ゲスト
(ka0000)
【陶曲】捻子の反乱、木偶
マスター:佐倉眸

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 4~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2017/05/03 19:00
- リプレイ完成予定
- 2017/05/12 19:00
オープニング
●前日譚
フマーレが大火に見舞われていた頃。フマーレの外れの小さな工業区。
大火の被害を直接は受けていないこの町で、歪虚の襲撃が発生した。
本体は小さな捻子。
捻子が捻子を操って、更には歯車や発条、大凡辺りで生産される様々な金属部品から、果てはその支配の及ばない木材まで巻き込んで巨大化し、町の一角で暴れ。
一所に集めた部品、その他を取り散らかすといった、浅からぬ影響を残して滅ぼされた。
ハンターの手も借りながら部品がどうにか片付く頃、この事件の調査に2人のハンターが派遣された。
椎木とルエル。
リアルブルー出身でクリムゾンウェストに来た当初は路頭に迷っていた椎木と、彼にハンターの道を示した当時駆け出しだったルエル。
2人がバディを組んで今年で15年、今日まで様々な事件に携わってきた。
●
バインダーに綴じた資料を捲り、ルエルは眉間に皺を刻む。
「――核となっていた黒い捻子の歪虚は消滅、その際に操られていた部品類の解放を確認。同時に不審な気配を感知していた模様。また……」
「何度読んだって中身は変わりませんよ。あれは……あの程度の歪虚が持つには大きすぎる力だった。抑も物質を操るって、限度が有りますよ。それをあれは。あの捻子は、自身と同等の大きさの物を何百と……まあ、歪虚とその辺の捻子との比較ですから、一概に同等とは言えませんが……目方で考えれば?」
「小っせえからって、油断できねぇってこったなぁ」
「それに、行動の意図も読めません。……あの大火、十三魔と何等かの関係があるのかも」
「ああ、あの火事なぁ……」
仲間のハンターが出動したと聞いた。今は復興に走り回っているらしい。
この辺りは中心からも外れ、情報の入りは遅いが、それでも風の噂で彼是と聞くことはある。
「火事だけではありません。よく知りませんけど、変な物が見付かったとか、歪虚に襲われたとか、協会が遺跡の発掘……むぐぅ」
「こんな場所で、滅多なことを言うもんじゃねぇ」
椎木の口を押さえて、ルエルは剣呑な目で周りを見る。
聞こえた人間がいないことを確かめてから解放した。
「はぁ、……そんなに危ないこと言いました?」
協会、こと、魔術師協会が遺跡の発掘に心血を注いでいるらしい。古い呪文でも埋まってるのかね。
椎木が聞いたのは根も葉もない、唯の噂。
しかし、ルエルはその先を知らされている。
不審な発掘物とその運搬中に襲われる事件の発生。そして、発掘物の正体について。
尤も、それさえ真実とは限らないが。
それは遺跡の断片でも、呪文の一節でもなく――
「別に。だが、襲われたばっかの場所でする話しじゃねぇ」
●
歪虚の調査と町の視察。終える頃には日が暮れている。
今日は一日平穏に過ぎた。
コーヒーでも飲んで帰りませんかと椎木が誘う。この辺りの職人で賑わう2人も行きつけにしている店が近い。
そちらへと足を向けたところ、積まれた木箱の傍で不審な影が動いた。
「危ないっ!」
影とルエルの間に割って入った椎木が右手にナイフを構える。
からん、からん。ぱたん。
小箱の影から倒れてきたのは廃材らしい錆びた薄い鉄板。何かに吊され揺らされていたそれが、地面にぱたりと倒れた。
囮かとその糸の先を見開いた目が追う。
椎木の背後に引いたルエルもジャケットの内ポケットからロザリオを取り出して構えた。
空気を裂く音が鳴る。
音の方へと銀の刃が翻るが、目がそれを捉えるよりも先に、金属線を思わせるしなやかな弾力を持った長い糸は、鋭く研がれた切っ先を椎木の右腕に突き立てた。
「っく、……抜けない」
左手でその糸を掴むが、皮下に深くは刺さっていないはずのそれが抜ける様子は無く、抜こうと巻き付けて握る左の掌に赤い筋が走った。
ルエルがロザリオを翳して風の刃を放つが糸はそれを弾くように振動した。
椎木のジャケットの右腕が次第にじっとりと血を滲ませる。
抗う手を笑うように糸は深く埋まって、筋を裂かれ神経を断たれ、骨の抉られる感触に悲鳴を噛み殺す。
痛みと失血に震えて冷えていく椎木の右手は、何故かナイフを放さない。
左手を袖とハンカチで覆い椎木は痛みを堪えて糸に抗い、ルエルも糸に攻撃を続けながら、糸の先を探る。
『ナナちゃん』
黒い団扇に蛍光色の文字、花と星の燦めく装飾をあしらって翻るそれ。
『殺しちゃって』
一際大きな黄色い星を末尾に飾り、その団扇を掲げたのは木の人形。
目鼻と口、両耳と心臓だろう胸の中心に、合計7つの黒い捻子を打ち込んだそれが紐を括っただけの腕の先から糸を伸ばし、もう片方は団扇を振っていた。
歪虚だろうその不可解な存在。ナナちゃん、とは、まさか。ルエルが思考するその一瞬。
攻撃を続けて消耗したルエルの僅かな隙を狙ったように、歪虚の腕が揺れ、撓む糸が引き締められて。
「い、いやだ、やめろ。あ、あ、ルエル、ルエル逃げろ!」
椎木の握るナイフが、ルエルの眼前に迫る。
糸を手放した左手で、咄嗟に己の上腕を押して起動を逸らすが、よく手入れのされた鋭利な刃はルエルの頬を裂き、一筋の傷を付けた。
●
緊急の救援依頼を受けたハンター達が現場へと走る。
案内人を自称する受付嬢が近道だと言う細い路地や、塀の上を走って、ルエルと椎木が歪虚に遭遇した地点まで、ほぼ一直線に町を駆ける。
ここだとルエルが足を止めると、地面には滴った血の跡が続いていた。
それは次第に数を増やしながら、物陰へ続いている。
近付こうとした案内人をルエルが制すと、細い声が聞こえてきた。
「……不覚を……ご迷惑をお掛けしました。……腕を、切って貰えませんか? 自分で切るのは、難しいんです」
影から現れた椎木は、右腕に糸を刺され、糸から伝う黒い靄を右腕に濃く纏っている。
血がナイフを握る右手から滴り落ちているが、その量は尋常ではなく。
「てめぇ、なにしちまってんだよ」
左手にはツールナイフ、その小さな刃が毀れるまで右腕を刺した跡がある。
激高するルエルを嬲るように吹き付けた風。
見上げれば屋根に腰掛けた木の人形。黒い捻子で顔を作った木偶。
紐を括っただけの手足を不安定に揺らし、ハンター達を見下ろしている。
「ヤア! こっちでも愉しくやってれば、ナナちゃんがライブに来てくれると思ったんだけど。差し入れが1匹は寂しいよネ! ネ!」
歪虚の腕が揺れた瞬間、翳された団扇が翻り、ハンター達を風が襲う。
そして。
「やめろ、やめ、っ、逃げて、皆さん……!」
抗う椎木の身体を引き摺る様に、そのナイフがハンター達に向けられた。
フマーレが大火に見舞われていた頃。フマーレの外れの小さな工業区。
大火の被害を直接は受けていないこの町で、歪虚の襲撃が発生した。
本体は小さな捻子。
捻子が捻子を操って、更には歯車や発条、大凡辺りで生産される様々な金属部品から、果てはその支配の及ばない木材まで巻き込んで巨大化し、町の一角で暴れ。
一所に集めた部品、その他を取り散らかすといった、浅からぬ影響を残して滅ぼされた。
ハンターの手も借りながら部品がどうにか片付く頃、この事件の調査に2人のハンターが派遣された。
椎木とルエル。
リアルブルー出身でクリムゾンウェストに来た当初は路頭に迷っていた椎木と、彼にハンターの道を示した当時駆け出しだったルエル。
2人がバディを組んで今年で15年、今日まで様々な事件に携わってきた。
●
バインダーに綴じた資料を捲り、ルエルは眉間に皺を刻む。
「――核となっていた黒い捻子の歪虚は消滅、その際に操られていた部品類の解放を確認。同時に不審な気配を感知していた模様。また……」
「何度読んだって中身は変わりませんよ。あれは……あの程度の歪虚が持つには大きすぎる力だった。抑も物質を操るって、限度が有りますよ。それをあれは。あの捻子は、自身と同等の大きさの物を何百と……まあ、歪虚とその辺の捻子との比較ですから、一概に同等とは言えませんが……目方で考えれば?」
「小っせえからって、油断できねぇってこったなぁ」
「それに、行動の意図も読めません。……あの大火、十三魔と何等かの関係があるのかも」
「ああ、あの火事なぁ……」
仲間のハンターが出動したと聞いた。今は復興に走り回っているらしい。
この辺りは中心からも外れ、情報の入りは遅いが、それでも風の噂で彼是と聞くことはある。
「火事だけではありません。よく知りませんけど、変な物が見付かったとか、歪虚に襲われたとか、協会が遺跡の発掘……むぐぅ」
「こんな場所で、滅多なことを言うもんじゃねぇ」
椎木の口を押さえて、ルエルは剣呑な目で周りを見る。
聞こえた人間がいないことを確かめてから解放した。
「はぁ、……そんなに危ないこと言いました?」
協会、こと、魔術師協会が遺跡の発掘に心血を注いでいるらしい。古い呪文でも埋まってるのかね。
椎木が聞いたのは根も葉もない、唯の噂。
しかし、ルエルはその先を知らされている。
不審な発掘物とその運搬中に襲われる事件の発生。そして、発掘物の正体について。
尤も、それさえ真実とは限らないが。
それは遺跡の断片でも、呪文の一節でもなく――
「別に。だが、襲われたばっかの場所でする話しじゃねぇ」
●
歪虚の調査と町の視察。終える頃には日が暮れている。
今日は一日平穏に過ぎた。
コーヒーでも飲んで帰りませんかと椎木が誘う。この辺りの職人で賑わう2人も行きつけにしている店が近い。
そちらへと足を向けたところ、積まれた木箱の傍で不審な影が動いた。
「危ないっ!」
影とルエルの間に割って入った椎木が右手にナイフを構える。
からん、からん。ぱたん。
小箱の影から倒れてきたのは廃材らしい錆びた薄い鉄板。何かに吊され揺らされていたそれが、地面にぱたりと倒れた。
囮かとその糸の先を見開いた目が追う。
椎木の背後に引いたルエルもジャケットの内ポケットからロザリオを取り出して構えた。
空気を裂く音が鳴る。
音の方へと銀の刃が翻るが、目がそれを捉えるよりも先に、金属線を思わせるしなやかな弾力を持った長い糸は、鋭く研がれた切っ先を椎木の右腕に突き立てた。
「っく、……抜けない」
左手でその糸を掴むが、皮下に深くは刺さっていないはずのそれが抜ける様子は無く、抜こうと巻き付けて握る左の掌に赤い筋が走った。
ルエルがロザリオを翳して風の刃を放つが糸はそれを弾くように振動した。
椎木のジャケットの右腕が次第にじっとりと血を滲ませる。
抗う手を笑うように糸は深く埋まって、筋を裂かれ神経を断たれ、骨の抉られる感触に悲鳴を噛み殺す。
痛みと失血に震えて冷えていく椎木の右手は、何故かナイフを放さない。
左手を袖とハンカチで覆い椎木は痛みを堪えて糸に抗い、ルエルも糸に攻撃を続けながら、糸の先を探る。
『ナナちゃん』
黒い団扇に蛍光色の文字、花と星の燦めく装飾をあしらって翻るそれ。
『殺しちゃって』
一際大きな黄色い星を末尾に飾り、その団扇を掲げたのは木の人形。
目鼻と口、両耳と心臓だろう胸の中心に、合計7つの黒い捻子を打ち込んだそれが紐を括っただけの腕の先から糸を伸ばし、もう片方は団扇を振っていた。
歪虚だろうその不可解な存在。ナナちゃん、とは、まさか。ルエルが思考するその一瞬。
攻撃を続けて消耗したルエルの僅かな隙を狙ったように、歪虚の腕が揺れ、撓む糸が引き締められて。
「い、いやだ、やめろ。あ、あ、ルエル、ルエル逃げろ!」
椎木の握るナイフが、ルエルの眼前に迫る。
糸を手放した左手で、咄嗟に己の上腕を押して起動を逸らすが、よく手入れのされた鋭利な刃はルエルの頬を裂き、一筋の傷を付けた。
●
緊急の救援依頼を受けたハンター達が現場へと走る。
案内人を自称する受付嬢が近道だと言う細い路地や、塀の上を走って、ルエルと椎木が歪虚に遭遇した地点まで、ほぼ一直線に町を駆ける。
ここだとルエルが足を止めると、地面には滴った血の跡が続いていた。
それは次第に数を増やしながら、物陰へ続いている。
近付こうとした案内人をルエルが制すと、細い声が聞こえてきた。
「……不覚を……ご迷惑をお掛けしました。……腕を、切って貰えませんか? 自分で切るのは、難しいんです」
影から現れた椎木は、右腕に糸を刺され、糸から伝う黒い靄を右腕に濃く纏っている。
血がナイフを握る右手から滴り落ちているが、その量は尋常ではなく。
「てめぇ、なにしちまってんだよ」
左手にはツールナイフ、その小さな刃が毀れるまで右腕を刺した跡がある。
激高するルエルを嬲るように吹き付けた風。
見上げれば屋根に腰掛けた木の人形。黒い捻子で顔を作った木偶。
紐を括っただけの手足を不安定に揺らし、ハンター達を見下ろしている。
「ヤア! こっちでも愉しくやってれば、ナナちゃんがライブに来てくれると思ったんだけど。差し入れが1匹は寂しいよネ! ネ!」
歪虚の腕が揺れた瞬間、翳された団扇が翻り、ハンター達を風が襲う。
そして。
「やめろ、やめ、っ、逃げて、皆さん……!」
抗う椎木の身体を引き摺る様に、そのナイフがハンター達に向けられた。
解説
目的 椎木の救助
●エネミー
歪虚
木偶「ナナちゃーん、いつでも応援してるよ! ダ・イ・ス・キ、ナナちゃんー! イエァ!」
子供の腰くらいの高さの木偶。木の胴体と首、紐の手足で出来ている。
両目、両耳、鼻と口、心臓に該当する部分に靄を帯びる黒い捻子がねじ込まれている。
片手には『表)ナナちゃん/裏)殺しちゃって☆』と書かれた派手な団扇、
もう片方は、椎木を操る糸に繋がっている。
糸は腕を歪虚の自由に操ることが出来る程度の力があり、
強度は不明だが、これまでの攻撃により多少の傷は確認出来る。
また、団扇で強い風を起こすことも可能。
椎木を使って、ハンターを攻撃させる、椎木を操る糸と歪虚自身を守らせる行動を取る。
●現場
日の暮れた工業区、余り広くはない通り。
両側は工場と民家。道幅は2スクエア程度で直線。
歪虚は現在、空き家の屋根の上。屋根の高さは2スクエアとする。
●NPC
椎木
ハンター。右腕を操られている。切断を試みた自傷によりやや衰弱。
現状では、上腕から右手以外は自身の意思で動かせる。
可能な指示には従う。
ルエル
ハンター。消耗中。右腕の切断には抵抗する。
椎木を守ろうと行動するが、指示には従う。
手当てや回復を行うことが可能。
案内人
非武装。カンテラを構えて突っ走ってきたため息切れ中。
カンテラの貸し出しは可能。
指示には従う。
●エネミー
歪虚
木偶「ナナちゃーん、いつでも応援してるよ! ダ・イ・ス・キ、ナナちゃんー! イエァ!」
子供の腰くらいの高さの木偶。木の胴体と首、紐の手足で出来ている。
両目、両耳、鼻と口、心臓に該当する部分に靄を帯びる黒い捻子がねじ込まれている。
片手には『表)ナナちゃん/裏)殺しちゃって☆』と書かれた派手な団扇、
もう片方は、椎木を操る糸に繋がっている。
糸は腕を歪虚の自由に操ることが出来る程度の力があり、
強度は不明だが、これまでの攻撃により多少の傷は確認出来る。
また、団扇で強い風を起こすことも可能。
椎木を使って、ハンターを攻撃させる、椎木を操る糸と歪虚自身を守らせる行動を取る。
●現場
日の暮れた工業区、余り広くはない通り。
両側は工場と民家。道幅は2スクエア程度で直線。
歪虚は現在、空き家の屋根の上。屋根の高さは2スクエアとする。
●NPC
椎木
ハンター。右腕を操られている。切断を試みた自傷によりやや衰弱。
現状では、上腕から右手以外は自身の意思で動かせる。
可能な指示には従う。
ルエル
ハンター。消耗中。右腕の切断には抵抗する。
椎木を守ろうと行動するが、指示には従う。
手当てや回復を行うことが可能。
案内人
非武装。カンテラを構えて突っ走ってきたため息切れ中。
カンテラの貸し出しは可能。
指示には従う。
マスターより
よろしくお願いします。
右手が勝手に……となっているNPCを助ける依頼です。
(右腕を切ってもクリアですよ-)
歪虚はナナちゃんのファンです。
右手が勝手に……となっているNPCを助ける依頼です。
(右腕を切ってもクリアですよ-)
歪虚はナナちゃんのファンです。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2017/05/12 03:12
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
![]() |
相談卓 八原 篝(ka3104) 人間(リアルブルー)|19才|女性|猟撃士(イェーガー) |
最終発言 2017/05/03 17:00:37 |
|
![]() |
ぷれいんぐぅ メイム(ka2290) エルフ|15才|女性|霊闘士(ベルセルク) |
最終発言 2017/05/03 11:12:08 |
|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2017/04/30 07:49:10 |