• 調査

マリーさん大変ですよ

マスター:KINUTA

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
参加費
1,000
参加人数
現在5人 / 4~8人
マテリアルリンク
報酬
多め
相談期間
6日
プレイング締切
2017/04/24 22:00
リプレイ完成予定
2017/05/03 22:00

オープニング



●春が来た。


 春。ジェオルジ。
 静かな小雨の降る中傘をさし歩いて行くのは、ハンターオフィス・ジェオルジ支局の職員、マリー。年の頃20代前半の女エルフ。
 種族名に恥じぬ整った外貌をしているのに、これまで一度も恋人が出来た試しがない。それが彼女の悩みの種。
 エルフハイムなどというど田舎にいるのがいけないのだ。広い世界に飛び出してみよう。そのように一念発起して森から出てきて〇年後、つまり現在――いまだに出会いなし。リアルブルーの少年アイドルグループにはまってはいるが、現実的な対象との巡り合いイベント、発生せず。
 借家の周辺に住んでいるのは農業関係者だけ。職場にいるのは彼氏持ちの男とコボルドのオスだけ。オフィスに来るのは暇そうなハンターだけ。
 そういえば暇そうなハンターのうちの一人であるカチャ。自分よりはるかに年下なのに結婚を考えている相手がいるとかなんとか――相手同性らしいけど。
 もろもろ考えむかむかしてきたマリーは、農道のど真ん中で叫ぶ。

「なんなの! なんで私だけ何にもないの!? 私何か悪いことでもした!?」

 草を食んでいた羊たちが大声に反応し、メーメー鳴いた。牧羊犬がワンワン吠えた。

「うるさいわよあんたたち!」

 レインブーツで水たまりを跳ね上げながら歩いて行くマリー。
 その足が急に止まった。
 道の傍らに少年が1人、座り込んでいるのが見えたのだ。
 年格好は15、6。種族は人間。遠目に見て美形。近づいてみても間違いなく美形。
 『雨の降る中何をしているのか心配になった+少年の顔があまりにも好みだった』という理由によりマリーは、足早に歩み寄る。

「……何してるの?」

 少年は傘を差しかけてきたマリーを見上げる。睫の長い、煙るような瞳で。

「待ってるんだ」

 物憂げな声につい引き込まれ、身をかがめるマリー。

「誰を?」

「ボクを拾ってくれそうな人――ボクね、差し当たって寝るところも食べるものもないんだ。ねえお姉さん、ボクのこと拾ってくれない? ボク、死ぬほど働きたくないんだ。誰かに養われて一生を過ごしたいんだよ」

 マリーは傘をその場に放り投げ、叫んだ。

「キター!!」


●何事ですか。


「アレックス。最近マリーがおかしいんだ」

「どうおかしいんだ?」

「なんて言うかな、機嫌がいいんだよ」

「……たまには機嫌がいいときもあるんじゃないか? マリーも」

「いや、そういうレベルの機嫌良さじゃないんだよ。明らかに普通じゃないんだよ。なんていうか……オフィスまで見に来てくれない? そしたら僕の言ってることが、よく分かると思うから」

 という相談を恋人ジュアンから受けたアレックスは、早速次の日、ジェオルジ支部を訪ねてみた。

「ちわー……」

 扉を開けた途端、驚愕する。
 マリーが、あのマリーが――朗らかにコボちゃんの頭を撫でている。

「コボちゃん、今日もかわいいわねー」

「わ、わし……し……」

 コボちゃんが引いている。無理もない。普段とあまりに違う態度だから。

「あら、アレックスいらっしゃい。お茶入れるわね」

「お、おう……」

 茶……あのマリーが客に茶を出すなど……どうしたんだ一体。
 支所の壁にべたべた貼ってあったリアルブルーのアイドルポスター、大幅に減っている。あれを眺めて妄想に耽るのが彼女の趣味だったはずなのに。
 裏庭の木に吊るしてあったサンドバッグも片付けられている。あれを殴るのが彼女の日課だったのに。
 アレックスは生唾を飲み込んだ。
 同僚の姿を怖々盗み見ているジュアンに駆け寄り、声を潜めて聞く。

「……おいジュアン、マリーがああなったのはいつからだ」

「一週間前ぐらいからかなあ……急にあんな状態で……原因が分からないから、正直怖いんだよね……何か天変地異が起きる前触れじゃないかって……」


●依頼

 とある海運会社の応接室。

「なるほど、弟さんが家出をされたと」

「はい、そういうことです」

八橋杏子を筆頭としたハンターたちに話をしているのは、 銀縁の眼鏡をかけた、いかにも頭のよさそうな娘。

「ですので、とりあえずどこにいるのか探していただけたらと思いまして」

「……探すだけですか? 連れ戻さなくていいんですか?」

「ええ。危険な状態にあるなら別ですけど、そうでもなさそうなら……また後で考えようかなと」

 やり手実業家といった雰囲気の中年女性がハンカチを握り締め、会話に割り込んでくる。

「うちの稼業を継いでくれるよう商船学校にも入れたのに、あの子ときたら『働くくらいなら死ぬ』だの言って、あげくに家を飛び出して、もう情けないと言ったら……」

「無理よ母さん、ナルシスに実業なんて。あの子、外身も中身も父さんにそっくりなんだから。父さん、一度も働いた事ないじゃない」

 そう言って娘は、ちらりと応接室の隅に視線を向けた。
 程よく日の当たる場所に揺り椅子。すこぶる見目のいい中年紳士が満足げにパイプをふかしながら、高そうなペルシャ猫を撫でている。

「仕方ないわよニケ。お父さんは労働に向かないの。元貴族で、スプーンより重いもの持ったことがないんだから。でもそんなこと、どうだっていいじゃない。とびきり上品で、礼儀作法もわきまえてて――今だってそうだけど、昔はもう本当に、夢の国の王子様みたいにきれいだったのよ」

「ほーらほら、またそうやって甘やかす。だから駄目になるのようちの男どもは。とにかく母さん、海運稼業は私が継ぐから」

 家庭の事情について聞きたいことは多々あるが――とにかくまずは、家出人の居場所を突き止めなくては。




解説

補足説明。

これは家出人であるナルシスくんの居場所を探し、依頼主に報告するシナリオです。

海運会社(経営者は母)の家に生まれ育ったナルシスくんは、超絶ナマケモノ。生まれながらの寄生体質。他には何も出来ないけれど、宿主を見つけることにかけて天賦の才を発揮します。

OPを見て分かる通り、ナルシスくんはマリーのところにご厄介になっております。
マリー、我が世の春の絶好調です。今なら世界中の誰にでも優しくなれる心持ちです。
といって彼女、別にナルシスに対しいかがわしいことはしておりません。美少年がうちにいるっていうだけでウキウキのルンルンなのです。そのへんは常識家というか純情というか奥手というか、そんな感じです。

マリーは周辺が不審がるほど言動がおかしくなっています。聞き込みをすればすぐに家出人を見つけられることでしょう。



登場・新NPC

ナルシス・グリーク……人間/15/男/寄生型美少年。

ニケ・グリーク……人間/19/女/ナルシスの姉。恐らく次期社長。

マスターより

KINUTAです。

マリーさんにも春が来た……のか?

リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2017/04/29 23:53

参加者一覧

  • 行政営業官
    天竜寺 舞(ka0377
    人間(蒼)|18才|女性|疾影士
  • タホ郷に新たな血を
    メイム(ka2290
    エルフ|15才|女性|霊闘士
  • ルル大学魔術師学部教授
    エルバッハ・リオン(ka2434
    エルフ|12才|女性|魔術師
  • ジルボ伝道師
    マルカ・アニチキン(ka2542
    人間(紅)|20才|女性|魔術師
  • 煽り師
    雁久良 霧依(ka6565
    人間(蒼)|23才|女性|機導師
依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2017/04/22 21:33:43
アイコン 相談卓だよ
天竜寺 舞(ka0377
人間(リアルブルー)|18才|女性|疾影士(ストライダー)
最終発言
2017/04/24 19:27:27