ゲスト
(ka0000)
【詩天】心残の果て
マスター:鷹羽柊架

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 4~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2017/03/23 12:00
- リプレイ完成予定
- 2017/04/01 12:00
オープニング
若峰郊外にある即疾隊の一室……局長の部屋に数名の影があった。
一番小さな影が部屋をでると、局長である江邨雄介は神妙な顔で目を細めている。
「局長……」
副局長の前沢も同じ表情であり、二人して床に広げている地図を見下ろしていた。
「即疾隊を出しますか」
「それしかあるめぇ。ハンターの力も借りて、総出でやらねぇと若峰が潰れる」
江邨の強面顔が凄んで床の地図を睨みつけた。
「こりゃ、水野様に報告だな」
ため息交じりに立ち上がった江邨は部屋を出る。
●
即疾隊の屯所を出た江邨は足早で水野武徳の方へと向かっていた。
武徳の方でもまた、その情報は掴んでおり、長江へ向かった真美……九代目詩天がいない隙を狙ったかのような歪虚の進軍に頭を抱えているようだ。
「即疾隊とハンターで歪虚を討伐します」
「ああ」
江邨の報告を聞いていた武徳の様子はどこか上の空だった。
「……水野様?」
武徳の様子を推し量るかのような江邨の呼びかけに武徳は「聞こえておる」とだけ返す。
「何か、こちらの作戦に不足でも」
確認しようとする江邨に武徳はそうではないと言いたいようだった。
「ここで、奇策をとった奴がいたな……と思い出していた」
「ほう」
わざとらしく目を丸くする江邨の顔を煙たげに武徳は目を細める。
「千石原の乱で、秋寿側の若い兵士を逃がそうとしていた奴がいた。奴らしい甘い考えだ」
「若い兵士を……?」
江邨の言葉に武徳は頷いた。
「人失くして国は存在せん。奴は次代の詩天を託すために逃そうとしていた。先を見通せない愚かな奴だ。命あっても、立場無くては支えることは難しい」
「……その武将の名は」
早口で吐き捨てた武徳の言葉を江邨が拾う。
触れてはどうするものではない。
過去は過去なのだから。
しかし、武徳はこともなげに言った。
「上原柊一郎という男だ。その場所で若い兵を逃がしていた者の中に、人とは思えぬ姿をした兵もいたと言っていた」
相当の手練れでもいたのだろうと武徳は言ったが、彼は江邨の表情を見てはいなかった。
●
即疾隊の屯所に戻ってきた江邨はまず、副局長の前沢と一番隊長の壬生和彦を呼び出す。
先月に続き、再び歪虚は若峰へと進軍してくることを副局長から告げられた和彦は表情を厳しくし、二人の言葉の続きを待つ。
「場所は千石原だ」
前沢はそう言って、千石原周辺の地図を広げ、敵の動きの予想とこちらの陣を伝える為に碁石を並べ始める。
「ハンターにも協力を要請し、戦ってもらう」
「はい」
「一番隊は、半分はここで陣を張り、お前含むもう半数は月下城から攻め込み、敵に奇襲をかける。二番隊と三番隊にはお前たちが動きやすいように囮となってもらう」
そこまで言った前沢は顔をあげて和彦の様子を見る。
「また置いて行かれたって顔をするな」
「そ、そうようなことは……」
口ごもる和彦に江邨がくつくつと笑う。
「一番隊がいるところはな、上原修一郎が擁する軍がいた場所だ。水野様のお話し曰く、その当時には人とは思えぬ姿をした兵がいたらしいな」
江邨が先ほど水野より教えて貰ったことを教えるなり、和彦は言葉を失って局長の方を向いている。
「一番隊の奇襲組にはお前の他、ハンターをつけることになる。お前が一番隊を助けるんだ」
いいな。と、念を押した江邨に和彦の中で感覚が変わったのか、気を引き締めたように一つ頷いた。
「はいっ」
返事すら少し明るい和彦の現金な様子が面白かったのか、江邨はぶふーっと、噴き出す。
「局長」
真面目な打ち合わせの場所なんだからと、副局長が局長を睨みつけると、当人は反省の色もなく、まぁまぁと前沢を宥める。
「俺達の仕事とはいえ……陣を張るのが敗れた三条側ってのも、因果だねぇ」
顎を摩る江邨の視線から逃れるように和彦は顔を俯かせた。
「……皆、この地を守りたいだけです」
千石原の乱には様々な思惑があれど、皆が詩天を思っていたのは、誰もが知っている。
――凡ては、詩天が為。
一番小さな影が部屋をでると、局長である江邨雄介は神妙な顔で目を細めている。
「局長……」
副局長の前沢も同じ表情であり、二人して床に広げている地図を見下ろしていた。
「即疾隊を出しますか」
「それしかあるめぇ。ハンターの力も借りて、総出でやらねぇと若峰が潰れる」
江邨の強面顔が凄んで床の地図を睨みつけた。
「こりゃ、水野様に報告だな」
ため息交じりに立ち上がった江邨は部屋を出る。
●
即疾隊の屯所を出た江邨は足早で水野武徳の方へと向かっていた。
武徳の方でもまた、その情報は掴んでおり、長江へ向かった真美……九代目詩天がいない隙を狙ったかのような歪虚の進軍に頭を抱えているようだ。
「即疾隊とハンターで歪虚を討伐します」
「ああ」
江邨の報告を聞いていた武徳の様子はどこか上の空だった。
「……水野様?」
武徳の様子を推し量るかのような江邨の呼びかけに武徳は「聞こえておる」とだけ返す。
「何か、こちらの作戦に不足でも」
確認しようとする江邨に武徳はそうではないと言いたいようだった。
「ここで、奇策をとった奴がいたな……と思い出していた」
「ほう」
わざとらしく目を丸くする江邨の顔を煙たげに武徳は目を細める。
「千石原の乱で、秋寿側の若い兵士を逃がそうとしていた奴がいた。奴らしい甘い考えだ」
「若い兵士を……?」
江邨の言葉に武徳は頷いた。
「人失くして国は存在せん。奴は次代の詩天を託すために逃そうとしていた。先を見通せない愚かな奴だ。命あっても、立場無くては支えることは難しい」
「……その武将の名は」
早口で吐き捨てた武徳の言葉を江邨が拾う。
触れてはどうするものではない。
過去は過去なのだから。
しかし、武徳はこともなげに言った。
「上原柊一郎という男だ。その場所で若い兵を逃がしていた者の中に、人とは思えぬ姿をした兵もいたと言っていた」
相当の手練れでもいたのだろうと武徳は言ったが、彼は江邨の表情を見てはいなかった。
●
即疾隊の屯所に戻ってきた江邨はまず、副局長の前沢と一番隊長の壬生和彦を呼び出す。
先月に続き、再び歪虚は若峰へと進軍してくることを副局長から告げられた和彦は表情を厳しくし、二人の言葉の続きを待つ。
「場所は千石原だ」
前沢はそう言って、千石原周辺の地図を広げ、敵の動きの予想とこちらの陣を伝える為に碁石を並べ始める。
「ハンターにも協力を要請し、戦ってもらう」
「はい」
「一番隊は、半分はここで陣を張り、お前含むもう半数は月下城から攻め込み、敵に奇襲をかける。二番隊と三番隊にはお前たちが動きやすいように囮となってもらう」
そこまで言った前沢は顔をあげて和彦の様子を見る。
「また置いて行かれたって顔をするな」
「そ、そうようなことは……」
口ごもる和彦に江邨がくつくつと笑う。
「一番隊がいるところはな、上原修一郎が擁する軍がいた場所だ。水野様のお話し曰く、その当時には人とは思えぬ姿をした兵がいたらしいな」
江邨が先ほど水野より教えて貰ったことを教えるなり、和彦は言葉を失って局長の方を向いている。
「一番隊の奇襲組にはお前の他、ハンターをつけることになる。お前が一番隊を助けるんだ」
いいな。と、念を押した江邨に和彦の中で感覚が変わったのか、気を引き締めたように一つ頷いた。
「はいっ」
返事すら少し明るい和彦の現金な様子が面白かったのか、江邨はぶふーっと、噴き出す。
「局長」
真面目な打ち合わせの場所なんだからと、副局長が局長を睨みつけると、当人は反省の色もなく、まぁまぁと前沢を宥める。
「俺達の仕事とはいえ……陣を張るのが敗れた三条側ってのも、因果だねぇ」
顎を摩る江邨の視線から逃れるように和彦は顔を俯かせた。
「……皆、この地を守りたいだけです」
千石原の乱には様々な思惑があれど、皆が詩天を思っていたのは、誰もが知っている。
――凡ては、詩天が為。
解説
依頼内容
若峰へ進軍する歪虚を食い止め。
皆様は即疾隊として動いていただきます。
かなりの数の歪虚がいる為、人類側の体力が心配されており、即疾隊副局長の提案で一番隊の半数に奇襲を行ってもらう事にしました。
月下城に潜んで頂き、即疾隊が敵と交戦しましたら横から切り込んでいきます。
○周辺図
↑若峰
□□□□□□□□□
□□□□□□□□□
←月下城 □□■□□◆□▼□
□□☆□□□△□□
★→ □☆□□□△□□□
△□□□☆□□□□
□□□□□□□□□
★和彦とハンター
■一番隊の半数
◆三番隊
▼二番隊
即失敗条件はNPC壬生和彦の死亡です。
◆敵情報
☆鬼:二メートル以上はある体躯の鬼、棍棒もしくは斧を持つ。
△落ち武者:戦死したと思われるぼろぼろの武具を着た屍人型歪虚。剣、槍を使用。
他、雑兵のような骸骨兵が多数周囲にいます。
NPC情報
壬生和彦:みぶ・かずひこ。十七歳。即疾隊一番隊隊長。実は詩天に古くからある剣術、葦原流の当主。本名は葦原和彦(あしはら・かずひこ)。
事件を追っていた末に身分を偽って即疾隊へ入隊。
隊員達の厚意で本名は隠したままになっており、それ故、隊員達を大事にする気持ちが強くなっている。
今回は自分が参加できず父を亡くした戦場での戦いで少し動揺している。
若峰へ進軍する歪虚を食い止め。
皆様は即疾隊として動いていただきます。
かなりの数の歪虚がいる為、人類側の体力が心配されており、即疾隊副局長の提案で一番隊の半数に奇襲を行ってもらう事にしました。
月下城に潜んで頂き、即疾隊が敵と交戦しましたら横から切り込んでいきます。
○周辺図
↑若峰
□□□□□□□□□
□□□□□□□□□
←月下城 □□■□□◆□▼□
□□☆□□□△□□
★→ □☆□□□△□□□
△□□□☆□□□□
□□□□□□□□□
★和彦とハンター
■一番隊の半数
◆三番隊
▼二番隊
即失敗条件はNPC壬生和彦の死亡です。
◆敵情報
☆鬼:二メートル以上はある体躯の鬼、棍棒もしくは斧を持つ。
△落ち武者:戦死したと思われるぼろぼろの武具を着た屍人型歪虚。剣、槍を使用。
他、雑兵のような骸骨兵が多数周囲にいます。
NPC情報
壬生和彦:みぶ・かずひこ。十七歳。即疾隊一番隊隊長。実は詩天に古くからある剣術、葦原流の当主。本名は葦原和彦(あしはら・かずひこ)。
事件を追っていた末に身分を偽って即疾隊へ入隊。
隊員達の厚意で本名は隠したままになっており、それ故、隊員達を大事にする気持ちが強くなっている。
今回は自分が参加できず父を亡くした戦場での戦いで少し動揺している。
マスターより
お世話になります。
鷹羽柊架(たかば・しゅうか)です。
今回は千石原での戦闘です。
先の千石原の乱で和彦が戦いに参加していたら死んでいたかもしれません。
彼は家族、兄弟子が死んだ場所で何を見るのか……。
どうか、和彦と共に戦い、生きて帰ってください。
テトのシナリオは三月下旬に公開予定です。
鷹羽柊架(たかば・しゅうか)です。
今回は千石原での戦闘です。
先の千石原の乱で和彦が戦いに参加していたら死んでいたかもしれません。
彼は家族、兄弟子が死んだ場所で何を見るのか……。
どうか、和彦と共に戦い、生きて帰ってください。
テトのシナリオは三月下旬に公開予定です。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2017/03/30 09:16
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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相談卓 綿狸 律(ka5377) 人間(クリムゾンウェスト)|23才|男性|猟撃士(イェーガー) |
最終発言 2017/03/23 01:56:35 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2017/03/20 11:25:53 |