ゲスト
(ka0000)
【郷祭】恋と勇気とゴブリンと
マスター:樹シロカ

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在8人 / 4~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2014/10/24 19:00
- リプレイ完成予定
- 2014/11/02 19:00
オープニング
●夜の街道
月のない夜。頼りなげに揺れるカンテラの灯がひとつ、見え隠れしていた。
少し先には篝火が焚かれているが、灯はそれを避けるかのように移動する。
突然、その灯が動かなくなった。
「きゃっ……!」
小さな悲鳴。何かの割れる音。
地面に落ちてカンテラは割れていたが、僅かに残った油に小さな炎が揺れていた。
怯えきった若い娘が、提げたかごをしっかり握りしめたままで立ちすくむ。彼女の視線の先には異形の生き物。
「た、たす、け……」
かすれた声が漏れる。その時だった。
ギャーッ!!
鋭い叫び声と共に異形は素早く飛び退り、そのまま逃げていった。
へなへなとその場に座り込んだ娘の目の前に、大きな手が差し出される。
「怪我はないか?」
「貴方は……」
娘が大きく目を見張った。
●郷祭の会合
自由都市同盟領内、農耕推進地域ジェオルジは恒例の「村長祭」を迎え多くの人で賑わっていた。
だが、領主の館の一番広い部屋は、険呑な空気に満たされている。
並んでいる顔は年配の男性ばかりだ。彼らはジェオルジ内に点在する村の村長たちである。
これが本来の「村長祭」だった。
それぞれの村を纏めるのは村長たちだが、村同士の調整役は領主一族が担っている。年に2回の「村長祭」は、複数の村に関わる問題を話し合う場なのだ。
今年一番揉めているのは、デストラ村とシニストラ村。
「そもそもあのゴブリンが現れたのはお前の村だろう! そちらが責任を持て!」
「何を言うか! あの日の見張りはお前の村の当番だ。わざわざうちの村でゴブリンを斬りおって!!」
それぞれの村長は顔を真っ赤にして怒鳴り合っていた。
ふたつの村は、街道を挟んで隣り合っている。
ここに時折ゴブリンが現れては村の作物を勝手に食い散らかしたり、女性や子供を脅かしたりしていたのだが、秋の収穫シーズンを前に、それぞれの村から若い者を出して見張りを立てていたのだ。
ある夜、街道のデストラ村に近い場所にゴブリンが現れた。その日の見張りを担当していたシニストラ村の若者が、脅しではなくゴブリンに切りつけた。だが倒すには至らず、ゴブリンは逃げていった。
その日以来、それまでは適当に脅せば逃げていったゴブリンが、数体集まってデストラ村の畑を荒らしに来るようになったのだ。しかも知恵をつけて、畑荒らしと見張りを分担。見張りは威嚇しても動じることなく反撃してきて、残りの連中は悠々と作物を食い荒らしている始末である。
言い争いはますます白熱していく。
静かにその様子を眺めていた若き領主セスト・ジェオルジ(kz0034)は、ガス抜きのタイミングを見て軽く咳払いした。
「お話は判りました。ゴブリンが街道に出没する以上、問題は既にデストラ村とシニストラ村だけのものではありません。ハンターに依頼してゴブリンを討伐して貰うことにします」
2人の村長は言葉を切り、セストを見遣る。
「それで宜しいですね?」
丁寧だが有無を言わせぬ調子でセストが休憩を宣告した。
●村娘の告白
廊下を歩くセストは、自分に呼びかける微かな声に振り向いた。
「領主様、すみません。少しだけお話を聞いて頂けますか」
見るとセストと同じぐらいの年頃の娘だった。泣き出しそうな顔で自分を見る目に、内心戸惑う。実はセストは、おっさん共の話相手は得意だが、女性、特に若い女性との会話は不得手である。
「何でしょう、折り入って。余り他の人に聞かれたくないお話ですか」
娘が何度も頷いた。
娘はデストラ村の村長の娘、リタと名乗った。
「ごめんなさい、みんな私が悪いんです……!!」
いきなり泣き出すリタに、セストは思わず身を引く。
何とか聞きだした顛末は……。
去年の祭で、リタはシニストラ村の若者に恋をした。
ゴブリン警戒にあたると聞いて、一目会いたくて飛び出したところで、運悪くゴブリンに出くわしたのだ。
それを助けてくれたのが、当の本人。
だがこの事件が切欠で、ふたつの村の関係はこじれ、会うこともままならなくなったのである。
「だからせめて、囮になります。ゴブリンは弱い相手を狙ってきます。他にも心当たりがありますから」
はらはらと涙を流して懇願するリタに、セストは無表情のまま困惑しきってしまうのだった。
月のない夜。頼りなげに揺れるカンテラの灯がひとつ、見え隠れしていた。
少し先には篝火が焚かれているが、灯はそれを避けるかのように移動する。
突然、その灯が動かなくなった。
「きゃっ……!」
小さな悲鳴。何かの割れる音。
地面に落ちてカンテラは割れていたが、僅かに残った油に小さな炎が揺れていた。
怯えきった若い娘が、提げたかごをしっかり握りしめたままで立ちすくむ。彼女の視線の先には異形の生き物。
「た、たす、け……」
かすれた声が漏れる。その時だった。
ギャーッ!!
鋭い叫び声と共に異形は素早く飛び退り、そのまま逃げていった。
へなへなとその場に座り込んだ娘の目の前に、大きな手が差し出される。
「怪我はないか?」
「貴方は……」
娘が大きく目を見張った。
●郷祭の会合
自由都市同盟領内、農耕推進地域ジェオルジは恒例の「村長祭」を迎え多くの人で賑わっていた。
だが、領主の館の一番広い部屋は、険呑な空気に満たされている。
並んでいる顔は年配の男性ばかりだ。彼らはジェオルジ内に点在する村の村長たちである。
これが本来の「村長祭」だった。
それぞれの村を纏めるのは村長たちだが、村同士の調整役は領主一族が担っている。年に2回の「村長祭」は、複数の村に関わる問題を話し合う場なのだ。
今年一番揉めているのは、デストラ村とシニストラ村。
「そもそもあのゴブリンが現れたのはお前の村だろう! そちらが責任を持て!」
「何を言うか! あの日の見張りはお前の村の当番だ。わざわざうちの村でゴブリンを斬りおって!!」
それぞれの村長は顔を真っ赤にして怒鳴り合っていた。
ふたつの村は、街道を挟んで隣り合っている。
ここに時折ゴブリンが現れては村の作物を勝手に食い散らかしたり、女性や子供を脅かしたりしていたのだが、秋の収穫シーズンを前に、それぞれの村から若い者を出して見張りを立てていたのだ。
ある夜、街道のデストラ村に近い場所にゴブリンが現れた。その日の見張りを担当していたシニストラ村の若者が、脅しではなくゴブリンに切りつけた。だが倒すには至らず、ゴブリンは逃げていった。
その日以来、それまでは適当に脅せば逃げていったゴブリンが、数体集まってデストラ村の畑を荒らしに来るようになったのだ。しかも知恵をつけて、畑荒らしと見張りを分担。見張りは威嚇しても動じることなく反撃してきて、残りの連中は悠々と作物を食い荒らしている始末である。
言い争いはますます白熱していく。
静かにその様子を眺めていた若き領主セスト・ジェオルジ(kz0034)は、ガス抜きのタイミングを見て軽く咳払いした。
「お話は判りました。ゴブリンが街道に出没する以上、問題は既にデストラ村とシニストラ村だけのものではありません。ハンターに依頼してゴブリンを討伐して貰うことにします」
2人の村長は言葉を切り、セストを見遣る。
「それで宜しいですね?」
丁寧だが有無を言わせぬ調子でセストが休憩を宣告した。
●村娘の告白
廊下を歩くセストは、自分に呼びかける微かな声に振り向いた。
「領主様、すみません。少しだけお話を聞いて頂けますか」
見るとセストと同じぐらいの年頃の娘だった。泣き出しそうな顔で自分を見る目に、内心戸惑う。実はセストは、おっさん共の話相手は得意だが、女性、特に若い女性との会話は不得手である。
「何でしょう、折り入って。余り他の人に聞かれたくないお話ですか」
娘が何度も頷いた。
娘はデストラ村の村長の娘、リタと名乗った。
「ごめんなさい、みんな私が悪いんです……!!」
いきなり泣き出すリタに、セストは思わず身を引く。
何とか聞きだした顛末は……。
去年の祭で、リタはシニストラ村の若者に恋をした。
ゴブリン警戒にあたると聞いて、一目会いたくて飛び出したところで、運悪くゴブリンに出くわしたのだ。
それを助けてくれたのが、当の本人。
だがこの事件が切欠で、ふたつの村の関係はこじれ、会うこともままならなくなったのである。
「だからせめて、囮になります。ゴブリンは弱い相手を狙ってきます。他にも心当たりがありますから」
はらはらと涙を流して懇願するリタに、セストは無表情のまま困惑しきってしまうのだった。
解説
●依頼内容
畑を荒らすゴブリンを退治してください。
今のところ活動は夜に限られており、主に被害を受けているのはデストラ村ですが、人間を脅威と思わなくなればシニストラ村や、街道を行く人々も襲われる可能性もあるでしょう。
デストラ村のリタが囮を申し出ています。前に襲われた時にかごに入れて持っていた焼きたてのミートパイを用意します。この匂いが近くにいたゴブリンを呼び寄せたと思われます。
●敵情報(PCも聞いて知っている内容です)
ゴブリン4体。体長は1.2mぐらい。結構タフですが、危なくなると逃げるだけの知能はあります。
簡易的な槍や棍棒を所持し、皮鎧を身につけているようです。
最大射程10の石投げが侮れません。(石はその辺りに沢山転がっているので事実上無制限)
●シナリオについて
判定上は、撃退(≠討伐)で「普通」達成。酷い目に遭ったと思えば、当分は現れないでしょう。
完全討伐で「普通」~「成功」になります。
作戦行動はゴブリンが現れる畑からスタートになります。小屋や灌木の茂みが点在する芋畑です。
時間は夜。天候は曇天。風はほとんどありません。
作戦前の日中にそれぞれの村で行動することも可能です。村長たちは領主の館に居る為不在です。
作戦に必要であれば、一般的な農村にある人ひとりが持ち運べる程度の物は貸出可能です。
●補足情報(PL向け情報。PCが知っている情報にするにはプレイングでのアクションが必要です)
リタのお相手は、シニストラ村の村長の息子アンジェロです。
彼がゴブリンを斬ったことはみんな知っていますが、アンジェロはそれがリタを助ける為だったことを黙っています。
ですが父親は薄々何かを感じており、余計な言動を防ぐために現在常に監視役がついています。
リタの父親もアンジェロの父親も、今のままでは2人が会うことすら許さないでしょう。
畑を荒らすゴブリンを退治してください。
今のところ活動は夜に限られており、主に被害を受けているのはデストラ村ですが、人間を脅威と思わなくなればシニストラ村や、街道を行く人々も襲われる可能性もあるでしょう。
デストラ村のリタが囮を申し出ています。前に襲われた時にかごに入れて持っていた焼きたてのミートパイを用意します。この匂いが近くにいたゴブリンを呼び寄せたと思われます。
●敵情報(PCも聞いて知っている内容です)
ゴブリン4体。体長は1.2mぐらい。結構タフですが、危なくなると逃げるだけの知能はあります。
簡易的な槍や棍棒を所持し、皮鎧を身につけているようです。
最大射程10の石投げが侮れません。(石はその辺りに沢山転がっているので事実上無制限)
●シナリオについて
判定上は、撃退(≠討伐)で「普通」達成。酷い目に遭ったと思えば、当分は現れないでしょう。
完全討伐で「普通」~「成功」になります。
作戦行動はゴブリンが現れる畑からスタートになります。小屋や灌木の茂みが点在する芋畑です。
時間は夜。天候は曇天。風はほとんどありません。
作戦前の日中にそれぞれの村で行動することも可能です。村長たちは領主の館に居る為不在です。
作戦に必要であれば、一般的な農村にある人ひとりが持ち運べる程度の物は貸出可能です。
●補足情報(PL向け情報。PCが知っている情報にするにはプレイングでのアクションが必要です)
リタのお相手は、シニストラ村の村長の息子アンジェロです。
彼がゴブリンを斬ったことはみんな知っていますが、アンジェロはそれがリタを助ける為だったことを黙っています。
ですが父親は薄々何かを感じており、余計な言動を防ぐために現在常に監視役がついています。
リタの父親もアンジェロの父親も、今のままでは2人が会うことすら許さないでしょう。
マスターより
同盟連動【郷祭】開催です。
ところが楽しいお祭りの前に、片付けなければならない問題が出てきました。
ハンターの皆様の力で、最後は大団円となりますよう宜しくお願い致します。
尚、セストは村には同行しません。出動前や帰還後に会話は可能です。
また関連付けはありますが、原則として質問にはお答えできません。何卒ご了承くださいませ。
ご参加、お待ちしております!
ところが楽しいお祭りの前に、片付けなければならない問題が出てきました。
ハンターの皆様の力で、最後は大団円となりますよう宜しくお願い致します。
尚、セストは村には同行しません。出動前や帰還後に会話は可能です。
また関連付けはありますが、原則として質問にはお答えできません。何卒ご了承くださいませ。
ご参加、お待ちしております!
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2014/11/03 01:48
参加者一覧
マテリアルリンク参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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相談卓 シュマ・グラシア(ka1907) 人間(クリムゾンウェスト)|10才|女性|魔術師(マギステル) |
最終発言 2014/10/24 17:06:41 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2014/10/19 21:10:34 |