ゲスト
(ka0000)
幽霊船からふんだくれ
マスター:KINUTA

- シナリオ形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
1,000
- 参加人数
- 現在8人 / 4~8人
- マテリアルリンク
- ○
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 6日
- プレイング締切
- 2017/07/03 22:00
- リプレイ完成予定
- 2017/07/12 22:00
オープニング
深い深い海の底から、そのガレオン船は上ってきた。海水をたっぷり吸い込んだ船体は黒く湿っていて、はなはだ臭い。帆は全て無くなっている。はためいているのは、帆柱の上に掲げられた骸骨旗だけ。船腹の両脇に据え付けられている大砲はどれも、使い物にならぬほど赤錆び崩れている。
しかし乗組員は船長以下誰一人として、そんな惨状を気にかけていなかった。
野郎ども、帆を上げろ。これからひと稼ぎに出かけるぞ。
アイアイサー、船長。
船は滑り出す。見えない手で後ろから押されているかのように。
おれたちゃ無敵の海賊だ。
その通りだぜ、船長。
海軍だって怖くねえ。
全くだ、船長。
おお、噂をすれば行く手に商船が。
あの旗はどこの商会のもんだ?
そんなこたあどうでもいい。獲物だ。それ襲え。
てめえ! 荷も奪わないうちに沈めてどうすんだこのくそ馬鹿やろう! 歯あへし折るぞ首引っこ抜くぞ帆桁から吊るすぞ!
すいませんすいません船長、つい勢いあまってぶつけちまって。
チッ、仕方ねえ。ほっぽらかして行くぞ。別の船を捜すんだ。
アイアイサー。おれたちゃ海賊、怖いものなし……。
●
ポルトワール沖合。水深七千メートルに及ぶ海溝の真上。
疾風のように波の上を駆けて行く高速商船。追い風を受け膨らんだマストの上にはためくのは、白地に青の十字が入った旗――ポルトワールのいち海運会社である、グリーク商会の旗。
甲板に立つのは一人の娘。商会の次期会長と目されているニケ・グリーク。
潮風にあおられひっつめ髪がぐちゃぐちゃになり、銀縁メガネの表面に飛沫がくっついているが、それをものともせず、双眼鏡を覗き込む。
彼女は怒っていた。つい先日、商会の新造船が暴走船に当て逃げされ、積み荷もろとも沈没したのだ。
乗っていた船員も――不幸中の幸いか死者だけは出なかったが――多く負傷した。皆熟練の航海者ばかりだ。彼らが復帰しまた仕事が出来るようになるまでに、最低でも一カ月の時間はかかる。
それだけでも最悪な状況であるが、輪をかけて最悪なのが、ぶつかってきた船が通常の船ではなく歪虚の支配する幽霊船だったという点にある。歪虚は人間ではない。法的には獣のようなものだ。従って賠償責任を問えない。見つけたら退治。それでおしまい。
原価償却もすんでいない新品の船を壊され荷を失った揚げ句びた一文も取ることが出来ないとは、どう考えても納得いかない。
悔しさを噛み締めつつ不運な船員たちへの見舞いに行った彼女は、そこで彼らから、このような言葉を聞かされた。
「あの船は――どうやらもと海賊船だったようですぜ――骸骨の旗がマストについてて――骸骨どもも――短刀を持っていやがって――」
詳しく船の形や大きさ、旗の仕様について聞き出したニケは、ポルトワールの市庁舎に赴き、歴史資料を漁ってみた。そして今から一世紀ほど前、彼らの証言と一致する海賊船が海軍に追い詰められ、沈没したことを突き止めた――略奪品を回収出来ないままに。
この記録が正しいのだったら、今でも船は金目の荷を積んでいるはずだ。それを奪えば債務補填に当てられる。
思ったニケは高速商船にハンターを乗せ幽霊船の捜索に乗り出した。
そして今、憎き轢き逃げ相手を発見した。
「いた!」
商船が追いすがる。追いすがる。
ニケは操舵室に通じる伝声管に向かって大声を吹き込む。
「ナルシス! あの船を止めて!」
『何で僕が使われてんのかな……』
「学校で操舵術がトップクラスだったからよ! 早く!」
不詳の弟がぶつぶついう声と同時に、船体が動いた。先を行く幽霊船の前に至近距離で回りこみ、ぶつかるかぶつからないかギリギリのところで回避。
錆び付き破れ海草がぬらぬら絡み付いた時代遅れのガレオン船は、衝突を避けようと大きく傾いだ。倒れるか――いや、復元した。
その間に商船が追い抜く、前を走り始める。
抜かれたことに屈辱を感じたかのように、幽霊船が追いすがる。
そこで商船が速度を落とした。距離を置きつつ、横に並んだ。
ガレオン船の甲板には短剣を持った骸骨の群れ。穴ぼこの目を光らせ、顎をカクカク打ち鳴らしている。どうやら、士気は高い様子だ。
通常の攻撃で歪虚を完全消滅させることは出来ない。臭い匂いをもとから絶つには、ハンターの力が必要だ。
ここからは、彼らの出番である。
「皆さん、お願いします。価値のありそうなものを、根こそぎ奪ってきてください!」
「了解!」
「身ぐるみ剥いでやろうじゃねえか!」
威勢のいい声が飛び交う中、カチャだけが静かであった。艫に寄りかかり空を見ている。船酔いに打ちのめされているのだ。それが証拠に目が、腐ったサバのように淀んでいる。
しかしそんな彼女もハンター。今この時、船の一部となって不参加というわけにはいかなかった。
「ほらカチャ、行くわよ」
同じく依頼に参加していた八橋杏子に足首を捕まれ、ボートへと引きずられていく。
さらば海の亡者たちよ。今度こそ千尋の底に沈むがいい。金は生ける者のためにあるものなのだから。
しかし乗組員は船長以下誰一人として、そんな惨状を気にかけていなかった。
野郎ども、帆を上げろ。これからひと稼ぎに出かけるぞ。
アイアイサー、船長。
船は滑り出す。見えない手で後ろから押されているかのように。
おれたちゃ無敵の海賊だ。
その通りだぜ、船長。
海軍だって怖くねえ。
全くだ、船長。
おお、噂をすれば行く手に商船が。
あの旗はどこの商会のもんだ?
そんなこたあどうでもいい。獲物だ。それ襲え。
てめえ! 荷も奪わないうちに沈めてどうすんだこのくそ馬鹿やろう! 歯あへし折るぞ首引っこ抜くぞ帆桁から吊るすぞ!
すいませんすいません船長、つい勢いあまってぶつけちまって。
チッ、仕方ねえ。ほっぽらかして行くぞ。別の船を捜すんだ。
アイアイサー。おれたちゃ海賊、怖いものなし……。
●
ポルトワール沖合。水深七千メートルに及ぶ海溝の真上。
疾風のように波の上を駆けて行く高速商船。追い風を受け膨らんだマストの上にはためくのは、白地に青の十字が入った旗――ポルトワールのいち海運会社である、グリーク商会の旗。
甲板に立つのは一人の娘。商会の次期会長と目されているニケ・グリーク。
潮風にあおられひっつめ髪がぐちゃぐちゃになり、銀縁メガネの表面に飛沫がくっついているが、それをものともせず、双眼鏡を覗き込む。
彼女は怒っていた。つい先日、商会の新造船が暴走船に当て逃げされ、積み荷もろとも沈没したのだ。
乗っていた船員も――不幸中の幸いか死者だけは出なかったが――多く負傷した。皆熟練の航海者ばかりだ。彼らが復帰しまた仕事が出来るようになるまでに、最低でも一カ月の時間はかかる。
それだけでも最悪な状況であるが、輪をかけて最悪なのが、ぶつかってきた船が通常の船ではなく歪虚の支配する幽霊船だったという点にある。歪虚は人間ではない。法的には獣のようなものだ。従って賠償責任を問えない。見つけたら退治。それでおしまい。
原価償却もすんでいない新品の船を壊され荷を失った揚げ句びた一文も取ることが出来ないとは、どう考えても納得いかない。
悔しさを噛み締めつつ不運な船員たちへの見舞いに行った彼女は、そこで彼らから、このような言葉を聞かされた。
「あの船は――どうやらもと海賊船だったようですぜ――骸骨の旗がマストについてて――骸骨どもも――短刀を持っていやがって――」
詳しく船の形や大きさ、旗の仕様について聞き出したニケは、ポルトワールの市庁舎に赴き、歴史資料を漁ってみた。そして今から一世紀ほど前、彼らの証言と一致する海賊船が海軍に追い詰められ、沈没したことを突き止めた――略奪品を回収出来ないままに。
この記録が正しいのだったら、今でも船は金目の荷を積んでいるはずだ。それを奪えば債務補填に当てられる。
思ったニケは高速商船にハンターを乗せ幽霊船の捜索に乗り出した。
そして今、憎き轢き逃げ相手を発見した。
「いた!」
商船が追いすがる。追いすがる。
ニケは操舵室に通じる伝声管に向かって大声を吹き込む。
「ナルシス! あの船を止めて!」
『何で僕が使われてんのかな……』
「学校で操舵術がトップクラスだったからよ! 早く!」
不詳の弟がぶつぶついう声と同時に、船体が動いた。先を行く幽霊船の前に至近距離で回りこみ、ぶつかるかぶつからないかギリギリのところで回避。
錆び付き破れ海草がぬらぬら絡み付いた時代遅れのガレオン船は、衝突を避けようと大きく傾いだ。倒れるか――いや、復元した。
その間に商船が追い抜く、前を走り始める。
抜かれたことに屈辱を感じたかのように、幽霊船が追いすがる。
そこで商船が速度を落とした。距離を置きつつ、横に並んだ。
ガレオン船の甲板には短剣を持った骸骨の群れ。穴ぼこの目を光らせ、顎をカクカク打ち鳴らしている。どうやら、士気は高い様子だ。
通常の攻撃で歪虚を完全消滅させることは出来ない。臭い匂いをもとから絶つには、ハンターの力が必要だ。
ここからは、彼らの出番である。
「皆さん、お願いします。価値のありそうなものを、根こそぎ奪ってきてください!」
「了解!」
「身ぐるみ剥いでやろうじゃねえか!」
威勢のいい声が飛び交う中、カチャだけが静かであった。艫に寄りかかり空を見ている。船酔いに打ちのめされているのだ。それが証拠に目が、腐ったサバのように淀んでいる。
しかしそんな彼女もハンター。今この時、船の一部となって不参加というわけにはいかなかった。
「ほらカチャ、行くわよ」
同じく依頼に参加していた八橋杏子に足首を捕まれ、ボートへと引きずられていく。
さらば海の亡者たちよ。今度こそ千尋の底に沈むがいい。金は生ける者のためにあるものなのだから。
解説
補足説明
これは幽霊船を(財宝を奪った上で)海の藻屑にするための依頼です。
幽霊船に乗っている歪虚の内訳は以下の通り。
船員スケルトン50体
いる場所:甲板。
大きさ:人間大。
素早さ:生前海賊船員であった時のまま。常人よりは上だがハンターには劣る。
力:上に同じ。
骨の強度:一般的なスチール。
知性:低い。船長スケルトンの指揮に応じて動いている。
装備:短剣のみ。
船長スケルトン1体
いる場所:甲板。
大きさ:ほかのスケルトンより一回り大きい。
素早さ:生前船長であった時のまま。常人よりは上だがハンターには劣る。
力:上に同じ。
骨の強度:強化スチール。雑魚よりは壊れにくい。
知性:高い。この個体がスケルトン軍団を動かしている。
装備:短剣。長剣。船長であったとき身につけていた帽子。マント。宝石などの装飾品。
以上のように、歪虚自体はレベルの高いものではないです。
戦いにおいて注意すべきは、船体に対する損傷です。腐り果てた船の原形が保たれ曲がりなりにも航行出来ているのは、ひとえに負のマテリアルによるものなのですが、歪虚が数を減らして行くにつれその力が薄れてきます。最終的に船長が倒された時点で一気に劣化が押し寄せ、崩壊します。そうなると船倉に隠されている財宝も海の底。
ハンター諸氏におかれましては、歪虚対策と平行して宝探し+宝の確保をされますよう、お勧め致します。
幽霊船に乗り移るためのボートは、3隻用意されています。各々定員は4名。最高時速50キロが出せる魔導モーターエンジンがついています。
財宝の回収率が高ければ、ちょっとしたボーナスが出る可能性があります。頑張ってください。
なおこの依頼現場には、以下2名のNPCハンターが同行します。
カチャ・タホ/竹刀で戦うクルセイダー/絶賛船酔い中。
八橋杏子/仕込み刀で戦うソードダンサー/船には酔わないタイプ。
これは幽霊船を(財宝を奪った上で)海の藻屑にするための依頼です。
幽霊船に乗っている歪虚の内訳は以下の通り。
船員スケルトン50体
いる場所:甲板。
大きさ:人間大。
素早さ:生前海賊船員であった時のまま。常人よりは上だがハンターには劣る。
力:上に同じ。
骨の強度:一般的なスチール。
知性:低い。船長スケルトンの指揮に応じて動いている。
装備:短剣のみ。
船長スケルトン1体
いる場所:甲板。
大きさ:ほかのスケルトンより一回り大きい。
素早さ:生前船長であった時のまま。常人よりは上だがハンターには劣る。
力:上に同じ。
骨の強度:強化スチール。雑魚よりは壊れにくい。
知性:高い。この個体がスケルトン軍団を動かしている。
装備:短剣。長剣。船長であったとき身につけていた帽子。マント。宝石などの装飾品。
以上のように、歪虚自体はレベルの高いものではないです。
戦いにおいて注意すべきは、船体に対する損傷です。腐り果てた船の原形が保たれ曲がりなりにも航行出来ているのは、ひとえに負のマテリアルによるものなのですが、歪虚が数を減らして行くにつれその力が薄れてきます。最終的に船長が倒された時点で一気に劣化が押し寄せ、崩壊します。そうなると船倉に隠されている財宝も海の底。
ハンター諸氏におかれましては、歪虚対策と平行して宝探し+宝の確保をされますよう、お勧め致します。
幽霊船に乗り移るためのボートは、3隻用意されています。各々定員は4名。最高時速50キロが出せる魔導モーターエンジンがついています。
財宝の回収率が高ければ、ちょっとしたボーナスが出る可能性があります。頑張ってください。
なおこの依頼現場には、以下2名のNPCハンターが同行します。
カチャ・タホ/竹刀で戦うクルセイダー/絶賛船酔い中。
八橋杏子/仕込み刀で戦うソードダンサー/船には酔わないタイプ。
マスターより
KINUTAです。
もうどっちが海賊なのか分かりませんね。
それはそれとして、カチャは酔い止めを忘れたようです。
もうどっちが海賊なのか分かりませんね。
それはそれとして、カチャは酔い止めを忘れたようです。
関連NPC
リプレイ公開中
リプレイ公開日時 2017/07/11 01:41
参加者一覧
依頼相談掲示板 | |||
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【相談卓】 ステラ・レッドキャップ(ka5434) 人間(クリムゾンウェスト)|14才|男性|猟撃士(イェーガー) |
最終発言 2017/07/03 19:26:18 |
|
![]() |
依頼前の挨拶スレッド ミリア・クロスフィールド(kz0012) 人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人 |
最終発言 2017/06/28 22:06:08 |