ゲスト
(ka0000)
【血盟】帰ってきた騎士
マスター:赤山優牙

このシナリオは5日間納期が延長されています。
- シナリオ形態
- ショート
関連ユニオン
アム・シェリタ―揺籃館―- 難易度
- 難しい
- オプション
-
- 参加費
1,500
- 参加人数
- 現在9人 / 7~9人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2017/05/15 09:00
- リプレイ完成予定
- 2017/05/29 09:00
オープニング
※このシナリオは原則として戦闘が発生しない日常的なシナリオとして設定されています。
●静寂の中で
刻令術式外輪船フライングシスティーナ号は王都防衛の任を解かれ、母港である港町ガンナ・エントラータへと向かっていた。
アルテミス艦隊の解散に伴い、艦隊の再編成があるからだ。
現在、臨時で指揮を執っているのは、『軍師騎士』ノセヤ。ただ、この後の事は分からない。
「……静かなものですね」
船の作戦室で唐突にノセヤが呟いた。
今でも部屋の扉が開き、エロディラを追いかけながらソルラ隊長が入って来そうな――そんな、気がする。
(痩せてる体が、もっと痩せちまったな、ノセヤの坊ちゃん)
豪快に笑うランドル船長の言葉が、頭を過ぎった。
古の塔も王女も無事で、歓喜に包まれていいはずなのに、どうして、こんなに静かなのだろうか。
我々は勝ったのではないのですか? そんな思いのまま、ノセヤは机の上に上体を預ける。
「やっぱり、私には人の上に立てませんよ、ソルラ先輩……」
臨時とはいえ、立場は艦隊司令である。
おまけにこの状況下であるので、部下を管理するのは、いつも以上に神経を使うはずだ。
「……」
人を束ね、指揮する将は誰にだって出来る事ではない。
方法や技術は知っていても、それを実践した所で、こればっかりは本人の素質の影響が大きい。そして、ノセヤは自身が将としての器ではないと思っている。
「後方任務を願い出ましょうか……」
ランドル船長やソルラ先輩に怒られるだろうが――ノセヤの心は重く、ただ、水底に沈んでいる。
その鈍重な沈んだ雰囲気は、彼だけではなく、船全体を包み込み、悲しみの航跡を残していた。
●精霊
“ソレ”は困惑していた。
突如として自我を与えられ、訳の分からぬままに送り出されれば、困りもする。
姿も形もない。あるのはマテリアルの塊のような、あるいは、エネルギーの塊ともいうべきなのだろうか。
波間を漂いながら――音を立てる波に、自分が何者なのか、なぜ、自分だったのかと、自問する。当然、答えは出てこない。頭が真っ白になるとは、こういう事なのだと、自我と共に与えられた知識が告げていた。
(これなら、水の精霊として世界と一緒になっていたかった)
そんな風に思い至る。
自我が消滅する程にマテリアルを消費すれば、きっと、大精霊の元へと還れるかもしれないが――。
(とりあえず、人とは何か、必要であれば手助けを)
“ソレ”が存在する命題として、自我の根底に埋め込まれたその『想い』を抱え、“ソレ”はフラフラと波間を漂い続けた。
そうして、次の思考に至る。
(とりあえず、人と接触しよう)
きっと、この困惑も、人と触れ合えば解決出来るはずだ。
自分が何を成すべき存在か分かるはず――。
強烈な人の想いを感じ取ったのは、数日間、海を彷徨い続けた時だった。
人が作った巨大な船。その全体から、悲しみが溢れ出ている。
(これは……まるで、慟哭のよう……多くの人の想いを感じる)
苦しさと悲しみと共に、逢いたいという願い――なぜ、こんなにも、この船は、そんな想いで包まれているのだろうか。
これはもっと知る必要がある。人という存在を知る為にも。
“ソレ”は船へと至る。
(人……女性? これは、こう、思わせる何か、存在?)
船を包んでいた想いの先に、人の姿が浮かんだ。
金髪でサイドテールが揺れている凛とした、あるいは、無邪気に笑う、女性の姿形。
(再び逢いたいという想いが――そうか……)
眩い光と共に“ソレ”は船へと降り立った。
●帰ってきた騎士
激務な上に咽び泣き疲れて作戦室で寝落ちしていたノセヤを起こしたのは、部下の慌てた声だった。
「代理! 代理!」
尋常ではない叫びだった。
何があったというのか、歪虚の襲来でもあったというのか。
時計を見ると、夜中だったが、そこから逆算しても、船の位置は、まだ安全圏なはずだ。
「どうしました?」
「た、た、大変です! ゆ、ゆ、幽霊が!」
扉が勢いよく開かれ、崩れ落ちるように船員が飛び込んできた。
「落ち着きなさい。何があったのですか」
「そ、それが……」
震える指先は扉を差した。
廊下をカツカツと歩く音が響く。ノセヤは生唾を飲み込んだ。
やがて、姿を現したのは――。
「ソルラ先輩!?」
見間違えではなく、確かに女性騎士の姿だった。
生きているはずがない。ソルラ隊長は古の塔での戦いで、爆散して戦死したはずなのだ。異様に軽い棺を自分も担いだではないか。
一瞬、歪虚かと思ったが、負のマテリアルは感じないので、歪虚ではないだろう。
「ようやく話せそうな人が居ましたね」
声もまた、ソルラそのものだった。
姿はどんなに注視しても、ソルラと瓜二つである。
「な……何者ですか」
「あ。そっか。名前か……決めて無かったです。なんでしょうか……水の精霊とでも?」
ノセヤの質問に対して首を傾げる“ソレ”。
「その精霊が、何の用事でここに?」
「人を知る……為にです。それより、私の話も聞いてくれませんか。この姿の人を。なんで、皆さん、この人の事を想っているのですか?」
無邪気に尋ね返してくるその存在に、ノセヤはグッと拳を握った。
「……その人は……私達の大切な人なのです。亡くなってしまいましたが」
「そうなのですか。それは、ちょうど良かったです」
「え?」
残酷なほどの笑顔を見せる“ソレ”の言葉にノセヤは耳を疑った。
“ソレ”は大袈裟な身振りで話を続ける。
「皆さん、逢いたかったみたいですし。私が居れば、人は喜ぶと。この姿になって良かったです」
「……出てって下さい」
「は……え?」
間抜けな声を出した“ソレ”にノセヤが激怒した。
「出てけ! 貴方は必要ない! 出てけ!」
「な、なんでですか!?」
「人の想いをなんだと思っている! ふざけるな!」
机の上にあった物を投げつけながら叫ぶノセヤの反応に、“ソレ”は驚き、そして、困惑した。
「ちょっと、物を投げないで下さい……って、ま、魔法詠唱!?」
覚醒状態に入ったノセヤが魔法の詠唱を始めたのを見て、脱兎の如く逃げ出す“ソレ”。
廊下の先で、別の船員と出会ったのか、船員の悲鳴が船内に響く。その悲鳴で寝ていた船員が起き出し――船内は騒ぎに包まれた。
「なんで……こうなる……」
次から次に起こる事態に、頭を抱えながらノセヤは机に突っ伏したのだった。
●静寂の中で
刻令術式外輪船フライングシスティーナ号は王都防衛の任を解かれ、母港である港町ガンナ・エントラータへと向かっていた。
アルテミス艦隊の解散に伴い、艦隊の再編成があるからだ。
現在、臨時で指揮を執っているのは、『軍師騎士』ノセヤ。ただ、この後の事は分からない。
「……静かなものですね」
船の作戦室で唐突にノセヤが呟いた。
今でも部屋の扉が開き、エロディラを追いかけながらソルラ隊長が入って来そうな――そんな、気がする。
(痩せてる体が、もっと痩せちまったな、ノセヤの坊ちゃん)
豪快に笑うランドル船長の言葉が、頭を過ぎった。
古の塔も王女も無事で、歓喜に包まれていいはずなのに、どうして、こんなに静かなのだろうか。
我々は勝ったのではないのですか? そんな思いのまま、ノセヤは机の上に上体を預ける。
「やっぱり、私には人の上に立てませんよ、ソルラ先輩……」
臨時とはいえ、立場は艦隊司令である。
おまけにこの状況下であるので、部下を管理するのは、いつも以上に神経を使うはずだ。
「……」
人を束ね、指揮する将は誰にだって出来る事ではない。
方法や技術は知っていても、それを実践した所で、こればっかりは本人の素質の影響が大きい。そして、ノセヤは自身が将としての器ではないと思っている。
「後方任務を願い出ましょうか……」
ランドル船長やソルラ先輩に怒られるだろうが――ノセヤの心は重く、ただ、水底に沈んでいる。
その鈍重な沈んだ雰囲気は、彼だけではなく、船全体を包み込み、悲しみの航跡を残していた。
●精霊
“ソレ”は困惑していた。
突如として自我を与えられ、訳の分からぬままに送り出されれば、困りもする。
姿も形もない。あるのはマテリアルの塊のような、あるいは、エネルギーの塊ともいうべきなのだろうか。
波間を漂いながら――音を立てる波に、自分が何者なのか、なぜ、自分だったのかと、自問する。当然、答えは出てこない。頭が真っ白になるとは、こういう事なのだと、自我と共に与えられた知識が告げていた。
(これなら、水の精霊として世界と一緒になっていたかった)
そんな風に思い至る。
自我が消滅する程にマテリアルを消費すれば、きっと、大精霊の元へと還れるかもしれないが――。
(とりあえず、人とは何か、必要であれば手助けを)
“ソレ”が存在する命題として、自我の根底に埋め込まれたその『想い』を抱え、“ソレ”はフラフラと波間を漂い続けた。
そうして、次の思考に至る。
(とりあえず、人と接触しよう)
きっと、この困惑も、人と触れ合えば解決出来るはずだ。
自分が何を成すべき存在か分かるはず――。
強烈な人の想いを感じ取ったのは、数日間、海を彷徨い続けた時だった。
人が作った巨大な船。その全体から、悲しみが溢れ出ている。
(これは……まるで、慟哭のよう……多くの人の想いを感じる)
苦しさと悲しみと共に、逢いたいという願い――なぜ、こんなにも、この船は、そんな想いで包まれているのだろうか。
これはもっと知る必要がある。人という存在を知る為にも。
“ソレ”は船へと至る。
(人……女性? これは、こう、思わせる何か、存在?)
船を包んでいた想いの先に、人の姿が浮かんだ。
金髪でサイドテールが揺れている凛とした、あるいは、無邪気に笑う、女性の姿形。
(再び逢いたいという想いが――そうか……)
眩い光と共に“ソレ”は船へと降り立った。
●帰ってきた騎士
激務な上に咽び泣き疲れて作戦室で寝落ちしていたノセヤを起こしたのは、部下の慌てた声だった。
「代理! 代理!」
尋常ではない叫びだった。
何があったというのか、歪虚の襲来でもあったというのか。
時計を見ると、夜中だったが、そこから逆算しても、船の位置は、まだ安全圏なはずだ。
「どうしました?」
「た、た、大変です! ゆ、ゆ、幽霊が!」
扉が勢いよく開かれ、崩れ落ちるように船員が飛び込んできた。
「落ち着きなさい。何があったのですか」
「そ、それが……」
震える指先は扉を差した。
廊下をカツカツと歩く音が響く。ノセヤは生唾を飲み込んだ。
やがて、姿を現したのは――。
「ソルラ先輩!?」
見間違えではなく、確かに女性騎士の姿だった。
生きているはずがない。ソルラ隊長は古の塔での戦いで、爆散して戦死したはずなのだ。異様に軽い棺を自分も担いだではないか。
一瞬、歪虚かと思ったが、負のマテリアルは感じないので、歪虚ではないだろう。
「ようやく話せそうな人が居ましたね」
声もまた、ソルラそのものだった。
姿はどんなに注視しても、ソルラと瓜二つである。
「な……何者ですか」
「あ。そっか。名前か……決めて無かったです。なんでしょうか……水の精霊とでも?」
ノセヤの質問に対して首を傾げる“ソレ”。
「その精霊が、何の用事でここに?」
「人を知る……為にです。それより、私の話も聞いてくれませんか。この姿の人を。なんで、皆さん、この人の事を想っているのですか?」
無邪気に尋ね返してくるその存在に、ノセヤはグッと拳を握った。
「……その人は……私達の大切な人なのです。亡くなってしまいましたが」
「そうなのですか。それは、ちょうど良かったです」
「え?」
残酷なほどの笑顔を見せる“ソレ”の言葉にノセヤは耳を疑った。
“ソレ”は大袈裟な身振りで話を続ける。
「皆さん、逢いたかったみたいですし。私が居れば、人は喜ぶと。この姿になって良かったです」
「……出てって下さい」
「は……え?」
間抜けな声を出した“ソレ”にノセヤが激怒した。
「出てけ! 貴方は必要ない! 出てけ!」
「な、なんでですか!?」
「人の想いをなんだと思っている! ふざけるな!」
机の上にあった物を投げつけながら叫ぶノセヤの反応に、“ソレ”は驚き、そして、困惑した。
「ちょっと、物を投げないで下さい……って、ま、魔法詠唱!?」
覚醒状態に入ったノセヤが魔法の詠唱を始めたのを見て、脱兎の如く逃げ出す“ソレ”。
廊下の先で、別の船員と出会ったのか、船員の悲鳴が船内に響く。その悲鳴で寝ていた船員が起き出し――船内は騒ぎに包まれた。
「なんで……こうなる……」
次から次に起こる事態に、頭を抱えながらノセヤは机に突っ伏したのだった。
解説
●目的
???
●内容
フライングシスティーナ号に滞在して過ごす
※フリーアタックとなります※
●状況
刻令術式外輪船フライングシスティーナ号は王都から港町に向けて航行中
ハンターの皆さんは、その護衛という事で、たまたま船に乗り合わせている
リプレイ開始の時刻は夜明け前だが、PCが起きる時間はお任せ
ハンター達が起きた時には、既に船内は「ソルラ隊長の幽霊」事件が広まっている
●NPC
『軍師騎士』ノセヤ
外見年齢20 人間男性 魔術師
容姿:金髪茶眼 草食系痩せ男子
性格:真面目
一人称:僕or私
グラズヘイム王国騎士団青の隊所属の騎士
『軍師騎士』と一部では呼ばれるが、本人はその呼び名が好きではない
ここまで実戦経験は、ほぼ皆無だったりする(遠距離砲撃は指揮した事ある)が、立案企画した作戦は今の所、常勝無敗である。
水の精霊
外見年齢:23
容姿:金髪金眼 髪型はサイドテール
性格:???
一人称:私
戦死した王国騎士の姿をしている
自我を与えられて、まだ僅かしか経っていない事に加え、人とは異なる考えや価値観を持っている
人という存在が如何なるものかを知りたがっている
また、自己が模した人物についても知りたがっている様子
船内が騒ぎになったので、静まるまで船内を隠れながら散策している……つもりらしい
●情報の扱いについて
オープニングの内容はPL情報とします
ただし、「●帰ってきた騎士」のシーンについては、ノセヤから話を聞いた事として扱っても構いません
???
●内容
フライングシスティーナ号に滞在して過ごす
※フリーアタックとなります※
●状況
刻令術式外輪船フライングシスティーナ号は王都から港町に向けて航行中
ハンターの皆さんは、その護衛という事で、たまたま船に乗り合わせている
リプレイ開始の時刻は夜明け前だが、PCが起きる時間はお任せ
ハンター達が起きた時には、既に船内は「ソルラ隊長の幽霊」事件が広まっている
●NPC
『軍師騎士』ノセヤ
外見年齢20 人間男性 魔術師
容姿:金髪茶眼 草食系痩せ男子
性格:真面目
一人称:僕or私
グラズヘイム王国騎士団青の隊所属の騎士
『軍師騎士』と一部では呼ばれるが、本人はその呼び名が好きではない
ここまで実戦経験は、ほぼ皆無だったりする(遠距離砲撃は指揮した事ある)が、立案企画した作戦は今の所、常勝無敗である。
水の精霊
外見年齢:23
容姿:金髪金眼 髪型はサイドテール
性格:???
一人称:私
戦死した王国騎士の姿をしている
自我を与えられて、まだ僅かしか経っていない事に加え、人とは異なる考えや価値観を持っている
人という存在が如何なるものかを知りたがっている
また、自己が模した人物についても知りたがっている様子
船内が騒ぎになったので、静まるまで船内を隠れながら散策している……つもりらしい
●情報の扱いについて
オープニングの内容はPL情報とします
ただし、「●帰ってきた騎士」のシーンについては、ノセヤから話を聞いた事として扱っても構いません
マスターより
●挨拶
おはようございます。ADivMSの赤山です。ようやく、花粉が落ち着いてきました。
●攻略のヒント
フリーアタックですが、いくつか達成度のラインを設定しています。
依頼の難易度は日常依頼でありますが、「難しい」です。情報を共有し、役割を分担し、各々が全力を尽くしていただければと思います。
一人であれもこれもやろうとすると“密度”が下がります。行動は絞った方が良いでしょう。
死んだ人は生き返りません。しかし、“想い”という名のバトンは皆様に渡されているはずです。
今度はそのバトンを、バトンを必要としている方へ、渡していただければと思います。
おはようございます。ADivMSの赤山です。ようやく、花粉が落ち着いてきました。
●攻略のヒント
フリーアタックですが、いくつか達成度のラインを設定しています。
依頼の難易度は日常依頼でありますが、「難しい」です。情報を共有し、役割を分担し、各々が全力を尽くしていただければと思います。
一人であれもこれもやろうとすると“密度”が下がります。行動は絞った方が良いでしょう。
死んだ人は生き返りません。しかし、“想い”という名のバトンは皆様に渡されているはずです。
今度はそのバトンを、バトンを必要としている方へ、渡していただければと思います。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2017/05/19 01:48
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
![]() |
相談卓 鬼塚 陸(ka0038) 人間(リアルブルー)|22才|男性|機導師(アルケミスト) |
最終発言 2017/05/15 07:16:41 |
|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2017/05/10 19:37:57 |