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【血盟】龍の園より~碧の龍騎士

マスター:鮎川 渓

このシナリオは5日間納期が延長されています。

シナリオ形態
ショート
難易度
やや易しい
オプション
参加費
1,000
参加人数
現在10人 / 4~10人
マテリアルリンク
報酬
少なめ
相談期間
5日
プレイング締切
2017/05/15 09:00
リプレイ完成予定
2017/05/29 09:00

オープニング

※このシナリオは原則として戦闘が発生しない日常的なシナリオとして設定されています。


 ――北方王国『リグ・サンガマ』。

 青龍を神と戴くこの国は、かつて歪虚の大侵攻により滅び去った。
 今となっては、青龍が座す神殿を中心としたわずかな一帯、龍園とも呼ばれる神殿都市『ヴリトラルカ』があるばかり。
 いまだ幾多の歪虚が跋扈するこの地で、人々は青龍の加護と支配とを享受しながら肩寄せ合うよう生きていた。



●龍園にて
 ワイバーン達が寛ぐ龍舎の一角。
 ひとりの青年が額に汗しながら、飛龍の身体を丁寧に拭っていた。龍は長い尾をゆさりと一振り。気持ちが良いらしい。
「……ふう。爪はどうだい、手入れは必要かな?」
 拭い終えた青年はまるで友人に話しかけるかのような口ぶりで言い、顔を上げる。雪のように白い髪が揺れ、上気した頬が覗いた。さらによく見れば、顎や頬の外縁には碧く硬質な鱗が煌めいている。

 少数種族・龍人《ドラグーン》だ。

 青龍と血の契約を交わした人々を祖とする種族で、身体の一部に鱗を持つ。そんな来歴からか、ここ龍園では龍人達の大方が青龍に仕える神官か、龍騎士として暮らしている。彼もそんなひとりだった。
 そこへ、
「おーい隊長殿ぉー」
 扉を開け黒髪の龍人がやって来た。見た目は三十代後半といったところか。左頬に蜥蜴を思わす細かな鱗が光っている。
「ここだよダルマさん」
 青年が軽く手を上げて応えると、ダルマと呼ばれた彼は大股に歩み寄ってきた。
「探したぜ、隊長殿自ら飛竜達の手入れとはなァ」
 十歳近く年下の自分を「隊長殿」と呼ぶダルマに、青年は飛龍を撫でつつ苦笑する。
「『隊長』はよしてくれないかな、今は休憩中だよ」
「休憩中でも何でもお前は俺らの隊長だろうがよ。もっと自信持てシャンカラ」
 ダルマは、若くして龍騎士隊長になった青年――シャンカラがその重責に圧し潰されそうになっているのだと思ったか、景気よくその背を叩く。手荒な励ましにシャンカラは再び苦笑い。
「ありがとう。だけど、そうじゃないんだ」
 そう言う顔は今一つ晴れない。無言で続きを促すダルマに、シャンカラは一つ息を吐いてから切り出す。
「……僕達は、このままではいけないと思うんだ」
「唐突だなァ。もうちっと分かり易く頼むぜ」
 シャンカラは小さく頷くと、過去へ思いを馳せた。

 ここ北方は、辺境の更に北に位置する。
 辺境とは地続きだが負のマテリアル汚染や深い雪に阻まれ、長きに渡り陸の孤島であった。西方への移動手段も連絡を取る術もなく断絶状態にあったのだ。
 しかし過日、転機が訪れた。
 龍園の庇護者たる青龍は、それまで強欲王メイルストロム――かつては六大龍の一角であった赤龍を封ずる事に力を尽くしていたのだが、ワイバーンの協力を得たハンター達が死闘の末見事これを撃破したのだ。
 青龍は強欲王を封印する役目から解放され、ヒトと龍の間には少しずつだが確かな絆が結ばれつつある。
 今では龍園内に転移門も設置され、西方との行き来も可能となった。
 これにより龍園の民も西方の人々と融和していくかに思えたのだが――

「なかなか難しいんじゃねぇかなァ」
 ダルマ、顎髭を擦りながらぼそり。
「俺ら龍人とヒトとは在り方っつーか、生き方が違うからよぉ」
 これなのだ。
 転移門により物理的な断絶は解除されたものの、龍園の民と西方の人々との間にはいわば精神的な隔たりが残されていた。
 西方との交流をと焦るシャンカラに対し、ダルマの反応は芳しくない。まだ若く柔軟なシャンカラに比べ、年長の彼はよりその思いが強いらしい。と言うよりも、彼の感覚の方が龍園の民のスタンダードなのだ。
 シャンカラはゆるりと首を振る。
「違いで言うなら、龍とヒトの方が余程違う。高位の龍でなければ言葉すら交わせないのだから。それでも龍達はヒトと在る道を選んだ……対話ができる僕達龍人とヒトが分かり合えないはずがない。僕はそう思うんだ」
 碧い瞳に強い信念を湛えたシャンカラに、ダルマはそれ以上口を挟まなかった。
 と、シャンカラが思い出したように言う。
「そうだ、僕に何か用かい?」
「おっと忘れてた」
 ダルマは神殿を目で示した。
「アズラエル様がおいでだ。お前さんに話があるとよ」
「アズラエル様が?」


●開かれる龍園
 アズラエル・ドラゴネッティ。
 ハンター達にとってはお馴染みの存在かもしれないが、龍園の民にとっては違う。青龍に次ぐ最高位の神官であり、ヒト――ここには龍人も含まれる――が精霊たる龍に背かぬよう見張る監視者でもあるからだ。
 ふたりは緊張の面持ちで彼の前に膝を折る。
「君が新しい龍騎士隊長か、随分若いね。まずは強欲竜の砦制圧おめでとう」
 眼鏡の奥の目を細めるアズラエルに、シャンカラは深く頭を垂れる。
「恐れ入ります。ご挨拶が遅くなり申し訳ございません、半年前に隊長職を拝命しましたシャンカラと申します」
「堅苦しいのは結構。仕方ないさ、砦攻略のために半年間出ずっぱりだったんだからね」
 面を上げるよう促され、少しだけほっとしたように背筋を伸ばす。そんなふたりへアズラエルは告げた。
「単刀直入に言おう。龍騎士隊に、西方の連合軍へ合流してもらいたい」
 その言葉に、シャンカラは喜色を浮かべダルマを振り返る。
 しかし、もたらされた話は喜ばしいものばかりではなかった。

 ハンター達が先の作戦で過去を垣間見た事。
 対峙した邪神の絶望的な強さ。
 神との対話に臨んだが言葉一つ得られなかった事。
 しかし今、世界中で呼び起された精霊達の力を借りるべく動き出している事――

「この世界を構成するすべての者達の力を合わせなければ、滅びを免れる事はできない。無論龍園の民もだ」
「いや、しかし」
 待ったをかけたのはダルマだ。
「龍園の者は龍園から出た事がないんですよ? 何つーか世間知らずってぇか……上手く西方の連中と馴染めるとは」
「それは心配ないと思うがの」
 突然背後から少女の声が響いた。見れば、遅れて来たナディア・ドラゴネッティ(kz0207)が立っている。
「ハンター達と交流する所から始めたらどうじゃ。あやつらは龍と人間との間にあったわだかまりを解して見せたのじゃぞ、世間知らずな龍園の者とも何とかして打ち解けるじゃろ」
「はあ」
 長年龍園を留守にしていたナディアに「誰?」という顔をしつつも、アズラエルの反応から何となく偉い人なんだろうと察したふたり、丁寧に一礼する。龍人とは生来真面目な種族なのだ。
「ではまずはハンターさん達をここへ招き、歓待するとしましょうか」
 シャンカラの提案に、
「それがよい、宴好きな連中じゃからのう」
「歓待っつっても、西方の連中が何を好むか……」
「あーよいよい、うまいモンと酒でも出しときゃ大体オッケーじゃ」
「間違いないね」
 反応はそれぞれだったが、ともかくこうして、龍園の民とハンター達との交流会が催される運びとなったのである。

解説

【目的】
ハンターの代表として、龍園で催される交流会へ参加してください。
当日はオープニングに登場した龍騎士隊長・シャンカラ、龍騎士・ダルマをはじめ、龍騎士隊の面々や神官達が心づくしの宴席を用意しています。
とは言え、シャンカラのように友好的な者もいれば、ダルマのように戸惑っている者もいます。
共に杯を傾けるも良し、あれこれ質問するも良し、頑張って交流してください。

【できる事・できない事】
・そこら中にワイバーン(飛龍)やリザードマン達がいます。
 打ち解ける事ができれば、ワイバーンの背に乗せてもらい空中散歩が可能です。但し喋る事はできません。
・飲食物の持ち込みは可能ですが、調理場を借りて調理するのは難しいでしょう。
・楽器演奏などの余興は可能です。
・青龍は居るはずですが、宴中に会う事はできません。龍人達との交流に励んで頂ければと思います。
・ナディアとアズラエルもどこかで見守っているかもしれませんが、上に同じくの理由でできません。

マスターより

鮎川と申します。
龍園『リグ・サンガマ』から宴のお誘いです。
長年閉ざされていた龍園の門戸が開かれようとしています、是非ハンターさん達の友好的オーラでその扉をフルオープンさせちゃってください。
【血盟】の流れを受けての依頼ではありますが、龍騎士隊長達はこれが初登場。
今まで既に龍達との絆を作って来られた方も、これから作って行こうという方も大歓迎です。
龍人達との関係を築く第一歩に、あなたの足跡をばーんと刻んでください。
皆様のご参加・プレイング、心よりお待ちしております。
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2017/05/24 20:10

参加者一覧

  • 蒼き世界の守護者
    アーサー・ホーガン(ka0471
    人間(蒼)|27才|男性|闘狩人
  • 月氷のトルバドゥール
    カフカ・ブラックウェル(ka0794
    人間(紅)|17才|男性|魔術師
  • 止まらぬ探求者
    天央 観智(ka0896
    人間(蒼)|25才|男性|魔術師
  • 其の霧に、籠め給ひしは
    ヴィルマ・レーヴェシュタイン(ka2549
    人間(紅)|23才|女性|魔術師
  • 憤怒王FRIENDS
    ケイ(ka4032
    エルフ|22才|女性|猟撃士
  • 紅風舞踏
    ノエル・ウォースパイト(ka6291
    人間(紅)|20才|女性|舞刀士
  • キャスケット姐さん
    レム・フィバート(ka6552
    人間(紅)|17才|女性|格闘士
  • 決意は刃と共に
    アーク・フォーサイス(ka6568
    人間(紅)|17才|男性|舞刀士
  • 夜空に奏でる銀星となりて
    レナード=クーク(ka6613
    エルフ|17才|男性|魔術師
  • 紡ぎしは歌、そして生命
    レネット=ミスト(ka6758
    ドワーフ|17才|女性|聖導士
依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2017/05/11 20:52:59
アイコン それがし、知りたいです!
レネット=ミスト(ka6758
ドワーフ|17才|女性|聖導士(クルセイダー)
最終発言
2017/05/14 22:12:23