ゲスト
(ka0000)
【碧剣】相思交錯の境界線
マスター:ムジカ・トラス

このシナリオは5日間納期が延長されています。
- シナリオ形態
- ショート
関連ユニオン
アム・シェリタ―揺籃館―- 難易度
- 難しい
- オプション
-
- 参加費
1,500
- 参加人数
- 現在7人 / 4~7人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 6日
- プレイング締切
- 2017/06/06 22:00
- リプレイ完成予定
- 2017/06/20 22:00
オープニング
●
碧剣。父さんが騎士だった時に振るい――引退を期に岩に突き刺した剣。
必死に引き抜いた以降は、僕の愛剣になっている。
町中で偶然出会った、あのエリオット・ヴァレンタイン(kz0025)も手入れを依頼する凄腕鍛冶師イザヤさんの見立てでは、曰く、『魔剣』。
正確には、『魔剣の類』だと言っていた。
確かに、手入れをされた後の剣は恐ろしい切れ味だった。騎士科の授業で扱うような真剣と比べるのもおこがましいほど、冷え冷えとした鋭さ。
でも、それだけでは魔剣の要項を満たさない。だから、ハンターの皆さんの協力もあって、色々なことを、調べた。
属性はどうか。それぞれへの反応はどうか。何か特別な機能があるのかどうか。
歴史はどうか。経緯はどんなものか。どのような歴史があるのか。
――その剣を持つものは恐れを知らず、敗北を知らず、王国に仇をなす敵を切り捨てた。
――碧色の刃を遮るものは無く、その担い手は単身にして強敵を喰い殺す。
――五十一章、魔性産みし禍々しき大樹の討伐……二百二章、ガンナ・エントラータ沖に現れし千の足持つ紅きイカの討伐……五百七十章、王都に暗躍せし影なき暗殺者の討伐……その姿は無情! 剣が生を求め、生が剣を求めるよう……。
エステル・マジェスティと名乗った少女が語った、【碧色の剣】の伝承を思う。
彼女はその後、僕に歪虚討伐の依頼を出した。
今になって思えば、彼女は"何か"を見定めようとしていたんだと思う。
けれど、その時は何も起こらなかった。ただ、彼女は伝言を遺した。
『その剣には足りない《パーツ》がある、と。何か思い当たる節はないか?』
剣を、眺める。残念ながら、僕には分からないが――大事なのは、その後のことだ。
明らかな"異常"。
僕が考える範囲で異常が起こったのは、二度。
東方の妖忍、『半藏』の討伐戦。
そして――。
「…………」
胸の奥が、軋む。
「…………あの、村でのこと」
●
ロシュを含めた学生と村人たちに加え、ハンターたちですら、一部の人たちが変貌していた。
凶暴性をむき出しにして、激昂していた。
「…………」
目を背けていたけれど、もう、認めるしかない。
この剣が、"魔剣の類"たる由縁を。
……伝承にならえば、僕が思う"異常"と共通する要素が見受けられる。
敵が『歪虚』であること。
それから、『危機』であること。
そして――"恐れを知らず"。
符号する情報は、それだけだ。けれど、異なる部分もある。
僕は、僕なりに、戦場に立ってきた。歪虚とも戦った。危機的状況にも、立ち会った。
それでも、この剣はその異常性を明らかにすることはなかった。誰も彼もが、あのようになることは無かった。
たとえば歪虚には格がある。それが影響しているかとも考えたけれど……やはり、違う、と思われた。少なくとも、あの雪村にいた歪虚の力は乏しかった。半藏のような強大さは、なかった。
加えれば――これは指摘されたことだけれども――あの場に現れた歪虚はかつて僕自身が『あの屋敷』で見かけた歪虚と、よく似ている。
だとすれば、"もう一つ"、何かがあるはずだ。
不完全なこの剣を、魔剣たらしめる何かが。
何か、引き金が。
「………………」
その"事実"に、僕はもう、気づいている。
気づいて、しまった。
何故だろう。
「…………この剣は、人を傷つけてしまう」
あの村にいたハンター達の、苦しげな顔を思い出し。
そんな言葉と、涙が、溢れた。
●
「こんな所で話とは……どうした、シュリ・エルキンズ」
黄昏も過ぎた、宵の口。王都から街道沿いに馬を走らせて一時間ほどしたところへとたどり着いたロシュ・フェイランドは、開口一番にそう言った。
迎えたシュリと共に、戦闘装束である。横たわる不吉な気配を認識したか緊張した馬をなだめるべく、その背に手を押し当てる。下馬しながら、片手は、いつでも得物を抜剣できるようにしていた。
シュリも、腰に下げた碧剣の柄に手を当て、周囲を見渡した。姿形も見えないことを確認した上で、ロシュに向き直る。
「ロシュは、さ」
「……ああ」
その真摯な眼差しの強さに、ロシュは目を奪われた。
「僕の剣のことを、知っていたの?」
「……知っていた」
それは、嘘ではない。シュリとの事柄に於いて、嘘をつくべきものは、無いと言っていい。
ロシュは真っ直ぐな瞳に引き出されるように、口を開いていた。
「私の父は騎士ではないが、部下を率いて戦場に出ていてな。その時に、その剣を目にしたことがあるようだ。持ち主の武勇に命を救われたのだとも聞いている。特異な剣だ。ひと目で気づいたよ」
「…………そう」
「……それが、どうかしたのか?」
「ううん」
どこか安堵するように、シュリは笑った。
ただ、ひどく痛ましい笑みだと、感じた。
その理由を探ろうとしたが、すぐに溶けるように消えてしまった。周囲を警戒したシュリを前に、困惑するしかない。
「……ロシュ」
だから、名を呼ばれた時、すぐに反応できなかった。
「何か、感じない?」
その言葉にも、また。唐突に視界が赤滅し――。
●
「……我に返った時、私は街道に倒れ込んでいた」
病床のロシュ・フェイランドは傷ついた姿でハンター達にそう言った。
自嘲と苦悩が混じった乾いた笑いを浮かべると、包帯を巻かれた頭を抑えて、続ける。
「情けないが、記憶が、曖昧でな。今話したこと以上のことを、思い出せそうにない」
そうして、胸元へと手を伸ばした。
「だが…………一つだけ、確かなことがある」
声にも、表情にも、怒りの色はなかった。ただ、綯い交ぜになった感情の渦が、滲んでいる。
「父から預かった首飾りが、無くなっていた。私を救出した商人にも確認し――偽証含めて検証し、故買屋にもあたったが、見当たらない」
そうして。
額から手を下ろし、ハンターたちを見据えたロシュは、こう断定した。
「シュリに盗まれた、と。私は考えている」
そうして、そのまま、頭を下げた。
「そのシュリ自身が休学届けを出しており、消息が掴めていない。手持ちの情報も少なく、無理な願いだということは解っている、が……シュリを、首飾りを、探してくれ」
碧剣。父さんが騎士だった時に振るい――引退を期に岩に突き刺した剣。
必死に引き抜いた以降は、僕の愛剣になっている。
町中で偶然出会った、あのエリオット・ヴァレンタイン(kz0025)も手入れを依頼する凄腕鍛冶師イザヤさんの見立てでは、曰く、『魔剣』。
正確には、『魔剣の類』だと言っていた。
確かに、手入れをされた後の剣は恐ろしい切れ味だった。騎士科の授業で扱うような真剣と比べるのもおこがましいほど、冷え冷えとした鋭さ。
でも、それだけでは魔剣の要項を満たさない。だから、ハンターの皆さんの協力もあって、色々なことを、調べた。
属性はどうか。それぞれへの反応はどうか。何か特別な機能があるのかどうか。
歴史はどうか。経緯はどんなものか。どのような歴史があるのか。
――その剣を持つものは恐れを知らず、敗北を知らず、王国に仇をなす敵を切り捨てた。
――碧色の刃を遮るものは無く、その担い手は単身にして強敵を喰い殺す。
――五十一章、魔性産みし禍々しき大樹の討伐……二百二章、ガンナ・エントラータ沖に現れし千の足持つ紅きイカの討伐……五百七十章、王都に暗躍せし影なき暗殺者の討伐……その姿は無情! 剣が生を求め、生が剣を求めるよう……。
エステル・マジェスティと名乗った少女が語った、【碧色の剣】の伝承を思う。
彼女はその後、僕に歪虚討伐の依頼を出した。
今になって思えば、彼女は"何か"を見定めようとしていたんだと思う。
けれど、その時は何も起こらなかった。ただ、彼女は伝言を遺した。
『その剣には足りない《パーツ》がある、と。何か思い当たる節はないか?』
剣を、眺める。残念ながら、僕には分からないが――大事なのは、その後のことだ。
明らかな"異常"。
僕が考える範囲で異常が起こったのは、二度。
東方の妖忍、『半藏』の討伐戦。
そして――。
「…………」
胸の奥が、軋む。
「…………あの、村でのこと」
●
ロシュを含めた学生と村人たちに加え、ハンターたちですら、一部の人たちが変貌していた。
凶暴性をむき出しにして、激昂していた。
「…………」
目を背けていたけれど、もう、認めるしかない。
この剣が、"魔剣の類"たる由縁を。
……伝承にならえば、僕が思う"異常"と共通する要素が見受けられる。
敵が『歪虚』であること。
それから、『危機』であること。
そして――"恐れを知らず"。
符号する情報は、それだけだ。けれど、異なる部分もある。
僕は、僕なりに、戦場に立ってきた。歪虚とも戦った。危機的状況にも、立ち会った。
それでも、この剣はその異常性を明らかにすることはなかった。誰も彼もが、あのようになることは無かった。
たとえば歪虚には格がある。それが影響しているかとも考えたけれど……やはり、違う、と思われた。少なくとも、あの雪村にいた歪虚の力は乏しかった。半藏のような強大さは、なかった。
加えれば――これは指摘されたことだけれども――あの場に現れた歪虚はかつて僕自身が『あの屋敷』で見かけた歪虚と、よく似ている。
だとすれば、"もう一つ"、何かがあるはずだ。
不完全なこの剣を、魔剣たらしめる何かが。
何か、引き金が。
「………………」
その"事実"に、僕はもう、気づいている。
気づいて、しまった。
何故だろう。
「…………この剣は、人を傷つけてしまう」
あの村にいたハンター達の、苦しげな顔を思い出し。
そんな言葉と、涙が、溢れた。
●
「こんな所で話とは……どうした、シュリ・エルキンズ」
黄昏も過ぎた、宵の口。王都から街道沿いに馬を走らせて一時間ほどしたところへとたどり着いたロシュ・フェイランドは、開口一番にそう言った。
迎えたシュリと共に、戦闘装束である。横たわる不吉な気配を認識したか緊張した馬をなだめるべく、その背に手を押し当てる。下馬しながら、片手は、いつでも得物を抜剣できるようにしていた。
シュリも、腰に下げた碧剣の柄に手を当て、周囲を見渡した。姿形も見えないことを確認した上で、ロシュに向き直る。
「ロシュは、さ」
「……ああ」
その真摯な眼差しの強さに、ロシュは目を奪われた。
「僕の剣のことを、知っていたの?」
「……知っていた」
それは、嘘ではない。シュリとの事柄に於いて、嘘をつくべきものは、無いと言っていい。
ロシュは真っ直ぐな瞳に引き出されるように、口を開いていた。
「私の父は騎士ではないが、部下を率いて戦場に出ていてな。その時に、その剣を目にしたことがあるようだ。持ち主の武勇に命を救われたのだとも聞いている。特異な剣だ。ひと目で気づいたよ」
「…………そう」
「……それが、どうかしたのか?」
「ううん」
どこか安堵するように、シュリは笑った。
ただ、ひどく痛ましい笑みだと、感じた。
その理由を探ろうとしたが、すぐに溶けるように消えてしまった。周囲を警戒したシュリを前に、困惑するしかない。
「……ロシュ」
だから、名を呼ばれた時、すぐに反応できなかった。
「何か、感じない?」
その言葉にも、また。唐突に視界が赤滅し――。
●
「……我に返った時、私は街道に倒れ込んでいた」
病床のロシュ・フェイランドは傷ついた姿でハンター達にそう言った。
自嘲と苦悩が混じった乾いた笑いを浮かべると、包帯を巻かれた頭を抑えて、続ける。
「情けないが、記憶が、曖昧でな。今話したこと以上のことを、思い出せそうにない」
そうして、胸元へと手を伸ばした。
「だが…………一つだけ、確かなことがある」
声にも、表情にも、怒りの色はなかった。ただ、綯い交ぜになった感情の渦が、滲んでいる。
「父から預かった首飾りが、無くなっていた。私を救出した商人にも確認し――偽証含めて検証し、故買屋にもあたったが、見当たらない」
そうして。
額から手を下ろし、ハンターたちを見据えたロシュは、こう断定した。
「シュリに盗まれた、と。私は考えている」
そうして、そのまま、頭を下げた。
「そのシュリ自身が休学届けを出しており、消息が掴めていない。手持ちの情報も少なく、無理な願いだということは解っている、が……シュリを、首飾りを、探してくれ」
解説
●目的
1.ロシュとシュリの会話の後、何が起こったかの調査
2.シュリの足取りの調査
3.今後の調査の展望についての提言
●解説
ロシュ・フェイランドより、シュリが盗んだ「首飾り」の捜索の依頼(表向き)です。
▼時系列
・シュリがロシュを該当地域(王都から西へ馬で1時間の位置にある)場所にロシュを呼び出した。
・OP通りの会話を行った。
・その後の記憶はない。
・我に返るとシュリの姿は無く、胸元の首飾りが消失していた。
・シュリは病院へと搬送され入院。シュリに関する情報が少なく捜索に難渋しているが、司法に訴えるつもりは現状無い。
(それ故に満足な調査自体ができていないのが現状)
▼該当地について
・街道沿いの平原。一般的な往来はあるが、その際の往来は無かったとのこと。
・現時点ではハンター、ロシュともに一切の情報なし。
▼制約について
・はっきりとは言いませんが、シュリの行いが司法の目に触れる=シュリが騎士科を退学/停学などになる事態を、ロシュは憂慮しています。
・該当する行動は実行できますが、ご留意ください。(なお、庇い立て不可能な場合は原則退学になります)
▼PL情報の利用について
・原則、その情報がPC情報かPL情報かの説明はしません。
・PL情報を『そのまま』根拠とするような調査は原則NGです。推測の根拠があれば原則OKです。
・合わせて、PL情報をPC情報化するための行動や、PL情報につながるような【行動】を、別の情報を引き出すことなどの利用は可能です。
●その他
・PC情報として利用できる内容が(本OP中には)非常に少ないため、難易度高めです。
・今後のシナリオについては出てきた情報をもとにロシュ自身が調査に赴くか、ハンターの提言を元に調査対象が変化したりします。
マスターより
お世話になっております。
え?! シュリが、消えた?!
くそ、歪虚め!
そういうわけで、暫くロシュが皆様に依頼を出します。
へへ。結構払いはいいですよ。
さて。
これまでに出てきた点と点。それらを繋いだ線と、そこから伸びた先。
それらを踏まえた上での、【調査依頼】です。
難易度は、ムジカ基準で(こりゃどうなるか解らないなあ)という思いも籠めて、調査シナリオとして【最難】です。
【調査対象がぼかされており】【OP内に情報が少なく、推測を必要として】【背景知識としてこれまでのシナリオがヒントになっている】ためですが、地道にやっても該当依頼に関しては十分な働きができはします。
相談期間も長めです。お楽しみください!
え?! シュリが、消えた?!
くそ、歪虚め!
そういうわけで、暫くロシュが皆様に依頼を出します。
へへ。結構払いはいいですよ。
さて。
これまでに出てきた点と点。それらを繋いだ線と、そこから伸びた先。
それらを踏まえた上での、【調査依頼】です。
難易度は、ムジカ基準で(こりゃどうなるか解らないなあ)という思いも籠めて、調査シナリオとして【最難】です。
【調査対象がぼかされており】【OP内に情報が少なく、推測を必要として】【背景知識としてこれまでのシナリオがヒントになっている】ためですが、地道にやっても該当依頼に関しては十分な働きができはします。
相談期間も長めです。お楽しみください!
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2017/06/19 20:44
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
![]() |
シュリさん捜索相談卓 クレール・ディンセルフ(ka0586) 人間(クリムゾンウェスト)|23才|女性|機導師(アルケミスト) |
最終発言 2017/06/06 21:26:15 |
|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2017/05/31 20:54:42 |