵に工場群へ進攻を許した現在、多少の物的被害を覚悟の上で迎撃を行います。
工場等の建物を利用することも可能で、ある程度の破壊行動も容認されます。
軍需工場群の中央部には武器庫があり、ここが敵の本当の目的地だと目されています。
●敵
夜闇にまぎれる事ができるように体を黒く塗られた陶器人形型歪虚です。
個々は非常に弱いですが、数がとにかく多いです。
主な攻撃方法は数に任せた圧殺。
一体が対象に取り付き自由を制限した後、他の個体が次々と押しかかり対象を圧殺します。
●補足
・武器庫は運河に面していませんので、敵は必ずどこかから陸上へと上がってきます。
・質問がございましたら、質問卓を立ててください。
進行してくる歪虚の軍団を押し止める事です。
●場所
敵の目標は外縁と都市部の間に広がる軍需工場群。
レンガ造りの工房や工場が密集する工業区で、道や運河はまるで血管のように複雑で迷路のようになっています。
既に敵に工場群へ進攻を許した現在、多少の物的被害を覚悟の上で迎撃を行います。
工場等の建物を利用することも可能で、ある程度の破壊行動も容認されます。
軍需工場群の中央部には武器庫があり、ここが敵の本当の目的地だと目されています。
●敵
夜闇にまぎれる事ができるように体を黒く塗られた陶器人形型歪虚です。
個々は非常に弱いですが、数がとにかく多いです。
主な攻撃方法は数に任せた圧殺。
一体が対象に取り付き自由を制限した後、他の個体が次々と押しかかり対象を圧殺します。
●補足
・武器庫は運河に面していませんので、敵は必ずどこかから陸上へと上がってきます。
・質問がございましたら、質問卓を立ててください。
マスターより
お世話になっております。真柄 葉(まがら よう)と申します。
同盟の地にて始まった動乱。その序章となるシナリオをリリースさせていただきます。
今後、同盟の地に何が起こるのか。それは皆様の目で確かめてもらえればと思います。
ご興味ございましたら是非ご参加くださいませ。
同盟の地にて始まった動乱。その序章となるシナリオをリリースさせていただきます。
今後、同盟の地に何が起こるのか。それは皆様の目で確かめてもらえればと思います。
ご興味ございましたら是非ご参加くださいませ。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2017/04/04 02:08
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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質問卓 ルドルフ・デネボラ(ka3749) 人間(リアルブルー)|18才|男性|機導師(アルケミスト) |
最終発言 2017/03/20 21:33:12 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2017/03/21 19:40:50 |
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武器庫をまもろー!(相談卓) パトリシア=K=ポラリス(ka5996) 人間(リアルブルー)|19才|女性|符術師(カードマスター) |
最終発言 2017/03/22 11:36:41 |