ゲスト
(ka0000)
帰らざる場所
マスター:神宮寺飛鳥

- シナリオ形態
- ショート
関連ユニオン
APV- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在8人 / 4~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2014/10/27 12:00
- リプレイ完成予定
- 2014/11/05 12:00
オープニング
金槌の音が響いていた。
女は壊れた民家の屋根に登り、器用に金槌をふるう。小気味いい音が響く度、民家の屋根は元の姿を取り戻して行った。
「ふむ、こんなものかな」
額の汗を拭い女は工具箱を手に空を仰ぐ。青空から降り注ぐ日差しは暖かく、少しだけ肌寒くなったこの季節でもどこか爽やかだ。
「おーい、姉ちゃん。悪いんだが次はこっち頼めるかい?」
「ああ、今行こう」
屋根から飛び降りた女は村の男衆に交じってレンガを運ぶ。これも慣れた様子で施工に参加し、壁の補修に従事する。
「姉ちゃん大工か何かなのかい? 若いのに何でも出来るんだなあ」
「昔その筋の師事を受けた事があってな」
「すまんのう。ちょっといいじゃろうか?」
今度は老人に声をかけられついていく。壊れた畜舎の修理に参加し、ついでに割れた窓ガラスを交換していると老人はしげしげと女を見つめ。
「それにしてもお嬢さん、どこかで見たことがあるような……」
「旅をしていた頃、辺境にも何度か足を運んだ事があるからな。どこかでお会いしていてもおかしくはなかろうよ」
「そうかのう? もっと最近別のところで見たような気が……」
「それよりも昼食にしよう。これだけ働かせているのだ、皿はたんまり必要だぞ」
白い歯を見せ笑うと女は厨房に立ち、村の女たちに交じって料理を振る舞う。途中つまみ食いもしながらだが、腕前は確かなものだ。
「あなたお料理も出来るの?」
「旅をしている時は自分で作るしかなかったからな。まあ正直私は味は良くわからんのだが、本で読んだ」
「ほ、本で……?」
メモを片手に微笑む謎の女ことヴィルヘルミナ・ウランゲル皇帝陛下。彼女が訪れたこの村は、辺境移民が開拓を進める僻地にあった――。
「王国の方は本格的にきな臭くなって来やがったな。帝国軍としても援軍を出す必要があるんじゃねェか?」
数日前、帝都バルトアンデルスにてヴィルヘルミナはオズワルドと顔を合わせながら欠伸をしていた。しばらく城で働き詰めだからなのだが、オズワルドは眉を顰め。
「おいこら。他国の危機の話をしてンのになんだおまえその態度は。帝国は人類全体の盾っつったろおまえ」
「ああ、すまない。ただ、王国側としても突然師団を送り込まれては面白くなかろうよ。あそこにはあそこの国軍があり、自前の領土は自前で守れると証明したい筈だからな」
「向こうの面子は勿論あるだろうが、実際に国民に被害が増したら手段を選んでる場合じゃなくなるぜ?」
「そうなったらそれで救援要請なりなんなり来るだろう。どちらにせよ騎士皇として大規模な派兵はまだ検討中だ。ちょっとした応援やら様子見なら任せるよ、オズワルド」
大きく体を伸ばし温くなった茶を啜る。オズワルドは溜息交じりにお代わりを用意しつつ。
「ま、判断としちゃ間違っちゃいないがな」
「システィーナも大変だろうが、国外から私にしてあげられる事はそう多くないよ。助け船は出せと言われるまで出すもんじゃない」
「そうかい。ま、準備だけは進めておくぜ」
「剣機騒動でのゴタゴタでどうせうちも動きは鈍っているんだ、準備期間としては丁度よかろう」
新しいお茶を飲みながら目を瞑る皇帝。そうして立ち上がると体のあちこちを鳴らし。
「では少し出かけてくるよ」
「は? おまえさん仕事はどうした?」
「デスクワークは片づけたよ。ほれ」
机の上に山積みになった書類を叩く皇帝。慌てて駆け寄って確かめてみると、膨大な量の仕事は確かに全て終わっていた。
「数日出てくるが、護衛は不要だ」
「いや護衛は必要だろうが!?」
「大げさだなあ。四霊剣がうろついてるわけでもなし。では後の事は頼んだぞ」
颯爽と立ち去るヴィルヘルミナを呆然と見送るオズワルド。
あの小娘の何が一番腹立つかって、実は仕事ができる癖に普段露骨に手を抜いていやがる事だ。
カップを下げながら盛大にため息を零すと、男はとぼとぼと部屋を後にした。
「適当に作った割にはいけるな」
手帳を片手に料理を食べるヴィルヘルミナ。そこへ一人の若者が駆け寄ってくる。
「みんな大変だ! またコボルドの奴らが来やがった!」
「コボルド?」
「この村の近辺は元々コボルドの生活圏だったんだ。特に鉱山開拓地付近では被害が多くてな。一時帝国軍が駐留してくれてよくなったんだが、この間の剣機騒動で撤収しちまってな……」
「なるほど」
スプーンを加えたまま耳を傾け、速攻で食卓に並んだ皿からあちこち料理を口に放り込むと立ち上がる。
「コボルドくらいならどうにかしよう」
「だ、大丈夫なのか?」
「んむ、まあ、ここで昼休みでもしていてくれれば構わんよ。せっかくハンターも来ているのだからね」
女は同席していたハンターに目を向け、そして手を差し伸べる。
「そういう事になった。すまないが、手を貸してもらえるかい?」
もともとは村の復興を手伝うという仕事で同行したのだが、依頼人がそういうのでは断るわけにもいかない。
手を取り立ち上がったハンターを前に女はにこやかに笑みを浮かべた。
女は壊れた民家の屋根に登り、器用に金槌をふるう。小気味いい音が響く度、民家の屋根は元の姿を取り戻して行った。
「ふむ、こんなものかな」
額の汗を拭い女は工具箱を手に空を仰ぐ。青空から降り注ぐ日差しは暖かく、少しだけ肌寒くなったこの季節でもどこか爽やかだ。
「おーい、姉ちゃん。悪いんだが次はこっち頼めるかい?」
「ああ、今行こう」
屋根から飛び降りた女は村の男衆に交じってレンガを運ぶ。これも慣れた様子で施工に参加し、壁の補修に従事する。
「姉ちゃん大工か何かなのかい? 若いのに何でも出来るんだなあ」
「昔その筋の師事を受けた事があってな」
「すまんのう。ちょっといいじゃろうか?」
今度は老人に声をかけられついていく。壊れた畜舎の修理に参加し、ついでに割れた窓ガラスを交換していると老人はしげしげと女を見つめ。
「それにしてもお嬢さん、どこかで見たことがあるような……」
「旅をしていた頃、辺境にも何度か足を運んだ事があるからな。どこかでお会いしていてもおかしくはなかろうよ」
「そうかのう? もっと最近別のところで見たような気が……」
「それよりも昼食にしよう。これだけ働かせているのだ、皿はたんまり必要だぞ」
白い歯を見せ笑うと女は厨房に立ち、村の女たちに交じって料理を振る舞う。途中つまみ食いもしながらだが、腕前は確かなものだ。
「あなたお料理も出来るの?」
「旅をしている時は自分で作るしかなかったからな。まあ正直私は味は良くわからんのだが、本で読んだ」
「ほ、本で……?」
メモを片手に微笑む謎の女ことヴィルヘルミナ・ウランゲル皇帝陛下。彼女が訪れたこの村は、辺境移民が開拓を進める僻地にあった――。
「王国の方は本格的にきな臭くなって来やがったな。帝国軍としても援軍を出す必要があるんじゃねェか?」
数日前、帝都バルトアンデルスにてヴィルヘルミナはオズワルドと顔を合わせながら欠伸をしていた。しばらく城で働き詰めだからなのだが、オズワルドは眉を顰め。
「おいこら。他国の危機の話をしてンのになんだおまえその態度は。帝国は人類全体の盾っつったろおまえ」
「ああ、すまない。ただ、王国側としても突然師団を送り込まれては面白くなかろうよ。あそこにはあそこの国軍があり、自前の領土は自前で守れると証明したい筈だからな」
「向こうの面子は勿論あるだろうが、実際に国民に被害が増したら手段を選んでる場合じゃなくなるぜ?」
「そうなったらそれで救援要請なりなんなり来るだろう。どちらにせよ騎士皇として大規模な派兵はまだ検討中だ。ちょっとした応援やら様子見なら任せるよ、オズワルド」
大きく体を伸ばし温くなった茶を啜る。オズワルドは溜息交じりにお代わりを用意しつつ。
「ま、判断としちゃ間違っちゃいないがな」
「システィーナも大変だろうが、国外から私にしてあげられる事はそう多くないよ。助け船は出せと言われるまで出すもんじゃない」
「そうかい。ま、準備だけは進めておくぜ」
「剣機騒動でのゴタゴタでどうせうちも動きは鈍っているんだ、準備期間としては丁度よかろう」
新しいお茶を飲みながら目を瞑る皇帝。そうして立ち上がると体のあちこちを鳴らし。
「では少し出かけてくるよ」
「は? おまえさん仕事はどうした?」
「デスクワークは片づけたよ。ほれ」
机の上に山積みになった書類を叩く皇帝。慌てて駆け寄って確かめてみると、膨大な量の仕事は確かに全て終わっていた。
「数日出てくるが、護衛は不要だ」
「いや護衛は必要だろうが!?」
「大げさだなあ。四霊剣がうろついてるわけでもなし。では後の事は頼んだぞ」
颯爽と立ち去るヴィルヘルミナを呆然と見送るオズワルド。
あの小娘の何が一番腹立つかって、実は仕事ができる癖に普段露骨に手を抜いていやがる事だ。
カップを下げながら盛大にため息を零すと、男はとぼとぼと部屋を後にした。
「適当に作った割にはいけるな」
手帳を片手に料理を食べるヴィルヘルミナ。そこへ一人の若者が駆け寄ってくる。
「みんな大変だ! またコボルドの奴らが来やがった!」
「コボルド?」
「この村の近辺は元々コボルドの生活圏だったんだ。特に鉱山開拓地付近では被害が多くてな。一時帝国軍が駐留してくれてよくなったんだが、この間の剣機騒動で撤収しちまってな……」
「なるほど」
スプーンを加えたまま耳を傾け、速攻で食卓に並んだ皿からあちこち料理を口に放り込むと立ち上がる。
「コボルドくらいならどうにかしよう」
「だ、大丈夫なのか?」
「んむ、まあ、ここで昼休みでもしていてくれれば構わんよ。せっかくハンターも来ているのだからね」
女は同席していたハンターに目を向け、そして手を差し伸べる。
「そういう事になった。すまないが、手を貸してもらえるかい?」
もともとは村の復興を手伝うという仕事で同行したのだが、依頼人がそういうのでは断るわけにもいかない。
手を取り立ち上がったハンターを前に女はにこやかに笑みを浮かべた。
解説
●目的
コボルドの撃退、及び村の復興作業の手伝い。
●概要
剣機騒動で被害を受けた村の復興作業を手伝う。
依頼人はルミナちゃんと名乗る謎の女。自称冒険者。覚醒者であると言う時とそうでない時がある。今日は覚醒者。
村は辺境移民が主に暮らしている開拓村で、コボルドの生息地を開拓している為、小競り合いが絶えない。
以前は帝国軍が駐留し警備についていたが、剣機騒動で村人が非難すると同時に撤収。再配備はまだ行われていない。
そんな村にコボルドがやってきたというので、ついでに撃退してほしいという追加依頼を受けた。
依頼人と共にコボルドを撃退し、その後村の復興作業を再開してもらいたい。
●敵情報
『コボルド』
村を度々襲撃している元住人の方々。
人間の勝手な都合で追い出された故郷に戻りたいだけ。
さほど強くはない。剣や弓で武装した個体が十体出現。
●特筆
依頼人のルミナちゃんが同行する。
冒険者風の格好。髪はポニーテールにして伊達眼鏡で変装したつもり。
装備は第一師団長の私物からかっぱらってきた長剣と盾。でも妙に堅い。
コボルドには同情しているが、あっさり殺す。
コボルドの撃退、及び村の復興作業の手伝い。
●概要
剣機騒動で被害を受けた村の復興作業を手伝う。
依頼人はルミナちゃんと名乗る謎の女。自称冒険者。覚醒者であると言う時とそうでない時がある。今日は覚醒者。
村は辺境移民が主に暮らしている開拓村で、コボルドの生息地を開拓している為、小競り合いが絶えない。
以前は帝国軍が駐留し警備についていたが、剣機騒動で村人が非難すると同時に撤収。再配備はまだ行われていない。
そんな村にコボルドがやってきたというので、ついでに撃退してほしいという追加依頼を受けた。
依頼人と共にコボルドを撃退し、その後村の復興作業を再開してもらいたい。
●敵情報
『コボルド』
村を度々襲撃している元住人の方々。
人間の勝手な都合で追い出された故郷に戻りたいだけ。
さほど強くはない。剣や弓で武装した個体が十体出現。
●特筆
依頼人のルミナちゃんが同行する。
冒険者風の格好。髪はポニーテールにして伊達眼鏡で変装したつもり。
装備は第一師団長の私物からかっぱらってきた長剣と盾。でも妙に堅い。
コボルドには同情しているが、あっさり殺す。
マスターより
お世話になっております、神宮寺でございます。
ルミナちゃんシリーズです。村は以前の依頼で出てきたところですが、連続性はないので知らなくて大丈夫です。
変装して来たのは皇帝として来るとおそらく復興を手伝わせてもらえないだろうと踏んだからで、ハンターを呼んだのも同じような理由です。
村は直接剣機の被害を受けたわけではありませんが、避難中にコボルドによる攻撃を受けあちこち壊れています。
ルミナちゃんの正体が村人にバレるとたぶん怒られます。
それでは宜しくお願い致します。
ルミナちゃんシリーズです。村は以前の依頼で出てきたところですが、連続性はないので知らなくて大丈夫です。
変装して来たのは皇帝として来るとおそらく復興を手伝わせてもらえないだろうと踏んだからで、ハンターを呼んだのも同じような理由です。
村は直接剣機の被害を受けたわけではありませんが、避難中にコボルドによる攻撃を受けあちこち壊れています。
ルミナちゃんの正体が村人にバレるとたぶん怒られます。
それでは宜しくお願い致します。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2014/11/04 05:46
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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相談卓 ラン・ヴィンダールヴ(ka0109) 人間(クリムゾンウェスト)|20才|男性|霊闘士(ベルセルク) |
最終発言 2014/10/26 23:08:08 |
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![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2014/10/24 00:48:10 |