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【血盟】赤き王龍

マスター:葉槻

このシナリオは5日間納期が延長されています。

シナリオ形態
ショート
難易度
不明
オプション
参加費
1,500
参加人数
現在6人 / 4~6人
マテリアルリンク
報酬
不明
相談期間
5日
プレイング締切
2017/04/11 19:00
リプレイ完成予定
2017/04/25 19:00

オープニング

 私が守護する南の大地は、人や生物が住まうには厳しい環境にあった。
 日差しは強く大地を焦がし、水は少なく、作物は育ちにくく、どの生物も常に乾き飢えていた。
 その為、何十年かに1度、この大地を浄化する作業が必要だった。
 私がこの世に生み出されてから、何回も何十回も何百回と繰り返してきたが、浄化する度に、痛みを覚える度に人や生物はたくましくなっていく。
 その成長を見守ることが私の楽しみでもあった。

 ところが、次第に人は星の浄化を畏怖し、星と繋がっている私へと生贄を差し出すようになった。
 ……そんなことをしても何にもならないというのに。
 最初のうちは、要らぬと里へと送り返していた。
 しかし、それにより『龍神様の不評を買った役立たず』と私刑に遭うのだと知り、驚くより呆れた。
 以来、仕方が無いので龍の巣内で好きに暮らせと放置することにした。
 人の一生は短い。
「龍神様」
 人は脆く壊れやすい。
「龍神様」
 マテリアル濃度が濃い関係もあるのだろう。
 送られてきた生贄は、春が来て、夏が過ぎ、秋を迎えて、冬を送る。それを十も繰り返すと星へと還っていった。
 そして、また新しい生贄が放り込まれる。
 ほんの一時、生贄同士で会話をし、共に生活する事もあった。
 そして、先に居た生贄が星に還るのを見届けると、私にこう言うのだ。

 「彼女は龍神様の元に来られて幸せでした」――と。

 ある頃から、おかしなモノが侵入してくるようになった。
 それは、そう、強いて言うのなら濃縮した闇のような何かだった。
 それに取り憑かれた人や動物は周囲にもそれをばらまくようになった。
 元々、人と人とは争い合う生き物だった。
 浄化作業直後、何とか生き延びた人は僅かに残った食料を求めて奪い合い、殺し合う。
 少し時間が経つと、今度は肥沃な土地を求めて攻め入り、己が領地を守る為に戦い、そして沢山の人が死ぬ。
 そこに、この闇が一つ入るとそれは凄惨な虐殺行為となった。
 私は龍たちにこれらを排除するように命じた。
 この土地を守護する者として見逃せない変化だった。
 次第にそれは我が同胞すら取り込み、異形へと変化させ始めた。
 狂気――最初にそう言ったのはどの龍だったか。なるほど、言い得て妙だと思ったのを覚えている。

 襲いかかってくる狂気や歪虚と戦い続ける日々。
 傷付き、寿命よりも早くに星へと還っていく同胞たち。
 ある日、生贄の1人が言った。
「何故、龍達ばかりが戦わなければならないのでしょう」
 それが、世界の守護者として産まれた我が使命だからだ――そう、答えると彼女は静かに胸の前で両手を祈るように合わせて目を伏せた。
「可哀想な王龍様。どれほど気高く強く正しくとも、世界の為と命を賭して守ろうとも、あなた様のその哀しみを受け止めてくれる存在がいない。可哀想な王龍様」
 私は彼女の言葉に強い憤りを感じた。
『可哀想、だと? 人間如き矮小な分際で、私に同情を寄せるというのか!』
「だって王龍様は今日も哀しんでおられた。同胞が何体星に還ったと、昨日は何体だった、一昨日は何体還ったと毎日毎日哀しんでおられる」
 当然だ。私は王として、この南の地を守る龍を束ねる者として総数の把握が必要だ。それ以上も以下もない。
「いいえ。王龍様は哀しんでおられます。王龍様はお優しい方だから、亡くなった龍の無念を一身に受け止め、その命の灯火が消えた事を悼み、もう言葉が交わせないことを寂しがっておられる。そんなお優しい王龍様だから、他の龍達もあなた様のことが好きなのです。あなた様の命に命を賭せるのです」
 私はその言葉に目を瞠る。
「泣いて良いのです。悲しい、寂しいと嘆いていいのです。どうしてだと問うて良いのです。私は確かに小さく弱い人間です。ですが、王龍様のその哀しみを分かち合うことは出来ます。共に憤ることは出来ます。……沢山の龍が同じようにあなた様の哀しみを感じ、でもそれを見せてくれない事に寂しさを感じているのですよ」
 ふと視線を感じ顔を向ければ、まだ若い龍が青い瞳を揺らし、膝を付いた。
『不肖未熟な身ではありますが。このザッハーク、何があろうともこの命尽きるまでメイルストロム様のお側におります』
『……そうか、有り難う』
 私の言葉に少女もザッハークも嬉しそうに微笑んだ。
 さりとて、良いのだと言われてもすぐに実行に移せるわけでもなく。
 私のあまり変わらぬ態度に彼女は少しむくれながら、それでも何かが変わったのだろうか、時折満足そうな笑みを浮かべながら私とザッハークのやり取りを見守っていた。

『王……!』
 状況が変わったのはそれからまた季節が何度か回った頃。
 相変わらず歪虚共の進軍は変わらず――いや、更に苛烈さを増し、徐々に圧されつつある事実を認めざるを得なかった。
『どうした、騒々しい』
 ザッハークが睨みながら飛び込んで来た飛竜を咎める。
『人が……人間が攻めてきています』
『……どういうことだ?』
『この歪虚の侵攻、我々、龍が手引きしているとの噂が広がり、龍こそが悪の根源だと盲信した人間たちが各地の同胞を襲っております』
「酷い……!」
『……放っておけ』
『王!?』『しかし……!』
 いつか、そうなるのではないかと予測していた私にとっては『ついに来たか』程度の感想だった。
『人如きの攻撃でやられるような我々では無い。人が来ても反撃はするな。ここに侵入してくるような事があれば追い返すに留めよと、皆に伝えよ』
『……はっ』
 飛竜が去り、生贄の少女が頭を垂れた。
「私が行きます。その思考は誤りだと訴えてきます」
『やめておけ。生贄となったはずの者が郷里に帰ればどうなるかは、お前も知っているだろう』
「それでも……!」
『良いのだ。いつかこうなる予感はしていた』
 人は1人では大したことはできない。しかし、集団になると恐ろしい威力を発揮することがある。そして、その威力は時として暴走する。そんな人々の暮らしをずっと見守ってきた。
 今回はその暴走の矛先が私たちへと向かった……ただそれだけのことなのだ。
 彼女は私の言葉納得出来なかったらしい。
 翌日、気付いたときには彼女は既に龍の巣から旅立っていた。
 しかし、私には彼女を探しに行く余裕は無かった。
 ついに狂気がこの龍の巣へと足を踏み入れたからだ。
『……ザッハーク』
『私が探して参りましょう』
『頼んだぞ』

 私自らが先陣に立ち、歪虚達を焼き、蹴散らし、押し返す。
 一昼夜に渡る激闘の末、歪虚の群れを撤退させることに成功した。
 しかし、被害は甚大だった。

 そして、再び陽が昇った。





●Unknown
 避けようのない悲劇というものは誰しもにある。
 それは怪我や病、愛しい者との死別、愛憎渦巻く相手との確執など様々な形で突然に降りかかる。

 今、この大陸には最悪の災厄がひたりひたりと迫っていた。

 ――その事実を知る者は、まだ、誰もいない。


解説

■目的
 南方大陸で何が起こったのかを見届ける

■状況
 南方大陸最後の日
 あなた達は気付くと龍の巣の袂に居る
 このまま龍の巣に行く事も出来るし、アルタンの地下遺跡へ向かうことも出来る
 数え切れない程の狂気に侵された人や龍、さらには歪虚が龍の巣の外、人々の住む町などでも暴れている
 赤の龍達はこれらを掃討すべく戦いへと赴く
 あなた達は自身を守りつつ、赤龍や他の龍達に何があったのかを知る事が主目的
 なおOP情報はPCが『夢で見た』として扱って良い


■赤の龍
 基本的に人類を信頼していない。
 生贄の巫女の言葉によりやや態度は軟化しているが、現在のままだとどれほど困った所であなた達ハンターの手を借りようとはしない。
 共闘を申し入れる場合、あなた達の言葉を赤龍に届ける必要がある。
 説得が成功すれば、共闘の道が拓ける。
 また、共闘する人数や状況により難易度に変化がおこる。

●共闘するメリット
・希望者は1体赤のワイバーンに1人ずつ騎乗出来る(飛行能力あり移動力7。サイズ2~3。爪や牙、火炎弾による攻撃可)
・龍のと情報交換が出来る

●共闘するデメリット
・狂気に狙われやすくなる
・人類などからの情報が得にくくなる

●非共闘のメリット
・単独での行動が成功しやすい
・人類などからの情報が得やすくなる

【神の夢】
 この依頼中で南方大陸は死の大地となり、生物は例外なく絶命する。
 結果、全PC死亡シーンが描写される。
 あまり詳しく描写されたくない人は【×】とプレイング内に明記すること。
 ※なお、死に方は戦闘中とは限らず、不慮の事故の場合も有り得る
 ペット・騎乗の持ち込み不可。


 同行NPCが居ないため、質問にはお答えしかねます。
 致命的な指摘などは運営のお問い合わせをご利用下さい。

マスターより

 初めまして、もしくはまたお目にかかれて光栄です。葉槻(はづき)です。
 【血盟】第三弾。赤の龍編です。
 そしてすみません、再びEXです。
 どうか、EX分まで情報を引き出して行って下さい。
 共闘に関してはさほど難しく考えなくて良いですが、いきなり行って「戦うぜ!」とか言っても「帰れ」言われるだけなので(笑)、あなた達がどうしてここにいるのか、あなたの言葉でどうしたいのかを伝えてあげて下さい。
 定例ですが、白紙は描写出来ません。
 スキルセットミスされますと、折角の活躍の場でずっこける事になります。ご注意下さい。
 それではあなたらしいプレイングの到着を、お待ちしております。
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2017/04/24 22:18

参加者一覧

  • 凶獣の狙撃手
    シルヴィア=ライゼンシュタイン(ka0338
    人間(蒼)|14才|女性|猟撃士
  • その力は未来ある誰かの為
    神代 誠一(ka2086
    人間(蒼)|32才|男性|疾影士
  • 巡るスズラン
    リュー・グランフェスト(ka2419
    人間(紅)|18才|男性|闘狩人
  • 勝利の女神
    アニス・エリダヌス(ka2491
    エルフ|14才|女性|聖導士
  • The Fragarach
    リリティア・オルベール(ka3054
    人間(蒼)|19才|女性|疾影士
  • 友と、龍と、翔る
    グリムバルド・グリーンウッド(ka4409
    人間(蒼)|24才|男性|機導師

マテリアルリンク参加者一覧

依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2017/04/06 11:57:46
アイコン 相談卓
リリティア・オルベール(ka3054
人間(リアルブルー)|19才|女性|疾影士(ストライダー)
最終発言
2017/04/11 16:17:52