• 冒険

地下遺跡の救助任務

マスター:赤羽 青羽

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
参加費
1,000
参加人数
現在7人 / 4~7人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2017/04/30 07:30
リプレイ完成予定
2017/05/09 07:30

オープニング

「あれっ? エミール、まだ来てねーの?」

 集まった子供たちの中に親友の姿がないのを、ジーノは不思議に思った。
 エミールが待ち合わせに遅れるのは珍しい。
 じきに来るだろう、と年下の子供たちと何をするでもなく待つ。

 1時間が過ぎた。


「とっくに家を出ましたよ、って。エミールのお母さんが!」

「川にはいなかったよ」

「秘密基地にもいなかった!」

 仲間から次々にもたらされる報告に、ジーノは腕組みをして眉根を寄せる。

 南の森は、この辺りの子供にとって庭同然の場所だ。
 どこに何があるか、目を瞑ってたって分かる。迷子になるのはまずあり得ない。
 何よりエミールは慎重な性格だった。

「兄ちゃん!! たいへん!」

 森から駆けてきた甲高い声の主は、ジーノの弟だった。

「どうした、テオ」

「いいからきて!」

 体重をかけて腕を引かれ、その場にいる子供たちと一緒に森に向かう。
 連れていかれた先は、樹に囲まれた窪地(くぼち)だった。
 森の捜索に行っていた子供たちが、何かを取り巻くように集まっている。

「……みんな、ちょっと下がれ。絶対に落ちんなよ」

 やってきたジーノは、中心にある物を認めて子供たちを下がらせる。
 これまで何もなかったはずの地面に、真っ黒な穴が空いていた。
 慎重に屈んで中を覗き込む。
 陽は高く昇っているというのに底が見えない。
 手をついた拍子に穴の縁から転がり落ちた小石は、暗闇に吸い込まれてから冷たく音を立てた。

 眩暈がしそうになって、ジーノは顔を上げる。
 正面に立ち尽くしている少年の手元にある物に気づいた。

「それ、エミールの帽子じゃないか」

「そこに落ちてたんだ。まさかエミール兄ちゃん、この穴に……?」

 ジーノは腹いっぱいに空気を吸いこみ、穴に顔を突っ込んだ。

「おい……!!! そこにいるのかっ!? エミール!!」

 闇の底に声が吸い込まれる。
 その反響が消えた時、微かな音が返ってきた。
 残響が激しく聞き取りにくかったが、それは確かに親友の声だった。

『…………ーノかい……? ……うご…………ないんだ……。……けを……で……くれ……!』


「……というわけでして、子供たちから話を聞いて確認した後、すぐにハンターズソサエティに連絡を取りました」

 村の入り口で待っていた村長は、これまでの経緯をハンターたちに説明する。

「エミールがいなくなったのは2日前。声をかけて返答があったのは、子供たちが聞いたという1度きりです」

 村長は準備していた地図を見えるように広げる。

「南の森の更に向こうに谷があります。その谷底に古代遺跡の入り口があるんです。奥が深い上にゴブリンの巣窟なので、誰も近づきません。40年近く前に調査に入った記録があるくらいです。村への実害もなかったので放ってありましたが、おそらくその遺跡が南の森の地下まで伸びていたんでしょう。穴からロープで降りると申し出てくれた者もいましたが、なにぶん村の者では中に入れないくらい小さい穴でして……」

「だからオレが入るよ!! 父さん!」

 威勢のいい声に全員が振り返る。
 家の扉をわずかに開けて盗み聞いていたのだろう。短髪の少年が村長の前に飛び出してきた。
 村長は頭痛をこらえるような表情で、額に手を当てる。

「ジーノ、何度言わせるんだ。お前は子供じゃないか。ここはハンターの皆さんに任せておきなさい」

「でも、オレだって力に……」

 村長はジーノの腕を掴み、家の中に押し込んで扉を閉めた。
 済まなそうに目を伏せる。

「お騒がせいたしました。あの子なりに親友を心配してるんでしょう。エミールの両親も穴の近くで夜通し声をかけ続け、憔悴しきっていましたので今は村で休ませています。『たとえ、手遅れだったとしても息子を連れ帰って欲しい』とのことです。どうか、私からもよろしくお願いいたします」



 マッチに作業ナイフ、ビスケットにロープを鞄に詰める兄の袖をテオは引いた。

「兄ちゃん、ほんとに行くの? やめたほうがいいよ」

 構わずに麻の包帯を突っ込んで、ジーノは鞄の口紐を閉める。

「いいか、テオ。男にはやらなきゃいけねー時があるんだ」

「それって、父さんの言葉だよね」

 弟のツッコミを無視して、家の壁から燭台を一つ拝借する。

「ダチが大変な目に遭ってるんだ。何もしないわけにいかねー。オレは秘密基地に行ってくる。絶対に村の大人には言うなよ」

 そう言い置いて、ジーノは窓枠を乗り越えて外に出て行ってしまう。

 テオはひとしきり悩んだ後、頷いた。
 村の大人が駄目なら、他の人たちに伝えればいい。
 ハンターの姿を探すべく、テオは兄に続いて窓枠を乗り越えた。

解説

今ある情報から状況を推測し、少年の救助に向かいましょう。

■地形情報
・遺跡
森の地下に広がる石造りの古代遺跡です。
ゴブリンの巣窟で、大柄なホブゴブリンの目撃情報もあります。
それぞれ、槍や棍棒で武装しています。
記録によれば、通路が大空洞を幾つか繋いでいる造りになっているようです。

・遺跡入口
谷の岩壁にあります。
入口の両脇に角笛を持ったゴブリンが2体います。

・遺跡内通路
石造りの真っ暗な通路です。
大人2人が並んで歩ける幅があります。天井の高さは約2mです。
分岐も幾つかあるようです。
奥へ向かう道以外は行き止まりですが、小部屋となっていて中にはゴブリンがいるようです。
時々巡回を行っている様子があります。

・遺跡内大空洞
コンサートホールのように天井の高い、大空洞です。
奥の壁に向かって巨石を階段状に積み上げています。上の段へは階段で上がれます。
段の上には石造りの小さな建物が並び、小さな町のような様相を呈しています。
街角には松明が掲げられ、薄暗いながら地形の視認はできます。
ゴブリンは建物内で生活していますが、異変を感じたら外に出てくるでしょう。
先に向かう道は、どこかの建物内にあるようです。

・秘密基地
森の中にある子供たちの秘密基地です。
岩陰にある洞窟ですが、内部は大きな石を組んだ造りになっていて快適に過ごせます。
※行く場合にはテオが場所を教えてくれるでしょう。

・穴
南の森にある、エミールが落ちたとみられる穴です。
遺跡入口から直線距離で5kmの場所にあります。
なお、ここからの侵入は《解決の絶対条件》ではありません。

※特殊条件:プレイヤーが穴に入る場合※
穴に入れるのは、【身長163cm以下】
【身に着ける防具】は極力衣服に近いもの
穴に入る場合【武器や携帯品】は『一般的なウエストポーチに入る容量』まで
【PL情報:ここから下に降りる場合は一方通行。最大2人まで】

マスターより

はじめましてとこんにちは。
新人マスターの赤羽 青羽です。

少年の救出任務です。
地下遺跡であることを念頭に行動いたしましょう。
エミールの救出以外にも何か不穏な動きが見えますが、可能な限り良い解決を目指してみて下さい。
方法はひとつではありません。

救助の行動が的確であれば、評価が上がります。
ある程度の行動指針は相談の上、統一した方が良いかもしれません。

オープニング内で提示されている話や状況は、知っている人に尋ねれば必ず答えてくれます。
答えてくれた前提でプレイングをかけて下さって構いません。
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2017/05/09 03:38

参加者一覧

  • 戦神の加護
    アデリシア・R・時音(ka0746
    人間(紅)|26才|女性|聖導士

  •  (ka0824
    人間(蒼)|16才|女性|疾影士
  • 神秘を掴む冒険家
    時音 ざくろ(ka1250
    人間(蒼)|18才|男性|機導師
  • 憤怒王FRIENDS
    ケイ(ka4032
    エルフ|22才|女性|猟撃士
  • 灯光に託す鎮魂歌
    ディーナ・フェルミ(ka5843
    人間(紅)|18才|女性|聖導士
  • 金色のもふもふ
    パトリシア=K=ポラリス(ka5996
    人間(蒼)|19才|女性|符術師
  • 遊演の銀指
    レオナ(ka6158
    エルフ|20才|女性|符術師
依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2017/04/27 23:15:13
アイコン エミールくん救出作戦
レオナ(ka6158
エルフ|20才|女性|符術師(カードマスター)
最終発言
2017/04/30 06:52:53