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　収穫をもう間近に控え、農家が機運を高めている頃。ここグラン村は、慌ただしくも浮ついた雰囲気に包まれていた。
　季節は秋にさしかかり、ジェオルジ村長祭に関連付けて、村々が様々な催し物を企画している。グラン村は例年以上の収穫のため、大食い大会やら立食会を企画しているのだが。
「またこの時期に、ゴブリンの奴らがやって来やがったわけだな」
　自警団を率いる男は、腕組みをしてそう言った。
「三体程度で装備も特にないらしい。お前ら、囲んで叩くぞ」
　夜に紛れて盗みを働こうとするセコいゴブリンたちを叩きのめすべく、血気盛んな若者や怒り心頭の農夫、暇な料理人などが隊を組んで巡回していた。
　ゴブリンが潜伏していると思しき森には、特に厳重な警戒がなされている。
「俺らの収穫物だ、誰にも渡しゃしねぇよ！」
　応、と声を張って夜闇へ威嚇する彼ら。
　だがそこに、思わぬ方向から襲撃があった。
「おい、今あそこの茂み、動いたよな……！」
「ええ、確かに動きましたね」
　巡回中の二人が、茂み目掛けて粗末な槍を構える。
「さぁ、いつでも来なさい！」
　と威嚇した彼目掛けて、それは猛烈な速度で突進を食らわせた。
「って……ぐふっ！？」
「せ、先生！」
　料理人の男はどーんと吹き飛ばされて、ごろごろと地上を転がった。
　ゴブリンにそんな膂力があるわけが、ともう片方の男が松明を掲げると――。
「い、猪ぃ！？」
　目を血走らせた猪が、男に視線を合わせて地を蹴っているところだった。

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「今回の依頼は、畑を荒らす外敵の退治となります」
　受付嬢イルムトラウトは眼鏡を押し上げた。
「ジェオルジ村長祭も間近な昨今、収穫を控えた村をゴブリンが狙っているようです。数自体は少なく、それだけであれば、我々の出番はなかったかもしれませんが……とある事情で、こうして依頼が持ち込まれることになりました」
　事情というのは、別の勢力が襲撃をかけてきたとのこと。
「大型の猪です。数も多く、突進で木の柵程度は破壊してしまうようです。今回はこちらが討伐の主題ですね」
　村人にも怪我人が多く出ており、自警団も機能しづらい状況らしい。この猪とゴブリン両方に対処する必要がある。
　ただし、依頼はあくまで収穫物の護衛である。
　ゴブリンは愚かだがずる賢く、猪を捌くのに夢中になっている所を後ろからこっそり進入する、というようなことはやってくるかもしれない。
　猪の突進で村の建物などに被害が出るのも避けたい所だ。
「収穫物を守りながら、猪の突進から村の設備を守り、ゴブリンたちも倒す……少々忙しい依頼ですが、どうぞよろしくお願い致します」

●目標
　作物の安全確保、及び敵勢力の全滅

●敵情報
・ゴブリン
　装備を持たないただのゴブリンです。
　合計で四体います。身軽なため逃げ足が早く、移動力は三あります。
　戦闘はなるべく回避し、作物をくすねては逃亡を繰り返します。警備が厚いことを確認すると、警戒して潜伏を続けます。
　行動は昼夜を問いませんが、猪に便乗してきます。夜目は効く方です。
　現在山に潜伏中です。

・猪
　平均して成人男性の腰程の高さを持つ、大きな猪です。
　四体います。移動力は二です。夜行性で、個体同士で固まらずに行動します。
　夜間でも視界は確保できているようです。
　森が住処です。

　長距離を突進してきます。五スクエアを直進しながら攻撃します。
　攻撃までの移動距離に応じて威力が上がり、素の威力も高く、二スクエア吹き飛ばします。
　突進移動後、誰にも攻撃せずにラウンドを終了した場合、上がった威力は次のラウンドに持ち越します。
　ただし、サブ行動の移動で後方へ反転した場合は威力をリセットします。左右への方向転換ではリセットしません。

　作物に辿り着くとメイン/サブアクション共に食事を行います。

●地形情報
　村の北と西は直接木の茂る山に面しています。
　東に二十メートルいくと森があり、森までの道はありますが、左右は茂みに覆われています。
　南は村を出てすぐ農地であり、南西に少し行くと街道があります。

　村内部は、主に北が居住区であり、中央広場から南の方に倉庫や貯蔵庫があります。
　作物は農地に埋まっている物と、貯蔵庫に入れられているものでまちまちです。大雑把には、根菜は地中で他は貯蔵庫です。

　村をぐるりと柵が覆っていますが、東の三箇所や北東付近の一箇所は猪により破壊されています。村人の修繕が追いつかないようです。
　農地の柵はひとまず無事ですが、東の破損箇所から入ってすぐの位置に貯蔵庫があります。

●補遺
　猪とゴブリンは味方同士ではありません。

　えーてるです。今回は敵勢力が二つあります。
　セコいゴブリンと猛進する猪、上手く両方を捌いてください。

　皆様の知力と武力の限りを尽くしたプレイングをお待ちしております。