ゲスト
(ka0000)
路地裏工房コンフォートとペンダント
マスター:佐倉眸

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 4~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2017/05/08 09:00
- リプレイ完成予定
- 2017/05/17 09:00
オープニング
●
極彩色の街ヴァリオス。その中でもごくごく小さな商店街の路地裏に佇む宝飾工房。
窓から差し込む麗らかな昼下がりの暖かい光りが照らす。モニカは珍しく、工房ではなく店のカウンターで商品のアクセサリーを磨きながら、ベビーベッドに寝かせた弟のピノをあやしている。
ドアに映る人影が来客を報せ、すぐにベルの音がからんと鳴った。
「いらっしゃいませ。お待ち申し上げておりました。……出来てますよ」
お掛け下さいとカウンターの椅子を勧め、引き出しから褪せた天鵞絨張りの小箱を取り出す。
客の方へ向けて箱が開けられると、瞠った目がすぐに嬉しそうに笑った。
「ありがとう、すごく綺麗になってる」
「……こちらこそ。先代の作品を……それもデザイン画まで見せて頂けたなんて」
縁あって、この工房を継いでいるが、モニカとこの工房を開いた先代との間に面識はない。
宝飾の技術を持っていたモニカが、弟子入りを志願し時には先代は既に亡く、彼の義理の息子に当たる老人が残された道具の片付けの為に滞在しているきりだった。
モニカの技術を知り、工房をモニカに任せた老人も昨年の暮れに亡くなり、年が明けて漸くモニカと弟のピノはこの店を再開させた。
時折持ち込まれる宝飾品の修理やリメイクで店を維持している。
稀に、先代の作品が持ち込まれることもあり、今回の客は石が外れ、割れてしまったペンダント。
凝った装飾に1度は躊躇ったが、購入当時のデザイン画も残されていると聞き、その閲覧を条件に引き受けた。
「ここには、もう描きかけのものや、没になったものしか残っていなかったから、すごくありがたかったんです」
●
色々あって、この店の職人になったと、客はモニカの自己紹介を聞いた。
彼女の若さに不安もあったが、完成したペンダント、祖母の形見のそれは写真の中で見たままの美しさだった。
「すごいわね。……でも、1人きりじゃ大変でしょ?」
「……いいえ、弟もいますし……」
弟だと示されたベビーベッドからふにゃふにゃと笑う声が聞こえ、首は据わっているらしい子どもが起き上がってもごもごと口を動かしている。
「いあいー、やぃっ」
唐突にこちらを向いて喚く言葉に瞬くと、モニカが笑って弟を撫で、いらっしゃいって言いたいんですよと内緒話のように囁く。
「この子と2人? ご両親は?」
思わず尋ねて口を噤んだ。
健在なら、こんな風に子どもを抱えて店番なんて。
案の定、黙って首を横に揺らしたモニカに、ごめんなさいと謝る。
「……で、でも、本当にすごいのね、才能? それとも、何方かに教わったの?」
話題を変えようと焦って尋ねると、モニカは少し困った顔で首を傾げて、
「伯父に」
そう、答えた。
モニカが歩んできた「色々」の中でハンターと関わることがまま有ったと聞いた。
「なら、私もお願いしようかな……今、どこも危ないでしょ? お祭りが始まる前にジェオルジに行っておきたいのよね」
フマーレは火事、歪虚が出たのはどこだったか。
知人の知人が襲われたなんて、噂話には事欠かず。
直に始まるだろう村長祭までに静まっているか、或いは、更に。
「護衛をお願いしたいんだけど、お願い出来るかしら?」
危ない事件に人手は割かれているだろうと溜息を吐く。
「大丈夫ですよ。私が確約出来ることではありませんが」
気易い依頼を受けて下さった方もいらっしゃいますから。
最寄りのオフィスへの簡単な地図を書いて差し出す。
きっと助けてくれますよ。
客を見送り、モニカはベッドから抱き上げたピノを膝に座らせ、まだ細く柔らかな髪を撫でながら目を閉じる。
『――モニカは筋が良いね、きっと、私以上の職人になれるよ――』
『――キラキラしているモノは美しいだろう? 宝石も、人も。モニカの見ている世界は、どんな風にキラキラしているのだろうね――』
記憶の中の、伯父の優しい面差しを追う。
「……あーあ、伯父さん、怒ってるだろうなぁ……怒ってる、よね……うん。怒って、くれるかなぁ……」
ピノをぎゅっと抱き締めて項垂れる。
窮屈だというように、小さな手で藻掻く柔らかい身体を、もう少しだけと抱え込み、震える声が告げる。
「ピノは、本当に、今までに見た、どんなきれいな宝石よりも、キラキラしてるんだから」
●
助けて頂けますか。
モニカの地図を握ってオフィスを尋ねてきた女性の胸許に優婉なペンダントが揺れている。
虹色に輝く大粒のオパールを弦のようなシルバーが支え、透き通る石が囲う。
受付嬢が依頼を尋ねると、近日中に安全にジェオルジに向かいたいとの旨が伝えられた。
「……馬車は酔ってしまうの。出来れば徒歩で向かいたいのだけど……お願い出来るかしら? 野宿は、どうしようも無いものね、テントとか寝袋とかって、重いのかしら……」
依頼人は細身の女性。
テントに寝袋、食糧に水。野宿に必要な道具一式を背負って街道を越えられそうには見えない。
抑も、背負えそうにも見えない。
一時ぽかんと首を傾げた受付嬢は慌てて首を横に振って、畏まりましたと微笑んだ。
「大丈夫です、お任せ下さい!」
ジェオルジまで、きっとハンターさんなら大丈夫。
極彩色の街ヴァリオス。その中でもごくごく小さな商店街の路地裏に佇む宝飾工房。
窓から差し込む麗らかな昼下がりの暖かい光りが照らす。モニカは珍しく、工房ではなく店のカウンターで商品のアクセサリーを磨きながら、ベビーベッドに寝かせた弟のピノをあやしている。
ドアに映る人影が来客を報せ、すぐにベルの音がからんと鳴った。
「いらっしゃいませ。お待ち申し上げておりました。……出来てますよ」
お掛け下さいとカウンターの椅子を勧め、引き出しから褪せた天鵞絨張りの小箱を取り出す。
客の方へ向けて箱が開けられると、瞠った目がすぐに嬉しそうに笑った。
「ありがとう、すごく綺麗になってる」
「……こちらこそ。先代の作品を……それもデザイン画まで見せて頂けたなんて」
縁あって、この工房を継いでいるが、モニカとこの工房を開いた先代との間に面識はない。
宝飾の技術を持っていたモニカが、弟子入りを志願し時には先代は既に亡く、彼の義理の息子に当たる老人が残された道具の片付けの為に滞在しているきりだった。
モニカの技術を知り、工房をモニカに任せた老人も昨年の暮れに亡くなり、年が明けて漸くモニカと弟のピノはこの店を再開させた。
時折持ち込まれる宝飾品の修理やリメイクで店を維持している。
稀に、先代の作品が持ち込まれることもあり、今回の客は石が外れ、割れてしまったペンダント。
凝った装飾に1度は躊躇ったが、購入当時のデザイン画も残されていると聞き、その閲覧を条件に引き受けた。
「ここには、もう描きかけのものや、没になったものしか残っていなかったから、すごくありがたかったんです」
●
色々あって、この店の職人になったと、客はモニカの自己紹介を聞いた。
彼女の若さに不安もあったが、完成したペンダント、祖母の形見のそれは写真の中で見たままの美しさだった。
「すごいわね。……でも、1人きりじゃ大変でしょ?」
「……いいえ、弟もいますし……」
弟だと示されたベビーベッドからふにゃふにゃと笑う声が聞こえ、首は据わっているらしい子どもが起き上がってもごもごと口を動かしている。
「いあいー、やぃっ」
唐突にこちらを向いて喚く言葉に瞬くと、モニカが笑って弟を撫で、いらっしゃいって言いたいんですよと内緒話のように囁く。
「この子と2人? ご両親は?」
思わず尋ねて口を噤んだ。
健在なら、こんな風に子どもを抱えて店番なんて。
案の定、黙って首を横に揺らしたモニカに、ごめんなさいと謝る。
「……で、でも、本当にすごいのね、才能? それとも、何方かに教わったの?」
話題を変えようと焦って尋ねると、モニカは少し困った顔で首を傾げて、
「伯父に」
そう、答えた。
モニカが歩んできた「色々」の中でハンターと関わることがまま有ったと聞いた。
「なら、私もお願いしようかな……今、どこも危ないでしょ? お祭りが始まる前にジェオルジに行っておきたいのよね」
フマーレは火事、歪虚が出たのはどこだったか。
知人の知人が襲われたなんて、噂話には事欠かず。
直に始まるだろう村長祭までに静まっているか、或いは、更に。
「護衛をお願いしたいんだけど、お願い出来るかしら?」
危ない事件に人手は割かれているだろうと溜息を吐く。
「大丈夫ですよ。私が確約出来ることではありませんが」
気易い依頼を受けて下さった方もいらっしゃいますから。
最寄りのオフィスへの簡単な地図を書いて差し出す。
きっと助けてくれますよ。
客を見送り、モニカはベッドから抱き上げたピノを膝に座らせ、まだ細く柔らかな髪を撫でながら目を閉じる。
『――モニカは筋が良いね、きっと、私以上の職人になれるよ――』
『――キラキラしているモノは美しいだろう? 宝石も、人も。モニカの見ている世界は、どんな風にキラキラしているのだろうね――』
記憶の中の、伯父の優しい面差しを追う。
「……あーあ、伯父さん、怒ってるだろうなぁ……怒ってる、よね……うん。怒って、くれるかなぁ……」
ピノをぎゅっと抱き締めて項垂れる。
窮屈だというように、小さな手で藻掻く柔らかい身体を、もう少しだけと抱え込み、震える声が告げる。
「ピノは、本当に、今までに見た、どんなきれいな宝石よりも、キラキラしてるんだから」
●
助けて頂けますか。
モニカの地図を握ってオフィスを尋ねてきた女性の胸許に優婉なペンダントが揺れている。
虹色に輝く大粒のオパールを弦のようなシルバーが支え、透き通る石が囲う。
受付嬢が依頼を尋ねると、近日中に安全にジェオルジに向かいたいとの旨が伝えられた。
「……馬車は酔ってしまうの。出来れば徒歩で向かいたいのだけど……お願い出来るかしら? 野宿は、どうしようも無いものね、テントとか寝袋とかって、重いのかしら……」
依頼人は細身の女性。
テントに寝袋、食糧に水。野宿に必要な道具一式を背負って街道を越えられそうには見えない。
抑も、背負えそうにも見えない。
一時ぽかんと首を傾げた受付嬢は慌てて首を横に振って、畏まりましたと微笑んだ。
「大丈夫です、お任せ下さい!」
ジェオルジまで、きっとハンターさんなら大丈夫。
解説
目的 依頼人をジェオルジまで届ける。
●エネミー
ゴブリン×5~×1~
5匹程度の群のゴブリンが、散発的に茂みや木陰から飛び出してくる。
襤褸を纏っており、基本的には棍棒で戦うが、石等を投げることもある。
全体数は不明。
群が一つとは限らないが、何れも統率は見られない。
●地形
ジェオルジへ向かう広い街道。
幅は2~5スクエア両端は茂みや木で陰になっている。
道には轍が通り、踏み固められている。
カーブも少なく前後の見通しは良好。
●依頼人
ジェオルジまで徒歩での移動を希望している小柄で非力な女性。
野営用の荷物一式と、食糧、ジェオルジ滞在のための荷物は荷車1つ分程度。
ハンターの指示には従う。
(依頼人の荷物の運搬の為の馬車が必要な場合は、依頼人が用意します)
●エネミー
ゴブリン×5~×1~
5匹程度の群のゴブリンが、散発的に茂みや木陰から飛び出してくる。
襤褸を纏っており、基本的には棍棒で戦うが、石等を投げることもある。
全体数は不明。
群が一つとは限らないが、何れも統率は見られない。
●地形
ジェオルジへ向かう広い街道。
幅は2~5スクエア両端は茂みや木で陰になっている。
道には轍が通り、踏み固められている。
カーブも少なく前後の見通しは良好。
●依頼人
ジェオルジまで徒歩での移動を希望している小柄で非力な女性。
野営用の荷物一式と、食糧、ジェオルジ滞在のための荷物は荷車1つ分程度。
ハンターの指示には従う。
(依頼人の荷物の運搬の為の馬車が必要な場合は、依頼人が用意します)
マスターより
よろしくお願いします。
コンフォート発のいつもの街道の道中護衛ですが、
非力な子が、訳ありそうな子(と、受付嬢)に、
ハンターさんいいよー、こわくないよー、あんしんだよーと、押し押しされている状態で、色々期待してます。
コンフォート発のいつもの街道の道中護衛ですが、
非力な子が、訳ありそうな子(と、受付嬢)に、
ハンターさんいいよー、こわくないよー、あんしんだよーと、押し押しされている状態で、色々期待してます。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2017/05/17 02:01
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2017/05/06 14:43:51 |
|
![]() |
徒歩でジェオルジに行こう 星野 ハナ(ka5852) 人間(リアルブルー)|24才|女性|符術師(カードマスター) |
最終発言 2017/05/07 20:04:04 |