ゲスト
(ka0000)
エレクトリック・ヘッドバット
マスター:湖欄黒江

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在6人 / 4~6人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2014/10/28 09:00
- リプレイ完成予定
- 2014/11/06 09:00
オープニング
●
準備は整った。魔術師は興奮した面持ちで、弟子を見やる。
「スイッチを入れるぞ。最後にもう一度、拘束具を確認してくれ」
床に固定された頑丈な椅子に、革のベルトで括りつけられた検体――『元』ホブゴブリン。
頭部は切断され、代わりに薄黄色い液体の詰まった透明なガラス球へ置き換えられている。
弟子は検体の太い手足を縛るベルトを引っ張って、拘束が万全であることを確かめた。
今より、この首なしのホブゴブリンに新たな生命が吹き込まれる。
魔術師は、自然界における精霊発生のメカニズムを調べるべく、この実験を準備してきた。
検体の頭部に当たるガラス球の中身は、ホブゴブリンの脳髄を潰して脳漿と混ぜ合わせたものを漉し取り、
更にそこへ塩水と薬品を加えた、魔術師曰く『生命の水』である。
ガラス球に差し込まれた数本の金属端子は、ケーブルで特製の魔法装置と繋がれている。
ひとたび装置のスイッチを入れれば、
鉱物性マテリアルから抽出されたエネルギーがケーブルを伝い、ガラス球の中身へ注ぎ込まれる。
マテリアルを充填された液体は、その中に含まれた脳髄から生前のホブゴブリンの記憶・生理を復活させ、
本当に彼の新しい頭として機能し始める――というのが魔術師の仮説だった。
ホブゴブリン本来の内在マテリアルではとても精霊化は見込めないが、外から補填してやればどうだろう。
更に肉体の欠損、それも『魂』に深く関わるであろう脳という重要部分が不完全な状態にあれば、
マテリアルによってその欠損をひとりでに補おうとする作用が生じるかも知れない。
完全な空無から、いきなりマテリアルのみで人工的に精霊のような自律的存在を作るのはとても無理だ。
しかし、死体から段階を経て、少しずつ肉体を離れていけば――
異端の魔術師は期待を込めた眼差しで検体を振り返ると、
拘束具を確認し終えた弟子が準備完了の合図を送るや否や、装置のスイッチを捻った。
●
狭い室内を凄まじい電光が駆け巡る。装置の故障、と弟子は咄嗟に考えた。
しかし、それらの電光は装置ではなく椅子に座ったホブゴブリンの、あのガラス球の頭部から発せられていた。
弟子は慌てて検体から飛び退く。一方、装置に向き直ってスイッチを切ろうとする魔術師の背中を稲妻が撃つ。
上着に着火した魔術師は半狂乱で装置から離れ、床に倒れた。
駆け寄って火を叩き消す弟子。その間もガラス球からの放電は止まず、
更なる電撃に手足を縛る革ベルトを焼き切られ解放された検体が、ゆっくりと椅子から立ち上がる。
自らの創造主たちへ向かって、歩を進める検体。
装置と頭部を繋ぐケーブルが引っ張られて外れると、放電も収まった。
しかし今や、未知なる意思に支配されたホブゴブリンの肉体自体が新たな脅威であった。
明らかな攻撃の意図を以て拳を振り上げる検体を見るや、
弟子は苦痛に呻く魔術師をどうにか引きずって、その場から逃れた。
暴走した検体は、痙攣するようなぎこちない歩みでふたりを追う。
あるいは実験が成功したのか――弟子は思う。生前のホブゴブリンなら成る程、自分たちを攻撃しただろう。
それを予測しての拘束具でもあったのだが、魔法装置に金がかかり過ぎて二級品を使ったのが悪かった。
よろめき歩く検体の周囲に、白く輝く雷球がいくつも現れる。
検体が身振りをすると、雷球たちは魔術師と弟子目がけて飛んでいった。
どうやら実験の副作用か何かで、魔法まで身につけてしまったらしい。
弟子はほうほうの体で家から逃げ出すと、負傷した魔術師を近所の教会へ放り込んだ。
次いで彼は呆れ顔の司祭に対し、医者とハンターの手配を求める。
●
「とある魔術師の実験によって作成された魔法生物が、市街地で暴走している、との報告がありました。
魔術師は、魔術師協会が認可していない実験、自称『人工精霊生成術』に手を染め、
検体に頭部の欠損したホブゴブリンの死体1体を使用したのですが、これが実験中に暴走。
慌てて逃げ出した魔術師と弟子を追って、屋外へと脱出しました。
現在、検体は実験室のあった魔術師の自宅周辺を徘徊し、近づく者を魔法で無差別に攻撃しています。
魔術師協会に問い合わせたところ、近似した儀式魔術は過去に数度試みられたことがあるそうですが、
いずれも死体の蘇生や精霊の人工的生成には失敗したそうです。
今回のケースでは、死体に注ぎ込まれたマテリアルの量や質、
供給方法の工夫によって『蘇生』に成功したようですが、有識者の意見によれば、
問題のホブゴブリンは精霊とは何ら関係のない魔法生物に過ぎず、
かつ魔法生物作成の手順としても不完全な為、術者がコントロール出来る可能性もなく、
また、放置すればいずれマテリアルバランスの欠如により雑魔化するであろう、とのことです。
近隣住民の避難は既に完了し、一帯へ続く街路は封鎖されていますが、
検体自身の危険性のみならず、彼が不完全な魔法を多用することによって、
周囲に魔法公害が広がる恐れもあり、速やかな駆除が求められています。
この依頼を受けられるハンターの方は、所定の書類にサインの後、準備を終え次第現地に集合して下さい」
準備は整った。魔術師は興奮した面持ちで、弟子を見やる。
「スイッチを入れるぞ。最後にもう一度、拘束具を確認してくれ」
床に固定された頑丈な椅子に、革のベルトで括りつけられた検体――『元』ホブゴブリン。
頭部は切断され、代わりに薄黄色い液体の詰まった透明なガラス球へ置き換えられている。
弟子は検体の太い手足を縛るベルトを引っ張って、拘束が万全であることを確かめた。
今より、この首なしのホブゴブリンに新たな生命が吹き込まれる。
魔術師は、自然界における精霊発生のメカニズムを調べるべく、この実験を準備してきた。
検体の頭部に当たるガラス球の中身は、ホブゴブリンの脳髄を潰して脳漿と混ぜ合わせたものを漉し取り、
更にそこへ塩水と薬品を加えた、魔術師曰く『生命の水』である。
ガラス球に差し込まれた数本の金属端子は、ケーブルで特製の魔法装置と繋がれている。
ひとたび装置のスイッチを入れれば、
鉱物性マテリアルから抽出されたエネルギーがケーブルを伝い、ガラス球の中身へ注ぎ込まれる。
マテリアルを充填された液体は、その中に含まれた脳髄から生前のホブゴブリンの記憶・生理を復活させ、
本当に彼の新しい頭として機能し始める――というのが魔術師の仮説だった。
ホブゴブリン本来の内在マテリアルではとても精霊化は見込めないが、外から補填してやればどうだろう。
更に肉体の欠損、それも『魂』に深く関わるであろう脳という重要部分が不完全な状態にあれば、
マテリアルによってその欠損をひとりでに補おうとする作用が生じるかも知れない。
完全な空無から、いきなりマテリアルのみで人工的に精霊のような自律的存在を作るのはとても無理だ。
しかし、死体から段階を経て、少しずつ肉体を離れていけば――
異端の魔術師は期待を込めた眼差しで検体を振り返ると、
拘束具を確認し終えた弟子が準備完了の合図を送るや否や、装置のスイッチを捻った。
●
狭い室内を凄まじい電光が駆け巡る。装置の故障、と弟子は咄嗟に考えた。
しかし、それらの電光は装置ではなく椅子に座ったホブゴブリンの、あのガラス球の頭部から発せられていた。
弟子は慌てて検体から飛び退く。一方、装置に向き直ってスイッチを切ろうとする魔術師の背中を稲妻が撃つ。
上着に着火した魔術師は半狂乱で装置から離れ、床に倒れた。
駆け寄って火を叩き消す弟子。その間もガラス球からの放電は止まず、
更なる電撃に手足を縛る革ベルトを焼き切られ解放された検体が、ゆっくりと椅子から立ち上がる。
自らの創造主たちへ向かって、歩を進める検体。
装置と頭部を繋ぐケーブルが引っ張られて外れると、放電も収まった。
しかし今や、未知なる意思に支配されたホブゴブリンの肉体自体が新たな脅威であった。
明らかな攻撃の意図を以て拳を振り上げる検体を見るや、
弟子は苦痛に呻く魔術師をどうにか引きずって、その場から逃れた。
暴走した検体は、痙攣するようなぎこちない歩みでふたりを追う。
あるいは実験が成功したのか――弟子は思う。生前のホブゴブリンなら成る程、自分たちを攻撃しただろう。
それを予測しての拘束具でもあったのだが、魔法装置に金がかかり過ぎて二級品を使ったのが悪かった。
よろめき歩く検体の周囲に、白く輝く雷球がいくつも現れる。
検体が身振りをすると、雷球たちは魔術師と弟子目がけて飛んでいった。
どうやら実験の副作用か何かで、魔法まで身につけてしまったらしい。
弟子はほうほうの体で家から逃げ出すと、負傷した魔術師を近所の教会へ放り込んだ。
次いで彼は呆れ顔の司祭に対し、医者とハンターの手配を求める。
●
「とある魔術師の実験によって作成された魔法生物が、市街地で暴走している、との報告がありました。
魔術師は、魔術師協会が認可していない実験、自称『人工精霊生成術』に手を染め、
検体に頭部の欠損したホブゴブリンの死体1体を使用したのですが、これが実験中に暴走。
慌てて逃げ出した魔術師と弟子を追って、屋外へと脱出しました。
現在、検体は実験室のあった魔術師の自宅周辺を徘徊し、近づく者を魔法で無差別に攻撃しています。
魔術師協会に問い合わせたところ、近似した儀式魔術は過去に数度試みられたことがあるそうですが、
いずれも死体の蘇生や精霊の人工的生成には失敗したそうです。
今回のケースでは、死体に注ぎ込まれたマテリアルの量や質、
供給方法の工夫によって『蘇生』に成功したようですが、有識者の意見によれば、
問題のホブゴブリンは精霊とは何ら関係のない魔法生物に過ぎず、
かつ魔法生物作成の手順としても不完全な為、術者がコントロール出来る可能性もなく、
また、放置すればいずれマテリアルバランスの欠如により雑魔化するであろう、とのことです。
近隣住民の避難は既に完了し、一帯へ続く街路は封鎖されていますが、
検体自身の危険性のみならず、彼が不完全な魔法を多用することによって、
周囲に魔法公害が広がる恐れもあり、速やかな駆除が求められています。
この依頼を受けられるハンターの方は、所定の書類にサインの後、準備を終え次第現地に集合して下さい」
解説
今回の依頼の目的は、向こう見ずな魔術師の実験で作り出された魔法生物、
元ホブゴブリンの『首なし』の討伐となります。
現場は魔術師の自宅周辺、1~2階立ての家屋が立ち並ぶ住宅地です。
『首なし』は道に沿って周囲を徘徊しつつ、半径50メートル以内の動く物体に対して無差別攻撃を行います。
攻撃手段はホブゴブリンの肉体による格闘に加えて、魔法攻撃のスキルをいくつか所持・使用するようです。
更に『首なし』の周囲には、彼が放出するマテリアルによって生み出された雷球が浮遊しています。
『首なし』はメインアクションを利用して同時に最大5個の雷球を召喚可能、
自身の知覚を元に照準した相手目がけてこれを移動させます。
雷球は高速で空中を自律移動し、何らかの攻撃を受けるか、
あるいは接近した相手へアクティブスキル『エレクトリックショック』相当の体当たりを行った後、消滅します。
『首なし』の使用する魔法は不安定であり、周囲を汚染して魔法公害を引き起こす恐れがあります。
その為、『首なし』との戦闘は可能な限り短時間で決着するよう求められています。
元ホブゴブリンの『首なし』の討伐となります。
現場は魔術師の自宅周辺、1~2階立ての家屋が立ち並ぶ住宅地です。
『首なし』は道に沿って周囲を徘徊しつつ、半径50メートル以内の動く物体に対して無差別攻撃を行います。
攻撃手段はホブゴブリンの肉体による格闘に加えて、魔法攻撃のスキルをいくつか所持・使用するようです。
更に『首なし』の周囲には、彼が放出するマテリアルによって生み出された雷球が浮遊しています。
『首なし』はメインアクションを利用して同時に最大5個の雷球を召喚可能、
自身の知覚を元に照準した相手目がけてこれを移動させます。
雷球は高速で空中を自律移動し、何らかの攻撃を受けるか、
あるいは接近した相手へアクティブスキル『エレクトリックショック』相当の体当たりを行った後、消滅します。
『首なし』の使用する魔法は不安定であり、周囲を汚染して魔法公害を引き起こす恐れがあります。
その為、『首なし』との戦闘は可能な限り短時間で決着するよう求められています。
マスターより
今回の敵は魔法生物・『首なし』ホブゴブリン。
無茶な実験によって生まれ変わった彼は、魔法まで使いこなします。
特に雷球による弾幕が厄介です。
遠距離で直撃を受けると、痺れて動けなくなったところへ更に追撃が飛んでくるかも知れません。
短期決戦が求められている以上、行動阻害のバッドステータスは可能な限り避けたいところですが……。
無茶な実験によって生まれ変わった彼は、魔法まで使いこなします。
特に雷球による弾幕が厄介です。
遠距離で直撃を受けると、痺れて動けなくなったところへ更に追撃が飛んでくるかも知れません。
短期決戦が求められている以上、行動阻害のバッドステータスは可能な限り避けたいところですが……。
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2014/11/01 23:13
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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作戦会議! エヴァンス・カルヴィ(ka0639) 人間(クリムゾンウェスト)|29才|男性|闘狩人(エンフォーサー) |
最終発言 2014/10/28 08:47:04 |
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2014/10/24 00:00:12 |