ゲスト
(ka0000)
【初心】春のうららの凶悪カエル
マスター:芹沢かずい

このシナリオは2日間納期が延長されています。
- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- 参加費
1,000
- 参加制限
- LV1~LV20
- 参加人数
- 現在6人 / 4~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2017/04/24 19:00
- リプレイ完成予定
- 2017/05/05 19:00
オープニング
●
季節は春。空気が柔らかく、周辺の森からは緑の匂いが流れてくる穏やかな村。
ゴブリンによって廃村の危機に瀕していたとは思えないほど、復興が進んだこの村は賑わっている。
のんびりした季節を歌う鳥の声や森の木々に混じって響くのは、建物を修復するための大工仕事の音と号令、荒らされた畑を耕し整備する音。休憩時間には、食事を囲んで談笑する声。隣町から来ている行商人の呼び声もそうだ。
村の家々は半分ほどが修復され、戻ってきた村人たちが身を寄せて暮らしている。畑はそれ以上に復興しており、この季節、ようやく最初の種を植え付けることになるだろう。
村は活気に溢れている。その中で、復興以前から続く賑やかな少女たちの声も健全だった。
「お姉ちゃん今までどこ行ってたの? ……3日も」
呆れたような、安心したような、微妙なエマの声。
「ふう……なんとか3日で帰ってこられたわ」
答えるリタはどこか満足気に額の汗を拭う。彼女の方向音痴は筋金入りで、一度家を出てしまったら最後、誰かが傍に居ないと帰って来られないほどだ。
エマと違ってそれほど忙しくない彼女は、いつも何処かしらに出かけている。最近では、村の有志の若者たちが面白がって相手をしてくれているようだが、今回は『古城の復旧具合を見てくる!』と言って飛び出したきり、3日という期間を経ての帰還である。
エマがリタと違う点、それは年齢よりもしっかりしていることだ(大半はリタの面倒を見ていたために身についたことなのだが)。
村おこしの拠点としているここ、ガーゴ爺さんとイル婆さんの家で、古城をはじめとした村の復興状況の整理を任されている。
そんなこともあり、リタはいつの間にかペットとして連れ歩いているユグディラのゆぐでぃんと共に、イル婆が持たせてくれる大量の食糧を抱えて、村と村周辺を歩き回っているというわけだ。歩き回るといっても、エマにしつこく釘を刺されているので、人のいるところしか行くことは許されていないのだが、これまで一人で外出したことのないリタにとっては、大変画期的な進歩だ。
●
「それで? 今回は何か収穫あったの?」
エマが台所でイル婆の手伝いをしながら話しかける。
ゆぐでぃんを抱っこしたまま椅子に座り、早速差し出されたお茶とユグディラ饅頭・通称ゆぐまんを頬張っているリタは、一口目をしっかりと飲み込むと、そういえば、とばかりに身を乗り出した。
「大変よ!」
リタが身を乗り出して話し始める。……大変なことなら開口一番に出てきそうなものなのだが。
今回彼女は、イル婆から預かった大量の食糧を抱え、古城復興の現場指揮を執っているリブ爺のもとに向かっていた。しかしリタは、食糧を厨房に置いてすぐ、探険と称して城の中や外を歩き回っていた。城から離れないという約束を真面目に守り、城の外壁伝いに歩いていたところで、『それ』を目撃した。
「何がいたの?」
エマの質問に答えるべく、リタは十分な間を空けて重々しく口を開いた。
「……カエルよ」
「カエル? 春だからじゃない?」
「違うわよっ! あんな巨大なカエルがいたら例えばカエルが大好きな人がいたって安心して生活できなくなるわ! そのくらい危険なニオイのするカエルだったわ!」
がたぁんっ! と椅子を蹴って片方の拳を握りしめ、リタは力説する。
細かく状況を聞き出すと、こうだ。
現在、村の畑の水を確保するため、古城の裏手にある湖から用水路を整備している。用水路は幾つも枝分かれし、広い畑の隅々までを潤す重要な水路となっているのだが、そのうちの一つに、水路を塞き止めるほどに膨れ上がったブッサイクなカエルが陣取っているという。
カエルが居るのは細く枝分かれする手前の用水路。そこで水が塞き止められてしまい、畑への水が共有できなくなっているらしい。
「……カエルの姿、ちゃんと見れたの?」
「うーん……大きいは大きいわよ。緑と茶色が混じったみたいな色で、ゴツゴツぬるぬるした感じだったわ。大人の人が5人くらい集まったより大きかったと思うわ。それに顔がいっぱいついてたし、目とか口もいっぱいあったわね。ジャンプしたら大変よ、あれは。子供なら食べられそうだし」
顎に手をやり、自身が目にしたものを思い出しつつ語るリタ。
「恐らくは雑魔の類じゃと思うがのぅ……早いとこ何とかしてもらわんと、耕したばかりの畑がダメになってしまう」
いつの間にそこにいたのか、イル婆に振る舞われた緑色のごぶまん(正式名称はゴブリン饅頭)を手にしたリブが苦い顔で言う。
「そうですね。せっかく畑も家も順調に復興してますからね。カエルなんかに踏みにじらせるわけにいかないですよ」
エマは武器を取り、可愛い顔に似合わない雰囲気を纏って言う。彼女もまたハンターの端くれ。いざとなれば戦うことを厭わないだろう。
「そうと決まれば早速討伐よっ!」
リタもまた弓を手に、意気揚々と家を出る。……と、その前に。
「ちょっと待って! お姉ちゃん、幾ら何でも私たちだけじゃ太刀打ちできないと思うんだけど!」
「でも!」
「でもじゃない! お姉ちゃんの面倒を見るのも大変なのに、得体の知れない巨大カエルと戦うなんてできっこないと思うの。遠距離攻撃で一撃で相手を仕留める自信があるっていうなら別だけど」
「ぐ……痛いところを突くわね」
少々毒のあるエマの言葉に、ぐっと喉を詰まらせるリタ。
助け船はそんなときにやってきた。
「城の裏手から確認したことは、村のモンには伝達してあるぞぃ。村人は避難と同時にハンターさんに手助けを求めに行ってるはずじゃ」
●
「……思ってたより凶悪なんだけど……お姉ちゃん」
ゴクリと喉を鳴らすエマ。遠目だが、改めてそれを見たリタの頬にも冷たい汗が伝っている。
現在彼女たちは、古城の裏手を回り込み、湖の近くからカエルを視認できる位置にいる。
周辺の畑よりも少しばかり低いところを流れる水路から、身体の上半分をのぞかせる巨体はやたらと歪で、隆起したように見える場所は頭のようだ。それぞれに長い舌を伸ばしては、手当たり次第に草やら虫やらを口に運んでいる。
「あたしの弓じゃ届かないわ……近づいても隠れる場所もなさそうね……」
弓矢を握りしめ、リタが珍しく慎重に呟く。
アレが暴れ出したら……それよりも、アレを放っておけばせっかく復興してきた村がまた汚染される。ハンターたちは、カエル討伐へと策を巡らせる。
季節は春。空気が柔らかく、周辺の森からは緑の匂いが流れてくる穏やかな村。
ゴブリンによって廃村の危機に瀕していたとは思えないほど、復興が進んだこの村は賑わっている。
のんびりした季節を歌う鳥の声や森の木々に混じって響くのは、建物を修復するための大工仕事の音と号令、荒らされた畑を耕し整備する音。休憩時間には、食事を囲んで談笑する声。隣町から来ている行商人の呼び声もそうだ。
村の家々は半分ほどが修復され、戻ってきた村人たちが身を寄せて暮らしている。畑はそれ以上に復興しており、この季節、ようやく最初の種を植え付けることになるだろう。
村は活気に溢れている。その中で、復興以前から続く賑やかな少女たちの声も健全だった。
「お姉ちゃん今までどこ行ってたの? ……3日も」
呆れたような、安心したような、微妙なエマの声。
「ふう……なんとか3日で帰ってこられたわ」
答えるリタはどこか満足気に額の汗を拭う。彼女の方向音痴は筋金入りで、一度家を出てしまったら最後、誰かが傍に居ないと帰って来られないほどだ。
エマと違ってそれほど忙しくない彼女は、いつも何処かしらに出かけている。最近では、村の有志の若者たちが面白がって相手をしてくれているようだが、今回は『古城の復旧具合を見てくる!』と言って飛び出したきり、3日という期間を経ての帰還である。
エマがリタと違う点、それは年齢よりもしっかりしていることだ(大半はリタの面倒を見ていたために身についたことなのだが)。
村おこしの拠点としているここ、ガーゴ爺さんとイル婆さんの家で、古城をはじめとした村の復興状況の整理を任されている。
そんなこともあり、リタはいつの間にかペットとして連れ歩いているユグディラのゆぐでぃんと共に、イル婆が持たせてくれる大量の食糧を抱えて、村と村周辺を歩き回っているというわけだ。歩き回るといっても、エマにしつこく釘を刺されているので、人のいるところしか行くことは許されていないのだが、これまで一人で外出したことのないリタにとっては、大変画期的な進歩だ。
●
「それで? 今回は何か収穫あったの?」
エマが台所でイル婆の手伝いをしながら話しかける。
ゆぐでぃんを抱っこしたまま椅子に座り、早速差し出されたお茶とユグディラ饅頭・通称ゆぐまんを頬張っているリタは、一口目をしっかりと飲み込むと、そういえば、とばかりに身を乗り出した。
「大変よ!」
リタが身を乗り出して話し始める。……大変なことなら開口一番に出てきそうなものなのだが。
今回彼女は、イル婆から預かった大量の食糧を抱え、古城復興の現場指揮を執っているリブ爺のもとに向かっていた。しかしリタは、食糧を厨房に置いてすぐ、探険と称して城の中や外を歩き回っていた。城から離れないという約束を真面目に守り、城の外壁伝いに歩いていたところで、『それ』を目撃した。
「何がいたの?」
エマの質問に答えるべく、リタは十分な間を空けて重々しく口を開いた。
「……カエルよ」
「カエル? 春だからじゃない?」
「違うわよっ! あんな巨大なカエルがいたら例えばカエルが大好きな人がいたって安心して生活できなくなるわ! そのくらい危険なニオイのするカエルだったわ!」
がたぁんっ! と椅子を蹴って片方の拳を握りしめ、リタは力説する。
細かく状況を聞き出すと、こうだ。
現在、村の畑の水を確保するため、古城の裏手にある湖から用水路を整備している。用水路は幾つも枝分かれし、広い畑の隅々までを潤す重要な水路となっているのだが、そのうちの一つに、水路を塞き止めるほどに膨れ上がったブッサイクなカエルが陣取っているという。
カエルが居るのは細く枝分かれする手前の用水路。そこで水が塞き止められてしまい、畑への水が共有できなくなっているらしい。
「……カエルの姿、ちゃんと見れたの?」
「うーん……大きいは大きいわよ。緑と茶色が混じったみたいな色で、ゴツゴツぬるぬるした感じだったわ。大人の人が5人くらい集まったより大きかったと思うわ。それに顔がいっぱいついてたし、目とか口もいっぱいあったわね。ジャンプしたら大変よ、あれは。子供なら食べられそうだし」
顎に手をやり、自身が目にしたものを思い出しつつ語るリタ。
「恐らくは雑魔の類じゃと思うがのぅ……早いとこ何とかしてもらわんと、耕したばかりの畑がダメになってしまう」
いつの間にそこにいたのか、イル婆に振る舞われた緑色のごぶまん(正式名称はゴブリン饅頭)を手にしたリブが苦い顔で言う。
「そうですね。せっかく畑も家も順調に復興してますからね。カエルなんかに踏みにじらせるわけにいかないですよ」
エマは武器を取り、可愛い顔に似合わない雰囲気を纏って言う。彼女もまたハンターの端くれ。いざとなれば戦うことを厭わないだろう。
「そうと決まれば早速討伐よっ!」
リタもまた弓を手に、意気揚々と家を出る。……と、その前に。
「ちょっと待って! お姉ちゃん、幾ら何でも私たちだけじゃ太刀打ちできないと思うんだけど!」
「でも!」
「でもじゃない! お姉ちゃんの面倒を見るのも大変なのに、得体の知れない巨大カエルと戦うなんてできっこないと思うの。遠距離攻撃で一撃で相手を仕留める自信があるっていうなら別だけど」
「ぐ……痛いところを突くわね」
少々毒のあるエマの言葉に、ぐっと喉を詰まらせるリタ。
助け船はそんなときにやってきた。
「城の裏手から確認したことは、村のモンには伝達してあるぞぃ。村人は避難と同時にハンターさんに手助けを求めに行ってるはずじゃ」
●
「……思ってたより凶悪なんだけど……お姉ちゃん」
ゴクリと喉を鳴らすエマ。遠目だが、改めてそれを見たリタの頬にも冷たい汗が伝っている。
現在彼女たちは、古城の裏手を回り込み、湖の近くからカエルを視認できる位置にいる。
周辺の畑よりも少しばかり低いところを流れる水路から、身体の上半分をのぞかせる巨体はやたらと歪で、隆起したように見える場所は頭のようだ。それぞれに長い舌を伸ばしては、手当たり次第に草やら虫やらを口に運んでいる。
「あたしの弓じゃ届かないわ……近づいても隠れる場所もなさそうね……」
弓矢を握りしめ、リタが珍しく慎重に呟く。
アレが暴れ出したら……それよりも、アレを放っておけばせっかく復興してきた村がまた汚染される。ハンターたちは、カエル討伐へと策を巡らせる。
解説
●用水路を塞ぐように現れた、巨大カエル型雑魔の討伐依頼です。
リタ「大人の男の人が5人くらい固まったくらいの大きさだわ」
エマ「大きいね……今は座り込んでるけど、アレ、伸び上がったりしたらどうなるんだろう? それに随分歪だよね……き、気持ち悪い……」
リタ「頭みたいなのが幾つもあるわね。きっと何匹かのカエルが合体したのよ。5匹以上はいるみたいね」
エマ「あの長い舌は鞭みたいだね。スピードも速いし、気をつけないと……。それにここから見えないけど、脚も大きそうだからジャンプしてきたらどうしよう」
リタ「エマ……勝てそう?」
エマ「……聞かないで」
●巨大カエルのいる水路の周辺には、畑を整備したときに出た不要物(瓦礫や木の枝・石など)が積まれた場所がいくつかありますが、基本的には整備されつつある畑とその間の農道で、見晴らしは良い。
●巨大カエルを倒すためならば、整備中の畑であろうと多少の被害は気にしません(村人談)。
リタ「そうだわ! 景気付けにイル婆特製の饅頭を食べましょう!」
エマ「……作戦には関係ないよね……?」
リタ「大人の男の人が5人くらい固まったくらいの大きさだわ」
エマ「大きいね……今は座り込んでるけど、アレ、伸び上がったりしたらどうなるんだろう? それに随分歪だよね……き、気持ち悪い……」
リタ「頭みたいなのが幾つもあるわね。きっと何匹かのカエルが合体したのよ。5匹以上はいるみたいね」
エマ「あの長い舌は鞭みたいだね。スピードも速いし、気をつけないと……。それにここから見えないけど、脚も大きそうだからジャンプしてきたらどうしよう」
リタ「エマ……勝てそう?」
エマ「……聞かないで」
●巨大カエルのいる水路の周辺には、畑を整備したときに出た不要物(瓦礫や木の枝・石など)が積まれた場所がいくつかありますが、基本的には整備されつつある畑とその間の農道で、見晴らしは良い。
●巨大カエルを倒すためならば、整備中の畑であろうと多少の被害は気にしません(村人談)。
リタ「そうだわ! 景気付けにイル婆特製の饅頭を食べましょう!」
エマ「……作戦には関係ないよね……?」
マスターより
お久しぶりです、芹沢です。
すっかりご無沙汰してしまいましたが、村おこしシナリオをぼちぼち進めて行こうと思います。よろしくお願い致します。
春といえばで思い出したのが、冬眠明けのカエル。姿は見えず鳴き声が聞こえるだけならば風流でもありましょうが、目の前にでかいのが出てきたら……カエル嫌いの方、気分が悪くならないようにご注意くださいませ。
芹沢の地元はまだ雪が残っておりますが、陽気というか気分は春ですね。「春眠暁を覚えず」です。
すっかりご無沙汰してしまいましたが、村おこしシナリオをぼちぼち進めて行こうと思います。よろしくお願い致します。
春といえばで思い出したのが、冬眠明けのカエル。姿は見えず鳴き声が聞こえるだけならば風流でもありましょうが、目の前にでかいのが出てきたら……カエル嫌いの方、気分が悪くならないようにご注意くださいませ。
芹沢の地元はまだ雪が残っておりますが、陽気というか気分は春ですね。「春眠暁を覚えず」です。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2017/04/30 18:22
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2017/04/22 22:12:42 |
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ご相談につき 御法 莉乃(ka6796) 人間(リアルブルー)|16才|女性|格闘士(マスターアームズ) |
最終発言 2017/04/23 03:56:32 |