ゲスト
(ka0000)
【血盟】黒蜥蜴と古の砦
マスター:馬車猪

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在8人 / 4~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- プレイング締切
- 2017/06/13 19:00
- リプレイ完成予定
- 2017/06/22 19:00
オープニング
●現代
「これが200年前の報告書です」
スーツ姿のオフィス職員が、神妙な顔で1枚の羊皮紙を差し出した。
対するのは伝統的装束の聖堂教会司祭。
自分の家名が書かれているのに気づき、困惑したように瞬きをした。
「カーナボン家が災厄の十三魔と交戦して全滅、ですか」
「はい。最近はその歪虚の活動が活発になっていますので、改めて情報収集を行うことになりました」
ハンターの活躍で被害は食い止められている。
しかしハンターとそのユニットを動かすにも金がかかるし、ハンターという貴重な戦力を歪虚1匹に貼り付けるのも難しい。
「小さなものでもかまいません。ガルドブルムについての情報があれば、是非教えていただきたいのです」
「うーん……」
司祭位を持つ少女が困り顔で唸り出す。
職員が深く頭を下げる。
先祖代々維持してきた面子を傷つける情報を出せと言っているのだ。
激高されるならまだましな方で、社会的な影響力を駆使してオフィスや職員個人に圧力をかけてくる可能性すらあった。
「歪虚討伐に役立つならお話しますけど」
「では!」
「いえ、そもそもこの頃のことが伝わっていません」
なお、カーナボン家は最低でも300年続いていることになっている。
不味いことを聞いてしまったと顔を青くする職員の前で、司祭はうんうんうなって何かを思い出そうとしていた。
「実家は田舎にあるので本家が全滅して分家が継ぐのも珍しくはないんです。その際に記録が散逸しますから」
「それは……歪虚との交戦でですか」
「政争に破れてというのもあったみたいですよ。んー、でも」
古びた羊皮紙を何度も読み返す。
最終的に王の目に触れた報告書のようで、当時の大貴族でも触れるのが難しい情報が大量に載っている。
「これ、おかしいのです」
このカーナボン家が後先考えずに戦力を投入してガルドブルムと戦ったのは事実らしい。
しかし作戦が奇妙に過ぎる。
歴史を積み重ねた強力な武器を集めてぶつかるだけ。
隣領や寄親や王家を引きずり込むという工夫が全くされていない。
今そんなことをしようとすれば計画段階で当主押込から政権交代になるだろう。
「他の貴族にはめられて馬鹿な作戦をするしかなくなったって訳でもなさそうですし」
「えっとその」
「お気遣いありがとうございます。貴族を長く続けると毎回有能って訳にもいきませんからね」
きっと大きく失敗したのでしょう。
王国の少女は切なげにため息をつき、直接のつながりのないはずの血族に思いをはせ。
「え」
「あれ?」
清らかな気配が増し、司祭達が数人のハンターごとその場から消失する。
膨大な過去が収められた精霊樹の分樹が、淡い光を静かに放っていた。
●黒竜の現在
『おぉっ』
全長20メートル超える巨体が綺麗に一回転。
硬い岩肌にめり込み短くうめいた。
『もう一度!』
『オゥ、何度でも来い』
巨竜と比べればみすぼらしいほど小さな竜が、牙、爪、尻尾の連撃を分かり易い動きで躱しては技をかけて同属を転ばせる。
技術に関しては大人と赤子だ。
これでも巨竜の技術はましになっている。
ハンターへの復仇のため、巨竜の心身がかつてないほど活性している。
『どこで技をっ』
『200年前に派手にやられてなァ。武者修行のつもりであれこれしているうちにいつの間にかな』
意識の誘導も体の動かし方も惜しみなく見せる。
本来なら10年20年でようやく身につくかどうかの技術が、巨竜の執念により急速に吸収されていく。
まあそれでもせいぜい新米前衛ハンター程度の回避術でしかない。
『人間に? 鉄人形もなかった時代にか!?』
『運が悪けりァあのとき死んでたな』
驚き半分不審半分の視線を正面から受け止め楽しげに笑う。
当時は今と同じくマテリアルの収集に励んでいた。
古くさい建物や遺物を巡るという苦行をしてでも強くなろうとしていた。
当時、ガルドブルムは強くはあったが技がなかった。
心も酷いものだ。気合いの入った覚醒者数人に怯えていた記憶がある。
仮にあのまま強くなっていたとしたら、とうにハンターに狩られてしまっていたはずだ。
『人間に……』
『強い奴等だったぞ。今のハンターの方が圧倒的に強いがな』
黒竜は心底楽しげに笑い、リゼリオがある方向をじっとみつめる。
当時人間が何を考えていたかなど既に全く興味もない。
今の彼にとり強さは手段でしかない。
黒竜はただ、戦いを望んでいた。
●200年前。カーナボン家本陣
金髪の女当主が冷たい目で家臣を見渡した。
槍と弓と分厚い金属鎧で身を固めた男達がわずかに体を震わせる。
「援軍は来ない。我等のみで黒竜と戦う」
「そんな」
「お嬢! 何を考えて」
「こんな砦放棄して巡礼路まで下がりましょう。寄親にも王家にも義理はもう果たしました!」
当主を幼い頃から知る男達が必死に言いつのる。
武勇に優れた先代も、次代の当主になるはずだった男子も、これまでの戦いで全て死んだ。
部下達も半数近くが倒れてこの場にいる男達も傷だらけだ。
「すまない」
当主の顔が青白い。
目に強い光はあるが張り詰めすぎて今にも弾けそうだ。
彼女の脳裏に浮かぶのは、聖堂教会からもたらされた1通の書状。
既に焼き捨てたが、王国全土の巡礼路を用いたマテリアル集積機構――再充填可能なことを考慮に入れれば王国最大の武器について知らされてしまった。
「ここで防ぐしかないのだ」
あの黒竜は馬鹿で乱暴ではあるが鼻が利く。
今は巡礼路周辺の施設でマテリアル略奪を行うだけだが、このままだと巡礼路に秘密に気づく可能性がある。
巡礼路から意識を逸らさなければ最悪巡礼路の情報が歪虚全体に広がってしまうだろう。
しかし援軍は呼べない。
王家と教会の主力は他方面に出払っている。隣領も寄親もこの情報を渡せるほど王家に信頼されていない。
「お嬢様」
「皆、すまない」
既に死ぬ覚悟を固めた目だ。
女当主は全ての財貨を積み上げ、家伝の宝剣のはずの武器を最も強い者達に渡していく。
「作戦開始は明朝だ。家族に別れを告げておけ」
この翌日。
本来の歴史なら当主、郎党、義勇兵の全てが討ち死にする。
いつの間にか数人数が増えていることに、その数人以外誰も気づけていない。
「これが200年前の報告書です」
スーツ姿のオフィス職員が、神妙な顔で1枚の羊皮紙を差し出した。
対するのは伝統的装束の聖堂教会司祭。
自分の家名が書かれているのに気づき、困惑したように瞬きをした。
「カーナボン家が災厄の十三魔と交戦して全滅、ですか」
「はい。最近はその歪虚の活動が活発になっていますので、改めて情報収集を行うことになりました」
ハンターの活躍で被害は食い止められている。
しかしハンターとそのユニットを動かすにも金がかかるし、ハンターという貴重な戦力を歪虚1匹に貼り付けるのも難しい。
「小さなものでもかまいません。ガルドブルムについての情報があれば、是非教えていただきたいのです」
「うーん……」
司祭位を持つ少女が困り顔で唸り出す。
職員が深く頭を下げる。
先祖代々維持してきた面子を傷つける情報を出せと言っているのだ。
激高されるならまだましな方で、社会的な影響力を駆使してオフィスや職員個人に圧力をかけてくる可能性すらあった。
「歪虚討伐に役立つならお話しますけど」
「では!」
「いえ、そもそもこの頃のことが伝わっていません」
なお、カーナボン家は最低でも300年続いていることになっている。
不味いことを聞いてしまったと顔を青くする職員の前で、司祭はうんうんうなって何かを思い出そうとしていた。
「実家は田舎にあるので本家が全滅して分家が継ぐのも珍しくはないんです。その際に記録が散逸しますから」
「それは……歪虚との交戦でですか」
「政争に破れてというのもあったみたいですよ。んー、でも」
古びた羊皮紙を何度も読み返す。
最終的に王の目に触れた報告書のようで、当時の大貴族でも触れるのが難しい情報が大量に載っている。
「これ、おかしいのです」
このカーナボン家が後先考えずに戦力を投入してガルドブルムと戦ったのは事実らしい。
しかし作戦が奇妙に過ぎる。
歴史を積み重ねた強力な武器を集めてぶつかるだけ。
隣領や寄親や王家を引きずり込むという工夫が全くされていない。
今そんなことをしようとすれば計画段階で当主押込から政権交代になるだろう。
「他の貴族にはめられて馬鹿な作戦をするしかなくなったって訳でもなさそうですし」
「えっとその」
「お気遣いありがとうございます。貴族を長く続けると毎回有能って訳にもいきませんからね」
きっと大きく失敗したのでしょう。
王国の少女は切なげにため息をつき、直接のつながりのないはずの血族に思いをはせ。
「え」
「あれ?」
清らかな気配が増し、司祭達が数人のハンターごとその場から消失する。
膨大な過去が収められた精霊樹の分樹が、淡い光を静かに放っていた。
●黒竜の現在
『おぉっ』
全長20メートル超える巨体が綺麗に一回転。
硬い岩肌にめり込み短くうめいた。
『もう一度!』
『オゥ、何度でも来い』
巨竜と比べればみすぼらしいほど小さな竜が、牙、爪、尻尾の連撃を分かり易い動きで躱しては技をかけて同属を転ばせる。
技術に関しては大人と赤子だ。
これでも巨竜の技術はましになっている。
ハンターへの復仇のため、巨竜の心身がかつてないほど活性している。
『どこで技をっ』
『200年前に派手にやられてなァ。武者修行のつもりであれこれしているうちにいつの間にかな』
意識の誘導も体の動かし方も惜しみなく見せる。
本来なら10年20年でようやく身につくかどうかの技術が、巨竜の執念により急速に吸収されていく。
まあそれでもせいぜい新米前衛ハンター程度の回避術でしかない。
『人間に? 鉄人形もなかった時代にか!?』
『運が悪けりァあのとき死んでたな』
驚き半分不審半分の視線を正面から受け止め楽しげに笑う。
当時は今と同じくマテリアルの収集に励んでいた。
古くさい建物や遺物を巡るという苦行をしてでも強くなろうとしていた。
当時、ガルドブルムは強くはあったが技がなかった。
心も酷いものだ。気合いの入った覚醒者数人に怯えていた記憶がある。
仮にあのまま強くなっていたとしたら、とうにハンターに狩られてしまっていたはずだ。
『人間に……』
『強い奴等だったぞ。今のハンターの方が圧倒的に強いがな』
黒竜は心底楽しげに笑い、リゼリオがある方向をじっとみつめる。
当時人間が何を考えていたかなど既に全く興味もない。
今の彼にとり強さは手段でしかない。
黒竜はただ、戦いを望んでいた。
●200年前。カーナボン家本陣
金髪の女当主が冷たい目で家臣を見渡した。
槍と弓と分厚い金属鎧で身を固めた男達がわずかに体を震わせる。
「援軍は来ない。我等のみで黒竜と戦う」
「そんな」
「お嬢! 何を考えて」
「こんな砦放棄して巡礼路まで下がりましょう。寄親にも王家にも義理はもう果たしました!」
当主を幼い頃から知る男達が必死に言いつのる。
武勇に優れた先代も、次代の当主になるはずだった男子も、これまでの戦いで全て死んだ。
部下達も半数近くが倒れてこの場にいる男達も傷だらけだ。
「すまない」
当主の顔が青白い。
目に強い光はあるが張り詰めすぎて今にも弾けそうだ。
彼女の脳裏に浮かぶのは、聖堂教会からもたらされた1通の書状。
既に焼き捨てたが、王国全土の巡礼路を用いたマテリアル集積機構――再充填可能なことを考慮に入れれば王国最大の武器について知らされてしまった。
「ここで防ぐしかないのだ」
あの黒竜は馬鹿で乱暴ではあるが鼻が利く。
今は巡礼路周辺の施設でマテリアル略奪を行うだけだが、このままだと巡礼路に秘密に気づく可能性がある。
巡礼路から意識を逸らさなければ最悪巡礼路の情報が歪虚全体に広がってしまうだろう。
しかし援軍は呼べない。
王家と教会の主力は他方面に出払っている。隣領も寄親もこの情報を渡せるほど王家に信頼されていない。
「お嬢様」
「皆、すまない」
既に死ぬ覚悟を固めた目だ。
女当主は全ての財貨を積み上げ、家伝の宝剣のはずの武器を最も強い者達に渡していく。
「作戦開始は明朝だ。家族に別れを告げておけ」
この翌日。
本来の歴史なら当主、郎党、義勇兵の全てが討ち死にする。
いつの間にか数人数が増えていることに、その数人以外誰も気づけていない。
解説
200年前の過去回想依頼です。
ガルドブルムを打ち倒しても現実には影響しないはずですが、関係者の記憶等にや細かな変化が出るかもしれません。
・カーナボン家当主
30歳前後。なんとなく某司祭に似ています。
軽装弓猟撃士でした。
本来の歴史では遠距離からのまぐれ当たりブレス1撃で燃やされました。
現在の中身は、夢と思い込んでいる某司祭です。
・郎党と義勇兵
総数不明。皆志願して戦闘開始から1時間ほど戦い抜きました。
いろいろなクラスの覚醒者がいたそうです。
・ガルドブルム(200年前)
強くなることに貪欲なのは今と変わりませんが、人間をとことん馬鹿にしていました。
回避力はせいぜい30しかなく、ブレスは威力はあっても狙いが甘く、1ラウンド複数回攻撃もできず、受け身の技術もありません。
しかしそれでも強かったそうです。
・地形
左右の切り立った崖の間に、崖をふさぐ形の砦が立っています。
谷底は幅12メートル。谷の上まで20メートル。砦は石造り二階建、高さ10メートル。
砦の奥にはマテリアルの気配が強い石碑等が山積みにされ、柱1本ぶった切れば砦全体が崩壊するよう細工されています。
無理をすればガルドブルムが中まで入り込めます。
・武装等
銃や機械類を装備している場合、同性能の弓や白兵武器を持っている人物として描写されます。
種族も出身地も当時その場にいた者のうちのどれかとして描写されます。
・展開
射撃戦闘、砦の石壁の上での白兵戦、ガルドブルムが砦内に侵入してからの自爆、という流れになっていました。
ハンターの行動次第で展開は変化します。
実際の歴史は変化しません。
ガルドブルムを打ち倒しても現実には影響しないはずですが、関係者の記憶等にや細かな変化が出るかもしれません。
・カーナボン家当主
30歳前後。なんとなく某司祭に似ています。
軽装弓猟撃士でした。
本来の歴史では遠距離からのまぐれ当たりブレス1撃で燃やされました。
現在の中身は、夢と思い込んでいる某司祭です。
・郎党と義勇兵
総数不明。皆志願して戦闘開始から1時間ほど戦い抜きました。
いろいろなクラスの覚醒者がいたそうです。
・ガルドブルム(200年前)
強くなることに貪欲なのは今と変わりませんが、人間をとことん馬鹿にしていました。
回避力はせいぜい30しかなく、ブレスは威力はあっても狙いが甘く、1ラウンド複数回攻撃もできず、受け身の技術もありません。
しかしそれでも強かったそうです。
・地形
左右の切り立った崖の間に、崖をふさぐ形の砦が立っています。
谷底は幅12メートル。谷の上まで20メートル。砦は石造り二階建、高さ10メートル。
砦の奥にはマテリアルの気配が強い石碑等が山積みにされ、柱1本ぶった切れば砦全体が崩壊するよう細工されています。
無理をすればガルドブルムが中まで入り込めます。
・武装等
銃や機械類を装備している場合、同性能の弓や白兵武器を持っている人物として描写されます。
種族も出身地も当時その場にいた者のうちのどれかとして描写されます。
・展開
射撃戦闘、砦の石壁の上での白兵戦、ガルドブルムが砦内に侵入してからの自爆、という流れになっていました。
ハンターの行動次第で展開は変化します。
実際の歴史は変化しません。
マスターより
壮絶な死に様を見せつけるもよし、IFとはいえ歴史を覆すもよしな依頼です。
ガルドブルムを倒してしまっても全く問題ありません。
ガルドブルムを倒してしまっても全く問題ありません。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2017/06/19 21:21
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
---|---|---|---|
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依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2017/06/08 23:41:58 |
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![]() |
200年物の相談卓 リリティア・オルベール(ka3054) 人間(リアルブルー)|19才|女性|疾影士(ストライダー) |
最終発言 2017/06/12 01:11:48 |