ゲスト
(ka0000)
【血盟】黒い影の深淵
マスター:猫又ものと

このシナリオは5日間納期が延長されています。
- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 4~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2017/04/26 19:00
- リプレイ完成予定
- 2017/05/10 19:00
オープニング
――その日。彼が所属している部隊は簡単な護衛業務に向かう予定だった。
小型の哨戒艇に乗り、目的地に向かっている途中に……それは起きた。
けたたましく響く警告音。揺れる機体――。
それが『転移』と呼ばれる現象であると知ったのは随分後になってからだ。
――気づけば、部隊は氷に閉ざされた山中にいた。
「空振りかー。長官殿怒りそうだな……」
「仕方ない。集落を見つけられただけでも僥倖だ。薪だけでも貰って行こう」
鮮やかな銀糸の髪の男に、肩を竦めてみせる黒髪の男。
凍てつき、荒れ果てた大地。食べ物も少なく、弱り始めた身体で歩き続け、ようやくたどり着いた小さな集落は、既に滅び去った後だった。
建物の状態を見ても、滅びたのは大分前なのかもしれない。
手際良く薪を広い集める2人の男。
この一帯は、どうやらVOIDの巣窟であるらしい。
自分達の故郷にいたそれとは大分形が違ったが……どちらにせよ、ここに長居していては危険だ。
「腹減ったなー。雪も食い飽きたわ」
「セト、せめて雪は溶かしてからにしろ。身体が冷えて体力の消耗に繋がる」
「あー? お前いちいち細かいのなー。んな細かいこと気にしてるとハゲるぞ?」
「お前が大雑把すぎるだけだ。俺の髪の心配はして戴かなくて結構」
「へいへいそーですか。ったく可愛くないねー」
「俺に可愛げを求めるな」
大きくため息をつくセトと呼ばれた銀髪の男。
終始軽いノリの彼。黒髪の男とは正反対の性格をしていたが、何故か気が合った。
何より、セトはこんな過酷な状況でも飄々として変わることなく。
それは周囲の者達と……そしてこの男自身の支えであり、救いになっていた。
セトは薪を拾い上げると、ふと黒いコートの友人を見つめる。
「……ところでさ。お前、腹減らねえの?」
「ん? ……ああ、俺は……そりゃ勿論」
「ふーん?」
セトの問うような瞳から目を反らす黒いコートの男。
この男は、自分の変化に気付いているのだろうか。
――少し前、不思議な存在に出会った。
「お前はなかなか見どころがあるな。どうだ、俺と契約しないか。人を遥かに凌駕する力と、最高に自堕落な毎日を約束するぜ」
幾度となく戦場に出ていたその男には、それがヒトならざるものだとすぐに分かった。
通常であれば、一蹴していたであろう誘い。
寒く、食べ物はなく、通信も通じない。
助けを呼びに行こうにも、どこに何があるのか分からない。
周りはVOIDだらけで、単身行動は即、死を意味する。
上官はアテにならず――仲間達は次々と弱って死んで行く。
そんな極限の状態で……彼は思わず願った。
――自分はどうなっても構わない。その代わり――。
「エンタロウ、伏せろ……!」
その声で我に返る男。セトが己を突き飛ばして――。
次の瞬間、弾かれる友人の槍。
体勢を立て直した黒髪の男が銃撃でVOIDにトドメを刺し……そして振り返ると。セトは雪の上で倒れていた。
「セト、大丈夫か。おい、セト……!」
「……わり、ちょっと……油断したわ……」
「すまん。油断したのは俺の方だ……」
そうしている間にも広がっていく赤。止血を試みるが止まる様子がない。
このままではまずい。急がないと――。
友人を抱えて、来た道を戻る黒髪の男。
雪に足を取られ、起伏の激しい道なき道を歩き、歪虚から逃げ続けた。
「……エンタロウ。俺はもういい……捨てていけ」
「何を言っているんだ。ほら、もうすぐ船だ。しっかりしろ!」
「………」
セトが返事をしなくなったのが気がかりだったが、時間がない。
休むことも忘れて、彼が戻った場所で見たものは……哨戒艇の外。雪の上で身を寄せ合って衰弱した仲間達の姿だった。
「お前達、こんなところで何をしている? 何故船の中にいない?」
「……コルト長官が、我々に出て行けと銃を向けて来まして……」
「説得は試みたのですが……」
「……何てことだ」
うめくように声を絞り出す黒髪の男。
セトを背負ったまま、船のドアを叩く。
「長官! コルト長官! 開けてください!」
「……エンタロウか。食糧は!? あったか!? 寄越せ!」
「いえ、今はそれどころでは……。セトがVOIDに襲われて怪我をしました。彼の手当てをしたい。中に入れて下さい」
「断る。この船は俺のものだ!」
「コルト長官。お疲れなのはわかります。しかしこういう場では助け合わねば……」
「うるさい! 俺に指図するな! そいつはもう死んでいるだろう! 良く見ろ! お前は目まで悪くなったのか!? いいか、食糧を見つけられるまで戻って来るな! これは命令だ!」
……こいつは今、何と言った?
セトが、死んだ?
こいつは殺しても死なない男だ。
そんなことがある訳がない――。
男の中に、未だかつて抱いたことがない程の、燃え上がるようなどす黒い感情が湧いた。
ドアの小窓越しに見える物体が肉塊にしか見えない。
――待っていろ、セト。
この肉塊を始末したらすぐに手当てをしてやるから。
――この記録は、後に闇黒の魔人と呼ばれ、紅の世界に恐怖を振りまく存在となる男の話である。
小型の哨戒艇に乗り、目的地に向かっている途中に……それは起きた。
けたたましく響く警告音。揺れる機体――。
それが『転移』と呼ばれる現象であると知ったのは随分後になってからだ。
――気づけば、部隊は氷に閉ざされた山中にいた。
「空振りかー。長官殿怒りそうだな……」
「仕方ない。集落を見つけられただけでも僥倖だ。薪だけでも貰って行こう」
鮮やかな銀糸の髪の男に、肩を竦めてみせる黒髪の男。
凍てつき、荒れ果てた大地。食べ物も少なく、弱り始めた身体で歩き続け、ようやくたどり着いた小さな集落は、既に滅び去った後だった。
建物の状態を見ても、滅びたのは大分前なのかもしれない。
手際良く薪を広い集める2人の男。
この一帯は、どうやらVOIDの巣窟であるらしい。
自分達の故郷にいたそれとは大分形が違ったが……どちらにせよ、ここに長居していては危険だ。
「腹減ったなー。雪も食い飽きたわ」
「セト、せめて雪は溶かしてからにしろ。身体が冷えて体力の消耗に繋がる」
「あー? お前いちいち細かいのなー。んな細かいこと気にしてるとハゲるぞ?」
「お前が大雑把すぎるだけだ。俺の髪の心配はして戴かなくて結構」
「へいへいそーですか。ったく可愛くないねー」
「俺に可愛げを求めるな」
大きくため息をつくセトと呼ばれた銀髪の男。
終始軽いノリの彼。黒髪の男とは正反対の性格をしていたが、何故か気が合った。
何より、セトはこんな過酷な状況でも飄々として変わることなく。
それは周囲の者達と……そしてこの男自身の支えであり、救いになっていた。
セトは薪を拾い上げると、ふと黒いコートの友人を見つめる。
「……ところでさ。お前、腹減らねえの?」
「ん? ……ああ、俺は……そりゃ勿論」
「ふーん?」
セトの問うような瞳から目を反らす黒いコートの男。
この男は、自分の変化に気付いているのだろうか。
――少し前、不思議な存在に出会った。
「お前はなかなか見どころがあるな。どうだ、俺と契約しないか。人を遥かに凌駕する力と、最高に自堕落な毎日を約束するぜ」
幾度となく戦場に出ていたその男には、それがヒトならざるものだとすぐに分かった。
通常であれば、一蹴していたであろう誘い。
寒く、食べ物はなく、通信も通じない。
助けを呼びに行こうにも、どこに何があるのか分からない。
周りはVOIDだらけで、単身行動は即、死を意味する。
上官はアテにならず――仲間達は次々と弱って死んで行く。
そんな極限の状態で……彼は思わず願った。
――自分はどうなっても構わない。その代わり――。
「エンタロウ、伏せろ……!」
その声で我に返る男。セトが己を突き飛ばして――。
次の瞬間、弾かれる友人の槍。
体勢を立て直した黒髪の男が銃撃でVOIDにトドメを刺し……そして振り返ると。セトは雪の上で倒れていた。
「セト、大丈夫か。おい、セト……!」
「……わり、ちょっと……油断したわ……」
「すまん。油断したのは俺の方だ……」
そうしている間にも広がっていく赤。止血を試みるが止まる様子がない。
このままではまずい。急がないと――。
友人を抱えて、来た道を戻る黒髪の男。
雪に足を取られ、起伏の激しい道なき道を歩き、歪虚から逃げ続けた。
「……エンタロウ。俺はもういい……捨てていけ」
「何を言っているんだ。ほら、もうすぐ船だ。しっかりしろ!」
「………」
セトが返事をしなくなったのが気がかりだったが、時間がない。
休むことも忘れて、彼が戻った場所で見たものは……哨戒艇の外。雪の上で身を寄せ合って衰弱した仲間達の姿だった。
「お前達、こんなところで何をしている? 何故船の中にいない?」
「……コルト長官が、我々に出て行けと銃を向けて来まして……」
「説得は試みたのですが……」
「……何てことだ」
うめくように声を絞り出す黒髪の男。
セトを背負ったまま、船のドアを叩く。
「長官! コルト長官! 開けてください!」
「……エンタロウか。食糧は!? あったか!? 寄越せ!」
「いえ、今はそれどころでは……。セトがVOIDに襲われて怪我をしました。彼の手当てをしたい。中に入れて下さい」
「断る。この船は俺のものだ!」
「コルト長官。お疲れなのはわかります。しかしこういう場では助け合わねば……」
「うるさい! 俺に指図するな! そいつはもう死んでいるだろう! 良く見ろ! お前は目まで悪くなったのか!? いいか、食糧を見つけられるまで戻って来るな! これは命令だ!」
……こいつは今、何と言った?
セトが、死んだ?
こいつは殺しても死なない男だ。
そんなことがある訳がない――。
男の中に、未だかつて抱いたことがない程の、燃え上がるようなどす黒い感情が湧いた。
ドアの小窓越しに見える物体が肉塊にしか見えない。
――待っていろ、セト。
この肉塊を始末したらすぐに手当てをしてやるから。
――この記録は、後に闇黒の魔人と呼ばれ、紅の世界に恐怖を振りまく存在となる男の話である。
解説
目的:闇黒の魔人の記録を最後まで見届ける。
ハンターズソサエティでライブラリの整理をしていたあなたは、気付くと見知らぬ場所に立っていました。
辺境の北の大地。
リアルブルーから突如として転移し、孤立した部隊。
押し寄せる歪虚。抵抗して生き残ったとしても食べるものにすら困るような状況。
成す術もなく、次々と倒れていく転移者達――。
そして、歪虚として目覚める黒髪の男。
この男が所属している部隊ですが、この男自身の手によって壊滅させられます。
史実は変わりません。どうあがいてもバッドエンドです。
この男はこの時点で契約者であり、この事件を切欠に堕落者へと転向します。
起こる惨劇を止めることは出来ません。
この過酷な状況の中で、己がしたいと思うことを成してください。
闇黒の魔人を止めるのか。死にゆく人を救おうとするのか――。
場合によってはPCさんが死亡する描写をする可能性があります。
実際に死亡や重体が付与されることはありません。
なお、死亡描写がNGの場合はその旨をプレイングにお書き添えください。
■NPC情報
黒髪の男:リアルブルーの軍隊に所属。射撃の名手だったとのこと。エンタロウという名前らしい。
セト:黒髪の男の同僚で大変仲が良かったらしい。槍の名手。この記録の中では深手を追って虫の息の状態。
コルト:部隊の指揮官。元々神経質な性質だったが、この極限状態で発狂寸前。
■その他
白紙は描写しません。
ハンターズソサエティでライブラリの整理をしていたあなたは、気付くと見知らぬ場所に立っていました。
辺境の北の大地。
リアルブルーから突如として転移し、孤立した部隊。
押し寄せる歪虚。抵抗して生き残ったとしても食べるものにすら困るような状況。
成す術もなく、次々と倒れていく転移者達――。
そして、歪虚として目覚める黒髪の男。
この男が所属している部隊ですが、この男自身の手によって壊滅させられます。
史実は変わりません。どうあがいてもバッドエンドです。
この男はこの時点で契約者であり、この事件を切欠に堕落者へと転向します。
起こる惨劇を止めることは出来ません。
この過酷な状況の中で、己がしたいと思うことを成してください。
闇黒の魔人を止めるのか。死にゆく人を救おうとするのか――。
場合によってはPCさんが死亡する描写をする可能性があります。
実際に死亡や重体が付与されることはありません。
なお、死亡描写がNGの場合はその旨をプレイングにお書き添えください。
■NPC情報
黒髪の男:リアルブルーの軍隊に所属。射撃の名手だったとのこと。エンタロウという名前らしい。
セト:黒髪の男の同僚で大変仲が良かったらしい。槍の名手。この記録の中では深手を追って虫の息の状態。
コルト:部隊の指揮官。元々神経質な性質だったが、この極限状態で発狂寸前。
■その他
白紙は描写しません。
マスターより
お世話になっております。猫又です。
皆様に、血盟の連動シナリオをお届けします。
青木という歪虚の過去の記録。
どうあがいてもバッドエンドというすごいシナリオになっておりますが、猫又版ノベル的なリプレイです。
皆様の心情を中心に書かせて戴けたらと思っております。
極限の状態。この悲劇の果てに、皆様が得るものは――皆様の選択をお待ちしております。
皆様に、血盟の連動シナリオをお届けします。
青木という歪虚の過去の記録。
どうあがいてもバッドエンドというすごいシナリオになっておりますが、猫又版ノベル的なリプレイです。
皆様の心情を中心に書かせて戴けたらと思っております。
極限の状態。この悲劇の果てに、皆様が得るものは――皆様の選択をお待ちしております。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2017/05/10 06:25
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2017/04/23 15:43:09 |
|
![]() |
質問卓! アルスレーテ・フュラー(ka6148) エルフ|27才|女性|格闘士(マスターアームズ) |
最終発言 2017/04/25 08:13:01 |
|
![]() |
相談?雑談?卓 アルスレーテ・フュラー(ka6148) エルフ|27才|女性|格闘士(マスターアームズ) |
最終発言 2017/04/26 11:40:51 |