• 戦闘

清泉に揺蕩う青黒い影

マスター:猫城嗟嘆

シナリオ形態
ショート
難易度
普通
参加費
1,000
参加人数
現在6人 / 4~6人
マテリアルリンク
報酬
普通
相談期間
5日
プレイング締切
2017/06/22 09:00
リプレイ完成予定
2017/07/01 09:00

オープニング

●薬草の生える泉

「お兄ちゃんの病気を、治さなきゃ……」
 少女ラリスは森の中をさまよい歩いていた。
 森は鬱蒼として緑濃く、少女の足取りを咎めるようにして生い茂る。
「森のいちばん深いところにきれいな泉が湧いていて、その周囲に薬草は生えている……」
 ラリスは一人呪文を唱えるようにしながら歩く。
 心身共に疲弊し切っていたはずだが、病気の兄を憂う気持ちがその足を速まらせた。
「あれは……!」
 やがてラリスの目に映る景色が変わる。
 樹々の縦列がまばらになり、青草の茂る広い空間へと突き当たる。
「泉だわ……なんてきれいな……」
 森の開けた草地の奥にあったのは泉だった。
 周囲に高く伸びる樹々の緑を反射して、キラキラと美しい水面を湛えている。
「こんなにきれいな泉だもの、必ず、近くには熱病に効く薬草が生えているはず」
 ラリスは泉のほとりにまで近付いて、周囲へと目を凝らした。
 俯きながら歩を進め、その緑の絨毯に生えているはずの薬草を探す。
「シャアア……」
 不意に、ラリスの背後、泉の付近から不穏な音が響き渡った。
「シャアアア……」
 しかし薬草探しに夢中になっていたラリスは最初それには気付かなかった。
「あった、これだわ! 文献で見た形と同じ! 熱病に効く薬草よ!」
 そこでラリスはついに目当ての薬草を見つけたらしく声を上げる。
 歓喜して俯かせていた体を起こすと、そこでようやく泉の上に発生していた異変に気付く。 
「……!」
 ラリスの目に映ったのは、不気味な青黒い影――
 泉の水面の上へと伸びて揺らめいている人の形をした影だった。
 影はユラユラと揺らめきながらラリスの方へと近付いて来る。
「きゃ……キャアアアッ!」
 ラリスが声を上げた瞬間、水面の上の青黒い影から何かが放たれた。
 それは水のかたまり――弾丸のように空中を走る青い水のつぶてが、ラリス目がけて襲い来る。
「……いやあっ、来ないでッ!」
 ラリスは水のつぶてから逃げるようにして走る――
 慌てて走り出したために足がもつれ、草の上へと盛大に転んでしまった。 
 しかし転んだことで、空中を走る青い水のつぶてを回避。
 ラリスの頭上をかすめた水のつぶてはそのまま空中を走り、その先に生えていた樹の幹を穿って散った。
 成人男性の胴回りほどの太さの樹が被弾の衝撃で中途から盛大に折れ曲がり、やがてガサガサと葉々の擦れる音を立てながら地へと倒れた。
「お兄ちゃん……!」 
 ラリスは兄を想いながら、来た道を辿って樹々の中を走る。
 手に薬草を握りしめ、決して後ろは振り返らずに森の中の道を駆け抜けていった。

●少女の涙

「そうかいそうかい。さぞ怖かっただろう」
 ハンターズソサエティの支部職員は、優しく少女の頭を撫でてやった。
「……お兄ちゃんの病気を治すためだから、絶対薬草を持って帰らなきゃって必死で逃げてきたの……」
 頭を撫でられながら少女――ラリスはそう説明した。
 嗚咽しながら、目に涙を浮かべて話している。
 その手には兄の病気を治すための薬草がしかと握られていた。
「あの森は熱病に効く薬草の群生地で、人々の訪れる機会も多いだろう。今回のように若い子供に被害が及ぶのは憂慮すべきことだ」
 支部職員はラリスの頭を撫でるのを止めて言った。
「恐らく、薬草を探していて泉に落ちて溺れ死んだ者や、薬草を摘んでも愛する者の病を治せなかった者の怨念が雑魔の源流となっているのだろう。早めに駆逐せねば新たな被害者が生まれるに違いない」
 支部職員は眼前のラリスの涙する姿を見つめ、二度と彼女のような無垢なる被害者を出すまいと誓い、ハンター依頼の手続きを始めた。

解説

●森の泉に発生した雑魔の駆逐する事が目的となります。

●雑魔について

 ・雑魔は水の性質を持つ、人の形をした青黒い影のような存在です。泉の水を存在の拠り所としています。
 ・雑魔は森の開けた草地にある、直径二十メートルくらいの円状の泉に発生します。草地は泉の周囲を取り囲むようにして十メートルほどの幅があります。
 ・雑魔は空中を浮遊するようにして移動できますが、泉の水を拠り所にしているという事もあり、泉の水面上より盛大にはみ出して来るという事はありません。移動してきてもせいぜい泉の淵から五メートルほどの位置までです。
 ・雑魔は水のつぶてで攻撃してきます。つぶては四方八方へと撃ち放つ事ができます。本文中にもありますが、水のつぶては樹の幹を穿つ程度の衝撃を生みます。一発一発がヘビー級のボクサーのパンチ程度には強い衝撃を生みます。
 ・雑魔は人型のその腕部分を伸ばして攻撃してきます。水由来の体ですが、ゴムのように伸ばして標的を捕獲したり首を絞めたりする事ができます。腕は二本と言わず、無数に産出して伸ばす事もできます。
 ・雑魔の体は剣などで斬りさばく事もできますが、水由来という事もあり、流動させて元に戻す事ができます。そのため、剣などによって与える事のできるダメージは微量です(ゼロではない)。
 ・雑魔は泉の水が枯渇すると、存在を維持する事ができなくなります。

マスターより

みなさま初めまして、猫城嗟嘆と申します。
まだ手探りではありますが、今後より良いシナリオをみなさまに提供してゆけるよう、頑張っていきたいと思います!
リプレイ公開中

リプレイ公開日時 2017/06/26 22:44

参加者一覧

  • 虹の橋へ
    龍崎・カズマ(ka0178
    人間(蒼)|20才|男性|疾影士
  • 豪傑!ちみドワーフ姐さん
    レーヴェ・W・マルバス(ka0276
    ドワーフ|13才|女性|猟撃士
  • 癒しへの導き手
    シュネー・シュヴァルツ(ka0352
    人間(蒼)|18才|女性|疾影士
  • スピードスター
    無限 馨(ka0544
    人間(蒼)|22才|男性|疾影士
  • 神秘を掴む冒険家
    時音 ざくろ(ka1250
    人間(蒼)|18才|男性|機導師
  • エメラルドの祈り
    雨月彩萌(ka3925
    人間(蒼)|20才|女性|機導師
依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2017/06/20 19:20:57
アイコン 【相談】
龍崎・カズマ(ka0178
人間(リアルブルー)|20才|男性|疾影士(ストライダー)
最終発言
2017/06/22 08:11:14