「じゃ、そういうことでよろしくー！」
　ミリィは、ハンターオフィスの受付で先日の依頼の報告を済ませたところだった。
「あ、そうだ、ミリィさん。お手紙が届いてましたよ」
「え？　あたしに？」
　受付嬢から渡されたのは、ずいぶんと質の良い紙で作られた封筒だった。いつもはべりべり破いてしまうところだが、紙の質ゆえになんとなく気が引け、受付嬢にペーパーナイフを借り受けて丁寧に開封した。
　中から出てきたのは、「招待状」と記された、品の良いカードだった。
「結婚式か何かですか？」
　受付嬢がそっと覗き込む。カードを読んだミリィはにんまりして首を横に振った。
「違うみたい。コンテストの審査員のご依頼、だって」
「審査員？」
「リゼリオでね、カクテルコンテストなるものが開催されるらしいのよ。オリジナルカクテルを出品してもらって、ナンバーワンを決めるんだって」
「リゼリオですか……。ああ、なんでも、大きな宴会だかお祭りだかが開かれるとか」
「そうそう。コンテストの主催者は、その前に新作カクテルを売り出そうと思ってるらしいのよね。宣伝効果も狙って、一般から公募、つまりコンテストという方法を取ることにしたらしいわ」
　ミリィはカードについていたコンテストの案内を読みながら言った。
「で、どうしてミリィさんが審査員なんです？　自称している異名は、スイーツ・ギャンブラーでは？」
「自称って言うな」
　ミリィは半眼で受付嬢を睨んだが、すぐ気を取り直して説明する。
「この主催者、バーのオーナーなんだけどね、この人とは前にちょっと依頼で縁があってね。それに。あたしはスイーツだけが専門じゃないわよ、結構、イケるクチなんだから！」
　ミリィはふふん、と笑う。得意げにできる要素は何もないセリフのはずだが、とは言わずにおくあたり、この受付嬢は賢い。
「面白そうだし、行ってこようかな！　今まさにハンターオフィスにいるってのも、いいタイミングだしね！」
「いいタイミング、ってどういうことですか？」
　受付嬢は、不思議そうに首をかしげた。
「ん？　こういうことよ」
　ミリィは楽しそうに、カードの一番下に記されていた文章を示した。

『コンテストへの、新作カクテル応募参加者が予想を下回っており、困っております。よろしければ、コンテストに出ていただけそうな方をご一緒にお連れ頂けないでしょうか』

「さーて。何人か引っ張って行くとしましょうか！」
　爛々と目を輝かせ、ミリィはハンターオフィスをぐるりと見回した。

■成功条件
新作カクテルを考案し、コンテストに出場する

■カクテルコンテスト
リゼリオに店舗を持つ、とあるバーが主催しているイベント。主催者であるバーの主人と、ミリィは知り合い。
コンテストは、「カクテル部門」と「ノンアルコールカクテル部門」のふたつの部門で開催される。
審査員はミリィのほか、バーの主人（主催者）、バーテンダー、ワインソムリエ、バーの常連客の五名。ひとり５点ずつで採点し、もっとも高い点数を取った者が優勝。
参加者には新作カクテルをステージ上で作ってもらう。見物客も多数集まるとみられる。
優勝したカクテルは、バーで商品化される。
コンテストのあとは、参加者・見物者を交えて試飲パーティ。

※コンテストのルール※
・応募参加者は「カクテル部門」「ノンアルコール部門」のどちらか一方にしか参加できない。
（未成年の参加者は自動的に「ノンアルコール部門」です）
・応募カクテルはひとり一作品のみとする。
・カクテルには、西方・東方のどんな酒や食材を使っても良い。リアルブルーのものも使用可。
（材料は携帯品に入れておく必要はありません）
・カクテルの名前、材料、作り方を説明した上、実際に作ってもらい、審査員に提出。

■ミリィ
射撃を得意とする、甘いもの好きのハンター。自称・スイーツギャンブラーのミリィ。
近頃なりゆきが重なったことから、半分、後輩ハンターの育成係となりつつある。

ごきげんいかがでしょうか。紺堂でございます。
酒だーーーーー！！！　盃を持てーーーー！！！
お酒大好きな紺堂、うきうきとこの「交酒」に臨みましてございます。皆さまと楽しめたらと思います。
ミリィは甘いもの好きですが、考案していただくカクテルが甘くなければならないという縛りはございません。皆さまの多彩な新作カクテルをお待ち申し上げております。
解説にあります、コンテストのルールをよくご確認の上、必要事項に漏れのないプレイングをどうぞよろしくお願い致します。