ゲスト
(ka0000)
桜のかわりに光る灰?
マスター:紺堂 カヤ

- シナリオ形態
- イベント
- 難易度
- やや易しい
- 参加費
500
- 参加人数
- 現在11人 / 1~25人
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2017/04/06 22:00
- リプレイ完成予定
- 2017/04/15 22:00
オープニング
寒い、寒いと言ってはいても、いつの間にか日差しが柔らかく暖かくなってきた。
モンド邸の広大な庭の草木にも、花の蕾がちらほらと見える。心も体も浮き立つ季節、春の到来だ。
その季節の浮き立ちに素直に乗せられて、モンド家の一人娘・ダイヤはずいぶんとうきうきしていた。
だが、その様子が不気味なものに見えてしまっているのは、モンド家で働くメイドたちである。
と、いうのも。
今年、ダイヤお嬢様にとって一大イベントであるはずのバレンタインが彼女の思惑とは外れた展開となった。端的に言えば、「チョコレートを渡せなかった」のである。で、あるから当然、ホワイトデーにも何もなく。さぞかし落ち込んでいるだろうと思ったのだが……。
「えーっと、テーブルの数はこれでいいわね……、ビニールプールはまだ寒いかな……」
何やら熱心にノートに書き込んでいるダイヤは実に楽しそうだ。近頃、頻繁に屋敷のシェフと打ち合わせをしているとも聞く。
「お嬢さま……、一体何をしてらっしゃるんです?」
メイドのひとりが尋ねると、ダイヤはパッと顔を上げ、にっこりした。
「そろそろ、あなたたちにも協力をお願いしようと思っていたところよ」
「協力、ですか?」
「そう。あのね、お花見パーティをしようと思ってるの。お屋敷の、お庭で」
ダイヤはそう言いながら、熱心に書きつけをしていたノートを開いて見せた。そこには、どのくらいの規模でどのくらいの招待客を呼ぶか、料理や飲み物はどうするか、などといったプランが綿密になされていた。
「うわあ……、これ、全部、お嬢さまがおひとりでなさったんですか?」
「だいたいはね。料理はやっぱり私じゃわからないからシェフと何度も相談したし、予算についてはお父様の許可をもらったわ。庭のどの範囲ならパーティに使ってもいいか、というのは庭師に確認して……」
すらすらと述べていくダイヤに、メイドたちは目を丸くした。いつの間にこんなに段取りよく物事を進められるようになったのだろう。
「……お父様のお仕事を手伝おうとして、失敗してしまったことがあったでしょう? あれ以来、私、いっぱい勉強したのよ。だから、そろそろ実践してみようと思って。屋敷内でのプライベートなパーティなら、失敗してもなんとかなるでしょう? いい練習になると思うの」
落ち着いた笑顔でそう語るダイヤは、もうただのおてんば娘ではないようだった。
「お嬢さま……、ご立派になられて……」
年かさのメイドがつい涙ぐむ。
「ちょっとぉ、泣かないでよ! もちろんただ練習のためにパーティを開くんじゃないわよ。ほら、バレンタインのとき、私、皆に物凄いおもてなしを受けたじゃない? だから今度はお返しに私がおもてなししたいの。ホワイトデーは終わっちゃったけど」
「そうですよ、ホワイトデー!」
ハッとして、メイドがダイヤに詰め寄った。
「お嬢さま、いいんですか!? クロスさんからは何かありました!?」
「ちょ、ちょっと! 苦しい! 何もないわよ、あるわけないでしょ、今年はバレンタインにチョコあげれてないんだから」
クロスというのは、ダイヤの傍仕えをつとめる青年である。年若いのに冷静かつ使用人であるのに無礼、というキャラクターで、彼とダイヤとの掛け合いはモンド家の名物になりつつあった。
「あんたたちが心配してくれてるのはわかってるけど、いいの。気にしないで」
「でもお」
「チョコレートのこともそうだけど、これまでのあれこれでわかったの。クロスに型どおりのアピールは無駄なのよ。だったら、やり方を変えることにするわ。私だってちゃんと、一人前に仕事ができるようになるってところを、まず見せることにするの」
メイドたちは、ダイヤがクロスのことを諦めたわけではないとわかって安堵すると同時に、頼もしくなったダイヤが今までの何倍も輝いて見えて胸をときめかせた。これは絶対に、クロスもパーティに引っ張り出さねばならない、とメイドたちは一瞬のうちに目配せし、無言で結束を固める。そんな密約が目の前で交わされたとは知らず、ダイヤはにこにこと続けた。
「だから、あなたたちも、お客様のおもてなし、協力してちょうだい」
「はい! もちろんですっ!」
「……ですが、お嬢さま」
メイドのひとりが口元を押さえて真顔になった。
「モンド邸のお庭には、桜の木がございませんが……?」
あっ、と一様に絶句するメイドたちの前で、ダイヤはひとりニヤニヤと笑った。
「そう、ないのよね、桜の木。だから、こうするの」
そう言ってダイヤが取り出して見せたのは、ピンク色で、しかもキラキラしている砂のようなものだった。
「まさかお嬢さま、これを……」
「ええ。まくのよ。盛大にね!」
心から楽しそうな悪戯っぽい声は、やはりダイヤそのもので、本質は変わっていないのだと思わせる瞬間であった。
モンド邸の広大な庭の草木にも、花の蕾がちらほらと見える。心も体も浮き立つ季節、春の到来だ。
その季節の浮き立ちに素直に乗せられて、モンド家の一人娘・ダイヤはずいぶんとうきうきしていた。
だが、その様子が不気味なものに見えてしまっているのは、モンド家で働くメイドたちである。
と、いうのも。
今年、ダイヤお嬢様にとって一大イベントであるはずのバレンタインが彼女の思惑とは外れた展開となった。端的に言えば、「チョコレートを渡せなかった」のである。で、あるから当然、ホワイトデーにも何もなく。さぞかし落ち込んでいるだろうと思ったのだが……。
「えーっと、テーブルの数はこれでいいわね……、ビニールプールはまだ寒いかな……」
何やら熱心にノートに書き込んでいるダイヤは実に楽しそうだ。近頃、頻繁に屋敷のシェフと打ち合わせをしているとも聞く。
「お嬢さま……、一体何をしてらっしゃるんです?」
メイドのひとりが尋ねると、ダイヤはパッと顔を上げ、にっこりした。
「そろそろ、あなたたちにも協力をお願いしようと思っていたところよ」
「協力、ですか?」
「そう。あのね、お花見パーティをしようと思ってるの。お屋敷の、お庭で」
ダイヤはそう言いながら、熱心に書きつけをしていたノートを開いて見せた。そこには、どのくらいの規模でどのくらいの招待客を呼ぶか、料理や飲み物はどうするか、などといったプランが綿密になされていた。
「うわあ……、これ、全部、お嬢さまがおひとりでなさったんですか?」
「だいたいはね。料理はやっぱり私じゃわからないからシェフと何度も相談したし、予算についてはお父様の許可をもらったわ。庭のどの範囲ならパーティに使ってもいいか、というのは庭師に確認して……」
すらすらと述べていくダイヤに、メイドたちは目を丸くした。いつの間にこんなに段取りよく物事を進められるようになったのだろう。
「……お父様のお仕事を手伝おうとして、失敗してしまったことがあったでしょう? あれ以来、私、いっぱい勉強したのよ。だから、そろそろ実践してみようと思って。屋敷内でのプライベートなパーティなら、失敗してもなんとかなるでしょう? いい練習になると思うの」
落ち着いた笑顔でそう語るダイヤは、もうただのおてんば娘ではないようだった。
「お嬢さま……、ご立派になられて……」
年かさのメイドがつい涙ぐむ。
「ちょっとぉ、泣かないでよ! もちろんただ練習のためにパーティを開くんじゃないわよ。ほら、バレンタインのとき、私、皆に物凄いおもてなしを受けたじゃない? だから今度はお返しに私がおもてなししたいの。ホワイトデーは終わっちゃったけど」
「そうですよ、ホワイトデー!」
ハッとして、メイドがダイヤに詰め寄った。
「お嬢さま、いいんですか!? クロスさんからは何かありました!?」
「ちょ、ちょっと! 苦しい! 何もないわよ、あるわけないでしょ、今年はバレンタインにチョコあげれてないんだから」
クロスというのは、ダイヤの傍仕えをつとめる青年である。年若いのに冷静かつ使用人であるのに無礼、というキャラクターで、彼とダイヤとの掛け合いはモンド家の名物になりつつあった。
「あんたたちが心配してくれてるのはわかってるけど、いいの。気にしないで」
「でもお」
「チョコレートのこともそうだけど、これまでのあれこれでわかったの。クロスに型どおりのアピールは無駄なのよ。だったら、やり方を変えることにするわ。私だってちゃんと、一人前に仕事ができるようになるってところを、まず見せることにするの」
メイドたちは、ダイヤがクロスのことを諦めたわけではないとわかって安堵すると同時に、頼もしくなったダイヤが今までの何倍も輝いて見えて胸をときめかせた。これは絶対に、クロスもパーティに引っ張り出さねばならない、とメイドたちは一瞬のうちに目配せし、無言で結束を固める。そんな密約が目の前で交わされたとは知らず、ダイヤはにこにこと続けた。
「だから、あなたたちも、お客様のおもてなし、協力してちょうだい」
「はい! もちろんですっ!」
「……ですが、お嬢さま」
メイドのひとりが口元を押さえて真顔になった。
「モンド邸のお庭には、桜の木がございませんが……?」
あっ、と一様に絶句するメイドたちの前で、ダイヤはひとりニヤニヤと笑った。
「そう、ないのよね、桜の木。だから、こうするの」
そう言ってダイヤが取り出して見せたのは、ピンク色で、しかもキラキラしている砂のようなものだった。
「まさかお嬢さま、これを……」
「ええ。まくのよ。盛大にね!」
心から楽しそうな悪戯っぽい声は、やはりダイヤそのもので、本質は変わっていないのだと思わせる瞬間であった。
解説
■成功条件
ダイヤお嬢さまプロデュースのお花見パーティを楽しむ
■お花見会場
モンド邸の庭にある、芝生広場。
サッカーコートほどの広さで、周囲をカエデの樹が取り囲んでいる。(カエデの樹は現在すべて葉を落としており、枝のみ)
料理と飲み物(アルコールは用意がない)は広場中央のテーブル五台に乗せられている。
食事系(グラタン、ミートパイ、ローストビーフ、サンドイッチ等)
デザート系(ケーキ、ムース、ゼリー、花見だんご、大福等)
が取り揃えられ、種類も量も豊富。
椅子はビーチで使用するタイプのもの(寝転ぶこともできる)が用意されている。レジャーシート等も用意がある。
■キラキラの砂
いわゆる「グリッター」と呼ばれる、光沢があり軽くて細かな粒。空にまくと粉雪のように舞う。
ダイヤお嬢さまはこれを樹の近くでまくつもりらしい。
非常に細かいため、肌につくと、こすってもなかなかとれない。
手足を洗うための水をためたビニールプールを用意してあるほか、希望者には屋内でシャワーを貸す。
■クロス
モンド家の使用人で、ダイヤお嬢さまのお世話係。
冷静で優秀な青年だが、主人であるダイヤには遠慮のない口をきく。
ダイヤは長年、彼に恋をしている(?)ようなのだが……。
※ダイヤお嬢さまとクロスのシナリオは以前にも何作もございますが、まったくご存じなくても少しも問題はありません。お気軽にご参加ください。
ダイヤお嬢さまプロデュースのお花見パーティを楽しむ
■お花見会場
モンド邸の庭にある、芝生広場。
サッカーコートほどの広さで、周囲をカエデの樹が取り囲んでいる。(カエデの樹は現在すべて葉を落としており、枝のみ)
料理と飲み物(アルコールは用意がない)は広場中央のテーブル五台に乗せられている。
食事系(グラタン、ミートパイ、ローストビーフ、サンドイッチ等)
デザート系(ケーキ、ムース、ゼリー、花見だんご、大福等)
が取り揃えられ、種類も量も豊富。
椅子はビーチで使用するタイプのもの(寝転ぶこともできる)が用意されている。レジャーシート等も用意がある。
■キラキラの砂
いわゆる「グリッター」と呼ばれる、光沢があり軽くて細かな粒。空にまくと粉雪のように舞う。
ダイヤお嬢さまはこれを樹の近くでまくつもりらしい。
非常に細かいため、肌につくと、こすってもなかなかとれない。
手足を洗うための水をためたビニールプールを用意してあるほか、希望者には屋内でシャワーを貸す。
■クロス
モンド家の使用人で、ダイヤお嬢さまのお世話係。
冷静で優秀な青年だが、主人であるダイヤには遠慮のない口をきく。
ダイヤは長年、彼に恋をしている(?)ようなのだが……。
※ダイヤお嬢さまとクロスのシナリオは以前にも何作もございますが、まったくご存じなくても少しも問題はありません。お気軽にご参加ください。
マスターより
ごきげんいかがでしょうか。紺堂カヤでございます。
そろそろ桜も咲くころ。ぱーっとお花見などいかがでしょうか。本物の桜、ありませんけど……。
仲間内で楽しんでいただくのも良し、ダイヤお嬢さまとグリッター撒き散らすもよし、不器用な恋にちょっかいを出すもよし……。
どうぞそれぞれの春の楽しみ方をしていただけたらと思います。
そろそろ桜も咲くころ。ぱーっとお花見などいかがでしょうか。本物の桜、ありませんけど……。
仲間内で楽しんでいただくのも良し、ダイヤお嬢さまとグリッター撒き散らすもよし、不器用な恋にちょっかいを出すもよし……。
どうぞそれぞれの春の楽しみ方をしていただけたらと思います。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2017/04/13 17:57